体育祭の翌日の土曜日の朝
「ニャー」
俺の膝の上に座って胸に頬擦りをしている小猫の顎を撫でてやると気持ち良さそうな声を上げた。
空いている左手で背中も撫でると更に気持ち良さそうにする。
何、これ?可愛すぎる。
俺は朝食が終わった後、用事があってイッセーの家に来ているのだが、これが本題で良いような気がする。
黒歌が羨ましそうに俺達を見ている。どっちを羨ましそうに見ているのかは謎だが。
「……霧識。いちゃつくんなら自分の家か部屋でやってくれないか?」
イッセーが呆れたように言ってきた。いちゃつくに関してはイッセーに言われたくないんだが。さっきから隣に座っているアーシアと目が合うと恥ずかしそうに顔を逸らすを繰り返している。
仕方ない。一応、本題に入るか。
「用事があって来たんだよ」
「……用事?」
用事と聞いてイッセーが怪訝そうな顔をする。
毎度のことながら俺の信用度は低いらしい。
「昨晩はアーシアとヤったのか?」
昨日、イッセーとアーシアが付き合うと聞いてから気になっていたんだよな。
昨晩は俺も色々と大変だったから二人の夜の様子を見ていない。アンが変な提案をしなかったら間違いなくちょっかいを出していたんだが。
「……は?」
俺の言った意味が理解できないのかイッセーが一瞬ポカーンとした顔になる。
だが次の瞬間、意味を理解したのか顔を赤くしながら大声を出した。
「はぁぁぁっ?いきなり何てことを聞くんだよ!?」
「何が?普通のことだろ?」
そんなに慌てるようなことか?
「あわあわ……」
アーシアは具体的な行為を想像しているのか顔を赤くしながらテンパっている。
そんなアーシアにレイナーレがイヤらしい笑みを浮かべながら近付く。
「ゴニョゴニョ」
「あぅ……」
レイナーレが耳元で十八禁なことを呟くとアーシアは更に顔を赤くして恥ずかしさのあまり気絶してイッセーの膝の上に倒れた。
レイナーレとアーシアは意外なことに仲が良い。一回殺した相手とよく仲良く出来るなと感心する。
「ちょ、アーシア!?大丈夫か!?」
「…………」
返事がない。ただの屍のようだ。
「……気絶しただけで別に死んでないにゃ」
黒歌が不機嫌そうな声でツッコんできた。
だからナチュラルに俺の心を読むな。
「で、結局どうなんだ?ヤったのか?」
「その話を続けるのか!?」
「アーシアなら幸せそうな顔で寝ているから心配しなくて良いだろ」
一瞬、安らかな顔と言おうと思ったが同じツッコミをされるのは嫌なのでやめた。
「まぁ、それもそうか……」
「で?」
俺はイッセーを急かすように言う。俺は我慢するのが苦手なのだ。
「……してない」
「……え?」
うん。聞き間違いだな。
俺は耳には自信があるんだが聞き間違いをするとはな。
「もう一度言ってくれ」
「だからしてない」
「……マジで?」
完全に予想外だ。まさかヤっていないとは。
ちなみに驚いてはいるが小猫を撫でる手はとまっていない。もうほとんど自動で動いている感じだ。
「全てのカップルが付き合ったからって貴方みたいにすぐに夜の営みをするわけじゃないのよ」
リアス・グレモリーが食後のティータイムをしながら言ってきた。
俺の場合はヤってから付き合ったんだがな。
「いや、それは分かってるけど……」
付き合ったからって中々ヤらないカップルがいることは知っている。俺には理解できないが。
でもイッセーは性欲の権化でアーシアも意外と積極的だ。付き合えば一気に箍が外れると思っていたんだけどな。
「俺もアーシアと付き合うことが出来たんだ……。そりゃエッチなことも期待したさ。でも部長達がいて何かいつもと同じ雰囲気になってしまって出来なかったんだよ」
「…………」
俺は首だけ動かしてリアス・グレモリーに『何やってんの、お前』という視線を向ける。
だがリアス・グレモリーは俺のそんな視線も気にせずいつもと同じ感じで返事した。
「仕方ないじゃない。私はイッセーを抱いていないと眠れないんだから」
サーゼクスからリアス・グレモリーは意外と子供みたいなところがあると聞いていたが子供過ぎるだろ。
この原因はサーゼクスが甘やかし過ぎたせいだな。
「いや、せっかく二人が付き合い始めたんだから気を遣って昨日ぐらいは自分の部屋で寝ろよ」
「いつも自由に振る舞っている貴方に気を遣え、とか言われたくないのだけど」
俺はお前と違って気を遣える。ただお前には遣う気がないだけで。
イラッとしたので俺はレイナーレに命令した。
「……怜奈。アレを流せ」
「分かりました、ご主人様」
レイナーレは笑顔で返事するとボイスレコーダーを取り出して音声を再生した。
『駄目!おにーたまはリーアと寝るの!』
「ちょ、え!?今のは何!?」
リアス・グレモリーは飲んでいた紅茶を吹くと顔を赤くしながらあたふたと焦っている。
ちなみに今のはサーゼクスがグレイフィア・ルキフグスと寝ようとした時のリアス・グレモリーのリアクションだ。前にリアス・グレモリーの過去の映像を見せてもらった時に録音しておいた。
余談だが、この時サーゼクスがリアス・グレモリーを選んで殺されそうになったらしい。
「子供の時のリアス・グレモリーだ」
「いや……これは違うの!そう、霧識くんの捏造よ!貴方、声帯模写の機能もあったのね!?」
リアス・グレモリーが皆の何とも言えない視線を受けて言い訳を始めた。
後、俺に声帯模写の機能はない。神器で声だけじゃなく姿も誤認させられるので、そんな機能は必要はない。
そう言えば、さっきイッセーは部長達って言ったよな。つまり他のメンバーも来ていたのか。
俺は今も必死に言い訳を続けているリアス・グレモリーを無視して姫島朱乃に質問する。
「姫島朱乃も昨日イッセーの部屋で寝たのか?」
「ええ。最初は遠慮しようと思ったのですけどリアスがイッセーくんに部屋に向かうのが見えたものですから。つい」
なるほど。姫島朱乃はリアス・グレモリーよりも大人のようだ。
まぁ、出来れば最後まで我慢してほしかったがリアス・グレモリーが参加した時点で結果は一緒だっただろうから気にしなくていいだろ。
「ゼノヴィアもか?」
「ああ。イッセーとアーシアが子作りを始めれば私も便乗できるのでは、と思ったのでね」
色々な意味でアウトだ。まぁ、変態に理屈は通用しないから無視しよう。
「で、イリナも参加したと」
「何で私だけ決定事項みたいに言うの!?私は自分の部屋で寝てたわよ!」
「え?参加してないの?」
「何でそんな不思議そうな顔してるのよ!?私はこれでもミカエル様のAなのよ!卑猥なことは出来ないわ!」
別に一緒に寝るだけだったら卑猥じゃないだろ。明らかにその後の行為を想像しているな。
そう言えば俺って天使が堕天する瞬間を見たことないんだよな。それにイリナが堕ちればグリゴリの戦力が増す。
俺にとっては良いこと尽くしだ。
ちょっとイリナを堕とす方法を考えてみようかな。
「赤龍帝もお兄ちゃんのことを見習って女の扱いに慣れるべきだね。お兄ちゃんなら他に女の人がいても気にせず抱くよ」
イルとネルを膝の上に転ばせて頭を撫でながら多分、今この世一番幸せそうな顔をしている花蓮が言ってきた。
それにしても素晴らしく癒される絵だ。さっき手が使えないのでレイナーレに写真を撮ってもらった。
て言うか、俺に露出癖はないから他の人に見られていたらヤらないぞ。
いや、昨日は見られながらヤったか。アレは例外だから計算に入れないことにしよう。
「ぐっ……。いや、俺が普通だ。霧識が慣れすぎなんだよ」
別に慣れているとは思えないが。よく主導権を取られることもあるし。
「ところでイルとネルはここにいて良いのか?忙しいんだろ?」
「うん、忙しいよ。明日はテレビの撮影があるし」
「それで明後日は試合前の調整、明明後日は試合。だから今日は休憩しに来たの」
イルとネルが気持ち良さそうにしながら答えた。
さすが俺の妹。撫で技術は高いようだ。
後で俺もイルとネルを撫でよう。
「ライザーか。復帰戦の映像は見たけど別人みたいになっていたな。強くなっただけじゃなくて性格まで変わっていたし。何て言うか前はいけ好かない奴だったけど、今は特撮で出てくる悪役みたいなイメージだ」
気付いたらアーシアの頭を撫でていたイッセーがそう言った。
ライザーの性格が変わったのは間違いなくアルマロスのせいだ。
「ふわぁぁぁ、皆さん、おはようございます」
ギャスパーが欠伸をしながらリビングに入ってきた。ギャスパーは吸血鬼で朝に弱いから、もう起きてこないと思っていたんだが意外だな。
パジャマが着崩れていて男だけど何かエロい。
「よう。おはよう、ギャスパー」
「ギャーくん、昨日はよく眠れた?」
「昨日は霧識先輩と花蓮ちゃんのせいで……って何で二人がいるんですかぁぁぁぁっ!?」
ギャスパーは俺と花蓮に気付くと凄い勢いで走ってどこかに向かった。
何故?
「昨晩はご主人様に処女を、花蓮様に童貞を奪われましたからね。いきなりのことでしたので、どうしていいか分からず混乱しているのでしょう」
レイナーレが説明してくれた。
そうか?怯えているようにも見えたが。
ちなみに昨日の行為をしているところを監視カメラでレイナーレ達は見ている。終わった後、興奮したレイナーレが部屋にやって来たからもう一戦ヤったり、小猫が鼻血の出しすぎで倒れたりで大変だった。
アンに行為をしているところの小説をもらったが、その場で破いてゴミ箱に捨てた。
後、花蓮の処女は当然ながら俺がもらった。
「え?何やってんの、お前ら!?」
イッセーがゴチャゴチャ騒いでいるが無視だ。
「……白音。そろそろ変わってほしいにゃ」
「嫌です、お姉さま」
小猫は一瞬、真顔になって黒歌の提案を断るとすぐに気持ち良さそうな顔に戻った。
「嫌にゃ!私も撫でてほしいにゃ!」
黒歌が床に寝転んで子供みたいに駄々をこね始めた。面倒くさい。
「……あれ?イッセーさん、おはようございます」
イッセーと黒歌がうるさいせいでアーシアが目覚めたみたいだ。
「あ、ああ……おはよう、アーシア」
「え~と、この状況は……あの、すみません!」
イッセーに膝枕をされていることに気付いたアーシアは顔を真っ赤にしながら膝の上から退いてイッセーから目線を外しながら、その場で正座した。
何とも初々しい。たまにこういうのを見ると癒されるが、ずっとこの調子だと面白くないな。
レイナーレと協力して状況を面白おかしく弄れないか考えてみよう。
「ふわぁぁぁ……」
昨日はほとんど寝れていなかったから思わず欠伸をしてしまった。
レイナーレがしつこすぎたせいだ。
「……先輩、眠いんですか?」
「少しな」
「……だったら私も眠いので一緒に寝ませんか?」
小猫が少し顔を赤らめながら上目遣いで言ってきた。
小猫が可愛すぎるせいで少し眠気が飛んでしまった。
そう言えば今日の用事は午後からルフェイとのデートだけだ。特に仕事もないし昼食の時間まで寝るか。
「じゃあ、行くか」
「はい」
小猫が返事すると俺は小猫をお姫様だっこしながら立ち上がる。
「うん?寝るのかにゃ?」
黒歌が駄々をやめて聞いてきた。
「ああ、昼までな」
「だったら私も寝るにゃ」
「それはいいが普通に寝るだけだぞ。変なことはするなよ」
「分かってるにゃ。ただ霧識に抱き付きながら臭いを嗅ぐだけにゃ」
変態か。まぁ、下手に抵抗しても疲れるだけだし早く部屋に戻って寝よう。
今回は特に書くことはありません。
では感想待ってます。