ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第66話 馬鹿

今、俺の目の前では信じられない出来事が起きている。

 

Welsh Dragon Blance Breaker(ウェルシュ ドラゴン バランス ブレイカー)!』

 

イッセーの左手の籠手の宝玉が今までにない質量の赤いオーラを解き放ち始めた。

そしてオーラはイッセーの全身の包んで鎧となった。

 

禁手(バランス・ブレイカー)、『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』!主のおっぱいつついてここに降臨!」

 

イッセーの放つオーラで周囲が吹き飛ぶ。イッセーを中心に小さなクレーターが出来た。

 

「……馬鹿だ。馬鹿がいる」

 

俺は思わず呟く。

おっぱいをつついて禁手になるとか、どんだけ馬鹿なんだよ。たまには真面目にやろうとか考えていた俺が馬鹿みたいじゃないか。

 

イッセーが手を突き出して魔力の弾を黒歌に向かって発射した。弾は外れて黒歌の横を通り過ぎる。そして森の遥か先に行ってしまった。

 

ドッドッオオオオオオンッ!

 

遥か先で爆音が鳴り響く。この位置からじゃ確認できないけど山の一つでも消し飛んだんじゃないか。

特に倍増した一撃でもなかったのに、この威力。これがドラゴンとのサバイバルの成果か。

 

黒歌がもう終わっていいか?的な視線を俺に向けてくる。

確かにイッセーが禁手に至ったから目標達成だ。でも、ついでだから、もうちょっとイッセーの力を確認するか。

俺は黒歌だけに認識できるようにしてGOサインを出す。

 

「ハァー、面倒くさいにゃ……」

 

黒歌が溜め息をつく。それを見てイッセーが不審そうな顔をする。

 

「あぁ?何言ってんだ?」

 

「別に気にしなくていいにゃ。こっちの話だからにゃ」

 

黒歌がやる気なさそうに妖術仙術ミックスの一発をイッセーに向かって放つ。やる気ない割にエグい技を使うな。

黒歌が放った二種類の波動をイッセーは真正面から受け止める。

 

「こんなものか?」

 

イッセーが何事もなかったかのように立っている。

嘘だろ……。今の一撃、かなりの妖力が練り込まれていたぞ。それをノーダメージかよ。さすがにこれは予想以上だ。

黒歌も驚いた顔をしている。

 

イッセーが黒歌に向かって勢いよく突撃する。黒歌が攻撃を繰り出すが、それをイッセーは打ち返したり弾き飛ばしたりしながら黒歌の眼前まで迫った。

そして拳打を繰り出し、黒歌の鼻先で静止させる。

 

「俺の可愛い後輩を泣かすんじゃねぇよ!」

 

イッセーの決め台詞が出たところで止める。撮影としては満足の出来だ。

 

「はい、カット!」

 

俺は神器を解除して作戦を終了する。

気付いたらルフェイが俺の背中で爆睡していた。さっきの爆音でよく寝れるな。まぁ、寝顔が可愛いから問題ないけど。

 

「「……え?」」

 

いきなりの俺の登場にイッセーとリアス・グレモリーが目を丸くする。正確にはイッセーは鎧をしているから表情は見えないけど。

 

「お疲れ様でした」

 

さっきまで不安そうな表情をしていた小猫がいつも通りの無表情になって俺のところにやって来た。

 

「ふぅー、やっと終わったにゃ。お姉ちゃんは怖いドラゴンに襲われて怖いから慰めてほしいにゃ」

 

そう言いながら黒歌から小猫に抱き付く。

 

「では、その恐怖から解放してあげます」

 

小猫が全力で黒歌の鳩尾を殴る。

 

「グッ!いきなり何するにゃ?」

 

黒歌が崩れ落ちながらも若干、嬉しそうに小猫に聞く。今までそんな素振りを見たことはないがドMか?

 

「……いえ、気絶すれば怖くないと思いまして。失敗しましたが」

 

ドラゴンよりも小猫の発想の方が怖いな。やっぱり完全に仲直りするにはもう少し時間がかかるか。

 

「……え~と、意味が分からないんだけど。何で小猫ちゃんとお姉さんと仲良くしてんだ?さっきまで喧嘩してたのに。後、霧識が持っているカメラは何だ?」

 

小猫と黒歌のやり取りをポカーンと見ていたイッセーが禁手を解除して質問してきた。

 

「黒歌をけしかけてイッセーを禁手にした。黒歌と小猫はすでに和解済み。カメラは撮影用。説明終了」

 

さて、早く戻って食事の続きでもするか。いや、その前にルフェイをどこかに寝かせないといけないか。

 

「いやいや何の説明にもなってねぇよ!」

 

イッセーの相手をするのが面倒くさいので俺は無視してホテルに向かう。

後、カメラ片手にルフェイを背負っているから疲れてきた。

 

「ちょっと待ちなさい!」

 

「ん?何か用か、リアス・グレモリー」

 

俺はとりあえず足をとめてリアス・グレモリーの話を聞く。

 

「黒歌はSS級のはぐれ悪魔でテロリストよ!それをこんな形で使ってお兄様が許すわけないわ!」

 

リアス・グレモリーは困ったら兄の名前を出す癖はやめた方が良いと思う。何か小者感がある。

 

「それなら問題ない。サーゼクスから許可は得ている」

 

「……な、何ですって!」

 

自分の兄がテロリストを受け入れたことに驚愕の表情をするリアス・グレモリー。サーゼクスはリアス・グレモリーと違って柔軟な性格をしているからな。

リスクよりもメリットが大きければテロリストも受け入れる。

 

「と言うよりも、ヴァーリチームはすでに禍の団を抜けていて、すでに各勢力との話し合いも終わっている。もちろん、ある程度の制限はつくが」

 

制限の中に禍の団が襲ってきたら先陣を切って戦うというものがある。戦闘狂のヴァーリからしたら、むしろ望むところだろう。

 

「それよりも話ならホテルに戻りながらでいいか?」

 

俺はホテルに戻りながらイッセーとリアス・グレモリーに大まかな事情を説明する。

 

「……何だ、それ?ヴァーリチーム、適当すぎるだろ」

 

イッセーが呆れたように言う、まぁ、ヴァーリチームは全員が自由人だから仕方ない。

友達が集まって好き勝手に遊んでいるサークルみたいなイメージだな。

 

「いや、イッセーも人のことは言えないだろ。何たって、おっぱいをつついて禁手になった奴なんてイッセーくらいだ」

 

「霧識も人のこと言えないにゃ」

 

隣を歩いている黒歌が意地悪い表情で言ってきた。

 

「ん?何のことだ?」

 

「……霧識が禁手に至った理由」

 

俺が禁手に至った理由。それはルフェイとオーフィスをコスプレさせた時のあまりの可愛さだ。

 

「そういや、霧識はどうやって禁手に至ったんだ?」

 

「教えてあげようかにゃ、赤龍帝。それは――」

 

「待て、黒歌」

 

俺は黒歌の台詞を途中で遮る。

普段なら問題なく言えるんだが今は無理だ。イッセーと同じ扱いは受けたくない。

 

「何か問題でもあるのかにゃ?」

 

黒歌が本当に何を言ってるのか分からないといった感じに嘘くさい笑顔をする。

人の弱味に漬け込むような真似しやがって。誰の影響だよ。

 

「……OK。何が望みだ?」

 

「話が早くて助かるにゃ」

 

俺にどんなエロい要求をする気なんだ、黒歌は。

 

「私の頭も撫でてほしいにゃ」

 

「……へ?」

 

予想外の要求に俺は一瞬、思考が停止する。だが俺はすぐに冷静になって黒歌に質問する。

 

「そんなことでいいのか?てっきり、黒歌のことだからお子様には見せられない十八禁的なことを要求すると思っていたんだが」

 

何かイッセーが俺を睨んでいるけど気にしない。

 

「それでもいいんだけどにゃ。ルフェイや白音が幸せそうにしているのを見て私も一回やってもらいたかったにゃ」

 

そんなことを考えていたのか。確かに俺の撫では大人気だからな。

て言うか、黒歌を撫でたことはなかったのか。何と言うか意外だな。

 

「じゃあ、小猫。少しの間、カメラを持っていてくれ」

 

「……何で私がお姉さまのために」

 

小猫が不機嫌そうになる。俺が黒歌を撫でるためにカメラを持つのが嫌なのか。

 

「後で小猫の言うことを何でも聞いてやるから頼む」

 

「何でもですか?」

 

小猫が急に真剣な表情になって聞いてくる。

小猫のことだからお菓子関連かと思ったが違うのか?

 

「ああ。俺に出来ることなら何でも聞くぞ」

 

「え~と……では、キ……」

 

小猫が俯いてモジモジしながら小声で言う。

 

「キ?」

 

「……やっぱり何でもありません」

 

小猫は周りを見ると言うのをやめた。

何て言おうとしたんだ?きんぴらごぼうか?

 

「ではカメラを貸してください」

 

小猫が照れ隠しでもするかのように俺から引ったくるようにカメラを取る。

まぁ、後で分かるか。

 

「じゃあ、さっそく撫でてほしいにゃ」

 

「ホテルに着くまでで良いか?」

 

俺達はすでにホテルの目の前まで来ている。二、三分もあれば到着するだろう。

 

「少ないけど今はそれで我慢するにゃ」

 

また、やらせる気かよ。まぁ、いいけど。

 

「黒歌もホテルまで来るつもりなの!?」

 

「それに関してもサーゼクスから許可を得ている。何の問題もない」

 

俺はリアス・グレモリーの質問に返事しながら黒歌を撫で始める。

 

「これがルフェイや白音がいつも幸せそうにしている霧識の撫でかにゃ……。確かにこれは気持ち良くてクセになりそうだにゃ」

 

黒歌が幸せそうにウットリとしている。

小猫はこの様子を羨ましそうに見ている。

リアス・グレモリーは何故か頬を少し赤くしながら俺の黒歌を撫でている手とイッセーを交互に見ている。

 

「にゃー」

 

黒歌のいつもと違って純粋に幸せそうな顔を見て一瞬、ドキッとした気がするが気のせいだ。

 




次回はリアス・グレモリーとソーナ・シトリーのレーティングゲーム。と言っても、主人公は何もしないですけど。

では感想待ってます。
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