「変態のトラブルメーカーに絡まれるなんて悲惨としか言えないな、なぁ平手打ちされた時の写真ってないのか?」
「あったらLINEで送っていたよ、記録に残らなかったけど記憶にはちゃんと残したさ」
スカウトを断った日から轟は匙と下校するようになった。駒王町の見回りを兼ねた護衛でありリアスたちが彼を眷属として引き入れるために闇討ちをしてくるのでは?という可能性を見越しての行動で、種族の違いはあれど同い年で互いに神器所有者というシンパシーもあり打ち解けるのに時間は掛からなかった
「『黒い龍脈』それが匙の神器なのか」
「発現したときは、"俺には凄い力があるんだ"って思ったんだけど、兵藤や木場みたいに攻撃力は無いし廿六木のように魔獣を創ることも出来ない、それでひねくれちゃったけど会長が『貴方には貴方の良さがあります。力で負けていても他で勝てば良いのです』って」
「指導者の鑑だな、長所や得意なことを伸ばすのは必要なことだ」
「実はこの神器って伸びるんだよ」
匙の所有する『黒い龍脈』は神器から舌状のラインを伸ばし対象を捕えることが出来る。これだけではダメージを与えることは出来ないが相手の魔力を吸収したり逆に送り込んで内部から破壊することが出来る
「グフのヒートロッドみたいに扱えるのか」
「空中で真っ二つにされるのはゴメンだな!」
火力という点では劣るかもしれないが敵の倒し方は千差万別である。レベルを上げて物理で倒せれば苦労はないが学校の先生を目指すのであれば知識の幅は広いことに越したことはない、2人は幼稚園で守衛を務める男性に迎えにきたことを伝えると弟の元悟が先生に連れられてやってきた
「先生に"さようなら"の挨拶は?」
その言葉に元悟は小さく頭を下げて兄の足元に抱き着いてしまった。まだ誰かに甘えたい年頃で両親のいない家庭なので必然的に求めてしまうのだ、やれやれとした表情で彼は弟を肩車するとカバンを轟に預かってもらう。そのまま帰宅したいところだったが買い物を頼まれていたのでスーパーに立ち寄ることになった
「元悟…危ないから下りてくれ」
「…やだ」
タイムセールの時間が迫り店内が主婦の殺気で溢れかえっていた。流石に肩車の状態で戦場に飛び込むのは危険だが離れようとはしなかった。轟は人目につかないところで魔獣を創って『下りてきたら渡す』と言ったが小さい手で引ったくってしまい駄々をこねた
「元悟!」
「俺が買ってくるから外で待っててくれ」
「すまん、これがリストだから」
これ以上の押し問答は時間を無駄にする。年長者が園児のワガママに折れる形となって歴戦の猛者が集う鉄火場に足を踏み入れて高難易度のミッションに挑んだ!そして兄弟はスーパーから500メートルほど離れた公園で轟が戻ってくるのを待っていたが、怪しい影が2人のことを見つめていることに気付いていなかった
「(甘えてばっかだな)」
公園のベンチに座る匙は先のことについて考えていた。堕天使や聖剣についてはソーナや町を管轄するリアスたちが決めることなので口出しをするつもりは無い、彼は自身の将来について模索していた
「(俺には何が出来るんだ?)」
主の目指す夢を叶えるために何をすればいいのか分からなかった。まだ自分たちは実践の場を踏んでいない、生徒会室で試合の映像を見せられたがスケールが大きすぎて想像が及ばず霧の中を歩くような感覚だった
「(ゲームに勝って名を上げる?勝つためにはトレーニングを積まなければならない、どんなトレーニングをすればいい?この神器でどうやって戦う?)」
NARUTOで表現すると彼に求められるのはシカマルの立ち位置なのだが、匙は彼のように戦略家でもなければ頭脳明晰とは真逆の立ち場にいる
「(自分の良さか………)」
視線の先には弟が頭に轟の創った魔獣を乗せて砂遊びをしている。せめて下の妹弟たちの前では強くてカッコいい兄でいたいと誓った
「あれぇ?なんでこんなところに悪魔なんているんですかぁ?」
「………っ!」
声に反応して振り返った瞬間に殴り飛ばされた。くすんだ銀髪で人を見下すような目つきの青年は持っていた剣で肩を叩きながら近付いてくる。明らかにヤバい雰囲気に匙は地面に尻をついたまま後ずさりをしてしまう
「そんな風にされちゃうと傷ついちゃうねぇ、まぁいいですよ!どうせすぐにお別れですからねぇ! ヒャハハハ!」
「逃げろ!元悟‼」
最優先は弟を守ることだがアニメや漫画みたいに振る舞うことは出来ない、この場から逃げてもらうために大声で叫んだが金縛りに陥ったように動けず泣いているだけだった
「うるさいガキんちょを先にやっちゃいましょうか、運が良かったら神様に会えちゃうかもしれませんよ!」
「元悟!」
ニヤニヤと笑いながら剣の腹を舐めている。匙は自身の腕に『黒い龍脈』を顕現させるとトカゲのような口先から紐が伸びて襲撃者の足に巻き付けて進行を食い止めた。相手の意識を自分に向けさせることが出来れば弟が助かる確率は跳ね上がる
「ヒャハハハッ!無駄なあがきですねぇ、そんなオモチャみたいな神器で―――」
『エアァァァショット!』
男の後頭部に空気砲が直撃した。その瞬間に匙は力の限り腕を引くと相手はバランスを崩して背中から倒れてしまった。今度は上空から連続して空気砲が撃ち込まれたが両腕を使って防がれてしまいダメージを与えることは出来なかった
「おっとぉ、危ない危ない!今のはちょっと驚きましたよぉ!まさかこんなペットがいるなんて僕チンびっくりだ」
立ち上がって砂を払うと持っていた剣で繋がっていたラインを容易く切断した。まだ泣いている弟の前に立った兄と魔獣は壁になって守ろうとしている
「まさか…それは?」
「いいですねぇ!その顔、その反応!さぁて、そろそろ本気でイッちゃいましょうか!」
輝く剣から発せられる光を受けて吐き気を催してきた。匙はそれが今回の騒動である聖剣であることを肌で感じてしまった。木場を襲ったのも目の前にいる奴だと思われるが想像を繰り返しても勝てるビジョンが思い浮かばない
「そんな怖い顔しないでくださいよぉ。せっかくのお楽しみなんですから」
「ラインよ!」
相手を拘束するために再び伸ばしたが簡単に避けられてしまったが、延長線上にあるゴミ箱に付着させるとモーニングスターのように振り回して攻撃しながら近寄らせないようにしている。魔獣も援護するように頭上から空気砲を放つが寸前で躱された
「おやおやぁ?連携ですか、立派ですねぇ!ボクチンそういう真面目なのを見ると邪魔したくなっちゃうんですよぉ!」
「ちょこまかと」
必死で次の手段を模索する。本気と口にしていたが明らかに遊んでいるのが目に見えて分かる。見くびっているうちに最善の手を思いつかなければ死神の鎌が命を刈り取ってしまう
『エアァァァショット!』
「アッハハハハ!最高、最高―――」
魔獣の放った攻撃を聖剣で真っ二つにする。その隙を狙って匙はゴミ箱をラインから離して投げつけるが片手で側転しながら軽々と避けてしまったが、その瞬間に魔獣の体当たりを顔面にくらった
「いいじゃないですか。そうでなくっちゃ、つまらない!」
爆発的な加速力で接近してきて聖剣を振り下ろしてきた。避ければ後ろにいる弟が標的になってしまう。彼は咄嗟に相撲の立会いのように体を低く屈ませて突進を繰り出した
「ぐうぅっ!」
敵の加速に対して体当たりで自身の肩の骨を食い込ませたことでカウンターを与えることに成功した。内臓を圧迫させて苦悶に満ちる表情を見て満足してしまったが、気が緩んでしまい聖剣で切り付けられ体から力が抜けてしまった
「ハハハッ!いやぁ、参った参った!まさかこんなラッキーパンチで喜ぶなんて案外ハッピーな脳みそなんですねぇ、かち割って見させてくださぁぁい!」
「……会、ちょう」
「ア゛ッ!」
終わりを悟った匙は目を閉じてしまったが痛みに襲われることはなかった。きっとそれすらも感じずに召されたと思うが直前に大きな足音と激突する音が聞こえたので、確認をするためにゆっくりと目を開ける
「大丈夫か!」
「とど…廿六木」
長ネギが飛び出しているレジ袋を持った轟が現れた。そして遠くでは聖剣を持った男が吹き飛ばされたのか地面に横たわり近くにはサイがいる。前脚で地面を掘るアピールをしながら興奮を発散していた
「遅れてすまない」
「元悟は!どこに?」
弟の方も無事だった。彼の近くには空気砲を放った魔獣の他に3体の猫型魔獣が取り囲むように守っている。その様子を見て緊張の糸が切れた匙は肩を下してようやく安心した
「ヒャハハハ!ヒャハハハ!何だよなんだよサイって、ここは動物園かぁ」
「お前が木場をやったのか?」
聖剣を杖にするように起き上がった男は狂ったような笑みを浮かべながら轟たちを見つめていた。待機していたサイが再び突進するがジャンプをして避けてしまう
「あの弱っちぃクソ魔剣士のこと?もちろん僕チンのお手柄でやっちゃいましたぁ!まだ生きていますよねぇ?ちゃんと手加減したけど、あんなのでくたばちゃいましたか?」
懐から閃光弾を取り出すと地面に投げつけながら最後に捨て台詞を吐いて消えていった。退治したというよりも見逃されたに近い、とりあえず轟は魔獣を消して2人を送り届けることにした
フリードの口調ってもう少し狂った感じなのかな?匙君を成長させるためのイベントに近いですが今後どうやってスキルツリーを伸ばすか悩む、次はコカビエル戦になるかな?
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
作品評価もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
独自設定として神器・神滅具所有者は転生悪魔と同じように「言語」の壁が無くなる
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問題無い
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問題大有りだ