「そろそろ時間だ」
文句を言うアザゼルを適当にあしらいながら企画会議を続けているとヴァーリが言ってきた。
「あー、もうそんな時間か。まだ途中だけど仕方ない」
俺はヴァーリの肩に手を置く。そして次の瞬間、時間が止まった。
時間が止まっていないのはトップの四人に俺とヴァーリにグレイフィア・ルキフグス。後はリアス・グレモリーとイッセー、木場とゼノヴィアとイリナだな。
木場は聖魔剣、ゼノヴィアとイリナは聖剣の影響だろう。そして俺とリアス・グレモリーは二天龍に触れていたから無事だった。
イッセーだけは時間停止のショックでのびているが。まぁ、すぐに復活するだろ。
「な、何が起こったの!?」
リアス・グレモリーが驚いて窓の外を見る。外では魔方陣から黒いローブを着た魔法使いが大量に現れていた。
「どうやらテロのようですね」
「ああ、そうだな。助かったぜ。これで恥をかかなくて済む」
「何を馬鹿なことを言ってるんだ。すぐに結界を張るぞ」
アザゼルとサーゼクスとミカエルが魔法使いの攻撃に備えて強力な結界を張る。
そして魔法使いが攻撃してくるが結界が全ての攻撃を防ぐ。
「お、イッセー。復活したか」
時間停止のショックでのびていたイッセーが復活したみたいだ。
「な、何かあったのか!?」
「外を見ろ。テロだよ」
外では更に魔法使いが増えて攻撃が激しくなっている。ちなみに魔法使いは一人一人が中級悪魔クラスの実力がある。
「一体、何がどうなってるんだ!?」
「この和平が気に食わない奴がいるってことだろ」
コカビエルみたいな戦争狂なら分かるが和平の何が不満なんだろうな?世界には色々な面白いことがあるのに。
「ところで、時間が停止しているみたいだが」
「多分、ギャスパーを捕らえて強制的に禁手状態にしたんだろ」
この作戦の発案者は俺だけどな。ちゃんと魔法使いにはギャスパーに手荒い扱いをしないように命令しているが。
ギャスパーの才能が予想以上でトップ陣の時間まで止めるということがなくて良かった。そうなったら演出どころじゃない。
「ちなみにこの校舎を取り囲んでいた堕天使、天使、悪魔の軍勢も全部停止させられているようだぜ」
アザゼルが追加情報を言う。まぁ、それも計算通りだ。
そしてアザゼルが窓の外に手を向ける。すると外の空に無数の光の槍が現れ、アザゼルが手を下げると同時に光の槍が雨となって魔法使いに降り注ぐ。
すると校庭に大量の魔法使いの死体が出来た。あの中には俺の仲間もいるはずなんだが。まぁ、俺の息のかかった連中は出来るだけ後から来るようにしているけど。
「倒してもキリがないな」
アザゼルの言う通り次から次へと魔法使いは現れていく。
「にしてもタイミングといい、テロの方法といい、こちらの内情にくわしい奴がいるのかもしれない。案外、ここに裏切り者がいるのか?例えば霧識とか?」
これでも一応、堕天使の総督。勘が良いな。
「おいおい、何で俺が疑われないといけないんだ?」
「コカビエルの時も演出のためだとか言って、全員を騙したんだろ?」
返す言葉もないな。とりあえず話を誤魔化すか。
「それよりもまずギャスパーを助けないと。これ以上ギャスパーの力を高められると残った俺達の時間まで止められる可能性があるぞ」
「だったら私が行くわ。ギャスパーは私の下僕。私が責任を持って奪い返してくるわ」
リアス・グレモリーがそう宣言した。
「でも、どうやって旧校舎まで行く?この新校舎の外は魔法使いだらけだ。通常の転移も魔法で阻まれる」
サーゼクスがリアス・グレモリーに聞く。いや、旧校舎になら通常の転移は出来るけどね。元々ギャスパーを助けるのもシナリオのうちだから、邪魔しないように言ってるし。
「根城の部室に未使用で残りの駒である『戦車』があります」
なるほど、『キャスリング』か。チェスで『王』と『戦車』を入れ替える技。『悪魔の駒』でも同じことが出来る。
「だが、一人で行くのは危険だな。グレイフィア、『キャスリング』を私の魔力方式で複数人転移可能に出来るかな?」
「ここでは簡易術式でしか展開できそうにありませんが、もう一人ぐらいなら転移可能かと」
「サーゼクス様、俺も行きます」
イッセーが手をあげて進言する。
「だったら、これを持っていけ」
アザゼルが懐からリングのようなものを二つ出してイッセーに渡した。
「そいつは神器をある程度抑える力を持つ腕輪だ。例のハーフヴァンパイアに付けてやれ。多少なりとも力の制御に役立つ。もう一つはお前のものだ。これを使えば代価を支払わなくても短時間なら禁手状態になることが可能だ」
そしてイッセーとリアス・グレモリーはキャスリングの準備に入る。
「おい、ヴァーリ。お前は外で敵の目を引け。白龍皇が前に出れば野郎共の作戦も多少は乱せるだろうさ。それに何かが動くかもしれない」
乱せる、どころか俺の予定通りだけどな。
「了解」
ヴァーリはアザゼルの意見に同意すると、すぐに禁手状態になって外に飛び出した。
ドドドドドンッ!
外を見たらヴァーリが魔法使いを蹂躙していた。
オーイ、頼むから手加減してくれよ。そいつら、今後何かあった時も使う予定なんだから。
何かアザゼルが他のメンバーに禍の団の説明を始めているが、どうでもいい。どうせ知っている情報だ。
そして『キャスリング』の準備が終わったみたいで、すぐにイッセーとリアス・グレモリーは旧校舎に飛んだ。
よし、やっと作戦が実行できる。
次の瞬間、会議室にも魔方陣が現れて大量の魔法使いが出現する。俺が事前にここに招いてマーキングさせていたのだ。ついでに言うとハッタリのために魔法使いを実力以上の強さだと誤認させている。
「ここで戦ったら時間が止まっている連中に被害が出るぞ、サーゼクス」
「……仕方ない。皆を担いで外に出るぞ」
トップ陣が結界を解いて時間が止まっているメンバーを担いで外に出る。俺はもちろん小猫を担いで外に出た。
ちなみに会議室に出た魔法使いは追撃してきていない。こいつらの全員を外に出すためのハッタリだからな。室内にいたせいで俺の演出を満足に見られなかったら困る。
そして俺達が外に出ると同時に魔法使いとは違う魔方陣が現れた。それを見たトップ達は驚愕の表情をしている。
「ごきげんよう、現魔王のサーゼクス殿」
そして魔方陣から旧魔王レヴィアタンの血を引くカテレア・レヴィアタンが現れてサーゼクスに挨拶をする。
「よぉ、お前がテロってくれたおかげで助かったぜ」
「……何で貴方は襲撃されて喜んでいるかしら?」
カテレアはアザゼルの予想外の一言にどうリアクションをしていいか迷っているようだ。
て言うか、アザゼルの件は後回しになっただけなんだけどな。
バァンッ!
新校舎の上から花火が上がる。俺達が外に出てカテレアが現れたら花火を上げるように黒歌に指示していた。やっぱりオープニングは花火が一番だ。
「「「……は?」」」
予定外の出来事に全員が唖然とした表情をする。だが、そんなのはいつものことなので無視だ。
そして次々と花火が上がっていく。
「おいおい、これはどういう……って何でマイクなんか持ってんだ?」
アザゼルの言う通り俺はマイクを取り出している。
「さぁ、『カテレア・レヴィアタンを蹂躙しよう祭り』が始まります!皆さん、カメラが回っていますが緊張せずに殺りましょう!番組の進行はこの私、監督兼司会の七瀬霧識が――」
俺の言葉に続いてアナウンスが流れてきた。
『実況は謎の淫乱美少女メイドである私と――』
『「キュートな魔法使い」の私が……って何で台詞を被せるんですか!?」
どうせ照れて言うつもりがなかっただろうから、俺が代わりに言った。て言うか、何でレイナーレは淫乱を追加してんだよ。そんな台詞は台本にないだろ。
「……これはどういうことだ?」
俺はアザゼルの台詞を無視してオープニングを続ける。ちなみに花火はまだ上がっている。後、三分ぐらいは続くだろ。
「え~、当番組の第一のテーマは『格の差』。つまらなくてやられ役にしか向いていない旧魔王派に徹底的に殺られてもらおうという企画です」
『第二のテーマはまた発表です。楽しみにしててくださいね』
ふむ、オープニングはこんなところか。
「え、何々!番組ってことは撮影とかしてるの!?」
レヴィアたんが最初に注目するのはそこか。さすがプロだ。
「もちろん撮影してるよ」
撮影班は美候とお義兄さんだ。黒歌が撮影班に立候補していたが、どうせ小猫しか撮らないだろうから却下した。
「セラフォルー、私から『レヴィアタン』の座を奪ったのだから、もう少し威厳のある姿を見せなさい」
「え~?撮影だよ。魔法少女に憧れる私としては、こっちの方が重要だよ。そんなことよりも霧識ちゃん。カメラはどこにあるのかな?」
レヴィアたんがカメラを探してキョロキョロしながら聞いてきた。
「カメラマンは諸事情により姿を認識することは出来ません」
あの二人を見られて変に騒ぎになっても面倒くさいからな。
「……ん?七瀬霧識、さっき私を倒すとか言ってなかったですか?」
「言ったけど」
気付くの遅すぎるだろ。まぁ、予定外の出来事に、予定外のリアクションで混乱していたということか。
「貴方は私達に協力するんじゃなかったんですか?」
「「「え!!?」」」
カテレアの発言に全員が驚くが、どうでもいい。これもいつものリアクションなので飽きた。
「俺が旧魔王派を嫌っているのは知っているだろ?そんな俺がお前らに協力するはずがないだろ」
「自分のリーダーに従うじゃなかったんですか?」
そういや、そんな理由でカテレアを信じさせたんだったな。
「俺達のチームは自由だ。だから俺は俺のやりたいようになる。今回は妖艶と年増を勘違いしているオバサンに支配者としての格の差を教えてやるよ」
遂にテロ開始。次回、奴等が登場予定。
では感想待ってます。