駒王学園で生徒会長を務めるソーナ・シトリーは気苦労の多い悪魔だ!学園では兵藤を含む変態たちが騒動を起こし女子生徒たちを泣かせてしまい被害者たちのケアに尽力し、幼少期の頃から幼馴染であったリアスも引き起こす側の悪魔なので事後処理に追われる。しかも『魔獣創造』の神滅具を持つ後輩が現れたことで自分たちと対立しないように動く必要がある
「(…酷い顔ですね)」
コンパクトの鏡に写る顔は疲れきっている。生徒の見本になる立ち振る舞いをしているのもあるが表情に出てしまっていた。眷属になって日が浅い匙は、何とかしたいという気持ちはあったが手段や方法が見当たらない日々に心を痛めていたが轟と出会ったことで計画を実行する
「会長!」
「……っ!、もう校舎の見回りは終わりましたか」
4回目に呼びかけられてようやく気付いたソーナは頭が働いていないことに気付いた。そして喉を潤そうとして紅茶のカップを傾けたが中身は入っていなかった
「大丈夫ですか?休んだ方が―――」
「これぐらい平気です!あとは私が」
しかし彼女の体は限界を迎えていた。突然の目まいで視界が歪み立っていることが難しくなり座り込んでしまった。生徒会室に遅れて到着した匙は、轟がまだ学園内にいるか確認をすると図書室で桐生から日本史を教わっていたので計画の実行をする旨を伝えた
「なにを…匙、いったい!これは?」
「動かないでください、決して変なことはしませんので」
アイマスクを装着されたソーナは困惑するが副会長の椿姫が止めなかったので信じることにした。きっと肩でも揉むのかと思って力を抜くと変な浮遊感に陥った
「………………………?」
自身の羽を動かして空を飛ぶのとは違う感覚に心が落ち着かない、いったい何が起きているのか予想するが音だけでは分からない
「とっても構いませんか?いったい何が」
「私が外しますので動かないでください」
椿姫がソーナの背後に立ってアイマスクを外した。瞬きをして視界を確保し自分の身に何が起きているのか調べようとしたら彼女はスライムの中に包まれていた
「…っなぁ、えっああぁええ!いぇええぇぇぇ?」
首から下が半透明のスライムに取り込まれていた。全く考えていなかった展開に思考がバグを起こしてしまい正しい言語が口から出ることはなく驚いていた
「さっ……さじ、これはははははいいっ、いったい何が?」
「落ち着いてください、それは廿六木の創った魔獣です」
「まっ…ままぁ、魔獣?まさか食べ」
消化されてしまうのかと思って暴れるが身動きは全く出来なかった。しかし不思議と嫌な感覚はなく段々と気持ち良くなっていく、それは大浴場で足を伸ばして深呼吸をするような気分で癒されるような気分だった
「ヒーリングスライムとでも名付けるかな」
「いったい、廿六木君これは?」
アイマスクをしている最中に入室した轟が、匙の隣に立ってソーナを包んでいるスライムの説明をした
「仙術と『魔獣創造』を掛け合わせたですって?」
未だにスライムの中で浮かんでいるソーナは驚きの声をあげていた。轟の仙術は戦闘向きではなく傷や怪我を癒す方が得意である。とは言ってもアーシアの持つ『聖母の微笑み』とは雲泥の差で効能の良い温泉レベルの代物で
「これは酸素カプセルみたいなものですか」
クタクタに疲れ切った体から疲労を抜き取る魔獣で匙も体験していた。効果を知ったことで学園の生徒のために身を粉にして働く自身の主を癒すために頼み込んだのである。眷属たちに心配をかけたことを謝ったソーナは再びアイマスクを装着し夢の中へ旅立つのであった
「あの…ヒーリングスライムじゃなくて『ホイミン』にしませんか?」
「やっぱスライムだから『リルム』に一票」
お好きに呼んでくださいとしか言えなかった。彼女が目覚めるまで副会長の椿姫が陣頭指揮をとり残っていた仕事を片付けるのを轟はスライムを維持しながら『転生したお蝶夫人は青春学園テニス部の補欠にすらなれない時代の敗北者じゃけぇ』の電子版を読んで時間を潰すのであった
「おはよう轟ちゃん」
しばらくは平和な日々が続いた。ソーナの尽力も相まってグレモリーたちは彼に関わることはしなかった。なおリアスはライザーとの婚約が破棄されたことに喜んでいたが冥界で暮らす彼女の両親は皮算用が外れたことに頭を悩ませている
「ちょっとこれ見てよ」
「変態野郎の動画をスマホの中に入れたら故障するぞ」
「いつものように辛辣だね」
桐生が見せてきたのは兵藤が泌尿器科クリニックの前で右往左往している映像でガニ股で扉の前に立って開けようとするが踏ん切りがつかず遠くに行ってしまう内容だった
「もしかして出会い系サイトに手を出しちゃって、女の子から貰ったんじゃないの?」
「そのまま腐った方が駒王どころか世界平和になる」
彼がそこにいる理由を知っている轟だが答えは口にしなかった。しかし兵藤の性欲を減退させたり安全装置を装着せずにやったことで病気を移して不能にさせた人がいたらノーベル平和賞を与えても良いと思った
土曜日なので半ドンで授業が終わった轟は公園の東屋で紙の地図を広げていた。それは彼が周辺地域に解き放っている鳥型魔獣の行動範囲を記載した地図で、未開拓の地を選定する作業に勤しんでいた
「(西側は高齢者が多いし、あまりキャッシュレス化に対応してないよな)」
力を操れるようになった当初は無作為に選んでいたが今では思考を巡らせて効率化を目指している。年齢の高い層はバーコード・カード決済を嫌悪し、現金払いを神と崇めているので落ちている小銭の量も多い、また夜のお店が多い繫華街もアルコールで酔っぱらってしまい財布のチャックが緩くなるサラリーマンもターゲットにされている
「(あまり人のことは言えないな、俺も)」
やってることはネコババである。これはまだ轟が『魔獣創造』のを発現する前のことで幼稚園へ向かう通園コースに落ちていた100円玉が誰にも拾われずに放置されていたのがきっかけだった。小さい子供にとって銀色に輝くコインは大人からみた1万円に匹敵する大金である。拾わないのであれば自分が拾ってしまえば良いと思ってしまった
正当化するつもりはないが、落ちている金銭を使って微弱ながら経済を回していると言い聞かせていた。師匠にこのことを伝えたときに怒られると思ったが笑い飛ばしてくれたのは拍子抜けしてしまった
「(今日はホストクラブを重点的に狙ってみるか)」
地図を畳んで東屋の外に出ると空中でフワフワと浮いている茶色の紙きれを発見した。轟は小鳥を創造し羽ばたかせると紙を口に咥えて手元に帰ってきた
「ラッキー、やっぱり千円札じゃん!」
偉人の顔が印刷された日本銀行券である。ピン札だと風で飛んでいくのは難しいが適度な皺でくたびれていたら遠くの方まで飛来することは珍しくない、飛ばしてしまい紛失した人には悪いが名前の書かれていないお札で個人特定をするのは不可能に近いことだ
「♪~♪」
幸先良いスタートを切った轟は鼻歌を奏でながら千円札を折り曲げてポケットに入れると、遠くの方から白いローブを纏った2人組が全力疾走で突撃してきた
「金…わた、じたちの……ハァ…ハァ、最後のかぁ」
「見た、よ…かえじ、かえしぃぃて、それはぁぁ」
マラソンなのにスプリント選手並みの速度で走ってきたのか死にそうな感じで息を吸込み、血走った目で見つめている
「もぉ…だぁ、」
「わだじも―――」
酸欠なのか2人はその場で倒れてしまった。とりあえず救急車を呼ぼうとしたが2人のお腹から特大の空腹音が聞こえてしまい連絡先を切り替えることにした
エクスカリバー編に突入しました。轟君の師匠って仙術を教えた人外なので分かりますよね?
この章で登場させようと考えています
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
作品評価もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
通常神滅具状態で虫や爬虫類も『魔獣』として括りに入れていいのか?
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問題無い!本人が魔獣と思えば創れる
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虫や爬虫類は『獣』じゃないからNGだ