ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第77話 トラウマ

俺は現在、部屋でオーフィスと二人でサッカーゲームをしている。

ルフェイは何かは知らないが用事、レイヴェルは家の用事、小猫は悪魔稼業、黒歌は小猫のストーカー、レイナーレはBL小説の執筆をしていていない。BL小説の内容はイッセーとヴァーリだ。前に少しだけ読んだことがあるが濃厚過ぎて気持ち悪かった。

ちなみに、この小説はおっぱいドラゴンの関連グッズとして裏で腐女子に売り出す予定だ。

にしても、デートの時以外で部屋で誰かと二人っきりというのは珍しい。

こういう時は何か起きることが多いが、オーフィスなら大丈夫だろう。

そう思ってると試合が終わったところでオーフィスがいきなり爆弾発言をした。

 

「我にもキスして」

 

「…………」

 

俺の思考が一瞬、完全にフリーズした。

 

「……大丈夫?」

 

オーフィスが下から俺を心配するように見上げてきた。可愛い。

って、今はそれどころじゃない!

 

「あ、ああ。大丈夫だ。それよりもさっき言ったことをもう一度言ってくれないか?よく聞こえなかったんだ」

 

「我にもキスして」

 

どうやら聞き間違いではなかったみたいだ。

またレイナーレが何かしたのか?

 

「何でいきなりキスをしてほしいんだ?」

 

「前からルフェイ達とキスしているところを見掛けている。我だけ仲間外れ。ズルい。だからキスして」

 

あー、見られていたのか。見られないように気を使っていたつもりなんだが。

どうやら龍神様は神出鬼没のようだ。

 

「そうだな。じゃあ、次の試合で勝ったらキスすることにしよう」

 

「分かった」

 

二十分後

 

「我の勝ち。ブイ」

 

オーフィスが嬉しそうに勝利宣言した。

 

「…………」

 

俺は予想外の結果に言葉が出ない。

まさか0対5で負けるとは。俺はほとんど何も出来ていない。

シュート数が2本って。しかも破れかぶれのロングシュート。

オーフィスがゲーム強いのは分かっていたが、ここまで強かったか?

 

「じゃあ、やくそく通りキスして」

 

オーフィスが俺の膝の上に乗って上目遣いで言ってきた。

くっ……。どうしたものか。

最近は吹っ切ってルフェイ達に手を出しまくっているがオーフィスは別だ。

いや、オーフィスにとって見た目なんて飾りで俺よりも遥かに歳上なのは頭では分かっている。

それでもしてはいけない気がするんだ。

 

「ぶぅー」

 

俺が中々キスしないからかオーフィスが不機嫌そうに頬を膨らませる。

物凄く可愛い。オーフィスの頬をつつきたい。

とか、俺が軽く現実逃避しているとオーフィスがいきなり顔を付き出してキスしてきた。オーフィスの柔らかい唇の感触が伝わってくる。

 

「……え?」

 

ここでパニックになってはいけない。

こういう時こそ落ち着かないと。まずは現状を確認しよう。

現状、オーフィスとキスをした。

何か俺の中のいけない気持ちが膨れ上がってくる。

 

「……これで我も仲間」

 

オーフィスが照れているのか頬を赤くしている。

これはマズイ。何がマズイかはよく分からないが、それでもマズイ。

 

「喉が渇いたから、ちょっと飲み物を飲んでくる」

 

一旦、オーフィスから離れて気持ちを整理しよう。そうしないと取り返しのつかないことをしそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

「……そんなに飲んでどうしたんだ?」

 

リビングでジュースを飲んでいるとイッセーがやって来た。

イッセーに言われて気付いたが飲み終わったジュースの缶が十本ほどある。どんだけパニックてたんだよ、俺。

 

「……ちょっと混乱していただけだ。気にするな」

 

「霧識がそこまで混乱するのは珍しいな。何かあったのか?」

 

「……聞かないでくれ」

 

人に話す気にはなれない。もしヴァーリにバレたりしたら色々と大変なことになる。

そうだ。せっかくの二人っきりだしイッセーに前から聞きたかったことを聞くか。

 

「よし、イッセー。そこに座れ。後、飲むか?」

 

俺はジュースの缶を差し出しながら椅子に座るようにイッセーを促す。

 

「あぁ?いきなり何なんだ?」

 

「いいから座れ」

 

イッセーはジュースの缶を受け取ると渋々と言った感じで俺の前の椅子に座った。

 

「で、何の用だ?」

 

イッセーはジュースを飲みながら質問してきた。

 

「何で童貞なんだ?」

 

「ブフッ!」

 

イッセーが飲んでいたジュースを勢いよく吹き出した。

汚いな。俺にも少しかかったじゃねぇか。

 

「いきなり何てことを聞くんだよ!?」

 

「真面目な話、前から気になっていたんだよ。お前、毎日裸のリアス・グレモリーやアーシアと寝てるんだろ?しかも最近は姫島朱乃やゼノヴィアまで一緒に寝ているそうじゃないか」

 

まぁ、ゼノヴィアはよく分からないが。

何か前にレイナーレと一緒に裸で寝ていたところを見掛けたし。最近、俺が相手しないからレイナーレは女に走ったのだろうか?

 

「……部長は主だし、アーシアは守るべき存在だ。手は出せない。それにあんな状況じゃあ、逆に手を出しづらい。だって皆いるんだぞ」

 

「はぁ?何言ってんだ?多感な高校生だぞ。そんな状況を我慢できるはずがない。我慢できる奴なんてホモか恋愛感情のない奴ぐらいだろ。しかもお前は日頃からおっぱいおっぱい言っている性欲の塊だ。それで我慢できるなんて普通じゃない。ハッキリ言って常軌を逸している」

 

まぁ、俺はそのメンバーなら我慢できるが。俺は基本的に好きな相手以外には欲情しないからな。

 

「……ちょっと真面目な話をしていいか?」

 

急にイッセーの雰囲気が変わった。イッセーもこの件に関しては思うところがあった、ということか。

 

「勝手にしろ」

 

「……俺、怖いんだよ」

 

「怖い?女子の喧嘩に巻き込まれるのがか?」

 

まぁ、確かにリアス・グレモリーと姫島朱乃の喧嘩は怖いな。アレ、下手したらこっちも巻き込まれて大怪我しそうになることがあるからな。

 

「そうじゃねぇよ!……いや、それもあるけど」

 

後半は普通の人間には聞こえないほど小さな声だった。

 

「じゃあ、何が怖いんだ?」

 

「女子と仲良くなることが怖いんだ。もし仲良くなってレイナーレの時みたいなことになったらと思うと勇気が出ないんだ」

 

レイナーレの時?確か初デートの最後に殺されたんだったか。いや、殺したのはミッテルトだったけ?まぁ、どっちでもいい。

またレイナーレが悪いのか。今回は今までと種類が違うけど。

 

「そんなことにはならないだろ。アーシアもリアス・グレモリーもイッセーのことが好きだぞ」

 

「頭では分かっているつもりなんだ。レイナーレとは違うって。でも、どうしても仲良くなろうとすると、あの時のことを思い出してブレーキがかかるんだよ」

 

トラウマというヤツか。俺には分からないな。

堕天使に拉致られて体を改造された時や親に顔を忘れられていた時はさすがにショックを受けたが今は全く気にしていないし。

 

「ふむ、事情は分かった。じゃあ、そのトラウマを克服するか」

 

「出来るのか!?」

 

イッセーが勢いよく立ち上がると俺に詰め寄ってきた。

 

「まずは落ち着け」

 

「イテッ!」

 

俺はイッセーにチョップする。

 

「よし、座れ」

 

「ああ……そうだな」

 

落ち着いたイッセーが席に座る。

 

「で、トラウマを克服する方法ってのは?」

 

「方法は二つ。『逃げる方法』と『戦う方法』だ」

 

もう少し考えたら他の方法もあるかもしれないけど。

 

「……その方法って何だ?」

 

「まずは一つ目の『逃げる方法』は全部を忘れることだ。グリゴリに頼めば脳を弄って記憶を消すことが可能だ」

 

ちなみに俺は全身を改造されたが脳だけは改造されていない。さすがに怖いので改造される前に逃げた。

 

「……それ安全なのか?」

 

「大丈夫大丈夫。グリゴリの科学力は凄いから」

 

まぁ、記憶を消されるついでに体を弄くられる可能性はあるが。まぁ、死んだりするようなことはないだろう。

よっぽど運が悪くない限りは。

 

「とは言え、オススメはしないけどな。レイナーレの一件はイッセーにとって悪魔生活の始まりと言えるほどの重要なものだ。そんな重要な記憶を消したら後で記憶に矛盾が出る可能性がある」

 

「……もし矛盾が出たらどうなるんだ?」

 

イッセーが緊張した表情で聞いてきた。自分にとって重要なことなのだから慎重にするのも当たり前か。

 

「さぁ?俺は専門家じゃないから、そこまでは分からない。大体、さっき言ったのだって予想だしな」

 

「……相変わらず適当だな。そんな方法、怖くて試す気にもなれねぇよ」

 

俺でも試す気にはなれないな。

それにもう一つの方法の方が面白いからな。この方法をさせる気は最初からなかった。

 

「じゃあ、行くぞ」

 

俺は椅子から立ち上がるとイッセーにそう言った。

 

「行く、ってどこに?」

 

「いいから黙ってついてこい。それとも一生、女子と仲良くなるのを怯えたまま過ごしていく気か?今のままだったら死ぬまで童貞だぞ」

 

「ふざけんな!それ、洒落になってないぞ!」

 

イッセーが焦ったように立ち上がって俺についてきた。相変わらず単純だな。

 

「いや、女子と仲良くなるのが怖いなら男子と仲良くなる方法もあるな」

 

「物騒なことを言うな!」

 

木場は大歓迎だと思うが。

 

そして俺達は地下のトレーニングルームにやって来た。

 

「こんなところで何をするんだ?」

 

「見てろ」

 

そう言うと俺は禁手になって部屋の半分ぐらいの大きさの真っ黒な箱を作り出した。その箱には一ヶ所だけ入口がある。

 

「この箱に入ると自動的に脳を刺激してトラウマを強く認識するようになっている。つまり自分のトラウマと直接戦って勝つんだ」

 

「なるほど。これが『戦う方法』か」

 

「んじゃ、制限時間もあることだし早速レッツゴー!」

 

俺はイッセーの背中に飛び蹴りをして無理矢理、箱の中に入れる。

イッセーが箱に入ると同時に入口が少しずつ閉まっていく。

 

「ちょ、イテッ!いきなり何すんだ!?覚悟を決める時間ぐらいくれたっていいだろ!」

 

「言っただろ?制限時間があるんだよ。俺が一日に禁手になっていられる時間は三十分だけだ」

 

それに入ってしまったら覚悟とか関係ないからな。重要なのは意思の強さだけだ。

 

「あ、もう一つだけ言っておく。もし失敗したら心が壊れる可能性があるから頑張れ」

 

俺は笑顔で手を振りながら言った。

 

「てめぇ!ふざけ――」

 

イッセーが台詞を言い終わる前に入口が閉まった。

さて、俺はトイレに行くか。さっき飲みすぎたせいで尿意が凄いことになっている。

 

 

 

 

 

俺は今、暇なのでエクスカリバーの素振りをしている。

ふと、時計を見るとイッセーが箱に入ってから二十九分。失敗したか?

 

ドガガァァァァンッ!

 

「うるせぇ!てめぇ何かにあれこれ言われる筋合いはねぇんだよ、このクソ堕天使が!」

 

箱が勢いよく壊れたかと思うと中から赤龍帝の鎧を纏って拳を前に付き出しながら叫んでいるイッセーが現れた。

何があったかは分からないがレイナーレの幻と言い争いになった末に禁手になってぶっ飛ばした、ってところか。

 

「よぉ、イッセー。どうやらトラウマは克服できたみたいだな」

 

俺が話かけるとイッセーは赤龍帝の鎧を解除して返事した。

 

「……霧識か。ああ、レイナーレを一発ぶん殴ったらスッキリしたぜ」

 

イッセーがいつもよりも良い表情をしている。

トラウマを克服したことで成長したのか。

 

「じゃあ、今から好きな女に告白してこい」

 

「いや、さすがにそれは……。覚悟を決める時間がほしいというか」

 

ドオォォォンッ!

 

今度は何だ!?今、面白いところだったのに。

 

「……おい、オーフィスとキスをしたというのは本当か?」

 

トレーニングルームの扉が破壊されて鬼の形相のヴァーリが入ってきた。かなり怖いんですけど。

 

「……え~と、何のことだ?」

 

「しらばっくれるな!さっきオーフィスから話は聞いたぞ!」

 

オーフィス、余計なことを言いやがって!後でお仕置きとしてお尻ペンペンしてやる。

て言うか、知ってるなら確認するなよ!

 

「今日という今日は貴様を殺す!」

 

ヤバい!マジでヴァーリは俺を殺す気だ!

どうする!?禁手を制限時間ギリギリまで使ったから戦う余裕はないぞ。

こうなったら手段は一つしかない。

 

「と言うわけで任せた、イッセー。俺は逃げる」

 

「ふざけんな!霧識の自業自得だろ!」

 

俺はイッセーの台詞を無視すると自分を周りに認識されないようにして逃げた。

後のことは逃げてから考えよう。




前回の感想でもらったイッセー、ヴァーリ、オーフィスの三連戦です。まぁ、順番は違いますが。
今回の話の内容に少し迷っていたところだったので助かりました。

ちなみにイッセーのトラウマ克服に使った技は元々ライザー対策に考えていたものです。実はこれの簡易版みたいなものは使っていましたが。

では感想待ってます。
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