ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第81話 腐女子

「……何だ?」

 

何かよく分からない会話をしていると曹操に無線で仲間から連絡が来たみたいだ。

 

「なるほど、分かった。引き続き様子を見ておいてくれ」

 

どうやら話が終わったみたいだ。

 

「何の話だったんだ?」

 

「クルゼレイ・アスモデウスがサーゼクス・ルシファーに敗北して死亡。ディオドラ・アスタロトも赤龍帝に倒された後、シャルバ・ベルゼブブに処分されたようだ」

 

「……へ?」

 

俺は曹操が何を言っているのか理解できなかった。と言うより理解したくなかった、というのが正しい。

 

「……もう一度言ってくれ」

 

「もうゲームは終了間近ということだ」

 

「ふざけんな!漫才みたいなことをしている間にゲーム終了だと!?こんなんで満足できる訳ないだろ!」

 

いや、マジで有り得ない。

これじゃあ俺が何もしなくても結果は一緒だったじゃねぇか。

 

「終了間近だというだけで終了した訳じゃない。早く助けに行かないと赤龍帝が死ぬぞ」

 

「何故?」

 

「いくら赤龍帝やグレモリー眷属が強いと言ってもシャルバに勝てるとは思えないが。それとも何か秘策があるのか?」

 

「ああ、そういうこと。白龍皇を向かわせているから大丈夫だ」

 

ヴァーリが次元の狭間にいるのはゴグマゴグの探索と同時にシャルバが現れたら、すぐに対処するためだ。

シャルバが強いと言ってもヴァーリよりは弱い。つまりシャルバがヴァーリに負けてゲームは終了だ。

この不完全燃焼な結果に俺がどうしようか迷っていると、また曹操に連絡が来たみたいだ。

 

「今度は何だ?……赤龍帝が暴走して覇龍化!?シャルバを圧倒しているだと!」

 

何か面白そうな展開になってきたみたいだ。

 

「なぁ、ゲームも終了したことだし赤龍帝の覇龍化を一緒に見学していくか?」

 

「それはいいが赤龍帝が暴走した理由は何なんだ?」

 

覇龍化のことは前にヴァーリに聞いたことがあるから知っているが、そう簡単になれるものじゃないだろ。

 

「シャルバ・ベルゼブブによってアーシア・アルジェントが次元の狭間に飛ばされたのが原因らしい」

 

次元の狭間か。あそこに飛ばされたら普通なら死ぬな。

まぁ、次元の狭間には都合よくヴァーリがいるし助けてくれるだろ。

ん?俺はここで曹操の様子に疑問をもった。

 

「……作戦が失敗した割には余裕そうだな?」

 

「別に失敗していないからな」

 

「……へ?」

 

失敗していない?アーシアの神器の能力を反転(リバース)させてトップ陣を一網打尽にする作戦は失敗したはずだ。

 

「もしかして相討ちで両方がやられたのか?」

 

ディオドラがやられた後に最後の力を振り絞ってアーシアの神器を反転(リバース)させたのか?

それともディオドラがやられたら自動で発動するようになっていたのか?

 

「そうじゃない。ゲオルクが作った枷は赤龍帝が破壊したらしいからな」

 

じゃあ、どういう意味だ?

 

「そもそも君は勘違いしている。俺達は別に旧魔王派の連中がやられても良かったんだよ。そうすれば俺達が動きやすくならからな」

 

「……あ」

 

確かにそうだ。どっちの陣営が潰されても英雄派には得しかない。

 

「いやいや、そんなの卑怯だろ。どっちにしろ曹操の勝ちだなんて。ゲームは勝ち負けをハッキリさせるものだろ」

 

最初から結果が分かりきっているゲームなんて面白くない。ゲームは何が起こるか分からないから面白いんだ。

 

「だから言っただろ?これが俺と君の違いだ。君はゲームに勝ち負けを求めるが俺は求めない。勝つことが大好きだからな。それに俺にも敗北条件がない訳じゃない」

 

「敗北条件?」

 

「俺が君に殺されることだ」

 

「いやいや、どう考えても無理だろ」

 

俺に曹操を殺す実力はない。仮にあったとしても俺の性格上、殺す訳がない。

それに俺が曹操を殺そうとしたら、すぐにアンの神器で逃げるはずだ。

完全な八方塞がりだ。

 

「そう言うことだ。プレイヤーはゲームマスターに勝てないんだよ。悔しかったら俺達にゲームを仕掛けて勝ってみるんだな」

 

ムカつく。後で絶対に仕返ししてやる。

 

「後、言っておくと君に宣戦布告したのは別に君とゲームをするためじゃない。まぁ、それもあるが。本当の目的は君をここに捕らえておくことだ。君みたいなイレギュラーを放置しておくのは危険だからな」

 

と言うことは何だ?つまり俺は最初から曹操の手のひらで踊らされていたと?しかも、それに全く気付かなかったと?

こんな屈辱的なことはない。

 

「……おい、曹操。ゲームは終了だ。これから戦争を始めるぞ、この野郎!」

 

「お兄ちゃんのキャラが崩壊した!」

 

花蓮が俺の変貌ぶりに驚いてる。

だが、俺はそれ以上に驚いてる。俺にこんな一面があったとはな。

 

「いいのか?君が俺を倒したところで何も変わらないぞ」

 

「言っただろが。これからするのはゲームじゃなくて戦争だ。俺の個人的な怒りでお前をブッ飛ばす!」

 

「いいね!いいね!俺様もこの結果には不完全燃焼だったんだよ!きっちりかっちりお前を殺してやるよ!」

 

フリードも俺の案にノリ気のようだ。

 

「私はそろそろお腹が減ったから帰りたいんだけど」

 

ああ、そう言えば花蓮はかなりの食いしん坊だったな。でも花蓮が帰ったら俺一人で曹操とフリードと戦うことになる。倒せるとは思えない。

こうなったら仕方ないか。

 

「花蓮!勝ったらキスしてやるから頑張れ!」

 

「舌は入れていいの?」

 

真っ先に聞く質問がそれかよ。

 

「活躍しだいだ」

 

「OK!じゃあ、私のキスのために変態と化物には死んでもらうよ!」

 

いや、別に殺す必要はないが。死ぬ寸前までで充分だ。

 

「何か戦う流れだな。仕方ない。でも、ただ戦うだけじゃ俺に利益はない。ここは一つ、賭けをしないか?」

 

「賭け?」

 

「そう。この後、英雄派のメンバーで集まって焼肉屋で打ち上げをするんだ。君が負けたらその代金を全額支払ってもらう」

 

焼肉か。俺も後で参加しよう。

 

「いいだろう。その代わり俺が勝った場合はゲオルクのアレを一刀両断させてもらうぞ」

 

「何でそんなことされないといけないんだ!?」

 

「取引成立だな」

 

「勝手に成立させるなよ!本人を無視してそんな重要なことを勝手に決めるな!」

 

何かゲオルクがうるさいけど無視だ。

俺が勝ってアレを一刀両断すればゲオルクも色々な意味で大人しくなるだろう。

次の瞬間、何もなかったところから中学生ぐらいの眼鏡をかけた小柄な可愛い少女が現れた。

 

「ちょっと何を勝手に決めてるんですか!?もしゲオルクさんのアレが一刀両断されたら、ゲオルクさんと他の英雄派のメンバーがヤっているところを裏でコッソリと見て興奮している私の趣味はどうなるんですか!?」

 

「……俺に聞かれても困る」

 

曹操が本当に困った様子で返事する。俺なら無視一択だ。

 

「あの変態は誰ですか?」

 

フリードがいきなり現れた少女に唖然としている。

て言うか、フリードはアンを知らないのか?さっきアンに転送されて来たのに。

 

「会ったことないのか?あいつは英雄派で運び屋的なポジションのアンだ。ちなみに趣味はBL」

 

英雄派にはホモが多くて妄想が捗るからという理由で参加している筋金入りの腐女子だ。

ちなみにアンは父親が日本人でずっと日本暮らしなのでオタク文化に詳しい。

 

「……俺っち、所属する組織を間違えたみたいだ」

 

フリードが英雄派に所属したことを後悔しているのか遠い目をしている。

とは言え、英雄派以外にフリードを受け入れてくれる組織はないだろうが。

 

「ねぇねぇ、私の妹にならない?」

 

花蓮が早速、アンをナンパしている。相変わらず節操がないな。

 

「私は女性同士の性愛に興味ありません。私が興味があるのは男性同士の性愛だけです」

 

こんな調子で自分の恋愛はどうするつもりなのだろうか?

まぁ、俺が心配することではないが。

 

「うんうん。人の趣味はそれぞれだからね。だから私の妹になってみるのも面白いと思うよ」

 

「いえ、結構です。そんな暇があるならBL小説を書いている方が有意義です」

 

さすが変態同士。相手の話を聞く気が全くないな。

 

「伸びろっ!」

 

「うおっ!危なっ!」

 

曹操がいきなり聖槍を伸ばして俺に攻撃してきた。

ギリギリで避けることに成功したが、後少し気付くのが遅かったらやられていた。

 

「何するんだ!?」

 

「これは戦争だろ?だったら丁寧に今から攻撃する、なんて教える訳がない」

 

この野郎。マジでムカつくな。

 

「アン!このままだとゲオルクが去勢されるぞ!」

 

「私の妄想のネタは自分で守ります!」

 

そう言った瞬間、アンの姿が消えた。

アンはマーキングしなくても自分の視界の範囲なら自由に移動できる。そしてアンの性格からして攻撃してくるのは俺の死角。

俺はアンが後ろから蹴りを入れてくるのを難なく避ける。

 

「ちっ。避けたか」

 

おいおい、敬語じゃなくなっているぞ。

て言うか、こいつ、靴にナイフを仕込んでやがった。危ないな。

 

「ちょっと、私のお兄ちゃんに何してるのよ!?いくら妹でも許さないよ!」

 

花蓮がすぐさまアンに攻撃するが転移して避けられる。

 

「だから妹じゃありません」

 

「世界中の可愛い女の子は私の妹と決まっているのです!」

 

何を訳の分からないことを堂々と宣言してんだ、この妹は。

そんなこと決まってねぇよ。全ては可愛い女の子の自由意思だ。

その結果、俺の妹になることもあるだろう。

 

「よし!そろそろ俺様も参加するぜ!」

 

今度はフリードが俺に攻撃してくる。俺はそれをエクスカリバーで防ぐ。

そしてフリードを押し返した後に俺は大声で宣言した。

 

「いいぜ!てめぇら、まとめてかかってきやがれ!」

 

この時の俺は曹操に出し抜かれたことでテンションがおかしくなっていたのだろう。後で思い返してみると、物凄く恥ずかしくなった。

て言うか、これって戦争と言うより大乱闘じゃねぇか。




この小説を書き始めた時から一つだけ決めているコンセプトみたいなものがあります。
それは『主人公を倒すのは神や魔王みたいな超常の存在じゃなくて人間にしよう』です。
その結果、曹操に敗北することになりました。まぁ、このまま終わる訳じゃないですが。

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