全員女体化しているホグワーツ   作:ぽぶきち

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8話 賢者の石

 

 

 

 

 ダンブルドア先生。

 

 この学校で一番偉い人。

 

 彼女がボクに次の言葉を放つ前に、影が向こうから近づいてきた。

 

「ミスター・ムーディ。これはどういうことですか」

 

 マクゴナガル先生だ。

 ありえないという顔でボクを見つめてきた。

 

「なぜあなたが罰則に参加しているのです」

「ああ、ええと…………」

 

 ボクはまた質問に困った。

 言ってしまえば、ボクがマルフォイさんを探そうとしたのは直感だ。

 

 なんとなく、そんな気がしたから。

 なんて言葉では到底納得を得られないだろう。

 

「先生、アルは、ユニコーンの血を啜った誰かから私を守ろうとしたのです」

「おだまらっしゃい」

 

 マクゴナガル先生は、マルフォイさんの言葉に耳を貸さなかった。

 

 代わりにハグリッド先生が、ボクが伝えたことをそのままマクゴナガル先生に言ったが、彼女の表情は固いままだった。

 

「あまつさえ減点したばかりだというのに寮を抜け出し、さらには禁じられた森に入るだなんて……」

 

 くちびるがわなわなと震えている。

 怖い。

 ボクは変身術でカエルに変えられてしまうかもしれない。

 

「マルフォイさん、カエルになったボクでも隣りにいていいかな?」

「もちろんだとも。でもどういうこと?」

「話を聞いているのですか!」

 

 マクゴナガル先生の気迫に、ボクたちはビクリとした。

 

「スリザリンに100点の減点です! このような危ない真似は許されません」

「その必要はあるまいよ、マクゴナガル先生」

「アルバス!」

 

 ダンブルドア先生は、どうやらマクゴナガル先生とは違う意見のようだった。

 

「この子は、真に友のために戦ったものだと考えておる」

「…………だとしても、危険な行為です」

「そうじゃ、危険な行為じゃ。じゃが、生徒には平等に接さねばならん。

 ────勇敢な女の子たちがトロールに打ち勝って加点されたなら、同じくらい勇敢な男の子も加点されるべきじゃ」

 

 ダンブルドア先生は続けた「少なくとも減点されるべきではない」。

 

 何のことかわからなかった。

 少しだけ、その場にいたハリーさんたちが背筋を正したような気がした。

 

 そういえば、

 少し前にトロールが校内を歩き回ったということで大問題になったっけ。

 みんなが避難のために廊下にごった返したのを覚えている。

 

 あのときは、人混みにもみくちゃにされそうになったのをクラッブさんとゴイルさんにガードしてもらったのだった。

 

「そもそも、こんな小さい子がどうやって闇の魔法使いをしりぞけるというのです」

「この子は、あの闇祓い、ムーディの愛弟子じゃ」

「ムーディが、弟子などとるはずが……」

「じゃが一緒に住んでおる。フクロウ便を送った君ならわかっておろう」

 

 どうやら先生たちは、大伯母さんのことを知っているらしい。

 大伯母さんはことあるごとにボクに死喰い人をどれくらい捕まえたのかという武勇伝を語ってくることがあったが、もしかしたらあれは事実だったのかもしれない。

 

 義眼を掲げて「これが教訓の対価だ」と言う大伯母をうさんくさい目で見ていたが、その評価を改める必要があるかもしれない。

 

 マクゴナガル先生は、ふーー、と長く息をついたあと、ゆっくりと頷いた。

 

「そこまで言うなら従いましょう。ですが、今後同じようなことがあれば容赦はいたしません。何かあったときは、まず私たち教師を頼ること。いいですね」

「わかりました」

 

 マクゴナガル先生の語調には、怒りよりも諌める気持ちが多く含まれているように感じた。

 彼女が激情だけでものを言っていたわけではないことを、組分け帽子を被せられたことのあるボクはわかっている。

 

「では少し、アルと話がしたいが、いいかの?」

 

 ダンブルドア先生は、みんなを帰して、

 ボクだけを残らせた。

 

 こっちのほうがマクゴナガル先生より怖かった。

 

 ボクを気にして何度も振り返りながら去っていくマルフォイさんに手を振って、

 覚悟を決める。

 

「どうして、ドラコの危機に間に合うことができたのか、儂はわかっておるよ」

 

 ダンブルドア先生は微笑んだ。

 

「君には、未来が見えるのじゃろう」

 

 言われて、はっとする。

 確かに、ボクが禁じられた森へ向かうのにはかなりの時間がかかった。

 虫のしらせや遠くの物事を知る直感のようなものだと思っていたが、未来を見るという表現は、なんとなくカチリと嵌まる。

 

「儂のともに優秀な魔法生物の学者がおってな、彼は無知な儂にも、多くを教えてくれた」

 

 腕を後ろに組んだまま、ダンブルドア先生は言った。

 

「魔法生物とはおもしろいもので、儂らの使う魔法よりもずっと自由なことがある」

 

 どういう話なのだろうか。

 結論が見えず、ボクはぽかんとしながら先生の話の続きを待った。

 

「君は、未来を見ることができる魔法生物を遠い祖先に持っておるようじゃ」

 

 ん?

 

 もしかして、とんでもないことを言っているんだろうか?

 

「初めは、ムーディ……失礼、君の大伯母が使っているものと同じ、義眼を用いた透視かと思っておった。じゃが、君のその綺麗な白い目は、義眼ではあるまい」

 

 ボクは、自分の目、片方だけ白い瞳をした目元をなぞった。

 

「似たような力を持った者を、儂は知っておる」

 

 どこか懐かしむような顔をしながら、ダンブルドア先生は言った。

 

 そこで初めて、

 ダンブルドア先生は、後ろにまわしていた手を、ボクに差し出した。

 

 その手中には、何かの破片のようなものが握られている。

 

 渡されて、

 手に持って、裏返して気づいた。

 

 これは、予知のなかでマルフォイさんが持っていたものだ。

 

「それを、ドラコに返してもらえんかの?」

「でも、どうやってこれを……?」

「森で拾ったのじゃ」

 

 もしかして、

 ボクたちがここに来る前に、ダンブルドア先生は禁じられた森に一度入って探索したということだろうか?

 

 だとしたら凄まじい話だ。

 

 最も偉大な魔法使いと言われてるが、その異名も誇張ではないかもしれないと思わされる。

 

 ダンブルドア先生が、なぜか裏返しで渡したそれを見る。

 

 鏡の破片のようだ。

 空間を割ったような形の破片の奥にいる鏡像のボクが、こちらをみつめていた。

 

「その奥に何が見えるかの?」

「ボクがいます」

「いつかの、理想の自分かね」

「いえ、今の、普通の自分です……?」

 

 そう返すと、

 ダンブルドア先生はしばらくどこかを見つめたあと、鷹揚に一つ頷いた。

 

「そうか。

 君ならば、未来を見る力を正しく使えるかもしれん」

 

 どういうことなのだろう。

 

「切り取った真実は、それだけでは真実たり得ないということじゃ。

 重要なのは、儂らが触れて、学べる真実なんじゃよ」

 

 ダンブルドア先生は、満足そうな顔でその場を去ろうとした。

 

 そこで、ボクはハッとして呼び止める。

 

「先生、一つ」

「なにかね」

「禁じられた森にいた魔法使いは、杖の先を損傷しているはずです。もし、ホグワーツのなかにいるなら、杖を見ればわかるかも」

 

 先生は、「確認しよう」と言って、今度こそ本当に立ち去った。

 

 

 

 ‐‐‐

 

 

 

 今年度が終わった。

 

 

 ダンブルドア先生と話したあと、ボクはマルフォイさんに鏡の破片を渡したが、彼女はひどく驚いていた。

 

「これは違うんだ」

 

 と言われたが、ボクには良くわからなかった。

 

 学年末の寮対抗杯の結果発表では、

 なんとグリフィンドールの優勝だった。

 

 直前で、ダンブルドア先生によって、

 グリフィンドールに170点が急遽加算されたからだ。

 

 ハリーさん、ロンさん、ハーマイオニーさん、ネビルさんに、

 それぞれ60点、50点、50点、10点が与えられていた。

 

 なぜそうなったのか、みんな知っていた。

 とある噂が広まっていたのだ。

 

 ダンブルドア先生を始めとするホグワーツ教師たちは、ニコラス・フラメルという人とダンブルドア先生が共同で開発した秘宝、"賢者の石"をホグワーツに隠していた。

 資格を持つものしかその在処にたどりつけないよう、教師それぞれがそれぞれの方法で試練を作り、その奥に賢者の石を隠した。

 

 だがそれを、クィリナス・クィレル教授に突破された。

 

 そしてさらに、ハリーさんたちがクィリナス・クィレル教授を止めるため力を合わせて試練を突破し、追いつき、戦った。

 

 ハリーさんたちによって、クィリナス・クィレル教授は打ち倒されてしまったらしい。

 

 ただ、問題だったのが、

 クィリナス・クィレル教授の部屋から、闇の印が見つかったことだ。

 教授は、どこかに手紙を出そうとしていたようだった。

 

 そこには、

 

 "ヴォルデモート卿はまもなく復活する"

 

 と書かれていたらしい。

 

 また、

 教授の杖の先端は、加工の痕跡があった。

 削れた先端を、そう見えないように丸めたようだ。

 

「君はどうするんだい」

 

 少し落ち込んだ様子のマルフォイさんが、ボクに尋ねた。

 

「どうするって?」

「もし本当に名前を言ってはいけないあの人が復活したなら、みんな…………」

 

 言いたいことはわかった。

 

 スリザリン生のなかには、元死喰い人も多い。

 ヴォルデモート卿の側につくのか、そういうことだろう。

 

「でも、ボクの大伯母が許さないかな」

「大伯母さんは、どんな人なんだい?」

 

 少し迷ってから、マルフォイさんに、説明した。

 ボクの大伯母、アラスター・ムーディについて。

 何人もの死喰い人をアズカバンに送ったらしい、高名な闇祓い。

 

「…………そうか」

 

 ベッドの上、

 帰り支度はすでに整えたそこで、

 

 ボクとマルフォイさんは仰向けに寝転がっていた。

 

 マルフォイさんが、ぐるりとボクに向き直る。

 

 そして、胸元にぽすんと顔を埋めた。

 

「夏休みが終わったらまた会おうね」

「む…………」

「…………」

「…………」

「マルフォイさん」

「む……?」

「服のなかに入ろうとしないで」

 

 ボクのシャツを半ばまで脱がし中に侵入しようとしたブロンドヘアーをおさえながら、

 

 また始まるであろう、大伯母のスパルタな日々に思いを馳せた。

 

 

 

 




ボツになった挿絵もほしいと感想にありましたので、下記に置きます。

マルフォイ・ゴイル・クラッブ

【挿絵表示】


ゲラート・グリンデルバルド

【挿絵表示】



挿絵一覧はマイページのここから見たりもできます
https://syosetu.org/?mode=img_user_gallery&uid=506273
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