現在は物凄く豪華な食事を終えて小猫と部屋でツイスターゲームをしている。体が密着して良い感じだ。
コンコン
ん?誰か来たか?良いところだったのに残念だ。俺達はツイスターゲームをやめて客を中に呼ぶ。
「鍵は開いているから入っていいぞ」
「失礼します」
入ってきたのはミリキャスだ。後ろにはメイドが一人いる。家の中でまでメイドがついてくるのか。過保護過ぎて窮屈な感じだな。
「……先輩も大概、過保護ですけどね。下手したらストーカーに勘違いされるくらいに」
「ナチュラルに人の心を読むな」
俺は別に過保護ではない。て言うか、ストーカーは失礼だろ。
「では私は外で待機していますので、何かあったらお呼びください」
「うん、分かったよ」
そしてメイドはドアを閉める。外に音が漏れないように神器を発動する。
「で、何か用?」
「実はお父様から七瀬さんの話を聞いていて、一回話してみたいと思っていたんです」
どんな話をサーゼクスから聞いていたのか気になるな。録なことではないだろうが。
「まぁ、話すぐらいなら良いけど。その前に着替えないか?」
俺は荷物からチア服を取り出す。
「……何でそんなものを持ってきているんですか?」
「レヴィアたんがやっている特撮で使う衣装だ。撮影に必要だから持ってくるように頼まれたんだよ」
まぁ、半分以上は俺の趣味だけどな。いつ、どこで可愛い女の子から現れるか分からないから常に持ち歩いている。
「……え~と、それって女性が着る服ですよね?」
「うん、物凄く似合うと思うぞ」
「会話になっていませんが……」
「じゃあ、こっちか?」
俺は続いてメイド服に体操服(ブルマ)を取り出す。
「マニアックですね。どこで手に入れたんですか?」
「ネット通販と自作だ」
ネットと言うのは便利だ。大抵のものは手に入る。それでも手に入らない場合は自分で生地を買って作った。可愛いに妥協はしない。
「ミリキャス、女装は日本の重要な文化だ。実際に日本には女装喫茶もある。その証拠にリアス・グレモリーの眷属に男なのに女の格好をしている奴がいるだろ?」
正確には女装喫茶じゃなくてオカマバーだが細かいことは気にしない。
「……日本の文化を勘違いされてしまいます」
小猫が何か言っているが都合の悪いことは聞かない。
「そうなんですか?」
これは押せばいけそうだ。ミリキャスが純粋すぎて少し心配だが、今回は都合が良い。
「そうだ」
「では七瀬さんも女性の服を着るんですか?」
「グッ……」
予想外の返しがきたな。これは何て答えたものか。
「当たり前です。先輩は日本文化を体現したような人ですから」
「ちょ、小猫!」
顔は無表情だが口元は笑っている。最近、本当に性格が悪いな。誰の影響なんだか。
「では七瀬さんが着るなら僕も着ます」
これは覚悟を決めるしかないな。
「分かった。俺も着よう」
女装なんて小学校の時以来だ。中学にあがって身長が伸びてきてからは止めたからな。
「でも女性がいるところで着替えるのは恥ずかしいです」
う~ん、俺は気にしないが。むしろ見せたいくらいだが。
ミリキャスがそう言うなら仕方ない。
「小猫。俺達が着替えている間にギャスパーを連れてきてくれ」
「分かりました」
そう言うと小猫はギャスパーを連れてくるために部屋を出る。色々と言いながらもノリノリだな。
「じゃあ、ミリキャスはこれな」
俺はミリキャスにチア服を差し出す。
「これですか。僕に似合いますかね?」
「間違いなく似合う。マニアな人間が見ると鼻血を出すくらい似合う。さて、俺はどれにするか」
俺が女装するなんて展開は予想していなかったからな。まぁ、撮影用だから色んなサイズがあるのが、せめての救いか。いや、不幸だな。
「これなんてどうですか?似合うと思いますよ」
「どれどれ」
ミリキャスが差し出してきたのを見ると『マジカル☆レヴィアたん』で使う魔女役の衣装だ。トップ会談の準備の時に仲良くなった魔法使いから借りた服だ。
露出がない分、他の衣装よりもマシだが、これが似合うと言われるのは微妙な気分だ。
とりあえず俺とミリキャスは着替える。
「これって女装なのか?」
よく考えたら、ただの黒いローブだ。こんなのは男でも女でも着る。
大体、男でも魔女って呼ぶし。
「こんな感じでしょうか?」
ミリキャスも着替え終わったみたいだ。
「おー、可愛いぞ」
メイクもしてないのに、そこら辺の女子よりも可愛い。ギャスパーには劣るが、それでもかなりのレベルだ。メイク次第ではギャスパーを越える逸材になるかもしれない。
とりあえず写真を一枚撮る。
「ギャーくんを連れてきました」
「ヒィィィ!いきなり何なんですか!?」
小猫が怯えているギャスパーを段ボール箱ごと引きずって戻ってきた。
「……先輩、その格好は何ですか?」
俺の格好を見るなり小猫は不満そうな顔をする。
「魔女のコスプレ」
「それのどこが女装なんですか?ふざけているんですか?」
小猫が今までにないくらいの威圧感を放っている。何で、ここまで本気なんだ?少し怖い。
「ミリキャス様を見習ってください!こんなに可愛いじゃないですか!」
「そうですか……」
うん、それは認める。照れている姿も最高。魔王の息子だが天使みたいな可愛さだ。
「じゃあ、どれを着ればいいんだ?」
「そうですね」
小猫が衣装を調べる。
「これとかどうですか?」
「それ、拘束服じゃねぇか!」
何で、そんなものがあるんだ?俺は入れた記憶がないぞ。もしかしてレイナーレが勝手に入れたのか?
「俺にそんな特殊な趣味はない。もっと別の服にしろ」
「じゃあ、オーソドックスにメイド服ですね」
まぁ、拘束服よりはマシだし仕方ないか。
とりあえず黒いローブを脱いでメイド服に着替える。
「え!?女性の前で普通に着替えるんですか!?」
「別に俺は気にしないから大丈夫」
「へぇ、大人と言うのはそういうものなんですね……」
何か間違った尊敬をされているような気がする。これはちゃんと後で訂正しないとリアス・グレモリーの母親に殺されそうだ。
「さすが先輩。結構似合いますね」
何だろう。誉められても嬉しくない。
「じゃあ、次はこれをかぶってください」
そう言って小猫が差し出してきたのは女性用の黒髪ロングのカツラだった。
「……何で、そんなものを持っているんだ?俺はカツラなんて持ってきていないはずだが」
「こんなこともあるかと思いまして」
小猫はどんな展開を予想していたんだよ。
「じゃあ、ミリキャス様にはこれを」
そう言うと小猫はミリキャスにもカツラを渡す。何か俺よりもテンションが高くないか?
とりあえず俺とミリキャスはカツラをかぶる。
「……先輩はあれですね。何か綺麗です。それにミリキャス様は凄く可愛いです」
何か小猫が顔を赤くしながら鼻血を出している。下手しなくても変態に見える。
「よし。じゃあ、次はギャスパーだな」
俺はギャスパーにミリキャスとお揃いのチア服を差し出す。
「え?僕も着るんですか?」
「当然、ギャーくんも着替える」
「ちょ、え!?小猫ちゃん!?」
小猫が強引にギャスパーの服を脱がせて着替えさせようとする。
これは何と言うか鼻血がヤバい。今できることはティシュを鼻に詰めて写真を撮ることだけだ。
「こんなに乱暴にして……。酷いよ、小猫ちゃん」
ブシャャャッ!
服を着崩して涙目のギャスパーを見て、俺と小猫は同時に鼻血を出して倒れる。
「二人共、大丈夫ですか!?」
ミリキャスが心配して、こっちに駆け寄ってきた。正直、その格好で来られると更に鼻血が凄いことになるのだが。まぁ、可愛いから良いか。
「大丈夫だ、ミリキャス。心配ない」
「本当ですか?」
「ああ、本当だ」
俺はミリキャスを安心させるために頭を撫でる。
にしても、俺が改造人間で良かった。今の出血量でも普通の人間なら貧血で倒れるレベルだ。
「……先輩、ズルいです。私も撫でてください」
小猫が上目遣いで要求してくる。俺を出血多量で殺す気か。
「分かった」
だが俺はそんなことお構い無しで小猫の頭も撫でる。仮に俺が倒れても、ここはグレモリー家。治療施設はちゃんとしているはずだ。
「ギャスパーも撫でてやろうか?」
「えーと、そうですね……。お願いします」
ここは冥界だが、この部屋だけは天国だな。俺は十分間ほど三人を撫で続けた。
その後、小猫もコスプレしたり、ギャスパーとミリキャスのツーショトを撮ったり、他の衣装を試したりした。毎回、俺も小猫も鼻血を出して部屋が殺人現場みたいになっている。後で掃除しないと。
ちなみにギャスパーには血を正しく認識できないようにしているので暴れたりしない。
俺の女装姿を小猫に撮られたりしたが忘れよう。
「じゃあ、また今度な」
そろそろミリキャスが寝る時間なので、元の服装に戻っている。別に夜更かしぐらい良いと思うんだがミリキャスも色々と忙しいから無理らしい。
「はい。では、また今度」
そしてミリキャスはメイドと自分の部屋に戻っていった。
「さて、ギャスパーはどうする?」
「僕は部屋に戻ります」
「一人でか?」
「え?ついてきてくれないですか?」
「俺もそろそろ寝たいからな」
て言うか、鼻血の出しすぎで疲れた。どう考えても血が足りていない。
「じゃあ、小猫ちゃ――」
「…………」
小猫はすでに寝ていた。かなり自由だな。
「……今日はこの部屋で寝ていきます」
引きこもりには夜中にこの広い城の中を一人で移動するのは無理みたいだ。
「そうしろ」
「でも、襲わないでくださいね」
「だから俺にそんな趣味はない」
写真に撮ったり観察するだけだ。
まさか女装の話だけで一話が終わるとは。しかもミリキャスだけでなく主人公も女装しているし。
こんな話になるとは書いた自分も驚いています。
では感想待ってます。