ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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久し振りの投稿です。
内容は全く予想していなかったシャルバの登場です。時間軸はリゼヴィムが仲間になって少し経ってからです。


クリフォト結成

俺は今、某都市部にある高級ホテルの最上階の部屋の扉の前に一人でいる。

ここに来るまで大量の見張りもいたが俺にとってはないも同然だ。

目的はある人物との取り引き。まぁ、特に意味のない暇潰しみたいなものだけど。

俺は扉を軽くノックする。

 

「……誰だ?」

 

少し遅れて男の警戒する声が聞こえてくる。

だが俺は返事をせずホテルのオーナーから黙って借りたマスターキーを使って扉を開けると中に入る。

 

「……七瀬霧識。何故、お前がここにいる……」

 

部屋の中にいたのはバスローブ姿でワインを飲んでいたシャルバ・ベルゼブブだ。

思っていたよりも優雅な格好だな。風呂上がりか?

シャルバは予想外の来訪者に驚いた表情を浮かべるが、すぐに憎々しげな視線を俺に向けてくる。

 

「そんなに睨むなよ。今日は良い話を持ってきたんだから」

 

「……良い話、だと?」

 

シャルバが警戒心を強める。俺が変な動きを見せればすぐに攻撃してくるつもりだろう。

俺はそんなシャルバの様子を気にせず、むしろ余裕すら感じさせる態度で部屋を見渡す。

 

「良い部屋だな」

 

俺が修学旅行の時に泊まった部屋ほどではないけど、けっこう豪華だ。

カトレアとアルクゼイが死んで旧魔王派は追い込まれているから、もっとギリギリの生活をしていると思っていたんだが意外と余裕そうだな。

 

お、冷蔵庫、発見。ちょうど喉が乾いていたし何か飲むか。

 

「……お前は私に皮肉を言いにきたのか?用件がないのら早く帰れ。私はお前の娯楽に付き合うほど優しくないぞ」

 

「仮にも真の魔王を名乗るならもっと余裕を持てよ。苛立ちは焦りは視野を狭めるぞ」

 

俺は冷蔵庫を開けて中を見ながら適当に答える。

今は林檎ジュースの気分だったけど、さすがにないか。他には……ビールか。

シャルバのイメージと合わないな。あまり好きなヤツじゃないけど、他にはないしこれで我慢するか。

俺は二本、冷蔵庫から取り出す。

 

「仮ではなく私が真の魔王ベルゼブブだ。……後、何故冷蔵庫を漁っているんだ?」

 

「仮にも真の魔王を名乗るなら言わなくても分かるだろ?喉が乾いているんだよ」

 

『仮にも』の部分を強調しながら性格悪く言うと、シャルバは不愉快な感情をできるだけ顔に出さないようにしながら手に魔力を集める。

俺が食らったら間違いなく死ぬレベルだ。

相変わらずシャルバは分かりやすい性格をしているな。魔王としての誇りを馬鹿にするとすぐキレる。

そんなんだからアジュカに勝てないんだよ。

 

「用件を今すぐ言え。まぁ、その前に――」

 

「禍の団に新たな組織を作ったんだよ」

 

シャルバの台詞を遮るようにして本題を切り出す。

するとシャルバは怪訝そうにしながらも興味を持ったようだ。手に集まっていた魔力がなくなる。

ここまでは完全に俺のペースだな。そして、これからも俺のペースだ。

 

「……禍の団を乗っとるつもりか?」

 

「そんなわけないだろ。テロリストになんかなったら俺の三大勢力内での権力がなくなる。俺はあくまで裏方だ」

 

正確には裏方というより裏の支配者だが。やっぱり俺には矢面に立つよりも裏で陰謀を巡らす方があっている。

これは俺に全くしがらみがなくて自由な状態だったとしても同じだ。

バレてないだけで裏方だろうがテロリストだ、みたいなつまらないツッコミは無視する。

 

俺は近くの椅子に座ってビールを一口飲むと続きを話す。

 

「組織名はクリフォト。トップは前ルシファーの息子にしてサーゼクス、アジュカと並んで超越者と呼ばれる男、リゼヴィム・リヴァン・ルシファーだ」

 

「リゼヴィムだと!?私が何度誘っても断ってきた男が今になって動くというのか!?」

 

シャルバが驚愕して勢いよく立ち上がる。

その目は明らかに俺を疑っている。まぁ、前のリゼヴィムを知っているのなら当たり前の反応だな。

俺も漫画を読ませただけであんなことになるなんて予想も出来なかった。

 

「ちなみにユーグリット・ルキフグスも協力者だ」

 

「ユーグリットは少し前に冥界に生存報告をして、今は姉と仲良くしていると聞いている。奴が協力するとは思えないが。何がどうなっているんだ?」

 

「どうもなっていない。ただ偶然が重なっただけだ」

 

俺にも誰かに説明できるほど状況を理解できていない。

俺は何一つ企んでいないからな。気付いたらこうなっていた。

ていうか、何でクリフォトを作ることになったかもよく覚えていない。多分、リゼヴィムと漫画を読みながら酒を飲んでいてその場で作ったのだろう。

ノリって恐ろしいな。

 

「それよりも座ったらどうだ?」

 

言うとシャルバは俺は睨んだまま無言で座る。

俺が現れてからずっと睨んでいるけど目は疲れないのだろうか?シャルバももっとリラックスしたらいいのに。

俺に戦う意思はないのだから。

 

「……それで私にどうしろと?まさか私にも協力しろと言うのか?」

 

「その通りだ。俺はお前に協力を頼みに来たんだ。悪い話ではないだろ?旧魔王派はほとんど潰れているのだから」

 

俺の言葉にシャルバは苦々しい顔をしながらも、どうするか考え始める。

今の旧魔王派の戦力じゃあ、どんな作戦を考えても現魔王を倒して目的を達成するのは不可能だろう。そんな状況を打破するのに俺の提案は悪くないはずだ。というより提案に乗るしかない。

ルシファーが参加すれば他のメンバーの士気も上がるだろうし、リゼヴィムの扇動は現状を引っくり返すのに有効だ。

本来なら迷う必要もないはずだ。シャルバが迷う理由は一つしかない。

 

「断る。どうせカトレアの時みたいに私を騙して最後に殺す腹なのだろう」

 

そう俺が信用できないのだ。

俺と旧魔王派は元々仲良くないし、行動理由も全く違う。信用できないのは当たり前だ。俺も旧魔王派を信用していない。

というかカトレアなら俺が何もしなくても死んでいただろう。後、騙したのは事実だが殺したのは俺じゃないぞ。

 

「そんなことはしない。死ぬとしたら、それはお前の実力不足だ。ただ利用はするがな」

 

俺は本音を隠さないで喋る。ここで嘘をつく理由はないからな。

 

「私を利用するつもりのお前を信じて仲間になれと言うのか?」

 

「信じる必要はないし仲間になる必要もない」

 

大体、シャルバは味方にするよりも敵にしておいた方がキャラが映える。

そして面白い死に様を演じてくれたら最高だ。俺にとってそれぐらいしかシャルバには価値がない。

どうせ生きていても何も面白いことはしてくれないだろうし。

 

「……何?」

 

「お前も俺を利用すればいい。三大勢力のトップと仲の良い俺を上手く使えば逆転も可能だぞ」

 

アザゼルに関しては俺が裏切ったと知れば嬉々として潰しにくるだろうから、そこだけは注意しないとな。

あいつ、俺のことを恨んでいるからな。元はと言えばアザゼルが俺を拉致ったのが原因だから自業自得だけど。

 

「確かにお前が持っている情報を使えば可能だろう。だが本当のことを言うとは思えないし、何よりリスクが高すぎる」

 

「はぁー……、相変わらずつまらない男だな」

 

俺はシャルバのあまりの退屈さに溜め息を吐く。

予想通りと言えば予想通りだし、退屈な男だからこそ簡単に動かせるんだがな。

 

あ、ビールがもうなくなってしまった。話はもう少しで終わるだろうし、後は家に帰ってからルフェイについでもらうか。

 

「お前と私では価値観が違うのだ。お前が私を理解できないように、私もお前を理解できない」

 

「俺が言っているのはそういうことじゃない。俺が言いたいのは真の魔王を名乗る奴が人間風情に駆け引きで勝つ自信がないのはどうなんだ、ってことだ」

 

「……私を愚弄するつもりか?」

 

「ああ、そうだ。多少のリスクを怖れてチャンスを逃がす奴はヘタレだ。トップに立つ資格はない」

 

ここまで挑発したらさすがのシャルバも断れないだろう。もし断ったらシャルバの信用は地に落ちる。

何故なら俺があることないこと言いふらすからな。

 

「……いいだろう。そこまで言うならクリフォトとやらに協力してやる。ただし対等の立場だ。私はお前の下につくつもりはない」

 

「それでいい。取り引き成立だ。シャルバは俺を利用し出し抜き、とことん自分が得をすることだけを考えてくれ。契約を破らない限り対等に勝負できる場を用意しよう」

 

これで今日の目的は達成だな。

本音を言えばカトレアとアルクゼイもいた方が出来ることが増えるんだが残念だ。どうにかして二人を生き返らすことは出来ないだろうか?

 

「契約とは何のことだ?」

 

「詳しいことはまた今度説明するが簡単に言うと関係のない一般人は巻き込まない、俺のことを誰にも話さないといった感じだ」

 

「お前に一方的に有利な内容だな」

 

「だから詳しいことはまた今度だって言っているだろ?次に俺が来るまでに色々と作戦を考えておけよ」

 

それだけ言うと俺は立ち上がって出口に向かう。

 

「じゃあ、俺はそろそろ帰る。次の仕事があるからな」

 

「待て。最後に一つだけ聞きたいことがある」

 

シャルバに呼び止められてドアノブに手をかけたところで止まって首だけ振り返る。

 

「何だ?」

 

「クリフォトの目的は何だ?サーゼクスやアジュカと仲が良いお前が私を組織に引き入れてまで何をする気だ?」

 

ああ、まだ説明してなかったな。まぁ、説明するほどのことでもないけど。

 

「別に何も。クリフォトは俺が表以外にも裏で遊ぶためのオモチャ。つまりただの娯楽だ」

 

最後に捨て台詞を残して俺は今度こそ部屋から出た。




短編に入ってからは平和な展開が続いているので、たまには暗躍も書きたいなと考えていたら今回の内容が思い付きました。

次回は未定ですがライザーの話でも書こうかなと考えています。

では感想待ってます。
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