フェニックス編はこれにて終わり
「私は絶対に嫌ですわ!」
レイヴェル・フェニックスの叫びはライザー率いる眷属の総意だった。やはりと言うべきか人間界におけるグレモリー家の事業は傾きかけていることが判明する。各地に保有する宿泊施設は一等地に多く維持費の捻出で家計を圧迫していたが魔王を務めるサーゼクスが秘密裏に税金やポケットマネーで補填を行っていた。しかし年々膨れる赤字と浪費家のリアスが人間界へ進出したことで財布の中身は小銭すら残らない有様だった
事業が傾けば大半の場合はコストカットや規模を縮小するのが通例だが、慈愛のグレモリーと呼ばれる彼等は心を鬼にすることが出来なかった。売上げが落ちているのにも関わらず従業員に対して給与・賞与の満額支給を行い、提供するサービスの質も下げることはしなかった
観光業やホテル産業に進出した頃はバブル崩壊前のことで湯水のようにお金は消費されていったが弾けてしまうと人々は娯楽費などを削ってしまう。グレモリー家もキュリシス・グレモリーが当主を務めていた頃は彼女の尽力によって、修学旅行先の宿泊施設として団体割引などの制度を用いて黒字を保っていたがノウハウが現当主に継がれることはなかった
「我々も断固として拒否の姿勢を貫かせてもらいます」
表向きはこの婚姻は上級悪魔の名門二家が結びつくことで、純血悪魔の血統を後世に引き継ぐ重要な意味合いなのだがグレモリー家はライザーたちの財産に目を付けた。彼等しか生み出すことが出来ない回復薬である『フェニックスの涙』を用いた産業は衰え知らずであり、過去5年間では常に前年比の170%の売上げを記録している
「母上は躊躇っていたが兄上たちが父上を説得してくれたことで問題無く破棄の方向になる。今回のことを快く思わない者もいるが俺と一緒に歩んでくれるか?」
「我々はライザー様と共に生き、尽くして参ります」
ライザーの問い掛けに全員が強く頷いたことも背中を押す要因になった。リアスと結婚すればグレモリー家からATM扱いの搾取が始まり『兵士』の赤龍帝から性的被害を受ける日々に怯えなければならない、愛の無い生活は許容できるが奴隷扱いはまっぴらゴメンである。そして彼等はいち早くババ抜きからあがることに成功した
「悪いな休ドンなのに来てもらって」
駒王学園の土曜日は午前授業で終わる半ドン体制である。3年生は自宅だとスマホやネットの誘惑に負けてしまい勉強が疎かになるが、登校することで気持ちを勉強モードに切り替えることが出来るので受験生からは割と好評なのだ
「こんなことならいつでも呼んでくれてもいいぞ」
「手持ちがあまりなくて…そこまで多くないが」
「今回はサービスにしておくから、さっさとしまえ!」
暇を持て余していた轟は校門で待ち構えていた匙に対して怪訝な表情を向けていたが、いきなり頭を下げてきたので人手の少ないところへ移動すると頼み事をしてきた
『ポチャッ!』
『チョゲプリィイイイイイイイ!』
『ダネッフシ』
家庭の事情でゲーム機を買い与えることが出来ず、幼稚園児の弟が寂しそうな表情でテレビから流れてくるCMを見つめていたのを妹から伝えられた彼は、生徒会室で見た光景を思い出して轟に魔獣を創ってもらうことを懇願してきた
「にしても同い年なのに凄いな」
「会長のおかげで大分楽にはなったけど、いつまでもおんぶに抱っこじゃいられない」
匙の両親は交通事故で他界し既に頼れる親族はいなかったが、しかしソーナと出会ったことで所持している神器の力を見込まれスカウトされたことで彼女から支援を受けることが出来た。悪魔としての実績を重ねていないので今も単発のアルバイトで生活費の一部を稼いでいる
「一人前になってもバイトは続けるつもりだ!」
大金を稼げば生活は楽になるが有難みを失ってしまう恐怖に駆られていた。彼にとって贅沢とは満漢全席や豪華絢爛なフルコース料理を食べるよりも、特盛りの牛丼に生卵をトッピングして牛皿を追加注文することに重きを置いている
『ヘアッ!』
ヒトデ型の魔獣と戯れる彼の弟を見ながら道中で購入したコンビニ弁当を胃の中に収める。結局のところ道具や力は持ち主の在り方次第で変貌していくものだ!悪用するよりも誰かの笑顔のために利用するのなら差し伸べる手は少なからず持っている
「ちょっと相談なんだが、聞いてくれるか?」
「お好きにどうぞ」
許可をもらった匙はソーナが冥界ではなく人間界で学業を営む理由を話した
「…学校か」
「駒王で運営のノウハウを学んで冥界に学校を造るのが会長の夢で、俺も含めてだけど生徒会のメンバーは指導をする先生を目指しているんだ」
彼の主であるソーナ・シトリーの夢は、悪魔の身分や血筋に関係なく誰もが学べる『レーティングゲーム』の学校を冥界に設立することだ!そのゲームは悪魔たちが行うメジャーな娯楽であり、地球の競技で例えるのならサッカーやアメフトに近いもので単純なパワー比べではなく知略も求められる
「(魔王の妹なら貴族みたいなものか…ってことは専任の家庭教師や貴族オンリーの学校に通っていたのか、つまり平民に行き届いた教育ってやつか)」
匙は轟に対して『レーティングゲーム』の文言を省いて伝えてしまい彼は間違った解釈で脳内でストーリーを作り上げいった
「(選ばれた意識が強いからリアス・グレモリーみたいな馬鹿が誕生するのか)」
江戸時代の世に寺子屋が普及し読み書きそろばんが出来る人たちが増えた。出版文化の発達によって文字や数字に触れる機会が右肩上がりに上昇していく、大国との戦争が明治時代に勃発した頃には階級が一番下の海兵でも論文が執筆できるほど教育の質は向上していった
「先駆者というのは茨の道だが成功したときに得られるリターンは大きいぞ」
「だから頑張るんだ!」
微妙にすれ違っている。冥界にも一般人でも通える学び舎は存在し日本と同じように暮らしているが、轟の脳内ではソーナは貧しくて学校に行くことが出来ない家庭のために教育革命を行おうとしている高潔な悪魔だと思い込んでしまった
『プ~プププ~プ~ププ、プ~プ~リ~ン』
子守唄を聞きながらスヤスヤと寝息を立てる弟にタオルケットを掛けると、匙は戸棚から輪ゴムでとめられたカードを持ってきた。それは日本発祥で最も有名なカードゲームで用いるもので彼が言おうとしていることが何となく分かってしまった
「なぁ―――」
「ブラマジは無理だ!魔法使いは『人』と判定される」
「やっぱり試したんだ」
「男の浪漫だろ?」
自身の神滅具の使い方を理解したときに轟は匙と同じ考えに至ったが、彼の能力は『獣』の判定が必要であり夢は砕け散ってしまった。なお人の姿を模しているモンスターなら創造可能でドラゴンメイドを冠する面々を家政婦として運用したことがある
「そういえば会長から聞いたけど師匠がいるって―――」
「子供の頃に出会って神滅具のことや仙術について教えてもらったけど、そっちの方は才能がなくて相手の気を乱しても車酔い程度のことしかできないが、面白いことが出来るんだよ」
興味が勝ってしまった匙は彼の口にした『面白いこと』を体験する。しばらく考え込んだ彼は校門のときと同じように土下座の如く頭を下げて頼み事をするのであった
帰宅の準備をしていると物音で弟が目覚めてしまった。寝る前に自分と遊んでいたモンスターが消えてしまったことに泣き出しそうになるが今度は鳥系のモンスターで空を飛ぶことを約束すると服の袖で涙を拭いて笑っていた。どうやら完全にトレーナーだと思われてしまったみたいだ
「今日は7320円か…」
自宅に帰ってベランダに集まっていた金銭を確認する。最近は1万円を割り込むことが目立つようになり狩場を改めようか検討を始めていた。ソーナだって未開拓の道を歩もうとしているのなら自分も足踏みをするのではなく挑戦者になるべきだと心に火を灯す
「(どこで何をしているのかな?)」
匙と話したことで自分に仙術を教えてくれた師匠の顔を見たくなった。いいかげんなところもあるが出会ってきた人外の中で一番信頼できる存在である。亀とワニの魔獣を創造し浴室に水を溜めもらって汗を流すとドラゴンメイドたちを創って自身の背中に乗ってもらい足踏みでマッサージをしてもらうのであった
フェニックス編が終わりました。合宿イベントもこなしていないのでグレモリー陣営は原作よりも弱体化しています。遊戯王は駄目ですがデジモンだと人型を創造することが可能ですが性的なことはしません、やってしまうと自身が兵藤並みに落ちてしまうと自覚しているので
ちょっとした雑談ですが作品評価で「小説版Gガンを貶めたから・・・」というのがありましたが、小説版は色々とアニメと乖離してまして
・ドモンが生身でシャイニングフィンガーをする(まだギリ許せる)
・チボデーがバルカンで生身のドモンを攻撃する
・誤植が酷くて、スギハラ少尉がスビハラ少尉で東方不敗の「石破天驚拳」が「石破大驚拳」になっているところがありました(もしかしたら今は修正されているかも)
・Gガンダムというタイトルだけど、ゴッドガンダムは出ません
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
作品評価もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
明日は秋華賞、ファインモーションの再来になるか、頑張れモンローウォーク
通常神滅具状態で虫や爬虫類も『魔獣』として括りに入れていいのか?
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問題無い!本人が魔獣と思えば創れる
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虫や爬虫類は『獣』じゃないからNGだ