ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第83話 体育祭

体育祭の当日

 

俺は二人三脚障害物レースを終えて自分の席に戻るところだ。もちろん俺とルフェイのペアが一位だ。

て言うか、二人三脚障害物レースって何?普通の二人三脚だと聞いていたんだが。当日になって競技の変更を知らせるって、どういうこと?他にも変更になった競技があるみたいだし。

しかも妙にパートナーと密着する障害物が多かった。俺的には役得だが同性同士のペアは凄いことになっていた。まぁ、女性同士のペアは目の保養になったけど。

ちなみに二人三脚はもう一種類あってイッセーとアーシアが出場するのは普通のヤツだ。多分。

 

「あ、お兄ちゃん!お帰り!」

 

クラスの待機場に戻ると何故か俺の席に座っている花蓮が手を振って俺を出迎えた。

 

「自分のクラスに戻れ」

 

「嫌だ」

 

そう言うと花蓮は立ち上がって俺に抱き付いてきた。

ハァー、仕方ない。

とりあえず俺は花蓮の頭を撫でる。すると花蓮は幸せそうな顔になる。

 

「ウェヘヘ……」

 

あ、こいつ、俺の匂いを嗅いでイヤらしい顔になりやがった。

 

「……何か最近、妹に甘くないですか?」

 

ルフェイが珍しくジト目で俺を見てくる。

こういうルフェイの表情もゾクゾクするな。

 

「別にそんなことはないぞ」

 

「……だったら良いですけど」

 

ルフェイが拗ねたようにそっぽを向く。

まぁ、実際問題、最近の俺は花蓮に甘いけど。焼肉屋に行った時のジャンヌの発言で花蓮が俺に嫌われることを意識してしまった。そのせいで下手なことを言ったら花蓮が泣くようになったんだよな。

物凄くやりづらい。

 

「お兄さん、発見!」

 

「久し振りに会いに来たよ!」

 

後ろからイルとネルの声が聞こえてきた。

そう言えば人間界に戻って来てからは一回も会ってないな。

 

「おい、ここは生徒以外は立入禁……え?」

 

振り返って二人の姿を見ると俺は驚いた。

そこにいたのはイルとネルだ。それは間違いない。

問題はその服装だ。何で二人が駒王学園の体操服を着ているんだ?

しかも人に借りたという感じではない。何故なら二人が着ているのは、どう見ても新品だからだ。

ちなみに保健室の予備の体操服に新品がないことを俺は知っている。

 

「その体操服、どうしたんだ?」

 

「ん?これ?さっき知らないお姉さんに貰ったの」

 

「どう?お兄さん、似合ってる?」

 

「似合ってるけど……」

 

知らないお姉さん?何か嫌な予感しかしない。

 

「……ねぇ、お兄ちゃん。その二人は誰?」

 

俺の匂いを嗅ぐのをやめた花蓮が真剣な様子で尋ねてきた。

 

「ライザー・フェニックスの眷属のイルとネルだ」

 

「……ふーん。ところで、そのイルちゃんとネルちゃんは何でお兄ちゃんのことを『お兄さん』って呼んでるの?」

 

「さぁ?本人達が勝手に呼んでいるだけだ。俺は知らない」

 

「じゃあ、そうする」

 

そう言うと花蓮は俺から離れて二人のところに向かう。普段の花蓮なら『私の妹にならない?』と言うところだが、どうも雰囲気が違う。

 

「ねぇ、何でお兄ちゃんのことを『お兄さん』って呼んでるの?」

 

「そりゃあ、お兄さんはお兄さんだからだよ」

 

「それがどうしたの?」

 

「駄目なの!お兄ちゃんを兄と呼んでいいのは私だけなの!」

 

花蓮が自分の大事なものを奪われるかのように焦っている。

もし花蓮が妹をつくることに成功したら、そいつも俺の妹になるんだが。そこら辺のことはどう考えているのだろうか?

花蓮の言葉にイルとネルはいつもの無邪気な笑顔で返事する。

 

「でも、お兄さんには無茶苦茶にされちゃったし」

 

「これは責任を取ってお兄さんになってもらうしかないね」

 

「「「…………」」」

 

周りのクラスメイトが犯罪者を見るかのような目で俺を見ている。

ルフェイがさっきよりも冷たい目で俺を見ている。泣きそうだ。

て言うか、何で無茶苦茶にしたら兄にならないといけないんだ?意味が分からない。

 

「……え~と、お兄ちゃん。この二人が言っていることは本当?」

 

花蓮がどう表現していいのか分からない表情で質問してきた。

 

「本当だよ。キスされたりお尻ペンペンされたり」

 

「全身を舐め回されたり激しく突き上げられたり」

 

花蓮の俺に対する質問にイルとネルは頬を赤らめて色っぽい表情で返事した。

 

「後半はしてないぞ!デタラメを言うな!」

 

後、その表情はやめろ!リアリティーが増すだろうが!

 

「……じゃあ、前半はしたんですね?」

 

ルフェイの顔は笑っているが目が笑っていない。物凄く怖いんですけど。

 

「いや、その……」

 

普段なら適当に嘘をつくんだが、今のルフェイには言いづらい。下手なことを言ったら殴られそうだ。いや、ケルベロスを呼ばれてベーコンにされる可能性もあるな。

俺の言いよどむ姿を見てクラスメイト達が動き出す。

 

「そこ!警察に連絡するな!そっちはツイッターで呟くな!そこのお前は隣のクラスにまで報告するな!」

 

油断も隙もないクラスメイト達だ。こいつらを放置していたら学園の中での俺の社会的地位が酷いことになるぞ。

俺の言葉を聞いたクラスメイト達は渋々ながら行動をやめた。だが次、何かあったら俺でもとめるのは難しいだろう。

ここからの選択肢は慎重に選ばないといけない。

 

「て言うか、ヤったのって私達がフェニックス家に泊まっていた時ですよね。ずっと一緒にいたのにどうやって私にバレずにヤったんですか?」

 

「え~と……修行の後で風呂に入った時かな」

 

思わず正直に答えてしまった。

いや、最後まではヤってないけどね。

 

「へぇ、そうですか。私が霧識さんのためにご飯を作っていた時にそんなことをしていたんですか」

 

どんどんルフェイの迫力が増しているんだが。

間違いなく周りにクラスメイトがいなかったら土下座している。しかも摩擦で地面が焦げるほど激しいヤツを。

 

「……そろそろ次の借り物競争のために並ばないと」

 

「嘘ですよね。借り物競のために並ぶ時間まで、まだ一時間近くありますよ?」

 

食い気味に言われた。

クソ。俺の出る競技までちゃんと調べているとは。これで俺の退路が塞がれてしまった。

ん?今、気付いたんだけど花蓮が静かだな。花蓮なら真っ先に俺に詰め寄って来ると思ったんだが。

 

「うぅ……。お兄ちゃんは私なんかよりもイルちゃんとネルちゃんの方が良いんだ。だって私にはキスを一回してくれただけだもん」

 

思いっきり泣いてた。

何?この状況、どうすればいいの?世界征服よりも難易度が高そうなんですけど。

 

「「「泣ーかせた泣ーかせた!先生に言ってやろ!」」」

 

「お前らは黙ってろ!」

 

俺のクラスメイトは小学生なのか?

て言うか、息が合いすぎろ。

ちなみに今は俺達以外のオカルト研究部のメンバーはいない。もし居たら色んな意味で手が付けられないから助かった。

 

「いや、大丈夫だからな、花蓮。別にお兄ちゃんは花蓮のことを嫌ったりしていないから」

 

「……本当?」

 

涙目で上目遣いはやめろ。いつもとのギャップで可愛く見えるじゃねぇか。

俺、そういうのに本当に弱いんだよ。

 

「本当だ」

 

「じゃあ、ギューって抱き締めてキスしてくれる?」

 

グッ……。これはマジでどうしたものか。いつもは即断即決だが今回はすぐに答えを決められない。

答えに迷っている俺を見てクラスメイト達がまた囃し立ててきた。

 

「「「キッス!キッス!」」」

 

「だからお前らは黙ってろ!」

 

本当に嫌なクラスメイト達だ。

何でこのクラスにはマトモな奴がいないんだ。

いや、今はクラスメイトのことは放っておこう。こういう時こそ冷静に状況を確認をするべきだ。

今の俺の状況。前で泣いている妹、隣で冷たい目をしている彼女、後ろで悪ノリしてくるクラスメイト、ニヤニヤ楽しそうにしている諸悪の根源。どこから手をつけたものか。

一番の問題は諸悪の根源に一切の悪気がないということだ。もし悪気があったらお仕置きして謝らせるのだが。

 

「やっぱり私よりもイルちゃんとネルちゃんが妹の方が良いんだ……。うぇーん!」

 

中々答えない俺を見て勘違いしたのか花蓮が地面に座り込んで本格的に泣き始めた。

ちょ、え!?どうしよう!

とりあえず花蓮の頭を撫でよう。

 

「大丈夫だから。ただ人前で恥ずかしくて困っていただけだから」

 

「……本当?じゃあ、人のいないところだったらキスしてくれる?」

 

何か今の花蓮は可愛すぎて、それ以上のこともヤりそうだが我慢しよう。

 

「本当だ。だから泣き止め」

 

「うん、分かった」

 

そう言うと花蓮は泣き止んで立ち上がった。

移動するのは俺がいつも授業をサボって昼寝したりルフェイとヤっている校舎裏でいいだろう。あそこなら人は来ないはずだ。

 

「……私のこと忘れてませんよね?」

 

俺と花蓮が移動を開始するとルフェイが低い声を出しながらついてきた。

 

「俺がルフェイのことを忘れる訳ないだろ」

 

俺はルフェイの頭を撫でながら答える。

 

「……そんな簡単に許したりしませんよ」

 

あ、少し顔が赤くなった。よし、この調子で頑張るか。

ルフェイにはいつも笑顔でいてほしいし。

 

「「じゃあ、お兄さん!また後でね!」」

 

イルとネルが俺に挨拶しているが今は無視だ。

 

 

 

 

 

抱き締めながらキスしたり、その他にも色々として何とか花蓮を慰めることに成功にした。もちろん最後まではヤっていない。そんなことしたらルフェイまで参加してきて次の借り物競争に間に合わない。

今は落ち着いたのか俺の背中で赤ちゃんみたいに可愛らしい表情で寝ている。

にしても花蓮は俺に拘り過ぎじゃないか?小さい頃からずっと一緒に暮らしていたならともかく会ったのは最近だ。

前に兄に拘る理由は聞いたが、それを計算に入れても拘り過ぎている。

まぁ、そこは俺が調べるようなことじゃないか。

 

「確かに自由な霧識さんが好きだとは言いましたが限度があります!何人に手を出すつもりなんですか?しかも私に隠れて!さすがに嫌いになったりはしませんが怒りますよ!」

 

「すみませんでした」

 

そして俺は今、正座をしてルフェイに説教されていた。

 

「……もしかして他にも私が知らない人がいたりしますか?」

 

目が本気で怖い。

 

「……え~と、グリゴリの堕天使とトップ会談の時の魔法使いぐらいです」

 

「本当ですね?」

 

「本当です!」

 

どうだっけ?……う~ん。あ!

キスぐらいならミラとも風呂でしたような。まぁ、イルとネルが悪ノリしたせいで起きた事故みたいなものだ。ちゃんと説明すれば問題ないだろ。

 

その後、時間ギリギリまで説教は続いた。

 

「ふぅー、久し振りに大声を出してスッキリしました」

 

ひとしきり文句を言ったからかルフェイはいつもの調子に戻っている。良かった。

ただ俺の足は痺れてヤバいけど。この後すぐに借り物競争なんだけど大丈夫かな。

 

「長々と怒ってすみませんでした」

 

ルフェイが頭を下げて謝罪してきた。

 

「謝らなくていい。悪いのは俺だ」

 

「そんなことはありません。霧識さんがそういう人間だと知っていて私は好きになったんですから。それなのにこんなことになってすみません」

 

頼むから謝らないでくれ。ルフェイが良い人すぎて俺の中の罪悪感が凄いことになってるから。

 

「では」

 

ルフェイがいきなり両手で俺の頭を掴んできた。そして顔を近付けてきた。

何をする気なんだ?

 

「お詫びのキスです」

 

そのままルフェイの唇と俺の唇が接触した。

こういうことをされるから俺はルフェイに逆らえないんだよな。どうしたものか。




最初は一話にまとめる予定だったけど明らかに無理なので分割します。
次回で終わるかな。

では感想待ってます。
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