ハイスクールD×D 日常謳歌のファントム   作:二重世界

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第97話 決戦

ロキとの決戦当日。

すでに周りは暗くなっており時刻は夜だ。俺達はオーディンのジジイと日本の神々が会談するという都内のとある高層高級ホテルの屋上にいる。

 

作戦はロキが現れたら、まず周囲のビルの屋上にいるシトリー眷属が俺達ごとロキを大型魔方陣で暴れても問題ないところに転移させる。

そしてロキの相手は二天龍、フェンリルは強化されたグレイプニルで捕縛後、残りのメンバーで一斉攻撃することになっている。

後、アザゼルは会談の仲介役なので戦闘には参加できず匙も遅れている。来る前に少しだけ様子を見たけど匙は大丈夫だろうか?色んな意味で。

シンプルだが確実で良い作戦だ。だが俺がいる状況で物事が思い通りにいくと思うなよ。

 

アレ?これだと俺が敵みたいな感じだな。まぁ、どうでもいいか。

にしても俺が作戦に全く関与していないというのも珍しい。まぁ、打ち合わせぐらいはしてるけど。

 

「初めまして、元六大龍王にして最上級悪魔のタンニーン。自分は七瀬霧識。グリゴリ所属の神器使いです」

 

俺は今、ホテルの上空で待機しているタンニーンに挨拶していた。冥界に行った時はタイミングが悪くて挨拶できなかったけど、やっと出来た。

ちなみにタンニーンは普通の人間には視認できないように術をかけているらしい。タンニーンが周りから見れたらネットや人間界のテレビで騒がれて面白いことになりそうなんだが。

 

「……お前の噂は俺も聞いている。噂では人を食ったような性格だと聞いていたが礼儀正しいようだな」

 

ロキには気付かれたがタンニーンは一目では俺の本性に気付いていないみたいだな。

少し自信をなくしていたが問題ないようだ。

 

「自分はエンターテイナーですからね。人を食ったような態度もしますけど、さすがに目上の人……じゃなくてドラゴンと話す時までそんなことはしませんよ」

 

「……それがすでに人を食ったような態度です」

 

気付いたら俺の後ろに小猫がやって来ていてツッコんできた。

 

「おいおい、どういう意味だ?」

 

「そのふざけた感じは人を食った態度そのものです」

 

俺が丁寧に喋ったらふざけているのかよ。俺だって誰かに敬意を示すことぐらいあるぞ。

例えばシェムハザさんと沖田師匠は尊敬しているし。

俺は飛べなくなるまでタンニーンと話してホテルの屋上に降りていく。まだ練習中なので長い間は飛べない。

 

「お兄ちゃん、大好き!」

 

着地すると同時に花蓮が熱烈な愛情表現をしながら俺に抱き付いてきた。

俺は花蓮の頭を撫でながら質問する。

 

「いきなりどうしたんだ?」

 

「ん?理由なんてないよ。強いて言うなら、そこにお兄ちゃんがいたからだよ」

 

花蓮が満面の笑みで答える。物凄く可愛い。今がロキ戦の前じゃなかったら家に持ち帰って食べていただろう。

気付いたら小猫が花蓮と反対側の腕に抱き付きながら上目遣いで俺を見ている。ロキとか無視して帰ろうかな。

 

「今から神と戦うんだ。もっと緊張したらどうだ」

 

不機嫌そうにヴァーリが話かけてきた。

 

「緊張しすぎて体が硬くなるよりはリラックスしている方が良いだろ」

 

「限度というものがある。お前はリラックスしすぎだ」

 

別に問題ないと思うが。ロキが来たら気持ちを入れ替えるし。

 

「もしかして自分がモテないから嫉妬してるのか?」

 

「……違う」

 

視線を逸らすヴァーリ。

最近はバトル漬けだったし今からロキと戦うということで取り乱してはいない。だが、それでも俺に敵意を向けてきているのは分かる。

お前の敵は俺じゃなくてロキだぞ。

 

「ちゃんと打ち合わせ通りにやれよ」

 

「何で俺がお前の言うことなんて聞かないといけないんだよ。……来たか」

 

ヴァーリの視線の先を見てみると、ホテル上空の空間が歪んで大きな穴が開いていた。

そこからロキと巨大な灰色の狼が姿を表す。

あれがフェンリルか。格好良い!ほしい!

 

「目標確認。作戦開始」

 

バラキエルが耳につけていた小型通信機からそう言うと、ホテル一帯を包むように巨大な結界魔方陣が展開し始めた。

会長達が俺達を戦場に転移させるため大型魔方陣を発動させたが、ロキは不敵な笑みを浮かべるだけで抵抗しなかった。

戦闘が始まるので二人も俺から離れて……ない。花蓮が俺に抱き付いたままだ。

さすがに今は離れてほしいんだが。

転移が終わった後、俺達がいたのは岩肌ばかりの古い採石場跡地だった。

そして転移先についた瞬間にゼノヴィアがデュランダルを振るってロキに攻撃した。

 

「また同じ攻撃か。そんな攻撃では……グッ」

 

ロキがゼノヴィアの攻撃を魔方陣で防いだ後、右目を押さえた。よく見たら目から血が出ている。

俺が花蓮を振りほどくと同時に西部のガンマン顔負けの早撃ちで祓魔弾を撃ったからだ。

最初は俺の目元への攻撃でロキの体勢を崩した後にゼノヴィアの攻撃を目眩ましにしてヴァーリチームが一斉攻撃する予定だったんが。だが花蓮が抱き付いていたせいでゼノヴィアよりも俺の攻撃の方が後になってしまった。

さすがのロキもデュランダルの派手な攻撃の後の音のしない祓魔弾は避けられなかったみたいだ。

 

「いきなり攻撃とは卑怯な――」

 

ロキが台詞が言い終わる前にヴァーリチームが一斉攻撃を開始した。

何か予定とは違うけど、これはこれで面白いから良いか。

ロキは攻撃に耐えたようだが、さすがに無傷とはいかず服がボロボロになっている。

だが一番ダメージを受けているのは俺が攻撃した目だな。さすがの神も目までは鍛えられないか。

ん?鍛えられない場所?面白いことを思い付いた。

 

「お兄ちゃん、悪い顔をしているけど何か思い付いたの?」

 

花蓮が再度、抱き付きながら質問してきた。

 

「思い付いたぞ。まぁ、楽しみにしてろ」

 

て言うか俺は悪い顔をしていたのか。ポーカーフェイスのつもりだったんだが。

 

「クソッ!こうなったらフェンウグッ!」

 

ロキは指を鳴らしてフェンリルをけしかけようとした瞬間に股間を押さえて悶絶した。

俺が念のために認識できないようにした祓魔弾をロキの股間に撃ったのだ。神とは言え男。効果はバツグンのようだ。

周りは股間を押さえて悶絶しているロキを見て何とも言えない空気になっている。

俺はカメラを取り出して写真を撮る。

 

「貴様、今何をした!?」

 

「良かったな、ロキロキ。やっと最後まで台詞を言えたぞ」

 

俺はカメラをしまってから拍手する。

 

「その呼び方をやめろ!そして質問に答えろ!」

 

「写真を撮っただけだぞ、ロキロキ」

 

「今すぐ消せ!」

 

「それは無理だ。後でプリントアウトして北欧にばらまく予定だからな」

 

何だが去年の夏休みのことを思い出すな。アザゼルの弱味をグリゴリ中にばらまいた時も面白かった。

 

「我を社会的に抹殺する気か!?」

 

「ハハハハッ」

 

意味はないが何となく笑ってみる。

 

「……何か前に私が言った通りになったな」

 

ゼノヴィアがそう呟くのが聞こえた。

何のことを言っているんだ?……ああ、イリナを口説いた日の昼休みのことか。

確かゼノヴィアは、俺が自分の快楽のためなら神すらも貶めるとか言っていたんだったな。まさしく、その通りの結果になったわけだ。

 

「オーディンよりも先に貴様を殺す!」

 

そう言うとロキは物凄い力の魔術の球を放ってきた。

だが、その攻撃は大きく外れ、俺から三メートルほど離れた地点に直撃した。

うおっ。地面に大きなクレーターが出来てやがる。当たったら間違いなく即死だったな。

 

「……先輩。偉そうにしていますけど明らかにビビっていますね」

 

小猫が後ろから呆れたように言ってきた。俺は目線を合わせず軽い調子で答える。

 

「ん?何のことだ?」

 

「いつもなら最低限しか認識をずらさないのに、今回は必要以上にずらしています」

 

そりゃ、ビビるだろ。俺が完全に主導権を握っているが、実力はロキの方が圧倒的に上だ。一瞬でも油断したら殺される。

 

「何やら奇妙な技を使うようだな。だったらフェンリルに直接、噛み殺させるまでだ!」

 

ロキが合図するとフェンリルが一歩前に進みだした。

 

「にゃん」

 

黒歌が笑むのと同時にその周りに魔方陣が展開して、地面から巨大で太い鎖――グレイプニルが出現した。

それを皆が掴んでフェンリルの方へ投げつけた。

 

「無駄だ!グレイプニルの対策など、とうの昔に――」

 

ロキの言う通りにはならず、ダークエルフによって強化されたグレイプニルは意思を持つかのようにフェンリルの体に巻き付いて捕縛した。

 

「フェンリルの捕縛に完了したぞ、ロキロキ。他にも奥の手があるなら早めに使えよ。……さもないと、やられるぞ」

 

「ちっ……。とことんムカつく人間だな。こうなったらスペックは落ちるが仕方ない」

 

そう言うとロキは両腕を広げた。するとロキの両サイドの空間が激しく歪んで新たな何かが現れた。

 

「スコル!ハティ!」

 

ロキが叫ぶと現れた存在は天に向かった。

現れたのは二匹の巨大な狼。まさか、これはフェンリル!?

全員が驚いた顔をしているが、俺以外にヴァーリも楽しそうな顔をしている。

 

「ヤルンヴィドに住まう巨人族の女を狼に変えてフェンリルと交わらせた。その結果、生まれたのがこの二匹だ。親よりも多少スペックは劣るが、牙は健在だ。貴様を殺すには充分すぎるほどだ」

 

うわぁ、完全に敵視されてる。あの程度でここまでキレるとは。

トリックスターと呼ばれている割りには心が狭いな。

 

「……オモチャを与えられて喜んでいる子供みたいにキラキラした目をしてますね」

 

「当たり前だろ、小猫。フェンリルの子供だぞ!テンションが上がらないわけがない!これは面白くなってきた!」




何か最初の予定以上にロキが酷い目に合ってる。別にロキが嫌いというわけじゃないのに何でこうなった。

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