俺はユーグリットの相手を終えて何とかVIPルームに戻ってきた。
「遅かったな。大の方か?」
「違う。ちょっとシスコンの相手をしていただけだ」
「シスコンならまたそこで言い争っているぞ」
アザゼルが指差した場所を見てみるとサーゼクスとレヴィアたんが熱くどっちの妹が勝つか、また口論していた。
この二人は仲が良いのか悪いのかよく分からないな。
「何でこんなことになってるんだ?」
「霧識の言う通り互角の展開になっていてな。それが二人を熱くさせているんだろ」
どうやら試合は盛り上がっているみたいだな。
モニターを見るとデパートの中心付近で『王』の二人が対峙していた。他にもイッセーや小猫もいる。もうクライマックスといった感じか。
シスコンの相手に手こずったせいで試合がほとんど見れていない。後で撮影された映像を見るか。
「ところでイッセーの調子が悪そうだがどうしたんだ?」
特に鎧にダメージはなさそうだが。どんなやられ方をしたんだ?
「ヴリトラのラインで血を吸われたんだよ。つまりイッセーは貧血状態だ」
ああ、なるほど。その方法があったか。
イッセーの赤龍帝の鎧は強力だ。シトリー眷属のパワーでは致命的なダメージを与えるのが難しい上にイッセーは根性で何度やられても立ち上がる。
だからパワーとは違う方法で倒した。血を失い続ければルールで戦闘不能と見なされ強制的に医療ルームに転送される。
さすが会長だ。面白い作戦を思い付く。
だが、それよりも気になるのは匙だ。匙の神器の本来の能力は対象の精神エネルギーを吸い取ること。その神器で血を吸い続けるのは相当な修行が必要だっただろう。
イッセーが倒れる前に最後の力を振り絞って両手を前に出してリアス・グレモリーの胸に照準を合わせる。
ん?イッセーは試合中に何をしてるんだ?戦うつもりはあるのか?
『高まれ、俺の欲望!煩悩開放!広がれ、俺の夢の世界!』
次の瞬間、イッセーを中心に謎の空間が展開する。見た目だけなら俺の禁手に似ているな。
モニターの会話を聞く限り相手の心を読む力か?
『新必殺技『
「「「…………」」」
俺の他にもモニターを見ていた重鎮が口を開いてポカーンとしている。イッセーが何をしたのか理解できないのだろう。
無理もない。俺も一瞬、何が起こったのか理解できなかった。
イッセーはいつもはるか斜め上の発想をしてくるな。
まぁ、凄い技なのは確かだが。ドレス・ブレイクと合わせれば女性相手なら無類の力を発揮するだろう。
にしても最低の技だ。
その後、イッセーは会長の策を見抜いてリタイア。最後は『王』同士の一騎討ちでリアス・グレモリーが勝利した。
レーティングゲームが終わってグレモリー眷属とシトリー眷属の様子を見た後、俺はサーゼクスの部屋でワインを飲んでいる。メンバーは俺とサーゼクス、アザゼルの三人だ。
にしても、さすが魔王。俺が普段、飲んでいるワインとは比べ物にならないくらい高価だ。
「『おっぱいドラゴン』って良いと思わないか?」
アザゼルがいきなり訳の分からないことを言い出した。
「酔うにはまだ早いと思うぞ」
「そうじゃねぇよ。今日のレーティングゲームでイッセーがおっぱいおっぱいって言ってただろ?それが冥界の子供の間で流行っているみたいなんだよ」
へぇ、そうなのか。子供が単純なものに引き付けられるのは人間界でも冥界でも同じということか。
「で、本音は?」
「巻き添えがほしかった」
もう特撮を潰すのを諦めたみたいだな。だから、その代わりにイッセーも巻き込んで自分の心の傷を減らそうと言うわけか。
だが良いアイデアだ。それに使えそうな映像は大量にある。
「だったらヴァーリも巻き込んでW主人公にしよう」
「お、それ良いな」
「ならグレモリー眷属やヴァーリチームのメンバーも出すのはどうだろう?」
サーゼクスも意見を提案してきた。
その後、三人で新しい特撮番組の意見で盛り上がった。アルコールの影響で悪ノリしたふざけた内容になったが。
八月後半、冥界での仕事を終えて久し振りに我が家に帰ってきた。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
俺とルフェイを出迎えたのは何故か全裸のレイナーレだ。
俺がいない間にレイナーレは更に頭がおかしくなったのか?
「何で全裸なんだ?」
「暑かったから服を脱いだだけです」
なるほど、暑いから服を脱ぐ。納得の理由だ。だが、それには一つのは問題がある。
「冷房をつければ良いだろ」
「節約ですよ。私は地球に優しい堕天使ですから」
「じゃあ、アレは何だ?」
廊下の奥の方に引っ越しでもするのかとツッコたくなるほどの大量の段ボール箱がある。
おそらく俺の金を使って勝手にネットで買い物したのだろう。内容は大体、想像がつく。
後、全裸なのは趣味というのも理由の一つだろう。
「すみませんでした!お仕置きをされる覚悟は出来ています!」
レイナーレが勢いよく笑顔で土下座する。帰ってきたばかりで疲れているのにレイナーレの相手をするのはしんどいな。
とりあえず俺はレイナーレの頭を踏んでから自室に向かう。
「霧識、おかえり」
リビングから全裸のオーフィスが出てきた。
「……ルフェイ。荷物を俺の部屋に持っていってくれ。後、オーフィスに服を着せてやれ」
「は、はい」
ルフェイが俺の迫力に少し怯えながらも荷物を受け取るとオーフィスをつれて俺の部屋に向かう。
「さてレイナーレ。懺悔の用意は出来ているか?」
「え~と、言い訳もなしですか?」
レイナーレが冷や汗を流しながら聞いてきた。
「無駄だとは思うが、一応聞こうか」
「アレは私が指示したのではなくオーフィス様が勝手に脱いだんです。それにヴァーリ様達がいる時はちゃんと服を着せていましたよ」
それは当然だ。もしヴァーリの前でオーフィスを全裸にしていたらお仕置きじゃなくて処刑をしなくてはいけなくなる。
「よし、お仕置きを開始する」
レイナーレが全裸で服の襟を掴むことが出来ないので代わりに頭を掴んで拷問部屋までつれていく。
「ちょ、ご主人様!お仕置きされるのは嬉しいですが、いつもと雰囲気が違ってさすがの私でも怖いのですが!て言うか、すでに頭が割れるように痛いです!」
「ハハ。当たり前のことを聞くなよ。いつもみたいに優しくすると思うなよ」
「その無駄に良い笑顔が余計に怖いですよ!」
俺はレイナーレを拷問部屋に放り込む。
「さぁ、レイナーレ。お待ちかねのお仕置きの時間だ」
「ギャーーーー!」
レイナーレの叫び声が家中に響き渡る。もちろん外には声が漏れないようにしている。
人間界に戻ってきてから二日後、俺達はイッセーの家に来ている。ちなみに昨日は疲れていたので一日中、惰眠を貪っていた。
「と言うわけで、今日から世話になる」
「どういう訳だ!?」
イッセーが状況をいまいち理解できてないようで叫ぶ。
「この家の五、六階は空いているから俺達で使うって言ったんだ」
ヴァーリチームとオーフィスを管理するために駒王町に住ませることになったんだが俺の家だけでは手狭だ。だからイッセーの家も使うことになった。
後、プールや書斎などは俺も使いたいので俺の家とイッセーの家をいつでも行き来できるように魔方陣で繋いでいる。
それにHする時は俺の家のベッドよりもイッセーの家のベッドの方がでかくてヤりやすい。お義兄さんがいない方の家でヤればバレないという利点もある。
もちろんアザゼルとサーゼクスにはすでに話を通してある。
「それは分かってるよ!俺が言っているのはメンバーのことだよ!」
「メンバー?どこか変なところがあるのか?」
「あるだろ!何でライバルのヴァーリと一緒に住むことになるんだよ!?」
ああ、なるほど。イッセーの言いたいことが分かった。
「つまり俺のハーレムに野郎をいれるな、ってことか。安心しろ。誰もお前のハーレムを取ったりしないから」
確かにヴァーリとお義兄さんはイッセーと違ってイケメンだから心配になるのも分かる。だが、中身が残念なので大丈夫だ。
「そうじゃねぇよ!……いや、確かにそれも少しあるけど」
イッセーがさっきまで威勢が良かったけど、最後だけ口ごもる。
「後、何でレイヴェルもいるんだよ!?」
「……貴方には関係ありませんわ」
レイヴェルは理由を聞かれて思い出したのか恥ずかしそうに俺を見るとすぐに目をそらす。
前にルフェイとHをしているところを偶々、目撃されてそのまま流れで三人でヤってしまった。その結果『責任を取ってください』っと言ってついてきた。
「後、何でメイド?」
「気安く話しかけんな、このクサレ童貞が」
「グハッ」
イッセーがショックのあまり倒れ込む。
いつもの如く顔を変えているのでレイナーレだとバレていない。ちなみに面倒くさいのでレイナーレの名前を偽名の怜奈で統一することにした。
にしても、今のは調教前よりも迫力があったな。
「よしよし。大丈夫ですよ、イッセーさん」
「うぅ、アーシア……」
アーシアが慰めるために撫でるとイッセーが安心したような顔になる。
「て言うか、リアス・グレモリーには話がいっているはずなんだが。聞いてないのか?」
「部長、本当なんですか!?」
「ああ、え~と……」
イッセーに聞かれてリアス・グレモリーが気まずそうにする。この反応は言ってなかったな。
「それよりも引っ越しの荷物があるでしょ。私達も手伝うわ」
リアス・グレモリーは話を誤魔化すとすでに荷物が運ばれている五階に向かう。
まぁ、イッセーなんてどうでもいいし俺も荷物を片付けるか。
今回で五巻の内容が終了です。次回から六巻の内容に入ります。
そろそろ主人公の妹の出番です。
では感想待ってます。