ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第67話 前夜

リアス・グレモリーとソーナ・シトリーのレーティングゲーム前夜、俺はアザゼルの部屋でミーティングをしているイッセー達を訪れた。

 

「よぉ、調子はどうだ?」

 

「何だ、今ごろ来たのか。今、ミーティングが終わったところだぞ」

 

「そうか。それはナイスタイミングだな」

 

俺は元々ミーティングに参加するつもりはなかった。明日のネタバレになったら面白くないからな。

にしても皆、良い感じに士気が上がっているな。特にリアス・グレモリーは初戦が幼馴染みの会長だから張り切っているのだろう。

だが一人、気になる奴がいる。

 

「何でイッセーは気持ち悪い笑みを浮かべているんだ?」

 

本当に気持ち悪い。どれくらい気持ち悪いかと言うと、今すぐ通報したいぐらい気持ち悪い。

 

「俺は部長の乳をつついて高次元の存在になったんだ。理解できないのも無理はない」

 

低次元すぎて全く理解できない。乳をつついた程度で何を言ってるんだ?俺はそれ以外にも思い付いたことを全部試したことがあるぞ。

 

「さっきからずっと、こんな調子なんだ。カウンセリングを受けた方が良いと勧めたところだよ」

 

木場が苦笑しながら答える。

確かにこのままじゃ、明日のレーティングゲームに影響が出るな。こんな変態の相手をするシトリー眷属が可哀想だ。

 

「なるほど」

 

そう言うと俺はイッセーの頭を全力で叩いた。

 

「いってぇ!何するんだよ!」

 

「叩けば直るかと思って」

 

「俺は昔のテレビかよ!?」

 

ふむ。気持ち悪い笑みが消えて調子が戻ったようだな。だが、これで完全に治ったかは分からない。

 

「よし、ギャスパー。イッセーの動きを止めろ。その隙に小猫が全力で殴るんだ。それで完全に治るはず」

 

「いきなり何言ってんだよ!?」

 

「分かりました」

 

「了解です」

 

イッセーの叫びを無視して二人は俺の意見に賛成してくれた。このイッセーを放置するのは駄目だと二人も分かっているのだろう。

「アーシアも何か言ってやってくれ!」

 

「大丈夫です、イッセーさん。どんな怪我でも私が治してあげますから」

 

「アーシア!?……って体が動かない!」

 

ギャスパーが神器を使ってイッセーの動きを止めた。最初に比べて上手に神器を使えるようになったみたいだ。

そして小猫がイッセーに近付く。

 

「小猫ちゃんは無防備な相手にそんな酷いことしないよね!?」

 

「……変態は死すべし」

 

小猫の全力のパンチがイッセーの土手っ腹にクリーンヒット。イッセーは勢いよく壁に激突して倒れる。

何かピクピク痙攣しているようだ。これでイッセーの頭が治っただろ。体は知らないが。

すぐにアーシアがイッセーの治療を開始した。

 

「ハァー、さっきまでイッセーを除いて良い感じに気合いが入っていたのに霧識くんが来た時点で台無しになったわ」

 

リアス・グレモリーが頭に手を当てて溜め息をつく。もう完全に見慣れた仕草だ。

 

「別にいいだろ。緊張しすぎて本番にちゃんと動けなかったら会長には勝てないぞ」

 

「意外だな」

 

アザゼルが驚いた顔をしながら言ってきた。

 

「何がだ?」

 

「今の言い方だとソーナ・シトリーの方が勝つ可能性が高いように聞こえるな」

 

「別にそんなつもりはなかったんだが」

 

まぁ、俺はリアス・グレモリーよりも会長を買ってるからな。そういう言い方になってもおかしくない。

 

「ついでだから霧識の意見も聞いてこうか。お前は両チームに詳しい。下手なデータよりも正確だろ」

 

「良いけどシトリー眷属の情報を教えたりはしないぞ。俺はフェアな戦いが見たいからな」

 

まぁ、会長の作戦なんて知らないけど。さっき会長の方も様子を見てきたけど作戦会議には参加していない。

何か匙が異様に張り切っているのが気になった。

 

「ああ、それでいい。で、明日の試合をどう見る?」

 

「俺から見たら五分五分。どっちが勝ってもおかしくない」

 

ルール次第で勝率は変わるから何とも言えないが。

単純にパワーが物を言うルールならグレモリー眷属が有利だし、知略が物を言うルールならシトリー眷属が有利だ。

 

「ほぉ、何故そう思う?今回のゲームでグレモリー眷属の勝率は八割以上だと言われている。俺も絶対とは言えないがグレモリー眷属が勝つと思っている」

 

思ったよりも会長の評価が低いな。

まぁ、グレモリー眷属は赤龍帝に聖魔剣、デュランダルとインパクトがあるからな。そう思われるのも仕方ないか。

 

「眷属ではグレモリー眷属の方が優れている。だがシトリー眷属は弱いわけではないし、戦略面では確実に会長の方が上だ」

 

「……それは私が『王』としてソーナに劣っている意味?」

 

リアス・グレモリーが若干、不愉快そうに聞いてくる。

 

「いや、別に。優れた眷属を集めるのも『王』としての素質の一つだし、パワーだけならリアス・グレモリーの方が上だ。ただ会長の方が頭が良い。それだけ話だ」

 

ルールがある勝負なら会長の方が俺よりも作戦立案能力が高い。

 

「そう。参考にさせてもらうわ」

 

「参考になるようなことを言ったつもりはないんだが。俺は分かりきっている事実しか言っていない」

 

まぁ、俺が本気でアドバイスしてもリアス・グレモリーが会長に勝てるかは分からないけど。逆に俺が会長にアドバイスすればリアス・グレモリーに絶対に勝てる自信がある。

 

「……いきなり何をするんですか、先輩」

 

小猫が困ったような焦ったような声を出したので見てみると、俺は小猫の頭を撫でていた。

全く気付かなかった。クセというのは恐ろしいな。

 

「悪い悪い。気付いたら撫でていた」

 

そう言いながら俺は小猫を撫でる手を止めない。

 

「……そうですか。だったら仕方ないですね」

 

小猫が俯きながら小声で答える。やっぱり可愛い。

 

「ついでだから私も撫でてくれないか?」

 

ゼノヴィアも何故か参加してきた。

 

「嫌だ」

 

「そうか。では早速……って何故だ!?」

 

まさかのノリツッコミ。

にしても、何でそこまで驚いているんだ?俺は誰でも撫でると思っているのか?

 

「ちなみに私はノーブラノーパンだぞ。撫でる気になったか?」

 

「……は?」

 

何故、その情報を言えば俺が頭を撫でるとでも思ったのだろうか?

大体、お前は常にノーブラノーパンだろ。

 

「ノーブラノーパンだと!?」

 

治療を終えて復活したイッセーがゼノヴィアの発言に激しく反応する。まぁ、無視でいいだろ。

 

「明日の試合ではパンツは履けよ。子供も見るんだから」

 

もし中身が見えたりしたら放送事故になる。

 

「なら頭を撫でたらパンツどころかブラもちゃんと着けてやろう」

 

何だ、その斬新な脅迫は?そして何で偉そうなんだ?

やっぱりゼノヴィアはよく分からない。

 

「……ハァー、仕方ない。じゃあ、こっちに来い」

 

「最初からそう言えばいいんだ」

 

イラッとしながらも俺はゼノヴィアの頭を撫でる。

 

「ふむ。これが噂の霧識の撫でか。確かに気持ち良いな」

 

ゼノヴィアが幸せそうな顔をする。

何故だろう?黒歌の時と同じようなシチュエーションなのにドキッとくるどころかイライラしてくるのは。

こんな時は小猫の相手をして癒されよう。

 

「そうだ、小猫。明日の試合で活躍すれば何でも言うことを聞いてやるぞ」

 

「……本当ですか?」

 

「ああ」

 

ちなみにカメラの時は小猫を膝の上にのせて猫のように可愛がった。あれは今、思い出しても可愛すぎてヤバい。鼻血が出そうだ。

 

「……では、前と同じことをしてくれますか?」

 

「OKだ」

 

冷静に答えたが俺の心中はテンションが上がりすぎて物凄いことになっている。

動揺しているのがバレないように小猫から視線を外すとアーシアがイッセーに頭を撫でられて幸せそうにしているのが見えた。

 

 

 

試合当日、俺はアザゼルとVIPルームで試合が開始するのを待っていた。

 

「なぁ、アザゼル。何で俺はこんなところにいるんだ?」

 

ルフェイとレイヴェルは別のところで一緒に試合を見ている。なのに何で俺はこんな可愛げのないムサイおっさんばかりの場所にいるんだ?

泣きたくなってきた。

 

「お前がVIPルームを見たいとか言って勝手についてきたんだろうが」

 

ああ、そう言えばそうだった。もうVIPルームは見たし帰るか。

面白そうな悪魔もいないし。強いて言えば俺から目線を外している禍の団の協力者がいるけど興味はない。

 

「ふん。若造共は老体の出迎えもできんのか」

 

俺が部屋から出ようとした瞬間に隻眼の爺さんが文句を言いながら入ってきた。

後ろには鎧を着た銀髪の女性がいる。何となく見た目はグレイフィア・ルキフグスに似ているな。ユーグリットの奴に教えたら喜びそうだ。

 

「オーディンか」

 

アザゼルが呟く。

オーディンということは、こいつが北欧の神々の主神か。ただのエロジジイにしか見えない。

じゃあ、銀髪の女性はお付きの戦乙女のヴァルキリーか。

 

「ん?私の顔に何かついていますか?」

 

ヴァルキリーに見ているのがバレて不審そうな顔をされた。

これはどう言い訳したものか。さすがにユーグリットの名前を出すわけにはいかないし。

 

「どうした、小僧。もしかして、こいつに一目惚れでもしたか?」

 

オーディンがイヤらしい顔で俺に話しかけてきた。

 

「え、いきなりそんなこと言われても私にも心の準備というものが!それにまだお互いのことを全く知らないし!」

 

物凄い勢いでテンパるヴァルキリー。何とも言えない残念感だ。これじゃあ、ユーグリットも満足できないだろうな。

 

「いや、無理です。俺、すでに恋人がいますので。それに俺はキレイ系よりも可愛い系の方が好きですから。だから、付き合えません。ごめんなさい。もし俺と付き合いたいなら子供になってから出直して来てください」

 

俺は頭を下げてヴァルキリーに謝る。

 

「うー、出会ったばっかで告白もしていないのに訳の分からない理由でフラれたぁ……」

 

ヴァルキリーが今度はショックを受けて若干、涙目になる。弄り甲斐のある人だ。




レーティングゲームまでいけませんでした。最初、予定になかった試合前夜に様子を見に行くシーンを書いたせいです。

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