エルフの巨大都市『モナティアム』の中枢──市庁舎──の前の広場。
アスファルトやオブジェで彩られたその空間のど真ん中で、上条当麻の足はピタリと止まった。
(……ここだな)
霞む頭の中で、本能的な部分だけが警鐘を鳴らし告げていた。 敵の本拠地は、この足元の更に下──地下深くにあると。
上条はゆっくりと自身の右肩から生える半透明の竜の顔を、足元の地面へと向けた。これで敵の本拠地ごと一網打尽にできるはずだ。
この巨大な竜の顎から無数のビル群を両断したあの極大の閃光を真下に向かって放てば、分厚い装甲だろうが地下シェルターだろうが関係無い。
「何処を見ているんだ人間」
その時、背後から凛とした、どこか聞き覚えのある声が響いた。 急いで振り返った上条の視界に映ったのは一人の『妖精』であった。
「オティヌス……?」
上条が口にしたその名前の通り眼帯や特徴的な魔女の帽子、露出の多い服といった特徴は間違いなく彼女の物である。
しかし上条の記憶にある彼女とは姿が違いすぎた。手のひらに乗るほどの15センチサイズではなく、かと言って元の等身大の姿でもない。
幼児のように頭身が低く頬がふっくらと『もちもち』とした、このエーリアスにおける妖精特有の姿だったのだ。
そしてそのオティヌスの隣には、見知らぬ青年──世界樹教団の法衣を纏った『教主』が、引き攣った顔で愛想笑いを浮かべて立っていた。
(あの時オティヌスが同行してくれと言ったら、随分と揉めたからな……)
教主はここへ来る前の指令室でのやり取りを思い出し、密かに溜息をついていた。
オティヌスが教主を連れて行くと言い出した際にエルフィンは「なんで教主をそんな危険な場所に連れて行くのよ!」と猛反発し、ネルも「教主様に万が一のことがあれば、明日からの書類の決裁は誰がやるんですか!」と大反対したのだ。
だが市長のエレナ達は違った。街を破壊される恐怖から、オティヌスという得体の知れない妖精と教主に縋り付いたのだ。何時もの傲岸不遜な態度は鳴りを潜め、涙目でしおらしく懇願するエレナの姿には教主も少し心動かされかけた。
……しかし念のために能力で本音を覗き見てみれば。 『よし!何とかなった!問題が片付いた後にはあいつらに賠償責任を押し付けてやる!』
相変わらずの腹黒い本音全開であったため、教主は憐れむ気持ちを即座にゴミ箱へ捨ててきたのだった。
「オティヌス!無事だったのか!いや待てよ本当にオティヌスなのか?なんか丸っこいし……っていうか、そっちの奴は誰だ!?」
上条が混乱したように叫ぶ。教主は何とか話し合いで解決できないものかと、一歩前に出て手を振り事情を説明しようと口を開きかけた。
しかし上条の顔つきが一瞬にして険しいものへと変わった。
「そうか……敵の魔術師か!?ローマ正教か、それともイギリス清教の奴か!?オティヌス、お前そいつに操られてるんだな!」
「えっ?イギリス?ローマ?何それ、怖っ……どんな人生歩めば周囲が敵だらけになるの?」
上条が猛烈な勘違いを始めてしまった、教主が慌てて両手を振って否定しようとする。
しかしアニマル缶の副作用で著しく知能が低下している上条の耳には、弁明など届いていない。
オティヌスが、呆れたように小さく首を振って、仕方ないと静かに言った。
「あいつは元の世界で、宗教関係者から命を狙われ続けていたからな。そのような宗教的な服を着ている奴を見ると、パブロフの犬のように本能的に身構えてしまうのだろう。それに加えて、あの怪しいエサのせいで猛烈なバカになっている。今の奴には論理的な会話は一切通じない」
つまり話をして分からせることが出来ないなら、残された手段は実力行使による『修正』だけである。
オティヌスは一歩前に出ると半透明の竜を従えた上条を見据えた。
「魔術において、世界を区切る事の大切さは重々承知だろう、理解者よ。お前が今まで戦ってきた相手──空間を支配する数々の魔術を思い出してみればいい」
オティヌスは教鞭をとる教師のように、淡々と語り出す。
「そして妖精化の呪いにおいて、元の世界では15センチの無力な存在に落とされた私だが。このエーリアスという世界に来た事で、逆に『妖精』という属性がこの世界の強固なルールに適用されている。この世界の『妖精』は術式を用いずに感覚のみで魔法とやらを行使できる体でな──」
オティヌスはそこまで言って上条の顔を見た。「あー……うん?区切る?えーっと妖精……?」上条は口を半開きにし、頭の上にクエスチョンマークを浮かべていた。魔術理論を理解する脳細胞は、アニマル缶によって綺麗さっぱり洗い流されている。
説明のしがいが全くないバカになってしまった理解者に、オティヌスは深く重い溜息をついた。
「……つまりこういう事だ」
パチンッ。オティヌスが短い指を鳴らした。その仕草と同時に市庁舎前の広場が──否、空間そのものが『無限』に広がった。
具体的には、広場という一定の境界を区切り、その内側の空間を無限に分割することによって大きさを無限に広げたのだ。
だが現代数学などにおいてその理論は破綻していると説明できる。有限の空間を、幾ら細かく分割しても元の体積を超える無限にはならない。
しかし表面上はその様になっていると定義し、世界そのものを誤魔化す『詐術』──それこそが魔術の真髄である。
空間が引き伸ばされ市庁舎の建物が遥か彼方へと遠ざかる。ここはもう、エーリアスという世界の中に作られた別位相の隔離空間であった。
そしてオティヌスの眼帯の奥──眼窩の虚空から、黄金の一本の槍がズルリと引きずり出された。
今の彼女のもちもちとした幼児体型に合わせたような、短くデフォルメされたような形状。
しかし、そこから放たれる神威は紛れもなく主神の槍『グングニル』そのものであった。
「今回の私には『世界樹』の強力なバックアップもある。どうやらあの大樹は私達という異物に、一刻も早く出て行ってもらいたいようだからな」
上条がギリッと歯を食いしばり、身構える。
右肩の竜が威嚇するように吠え、鼓膜を破るような音響兵器と精神を圧殺する威圧を放つ。
しかしその波動はオティヌスと教主に届く前に、盾のようにしたグングニルの気と空間の詐術によって著しく減衰し、ほぼ無効化されていた。
(倒せるのかな……?) あの得体の知れない竜を相手にして勝てるのかと、教主は不安に駆られた。
そこでふと内心思っていた疑問を口にした。わざわざ危険な最前線に自分を連れてきた理由が分からない。
「あのオティヌスさん。ここに私が居る意味って一体何なんですか?」
「簡単なことだ。お前が近くにいると力の通りが良い」
オティヌスは槍を軽く振り回しながら答えた。
「お前は世界樹に選ばれた者……あのポンコツ女王の言葉を借りるなら、世界樹教団の教主様。そして、この空間は限定的にエーリアスから隔離されている。つまりこの広場においてのみ、『死なないルール』は適用されないように設定してある。証拠としてアレを見れば良い」
上条を見る教主。半透明のドラゴンとは別に肩部から出血が発生していた。あのままだと10分足らずで死ぬだろう。
痛々しい光景に思わず目を顰めるが、聞き捨てならない事を言ったオティヌスに問い返した。……この空間だと死ぬ……?。
「……はい!?」
「分かるか?加護の無いこの空間で、もしお前が死の危険に晒されたらどうなる。世界樹は焦る。そしてお前が死んでは困ると、莫大なエネルギーをこの空間へ供給して守ろうとするはずだ。──私は今、その供給される力を横取りして自分の力に転用しているという訳だ」
「えっちょっと待って!じゃあ私がここで本当に攻撃されたら……!」
「安心しろ。死なせはしない。──努力はする」
教主の顔から一気に血の気が引いた。
オティヌスが真顔で取り繕うが、全くもって安心できない。努力目標で命を預けられるほど教主のメンタルは強靭ではない。ダラダラと冷や汗が吹き出す。
(いや、これならまだ話し合ったほうがまだ生存確率が高いのでは!?)
教主は慌てて上条の方を向いた。
見れば、上条は竜を従えながらも、教主に対して直接攻撃をしてこない。再度発生した激痛のショックで逆に冷静にでもなったのか、僅かな違和感を持ったような顔をしている。
(そうだ、まだ話し合う余地はあるはずだ。私達は敵じゃないって伝えれば) と教主は希望的観測を抱いた。
だがオティヌスはやる気満々だった。
「よし、そろそろ戦うぞ」
「こらこら私が話そうとしてるのに邪魔しちゃ駄目だって」
「いたたっやめろっ」
教主はオティヌスに攻撃を止めるよう言いながら、我儘を言うもちほっぺを抓った。何時ものノリで。
この世界の妖精や獣人などの頬っぺたのように、餅のように伸びるオティヌスの頬。
──それが完全に逆効果だった。「っ、オティヌスから離れろぉっ!」
知能が低下している上条は、教主のその動きを害意のある物だと判断した。何らかの魔術でオティヌスを操っていると理解してしまったのだ。
ドパンッ!!! 空気が爆発するような凄まじい破裂音。
上条が踏み込んだその一歩は、完全に音速を超えていた。瞬きをする間もなく教主の目の前に肉薄し、右肩の竜の首が巨大な質量を伴った横殴りの一撃を放つ。
もし教主が直撃をくらっていれば、世界樹の加護がないこの空間では文字通り肉片すら残らない死にざまを迎えていただろう。
しかし竜が教主の体を砕く直前。空間が歪む音と共に、そこにはもうオティヌスと教主の姿は無かった。
オティヌスの力による空間転移で教主ごと遥か遠くへと退避したのだ。
竜の首を引き戻し、油断なく睨みつける上条。視線の先、遠く離れた場所ではオティヌスと教主が居る。
そしてオティヌスは──かつて上条を幾万幾億と絶望の底に沈めた時と同じように、あの冷酷で絶対的な宣告を口にした。
「お前は何度も何度も私と戦ったが。ただの一度も私に勝てたことが無かったのを、忘れているようだな」
もちもちとした妖精の姿でありながら、その背後には宇宙を統べる魔神の幻影が重なって見えた。
オティヌスはグングニルをくるりと指先で回し、静かに、そして楽しげに微笑んだ。
「──次も殺してやる。ゆくぞ、つまらん時間稼ぎも出し惜しみも無しだ」
退行した知能の中で上条の記憶が昔に戻る。
かつてオティヌスと戦った時のテンションが体に宿る。
エルフの都市の隔離空間にて、魔神と竜王の常軌を逸した戦いの火蓋が切って落とされた。
「おおっ!」
上条当麻の最初の一手は、右肩から生え出た竜の顎から放たれる極大の『閃光』であった。
空気も空間も焼き焦がすかのような純白のエネルギーの奔流。先ほどエルフの巨大な高層ビル群を容易く両断したその光の刃が、今度は真っ直ぐにオティヌスと教主の立つ座標へと殺到した。
しかし相対する魔神の妖精は焦るそぶりすら見せない。 オティヌスは指を動かす動作すらしなかった。
直後に彼女たちの眼前の空間に『壁』が出現した。いや、それは一枚の壁ではない。空間を埋め尽くすようにして発生した、無数の『小爆発』の集合体であった。
連続性を失い、ただ面を埋め尽くすように設定された爆発の盾。真っ向から衝突した竜の閃光は、無数の小爆発による反発力に乱され、本来の軌道を僅かに逸らされて虚空へと流れていった。
「うわあああああ!」
教主の悲鳴が隔離空間に響き渡る。閃光の直撃こそ免れたものの、逸らされた光の奔流がすぐ真横を通り過ぎていったのだ。
その余波だけで、皮膚が焼けるような錯覚を覚えるほどの圧倒的な熱量。当たらなかったにしても怖い物は怖い。
そんな教主の恐怖などお構いなしに戦況はさらに加速する。ズガァンッ!と鼓膜を破るような踏み込みの音。
遠く離れたオティヌス達へ向けて、上条が全力で突進を開始したのだ。
それと同時に先ほどまで立っていた空間そのものが、あり得ない形にグシャリと『沈んだ』。
超極小のブラックホールでも発生したかのような、重力的崩壊に近い現象。空間の耐久値を破る程のそれは、瞬間的に上条が超質量を獲得したとでも言うのか。
もしモナティアムの市街地でこれをやっていれば、街を復興した後にも消えない穴となって残ってしまっただろう。
取り返しの付かない空間の大穴。だがオティヌスが設定したこの無限に続く隔離空間ならば、どれだけ壊そうが問題はない。
ギギ……ギギギギギギギギギッ……!!
突如、世界そのものが軋むような、おぞましい重低音が響き渡った。
オティヌスの背後──無限に広がる空間の虚空から、不気味な光の紋様が飛び出し全天を覆い尽くすようにして彩りを与えていく。
それは宇宙の理を捻じ曲げ、莫大な力を蓄えるための音。魔神オティヌスが振るう、問答無用の必殺攻撃。『弩』と呼ばれる権能の展開であった。
「な、何なんですかこれ……っ」
教主が全天を覆う異常な光景を見上げて震え声で尋ねる。
だがオティヌスにはそれを正確に説明する言葉を持たなかった。単純に、人間の語彙では説明不可能な事象だからだ。
「そうだな……」
オティヌスは眼帯の奥で上条の突進を見据えながら、酷く面倒そうに答えた。
「『宇宙の果てから果てまで、無限に加速を続けて標的に当たるレールガン』……とでも考えれば、人間でも少しは安心できるんじゃないか」
「安心できる要素が1ミリも無いんですけど」
直後だ。オティヌスの背後に展開された光の紋様から、10発の弩が発射された。
一本一本が惑星を容易く消し飛ばすほどの威力を持っている。たった一人の人間に向けるには、過剰威力にも程がある。──と言っても。今の相手は、その過剰威力を以てしても容易く倒せる存在ではないのだが。
一発目は真っ直ぐ垂直に降り注ぎ。
二発目は地面と平行に地を這って飛び。
三発目は斜めから弧を描いて襲いかかり。
四発目は何もない空間を割って背後から飛び出し。
五発目は空中で無数に分裂して弾幕と化す。
六発目、七発目、八発目、九発目、十発目──
それぞれの弩が空中でぶつかり合い、ビリヤードのように自ら軌道を変え、曼荼羅のように視界を埋め尽くして広がる。全ては目前に迫る上条当麻を確実に殺すために。
だが上条は止まらない。 蛇行しながら、あるいは曲線を描くようにステップを踏み、時に直線的に身を沈めて弩の雨を潜り抜け、猛烈な速度で距離を詰めていく。
今の彼はアニマル缶の副作用で著しく知能が低下している。しかし、その『本能』と『魂』だけが叫んでいた。
(前にも見た!前に見たことがある!対応できる!)
かつて果てしない無限の地獄の中。最後の最後、本気になったオティヌスとの戦い。そして世界を敵に回した逃避行の最後に彼はこの攻撃を見た。
身体に染み付いた死の記憶が、無意識下で最適な回避ルートを導き出す。
どうしても避けきれない弩は、右肩から生える竜の側面──硬質な半透明の鱗に滑らせるようにして弾き落とす。
竜の鱗にも亀裂が入り破壊は起きるのは当然。それでもまだ戦えるのは常識外れの超常の防御力だ。
そして遂に、上条はオティヌスの目と鼻の先へと肉薄した。弩は全て凌ぎ切られた。振り上げられる竜の顎。(届く!今度は勝ったぞ!) 上条の目に勝利を確信する光が宿る。
しかしオティヌスの唇は、嗜虐的な嗤いの形に歪んでいた。
それを見た上条の瞳孔が──
「おっと。今度の弩の数は『11発』だったようだな」
──収縮する。
「世界樹のバックアップも手厚い事だ。……なに、神にも数え間違いはあるさ」
ドゴンッ!!!
上条の目の前の空間が突然ガラスのように割れ、そこから死角を突くように飛び出してきた『11発目』の弩が上条の頭部を真正面から粉砕した。
「あぁぁぁぁぁぁっ!?」
教主が目の前で展開された凄惨な光景に絶叫を上げる。スイカが弾けるように、上条の首から上が完全に吹き飛んだのだ。
だが次の瞬間。
異常な現象が起きた。空間に飛び散っていたはずの上条の血液や肉片が、何故か『竜の尾の破片』へと姿を変え、サラサラと光の粒子になって消えていったのだ。
そして失われたはずの上条の頭部が、まるでビデオを巻き戻したかのように『元からそこにあった』というように無傷で存在していた。
竜が身代わりになったので本体が死んだという事実は無かった──そんな、因果律を逆転させるような強引な現象。上条の中に潜む力が、その死を強制的に回避させたのである。
「──それも読めていたよ」
上条が頭部の再生に僅かな硬直を見せたその一瞬。オティヌスはすでに最後の一手を放つ体勢に入っていた。
彼女が手にした槍、グングニルが投擲される。
世界が、終わる。
オティヌスが創り出したこの隔離空間の全てが、文字通り粉砕された。
上下左右、天地の概念すらもガラスのように砕け散り、その空間を構成していた巨大な破片の全てがグングニルの穂先へと吸い込まれるように集まっていく。
空間の質量そのものを巻き込んだ、凶器の渦。それが真っ直ぐに突き進み、回避も防御も許さぬ絶対的な速度で上条当麻の胴体に直撃した。
閃光と爆音が空間を白く染め上げる。教主が思わず目を閉じ、次に恐る恐る目を開けた時──戦闘はすでに終わっていた。
隔離空間は解除され、一行は元のモナティアムの市庁舎前広場へと戻ってきていた。
だがそこに上条の姿はない。いや、完全には消えていなかった。
オティヌスの槍の直撃により、上条の首から下……胴体も、四肢も、そして右肩に生えていた竜すらも完璧に消滅していたのだ。
ヒュルルルルルル……。
空中で上条の『首だけ』がクルクルと独楽のように回って落下してくる。
幼児のような体型のオティヌスがテトテトと少し歩み寄ると、ポスッ、とその生首を両手で器用にキャッチした。
人間の生首を、もちもちとした妖精が大事そうに抱き抱えるというシュールな光景である。
「全く世話が焼ける奴だ。さあ、帰るぞ」
オティヌスは上条の生首を抱えたまま、何事も無かったかのようにくるりと背を向けた。
教主は声にならない悲鳴を上げながらオティヌスを凝視した。
(いやいやいや帰るぞって、首だけになってますけど?どう考えても即死してるのに何がどう大丈夫なんだよ)
教主の目にはドン引きと恐怖とツッコミの感情が入り混じっていた。言いたいことは山ほどあるが、あまりの惨状に言葉が出てこない。
そんな教主の痛いほどの視線に気付いたオティヌスは、抱えている上条の生首(何故か安らかな寝顔になっている)をチラリと見下ろし、ふっと口角を上げた。
「こいつとは何度もこうした仲だから心配いらない。何度も言うが私は神だぞ」
魔神は事もなげにそう言い放つと、教主に向かって僅かに頭を下げた。
「お前の存在のおかげで力を引き出せた。──世話になったな」