赤い鳥、ハリーさんいわくフォークスという名の不死鳥は、ボクたちを一人ずつパイプから運んだ。
その後、先生たちに見つかり質問攻めにされた。
とりあえず全員が医務室送りになった。
生まれて以降すべての記憶を失った、ロックハート先生も。
数日後、
ボクは医務室で、マルフォイさんの手を握っていた。
マダム・ポンフリーはむしろこれを推奨した。
どうやら、精神が閉じこもっているため、呼びかける人が必要らしかった。
彼女の手を握りしめながら、
ボクはマルフォイさんを見つめる。
隈は消えている。
長い睫毛、たおやかな髪、目を惹かれる唇。
まるで眠り姫のような美しさだった。
「ドラコ!!」
「医務室では静かに!」
誰かが、医務室に入ってきた。
ボクは驚いた。
その人は、マルフォイさんにそっくりだったからだ。
「ドラコ、ドラコぉ…………!!」
ルシウス・マルフォイさん。
マルフォイさんのお母さんだ。
マルフォイさんにそっくりだが、
妖艶さに磨きがかかり、さらにその胸元はゴイルさんやクラッブさんを彷彿とさせる威を放っていた。
マルフォイさんに突っ伏して謝罪するように何度も頭を下げるルシウスさん。
その瞳が、ふいにこちらに向いた。
「君は…………ドラコが言っていた……」
「アル・ムーディです」
がば、とルシウスさんがボクを抱きしめた。
大きすぎるものを当てられて窒息しそうになる。
「ありがとうありがとうありがとう! 君がいなければ、娘は死んでいた。私の、私の不手際で…………」
「ぉ゛ふ」
そうやって騒いだからだろうか。
「ん……………………」
マルフォイさんが、少し眉根を寄せて、
ゆっくりと目を開いた。
「母上…………?」
「ぉお…………ドラコ…………よく……」
「……その男は、私のものです」
寝起きとは思えないほどはっきりと、マルフォイさんは言った。
でも、寝起きだからこその言葉だったのかもしれない。
段々と事態を把握すると、意識の風船が割れたかのようにキリリとして、とたんに顔を隠した。
「すいません、忘れてください…………」
「マルフォイさん」
ボクはルシウスさんの抱擁を抜け出し、彼女の手をにぎにぎとして、傍に寄った。
「そうだよ。ボクは、マルフォイさんのものだ」
「…………ぅぅ……」
久しぶりにマルフォイさんの髪に触れた。
ぎゅーーー、と抱きしめる。
マルフォイさんも、ボクも抱きしめた。
「なんだか楽しそうですね。楽しそうなのは良いことでしたね」
隣で、記憶を失ったロックハート先生が喋っていた。
‐‐‐
ハリーさんとボクは、それぞれ200点を与えられた。
そこに、なぜかネビルさんの10点が入り、
スリザリンとグリフィンドールは同点で、大広間の学年度末パーティの飾り付けは、赤と緑が入り混じったものとなった。
また、マルフォイさんとハリーさんは決闘をした。
今度ばかりは正々堂々としたもので、なんとマルフォイさんが勝利した。
ボクはその報告を聞いただけだ、真夜中の決闘をした二人がどうなって、どんな話をしたのかはわからない。
‐‐‐
「スリザリンに入ったのは、間違いだったのだろうかと、思ったよ」
マルフォイさんがそう言った。
プレゼントのマフラーが似合ってる。
歩く彼女の隣に、ボクも並ぶ。
「偉大な魔法使いが集まる寮だと思っていた。でも、実際は…………」
「偉大だよ」
ボクの言葉に、マルフォイさんが振り向いた。
「闇の魔法使いのなかでも、偉大な人はちゃんといた。ハーポも、スリザリンも…………」
手に「腐ったハーポ」のカードを持って、ボクは言った。
「ハーポが?」とマルフォイさんが首をかしげる。
「うん。マルフォイさんは、ノーベルさんって知ってる? マグルの発明家なんだけど」
「知らないな」
「その人はね、すごく強い爆弾を使ったけど、そのせいでたくさんの人が死んじゃったんだ」
「…………」
「だから、その罪を償うために、得た資金でノーベル賞っていう発明を称える賞を作って、世に貢献しようとした」
たぶん、同じだ。
「腐ったハーポは、分霊箱をつくってしまった。忌まわしい不死の方法を編み出してしまった。
だから、それを破壊できる方法を探し、
バジリスクの毒にたどり着き、その繁殖をなんとしてでも成功させようとしたんだ」
あのときみたハーポさんは、枯れ木のようだった。
分霊箱の不死とは、不老と異なるものかもしれない。
ハーポという人は、長い、長い時間をかけて、バジリスクにまでたどり着いた。
もしかしたら、蛇語も独学だったのかもしれない。
「マルフォイさん以外が狙われて、ボクが何もしなかったとしても、
きっと誰かがハーポの遺志を継いで、バジリスクの力で分霊箱を破壊して、スリザリンの遺志を継いで、この学校を脅威から守ったと思う」
マルフォイさんが、小さく鼻を鳴らした。
マルフォイさんが、ボクがカードを取り出したように、懐から、みぞの鏡の、その破片を取り出す。
ボクが見ても、マルフォイさんが見ても、
そこには今の僕たちしか映らない。
手をつないで、ともに歩く。
「夏休み、私の家に来る予定だったね」
「うん」
大伯母も、渋々納得してくれた。
「ギルデロイ・ロックハートも、一応、我が家で預かることになった。ダンブルドアは驚くほどあっさり許してくれたようだよ。なにやら私たちに後ろめたいことがあるらしい」
「そうなんだ、よかった。あと、ありがとう」
ロックハート先生は、何かを書いて考えをまとめたいと言っていた。
本人の文才もあるし、もしかしたらまた小説を書き始めるかもしれない。
ロックハート先生が実際にどういったことをやってきたのか、ボクには知る手段が無くなった。
あの大きすぎる忘却呪文は、末端さえ回復困難なほどにロックハート先生の記憶を消してしまっている。
でも、
『もっと早く、君が、私の前に現れて────』
ボクはひどく傲慢な人間かもしれない。
これで良かったかもしれないと、思ってしまったのだから。
「予行練習が必要だね」
「何の……?」
「…………」
マルフォイさんは、ボクの言葉に薄く笑うだけだった。
相変わらず無表情ながらそこに質朴な感情の変化がある。
ボクの胸の奥が、なんというか、ぽわぽわとした。
「マルフォイさん」
「どうしたのかな」
「なんで、さっきから同じ場所を行ったり来たりしているの?」
さすがに気になった。
迷っているにしては、足取りに迷いがなかったから。
「日記は私にいろいろなことを教えてくれた。
それは知恵で、知識で……」
立ち止まったボクたち。
いつのまにか、壁に、さきほどはなかった扉が現れていた。
「必要の部屋、というらしい」
「必要の部屋……」
「その人が必要とする部屋を、その内部に構築する」
すごい、そんなものがあるのか。
だとしたらマルフォイさんは、何を必要としているのだろう。
ガチャリ、と扉を開けた。
その先に、
必要の部屋にあったものは──────
「ベッド?」
野戦病院のように並んだ、純白の、いくつもの大きなベッドだった。
「マルフォイさん、これって──────」
言い切る前に、
ボクの唇は塞がれた。
ベッドの上に投げ飛ばされ、
既にネクタイを緩めていたマルフォイさんが、ボクにのしかかった。
完
当作の一番のやばいやつはダンブルドアです
マルフォイ
【挿絵表示】
ルシウス・マルフォイ
【挿絵表示】
セブルス・スネイプ
【挿絵表示】
トム・マールヴォロ・リドル(ヴォルデモート)
【挿絵表示】
アル・ムーディのほぼ使っていないメモ帳
1p
9と3/4番線 乗り間違えない
マルフォイさん 6月5日
ハリー・ポッターと賢者の石
ハリー・ポッターと不死鳥(フェニックス?)
ハリー・ポッターと半熟のプリン おいしそうです
ハリー・ポッターと穢れた血
ハリー・ポッターとスリザリンの継承者(自信あり)
寝る前にマルフォイさんのイヤリング外す
布、針買う
ロックハート先生
ライラック色 手袋既に持ってたハンカチ
油断大敵!
油断大敵
油断大敵 油断油断
2p
拝啓、お義母様へ
拝啓、マルフォイさんの母上へ
拝啓、ドラコさんの母上へ
お世話になっております、アルでございます
拝啓、ご母堂様
ドビーさんにわたす靴下。マルフォドラコさんといっしょに決める
ロックハート先生をお風呂に入れる
3p
キュレット 飲む前に匂いを嗅いでない なぜ?
分霊箱で乗っ取り?ポリジュース薬。
『全員女体化しているホグワーツ』はここで一旦完結です。
ドビーは円満退社。ルシウスが闇から離反。未来視絶対先制持ち対アバダ兵器主人公が参戦することになり、ヴォルは終わりです。クラウチジュニアがいなければ。
支援サイトにR18後日談を投げたりすることはあるかもしれませんが、ストーリーとしては一応ここで区切りとします。
昔の構想や原作をひっくり返しながら執筆し始め、中途でランキング計算方式ミスや低評価爆撃で失墜しましたが、それでも多くの方に読んでいただけて幸いでした。
この作品をきっかけとして原作を読み始めた方や、初めて映画を視聴した方もいらっしゃるようで、二次創作の作者としてこれ以上の誉れはありません。原作未読の方でも読みやすいよう、少しずつ修正も加えていく予定です。
完結に際し、またオリジナル作品や、ご依頼いただいているお仕事に戻ることとします。
ぽぶきちより。