ピンク帽のダノンが勝つとは
コカビエルの引き起こした聖剣強奪からの騒動は収束を迎えた。木場の覚醒や終盤に参戦した白龍皇の活躍によって大規模な被害とはならなかったが、駒王学園の校庭を含め校舎や体育館は戦闘の余波で破壊されてしまった。本来なら事態を引き起こした堕天使側が修繕費を支払わなければならないのだが
「予算の都合で先にそっちで立て替えてくれないか、終わったら俺のところへ請求してくれ!」
堕天使総督を務めるアザゼルは町を管轄するグレモリー家へ丸投げしてしまった。悪魔の管轄する土地で自分たちが出張るよりも責任者たちに任せて最後に金を払えば問題無いと考えている。今回は身内が迷惑を掛けてしまった償いとして費用を青天井にしても構わないと述べていたが
「あなた…どうしましょう」
「サーゼクスにも頼んでみたが首を縦には振ってくれなかった」
学園の修繕は急ピッチで行わなければならない、業者に頼むとしても本来の予定に無理やり割り込んで職人たちへ負担を強いてもらうので通常料金よりも高額になってしまう。また学園だけではなくフリードの襲撃によって被害を受けた教会関係者に支払う慰謝料もあり、家計が苦しいグレモリー家にとって悩ましい問題であった
「ホテルを全て手放そう。今ならそれなりの額にはなるはずだ」
「もう一度、よくお考えになって…京都だけでも」
ジオティクス・グレモリーの妻ヴェネラナにとって京都のホテルは思い入れのあるもので、設計から室内の調度品に至るまでオーダーメイドの注文したことで莫大な費用が投じられていた。従業員の給料や税金を含め維持するだけでも小国の軍事費に匹敵する
「これ以上の見栄はグレモリー家を滅ぼしてしまう」
彼女の願いは届かず苦渋の決断を下したが設定した値段で売りに出しても買い手はつかなかった。これは秘密裏にバアル家が上級悪魔や貴族たちに"今は相手をするな"と口頭で伝え、現状より価格が下がるのを待つのを決め込む策であった
「………きぼち、悪い」
先日の再現を繰り返していた轟は洗面器に唾を吐きながら自室のフローリングを這っていた。何せヒーリングスライムで匙の治療を行ってから多くの大型魔獣を創造したことでリバウンド現象が起きていた。端的に言えばMPが尽きたからHPを消費して頑張ったツケに襲われたのだ
「大丈夫か?」
「……あまり、だいじょばない」
「廿六木先輩」
看病のために匙と小猫が訪れ身の回りのことを手助けしてくれる。小猫としては仙術について聞き出すつもりだったが弱っている彼の惨状を見て台所で土鍋と睨めっこをしていた
「そういえば、あの銀色のヤツは?」
「銀色…白龍皇のことか?アイツならコカビエルたちを捕縛して帰っていったぞ、お前宛ての伝言で『また会おう!』って」
「はく…おぅぅ」
再び洗面器に顔を向けて唾液を絞り出す。コカビエルたちとの戦闘が終わった直後に倒れてしまい気付いたときにはシトリー家の屋敷で翌日を迎えていた
「お前のおかげで木場も復活して全員が助かったんだ!俺の出来ることは少ないけど何でも言ってくれ」
「恩にきる…とりあえず、お粥を味見………している塔城の手を止めて、く…」
名指し呼ばれた彼女はビクッと反応した。塩加減を確認するために味見をしていたがしょっぱくなってしまったお粥を砂糖で中和し、再び塩投入しながら味見を続けてしまい土鍋の中は米粒しか残っていなかった
「ごめんなさい」
とりあえず匙の買ってきてくれたヨーグルトや栄養ドリンクをゆっくり咀嚼しながら胃の中へ収めていく、二日酔いを経験したことは無いが多分これと同じ状態になるんだろうと思う
「寝る…から、帰ってもいいぞ」
その言葉に匙たちは頷いて夕日が傾く前に部屋から出て行くと轟は経口補水液を含んで布団を被り目を閉じた。学園の方は不発弾の処理ということで、立ち入り禁止の看板が掛けられ特殊な結界により外からは健在の校舎が見えている状態であった
「(何か大切なことを忘れているような?)」
匙兄弟がフリードに襲われてから戦闘終結までフルマラソンを全力疾走する勢いで駆け巡ったことで重要な記憶が抜け落ちたように感じる
「(木場の後ろに……誰だっけ)」
微睡みながら思い出そうとするが疲労と倦怠感で億劫になってしまう。どこかで見たような顔が木場と一緒に戦っていた気がした。しかし三大欲求の睡魔に敵うはずもなく数分もしないうちに夢の世界へ旅立つ切符を券売機から抜き取った
趣味を笑われ教室内で浮いてしまい1人で遊んでいた。両親も共働きで帰ってくるのは遅かった。だからいつも裏山で魔獣を創って時間を潰しながらレパートリーを増やしていった。最初の頃はトレーディングカードからモンスターが浮き出るように創りあげ遊戯王のデュエルディスクみたく召喚させていた
『坊主よ『魔獣創造』の力は神にも悪魔にもなれる代物だ、お前がどんな道を歩もうとも口出しするつもりは無いが儂の手を汚させるようなことはするな!』
山の中で言い放った師匠の言葉が夢の中で巡る。神様は見たことはないが悪魔ならLINEで友達登録されている。きっと種族的な意味ではなく人々を助ける希望の力と傷つけ支配する暴力のことなんだと思う
「こんな時間か」
夢から醒めてスマホの画面を見ると夜の10時手前だった。ソーナや椿姫といった生徒会の面々からLINEの通知があり轟のことを心配する文面が並んでいる。それらにスタンプを押して返信していると空腹の音色が室内に響いてしまった。騒動が終わってから固形物を摂取していなかったので腹の虫も相当ご立腹のようだ、多少だるいが動けないほどではないので彼は部屋から出てコンビニへ向かうのであった
「君は―――」
「ゼノヴィア?」
コンビニの自動ドアからラフな格好でガリガリ君を頬張る女の子が出て来た。彼女は轟のことを一瞥すると最初に出会った公園へ来るように促す
「単刀直入に聞くが君は悪魔の仲間なのか?それとあの馬は―――」
東屋の下で購入した食べ物を広げながら質問を投げかけた。相方のイリナはフリードから受けた傷が深くアーシアの神器で癒すことはできたが大事を取って就寝をしてしまったので、彼女だけで銭湯へ向かいジェットバスやサウナで熱波を浴びて体を労わってきた帰りだった
「仲間じゃないな、知り合いで友達」
「友達か…」
「
「そうだ、私やイリナのように現場に立つことは滅多に無いが指導者として戦士たちへの育成に尽力されている」
ゼノヴィアは彼のことを真っ直ぐ見つめると深く頭を下げてきた。エクスカリバーを担保にして金銭を貸してくれたことへの感謝もあるが、自分たちの都合で巻き込んでしまった謝罪の意味も込められている
「今から来るか?」
「まだ向こうの銀行が復旧していない、近日中に振り込まれたら取りに伺う」
「早くしてくれよ、押入れを占拠して面倒だから」
「すまない」
その後は『魔獣創造』を含め互いの過去を語り合った。彼女は日本へ派遣された足でリアス・グレモリーが居座るオカルト研究部に向かい堕天使たちによって聖剣が盗まれたことを伝え、悪魔は手出しをするなと述べていた。そこでイザコザがありゼノヴィアは木場たちと戦うことになった
「あの兵藤という男は本当に赤龍帝なのか?」
木場がイリナと対峙し、彼女の相手は兵藤だった。彼の気持ち悪い視線は常に胸元へ集中し戦闘中も籠手を纏った左手で攻撃を繰り出してきたが、どさくさに紛れて触ろうとしてきたがカウンターの蹴りが股間へ直撃すると悶絶するように涙を流しながら気絶した
「日本の恥だな」
その恥は惰眠を貪り夢の中で卑猥な妄想を愉しみ涎を垂らしていることを知らない2人であった
エクスカリバー編の後日談になりました
原作とは違い、一誠の相手はゼノヴィアでした
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
作品評価もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
明日は金沢でJBC 頑張れ テンカジョウ
独自設定として神器・神滅具所有者は転生悪魔と同じように「言語」の壁が無くなる
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問題無い
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問題大有りだ