現在は家でルフェイとオーフィスとゲームをしている。
「ん?そろそろか?」
フリードと戦闘した時に付けた盗聴器から、コカビエルが動き出したのが分かった。
「まだ途中」
「悪いな、オーフィス。帰ってきたら続きをするから待っていてくれ」
「分かった」
「聞き分けの良い奴は好きだぞ」
俺はそう言うとオーフィスの頭を撫でる。あー、やっぱり癒されるな。
「私も撫でてください」
ルフェイが不機嫌そうに言ってくる。和平とか放っておいて、ひたすらオーフィスとルフェイの頭を撫でてようかな。
「おい、そろそろ行かなくていいのか?」
「……黙れ、ヴァーリ」
至福の時間を邪魔されるのは不愉快だな。
「まぁ、仕方ないか」
俺は名残惜しいが我慢してルフェイとオーフィスの頭を撫でるのをやめる。
「ヴァーリは遅れて来るんだろ?」
「ああ、アザゼルが赤龍帝の力に興味があるらしい。俺も興味があるからギリギリまでは出ないつもりだ」
今のイッセーじゃあ、ヴァーリやアザゼルが満足するほどの力は出せないと思うが。まぁ、イッセーはスケベパワーで限界を超えるから、そこに注目か。
「いってらっしゃい」
「頑張ってきてください」
「おう、行ってくる」
可愛い女の子に見送られるのは幸せだ。
「帰ってきたから頑張った霧識にエロいご奉仕をしてあげるにゃ」
「私をストレス発散に無茶苦茶にしてもいいですよ」
「変態は黙れ」
変態に見送られるのは疲れる。朝もこれがなければ、もっと爽やかに学校に行けるんだが。
俺は家を出て真夜中の駒王学園のグラウンドに来た。
グラウンドの中央ではバルパーが魔方陣を書いて、怪しげな術の準備をしている。コカビエルとフリードはイッセー……というよりリアス・グレモリーのところに行っているのか、ここにはいない。
「よぉ、バルパー・ガリレイ。貴様に話がある」
「貴様は七瀬霧識。コカビエルから話は聞いている。何故、ここにいる?」
バルパーが準備する手を止めず、俺に質問してきた。
「ちょっとエクスカリバーに興味が出てな。もらおうと思ったんだよ」
「まさか貴様!コカビエルとの傍観の約束を破って、教会や悪魔の連中に味方するつもりなのか!?」
何を勘違いしたのかバルパーが焦った声を上げる。俺がエクスカリバーを盗んで邪魔するとでも思っているのか?いや、するつもりだけど。
「いやいや、違う。不正解だ。あんたは今、そこにある四つエクスカリバーを一つにしようとしてるんだろ?」
て言うか、四つ?見たところ擬態の聖剣があるな。あの後、イリナを返り討ちにして盗ったのか?俺にとっては都合の良い話だな。
「……そうだが」
「それを俺に使わせてもらえないか、って話だよ」
やっぱり盗むなら一つずつじゃなくて、まとめて盗んだ方が効率が良いからな。本当はバルパーが一人のところを狙ってエクスカリバーを盗んで、コカビエルの焦る顔が見たかったんだが。
だが、バルパーがしようとしている術を見て気が変わった。それに今、面白いことを思い付いたしな。
「何?聖剣は適正がないと使えないぞ」
「俺はエクスカリバーを使える。それにバルパーにもちゃんと見返りはある」
そう言うと俺は異空間から支配の聖剣を取り出した。
「まさか、それは行方不明の最後のエクスカリバー!」
「そう。エクスカリバーを俺に使わせてくれれば、これをやる。ああ、もちろん教会や悪魔の味方をするつもりはない」
「……何が目的だ?」
俺を怪しむような目でバルパーが見てくる。疑り深いジジイだな。まぁ、こんな都合の良い話を聞いたら怪しむのは普通か。
とりあえず俺は支配の聖剣を異空間に戻す。
「さっきも言ったろ?エクスカリバーに興味が出たんだよ。俺の支配の聖剣とあわせて、この地には六つのエクスカリバーがある。後は教会から祝福の聖剣を奪えば、完璧なエクスカリバーが出来る。俺はそれが見たいんだよ」
まぁ、これも俺の本音の一つだ。
「コカビエルから聞いていた通りの人間だな。自分の欲望のためなら味方をも犠牲に出来る究極の快楽主義者」
「まぁ、そんなところだ。ああ、そうだ。もう一つ条件がある。俺がこっち側についたことを俺がエクスカリバーを使う瞬間まで誰にも言うなよ」
「何故だ?」
「俺は快楽主義者であると同時に、エンターテイナーでもある。だから、奴等がもっとも驚くタイミングで俺の裏切りをバラす。ついでにコカビエルの驚いた顔も見ようと思ってな」
コカビエルの驚いた顔は本当に見てみたい。後で写真を撮ってグリゴリ中にばらまきたいぐらいだ。
「私も今までイカれていると言われてきたが、貴様はそれ以上だな。何を考えているのか全く理解できない」
俺のどこが理解できないんだよ。俺よりもシンプルな思考回路をしてる奴なんていないぞ。
「まぁ、いい。それぐらいの条件なら飲んでやろう。その代わり、ちゃんと約束は守れよ」
「よし、取り引き成立だな」
にしても、こんな怪しい取り引きが本当に成立するとは思わなかった。それだけエクスカリバーの誘惑が凄いということか。
「ところで、支配の聖剣は一緒に統合させなくていいのか?」
「ああ。支配の聖剣を統合させるのは、バルパーの術がちゃんと成功すると分かってからだ。失敗されては堪らないからな」
「ちっ!」
舌打ちしやがった。何てジジイだ。
「じゃあ、俺はリアス・グレモリーと合流してくる。後、俺が何を言っても演出だから気にしなくていいぞ」
「分かった」
俺は自分を神器で認識できなくして一旦、外に出る。移動中にコカビエルが上空から戻ってきたのが見えた。
リアス・グレモリー達が準備を色々しているみたいなので、近くのコンビニで漫画を立ち読みしてから駒王学園に戻った。すると校門前にはグレモリー眷属だけでなく、シトリー眷属もいる。会長達は周りに被害が出ないように結界を張っているようだ。
そして、俺は何食わぬ顔で話かける。
「何か大変そうですね」
「霧識くん、何でここにいるの?貴方には連絡していないはずよ」
リアス・グレモリーが不審者でも見るような目で俺を見てきた。
「そろそろ動きがありそうな気がしたんで様子を見に来たんですよ」
「……この展開を予想していたの?」
「魔王の妹二人が目的だと分かった時点で駒王学園で何かするのは予想できましたからね。それに昼の件で今夜あたりに動きそうな気がしましたし」
て言うか、この程度の予想ぐらいしてくれよ。何のために俺が授業をしたと思っているんだ?フリードですら学習したぞ。
「もしかして貴方も着いてくる気なの?」
「そうですけど」
何を当たり前のことを聞いてんだ?
「……相手は堕天使幹部コカビエル。私達に貴方を守る余裕はないわ」
さすがに今の発言にはムカついたな。俺が足手まといになるとでも思ってんのか?誰のおかげでライザーに勝てたと思ってんだよ。
「あぁ?何言ってやがんだ?俺が貴様らを守る立場なんだよ。それを調子に乗って何を勘違いしてやがんだ?このクソアマが!」
「え……あ、うん。ごめんなさい」
おっと、つい声をあらげてしまった。そのせいでリアス・グレモリーがビビっている。
「おい、霧識!部長に対して失礼だろうが!」
「失礼なのはリアス・グレモリーの方だろうが!大した実力もないくせに、俺を守るとかほざきやがって!」
「先輩、キャラが崩壊してます」
「ああ、悪い悪い。いつものキャラに戻すわ」
小猫に言われて元通りになる。俺のキャラが崩壊したのは何時ぶりだ?アザゼルに勝手に体を改造された時以来か?
「んじゃ、行くぞ」
俺は一足先に学園の中に入ろうとする。
「おい、ちょっと待て!コカビエルがどれだけ危険か分かってるのか?」
「少なくともイッセー達よりは分かってるよ」
どうせ、今回の件で俺の正体はバレるだろうし隠す必要はないな。
「……どういう意味だ?」
イッセーが不思議そうにしているが無視だ。
「ソーナ、後は頼んだわよ」
「こっちは私達に任せておいてください。街に被害は出させません」
リアス・グレモリーは会長に挨拶してから着いてくる。そういや、今さらだが木場がいないな。まぁ、後で来るだろう。
グラウンドに着くと四本のエクスカリバーが神々しい光を発しながら宙に浮いている。儀式の方は順調に進んでいるようだな。
「バルパー、あとどれぐらいでエクスカリバーは統合する?」
上空から声が聞こえたので見てみると、宙で椅子に座っているコカビエルがいた。コカビエルも俺と同じで格好つけだな。
「五分もいらんよ、コカビエル」
「では、頼むぞ」
そう言うとコカビエルがこっちを見る。
「そうか、貴様はそっちについたのか。フリードから話を聞いた時点で予想はしていたが」
「悪いな、コカビエル。約束を守れなくて」
「「「っ!?」」」
俺の発言に皆が驚く。まぁ、それは驚くだろうな。
「おい、何でお前がコカビエルと親しげに話してるんだよ!?それに約束って!」
「コカビエルとは事前に俺は傍観する、と約束していたんだよ。破ることになったがな」
まぁ、コカビエルが面白いことを用意しなかった時点でアザゼルの話とは関係なく約束を破っていた可能性はあるがな。
「どういうこと?貴方は何者なの?」
「何だ、教えてなかったのか?まぁ、それはそうだよな」
コカビエルが愉快そうにリアス・グレモリー達を見ている。グリゴリ幹部の中で二番目の常識人とはいえ堕天使。やっぱり性格が悪いな。
「どういう意味だ!?」
「いいだろう、赤龍帝。教えてやる」
あれ?俺じゃなくてコカビエルが言うのか?相変わらずお喋りな奴だ。
「七瀬霧識は俺と同じグリゴリのメンバーだ」
「「「なっ!」」」
また全員が驚いた顔をする。同じリアクションは面白くないぞ。
「まさか私達を騙していたの!?」
「騙してはない。真実を言ってないだけでな」
いつもは学校の先輩だから敬語で話していたけど、もう必要ないだろ。
「まぁ、俺の味方ではないようだがな。アザゼルの命令か?」
「正解だ、コカビエル。お前の話よりもアザゼルの話の方が面白そうなんでな」
さて、そろそろ戦闘を開始しないと。ヴァーリはギリギリまで様子を見ると言っていたが、早めに片付けた方が安全だ。
「コカビエルを倒すぞ」
「今まで俺達を騙していたような奴と一緒に戦えるわけないだろ!」
「少なくとも今はコカビエルを倒す、という同じ目的で動いている。苦情は後で受け付ける。まずはコカビエルを倒すことが先決だ」
「でも……」
イッセーはこの土壇場で迷っているようだ。まぁ、イッセーとは一年の頃からの付き合いだからショックを受けるのは分かる。いつもはスケベなクセに、変なところで真面目なのは面倒くさいな。
「イッセー先輩、霧識先輩の言う通りコカビエルを倒すのが先です。少なくとも今は味方のようですし、文句は全てが終わってから言いましょう」
小猫は俺の正体に気付いていないまでも、怪しんでいたからな。そのせいか順応が早い。
「そうか、そうだよな。先にやることをやらないとな」
この単純さはイッセーの数少ない長所だな。
遂に主人公の正体がイッセー達にバレました。どうするかは決めているいるけど、イッセー達のそれに対するリアクションをちゃんと書けるか不安です。細かい心理描写は苦手なので。
では感想待ってます。