「私と子作りをしてくれないか?」
俺が部屋で作業をしていると扉がコンコンとノックされたので開けてみると、スケスケのネグリジェ姿のゼノヴィアがいきなりそんなことを言ってきた。ブラジャーをつけておらず胸の先っぽが丸見えだ。
夜這いか。夜這いにしては堂々としすぎている気もするが。
部屋に備え付けられている時計を見てみると21時だった。夜這いには早すぎる。
「断る」
「そうつれないことを言うな」
俺がすぐに扉を閉めようとすると、ゼノヴィアはそれを手で押さえて強引に部屋に入ってきた。
ちっ。いつも同じような方法であしらっていたから、さすがのゼノヴィアも学習してきたか。
今は忙しいのに面倒臭いな。ゼノヴィアの相手をしている暇はないぞ。
「ん?何かしていたのか?」
ゼノヴィアが不意に机の上に置いてある大きな一枚の紙とシャーペン、そのほか色々な道具を見て聞いてきた。
「ああ。今度、グリゴリで製作予定のオモチャの設計図を書いているんだ。だから今日は帰ってくれ」
「急ぐのか?」
「期限にはまだ余裕があるが、他にも色々と仕事があるからな。早目に終わらせたいんだよ」
というより、さっき良いアイデアが浮かんだから早く書きたい。こういうのは思い付いたら一気に形にするのが重要だ。
せっかく思い付いたのにメモするものがなくて後で書こうとしたら忘れてしまったとか悲劇だし。
「そうか。でも休憩は必要だぞ。根の詰めすぎはよくない」
「いや、好きでやっていることだし、ちゃんと休憩も――」
ゼノヴィアは言葉を無視して俺の手を引くとベッドまで力ずくで誘導してきた。力、入れすぎだろ。少し痛いぞ。
どうやら今日は本気のようだな。今まで断り続けていたから痺れを切らしたか?
予想以上の強引さに驚いて抵抗する暇もなくベッドに乗せられると、そのままゼノヴィアが俺の上に馬乗りしてきた。
「こういうのならイッセーにしろよ。邪魔が入らなければ歓迎してくれるだろ」
「それなら昨日、イッセーとアーシアがヤっているところに乱入して私も抱いてもらった」
ゼノヴィアがネグリジェを脱ぎながら言う。
もうイッセーとはヤっていたのか。それは知らなかった。まぁ、興味もないし、どうでもいいことだが。
ゼノヴィアは脱いだネグリジェをそこら辺に置くと、次に俺の服を脱がしにきたので手を掴む。するとゼノヴィアが不思議そうに首を傾げる。
「これでは脱がせられないじゃないか」
「俺の服を脱がすな」
「着たまま子作りするのか?まぁ、私は子作りさえちゃんとしてくれれば過程は気にしないが」
「まず子作りをしない」
何で子作りをするのが前提で話が進んでいるんだよ。最初にちゃんと断っただろ。
大体、俺は設計図を書きたいんだ。邪魔するな。
俺の言葉を聞いたゼノヴィアが不機嫌そうに頬を膨らませる。お前がしても別に可愛くないぞ。
「むぅ……。霧識は何が不満なんだ?イッセーはおっぱいを見せたらノリノリになるのに」
「一番の不満は俺をイッセーと同じように考えていることだな」
俺はイッセーみたいに常に女性の胸のことを考えているような年がら年中発情男じゃない。
大体、俺は基本的にエロいことは考えていない。考えるのは好みの女性が目の前にいる時ぐらいだ。
「ていうか、それならイッセーに相手してもらえよ。あいつなら喜んでしてくれるだろ?」
「……イッセーには『頼むからこれ以上はやめてくれ!もう限界だ!』と涙涙に頼まれてな」
俺が聞くと、ゼノヴィアは遠い目になりながら答えた。
お前、何したんだよ。
……まぁ、アーシアだけで色々とギリギリっぽいから、そこにゼノヴィアが投入されたらそうなるのも当たり前か。
「だから今日は霧識に相手してもらおうと思ってな。昨日、中途半端にヤってしまったおかげで体が火照って仕方ないんだ……」
ゼノヴィアは気持ちを切り替えると艶っぽい声を出しながら生乳を俺の体に押し付けてくる。
ふむ。大きいし、鍛えてあるから弾力もあって気持ち良いな。しかも無駄に筋肉がついていて硬いということもない。良い体をしている。
それだけで俺が欲情したりはすることはないのだが。
「そうか。道具を貸してやるから一人でヤってろ」
「一人でヤっても空しいだけだ。私は霧識に無茶苦茶にしてほしいんだ……」
普通、女性に言われたら嬉しい台詞なのに俺の心は逆に冷めていく。昨日、別の男に抱かれている奴に言われても微妙なだけなんだけど。
まぁ、ゼノヴィアにそのつもりはないだろうが。前に俺とイッセーと二人分の子供を作りたいって言っていたし。
つまり両方、本命ということだ。
「だったらグリゴリの実験体になるか?望み通り無茶苦茶にしてやるぞ」
「口ではそんなことを言っても体は……」
ゼノヴィアが挑発的な笑みを浮かべながら更に体を擦り付けて淫猥な手付きである部分に手を伸ばした。
するとゼノヴィアはあることに気付いて複雑な表情をしながらその部分を執拗にまさぐり始める。
「……全く反応しないな」
俺も予想外だ。ここまで反応しないとは。
ゼノヴィアは好みとは違うとしても美人だし少しぐらい反応すると思っていたんだが。
「……さすがにこれは落ち込むぞ。私の女性としての魅力に自信をなくしそうだ………」
俯いて肩を落とすゼノヴィア。
何か色々と悪いな。さすがに同情してしまう。だからといって抱いたりはしないが。
「俺が抱く女性は基本的に二種類。愛している女性と後腐れのない好みの女性だけだ」
『基本的』ということは勿論、例外もある。他で一番多いのは調教目的だな。レイナーレがその代表格だ。
「私も子供さえ孕ませてくれれば後腐れないぞ。たまに子供の相手をしてもらうかもしれないが、その程度だ」
「それが問題なんだよ。お前、悪魔なんだからいつ子供が出来るか分からないだろ?」
絶対、ゼノヴィアは子供が出来るまでしつこいぞ。子供が出来たとしても、そこで解放するとは限らないし。
そんな面倒事はごめんだ。
ちなみにロスヴァイセを抱かないのも同じ理由だ。まぁ、今はユーグリットの奴が相手してくれているから大丈夫だけど。
そのせいで別の問題(主にリセヴィム関連)が起きているけど大したことではない。
「私が悪魔だというのはどうしようもないのだが……」
「だから諦めろ」
「くっ……。こうなったら力ずくでヤるしかないか。そうしないと色々と気が済まない」
開き直ったゼノヴィアが強引に俺のズボンを脱がそうとしてきたので、俺は必死に抵抗する。
……力が強いな。このままだと俺が負けてしまう。
こうなったら神器を使うか、と考えていたら部屋の扉が開けられる音がした。
視線だけ向けてみると、そこには可愛らしいパジャマ姿のイリナとアーシアがいた。二人とも誤解しているのか顔を真っ赤にしている。……いや、そんなに誤解でもないか?
「ちょっとダーリン、ゼノヴィア!二人で何してるのよ!?」
「……見て分からないのか?子作りだ」
イリナが動揺してるのかわなわなと体を震わせながら俺達を指差して質問してくると、ゼノヴィアは意味深な笑みを浮かべながら答える。
何言ってんだ、この馬鹿は。そんなこと言ったら状況がややこしくなるだけだろ。
「ダーリン、まさかゼノヴィアにまで手を出すつもりなの!?」
「どう見ても逆だろ!?俺がゼノヴィアに襲われているんだよ!」
俺が言い訳している間もゼノヴィアのズボンを脱がそうとする力は緩まない。
普通、見られたらそこで終わりだろ。本当に何考えてんだ、ゼノヴィアは。
そんな様子を見たイリナはベッドの上に上がってくるとゼノヴィアを力ずくで俺から引き離した。
ふぅ、助かった。愛しているぞ、イリナ。
「私のダーリンに手を出さないでよ」
誤解が解けたイリナは自分のものだと主張するかのように胸で挟みながら俺の腕に抱き付いてくる。
この感じ、ノーブラか……。イリナの胸の感触が最高に気持ち良い。
「別にイリナだけのものではないだろ。霧識は大量の女性と関係あるし、彼女だって他に三人もいるんだ」
ゼノヴィアが対抗してイリナと同じように胸で挟みながら俺の腕に抱き付いてきた。
イリナと互角の胸だが興奮はしない。これは愛の差だな。
「それでもダーリンが私のことを愛してくれているのは真実だから良いの!」
「だったら私の邪魔をしないでもいいだろ。今さら私が加わったところで誤差の範囲だ」
「それとこれは別だよ!これ以上、人数が増えてダーリンとデートする時間が減ったら困るもん!」
「二人で一緒にすれば良いことだ」
「私はダーリンと二人っきりが良いの!」
イリナとゼノヴィアが俺を引っ張りながら言い争いを開始する。
この分かりやすい修羅場の図は何?
ていうか、ゼノヴィアは子作り以外にデートもする気だったのかよ。絶対にしないぞ。俺は忙しいんだ。
この状況、俺だけだったら対処するのがしんどいな。そう思ってアーシアの方に視線を向けると興味深そうに俺達を見ていた。
そんなに他人の修羅場が好きなのか。……まぁ、俺も大好きだけど。
とりあえずゼノヴィアをどうにかしないとな。ゼノヴィアが落ち着けばイリナも落ち着くはずだ。
一部、危ないシーンがありますけどぼかしているから大丈夫ですよね?
次回に続きます。
では感想待ってます。