球技大会の時間
「夏ですなぁ」
「そうだね」
「梅雨って長いようであっという間だよね」
刃覇、矢田、神崎の3人で歩いていた。
「神崎さん、暑くないの?その黒タイツ。.....ア、セクハラジャナイヨ」
焦った顔の刃覇に神崎は微笑み応える。
「心配してくれてるんだよね、大丈夫。通気性のいい夏用だから」
「へえ.....」
「岡島くんとかだったらセクハラって言ってたかもね」
教室に着くと、球技大会の話で盛り上がっていた。
E組はエキシビジョンマッチで男子は野球部、女子はバスケ部と対決させられるらしい。
「野球ねえ.....そーいヤクザの幹部にピッチングマシン使って落とし前つけさせたって人がいるらしいんだ」
「!?!?」
「まあ映画の中の話なんだけどネ」
「びびらすな!」
「杉野はどうしたいん?」
「みんなで勝ちたい!!!」
刃覇は唐突に早脱ぎし、何故かギプスを取り付けた姿を晒した。
「「「だ、大リーグ養成ギプス!?」」」
「悪棲叔父さんお手製だ。ちゃぶ台もあるよ」
「今の時代殴ったりしたらアウトだからなぁ」
「「「無駄に用意周到だな!?」」」
「勝とうぜ。E組のみんなで!」
「ヌルフフフ、準備は万全ですね。それでは、殺監督が勝てる作戦とトレーニングを授けます。さあ、椚が丘の星になりましょう!」
当日。
序盤はE組が意外?な活躍を見せ嘲笑ってやろうとしていた本校舎の連中は心配そうに試合を見守っていた。
そこに、理事長が現れる。
「寺井先生。調子が良くないようですね」
「り、理事長!?私は全然元気で」
「風邪でもない限り、こんな醜態を晒すような指導者が我が校に在籍しているはずがない」
寺井先生は気を失ってしまい、搬送された…。
『理事長先生が指揮を取るようです!』
野球部がバントをやり出した。経験者と素人では雲泥の差だ。あっという間に追い詰められるE組。
「くっ....」
『E組よ!バンドとはこうやるんだー!』
と実況の荒木も調子に乗っている。
その時、杉野に交代の要請が入った。
「悪い刃覇.......少し任せ......誰!?」
「茂野ヤイ郎だ。」
野球漫画の主人公的なコスプレで現れた刃覇は声もご丁寧に森久○祥太○風にしている。
「色々まずいよ!?」
キャッチャーの渚がツッコミを入れる。
「大鯱翔heyの方が良かった?最強の二刀流アルヨ?」
「い、いや.......ヤイ郎で。しばらく任せた」
「ガッテン」
『1番、杉野君に代わりまして、17番、鯱刃覇くん』
「杉野の代理?あいつも素人だ、どうせまともな球じゃないだろ」
舐め腐りバントの構えをとる野球部員だが。
「オラァァァァ!」
ジャイロボールがバットをぶち抜いて渚のミットに収まる。
「!?!?!?」
「豪速球!?」
「刃覇くんは怪力の持ち主、少し訓練すれば超中学生...下手をすればプロに通ずるほどの豪速球を投げられますねぇ。更に!誰でも取れるようコントロール力もつけさせました」
「渚の腕は壊さないようにするよ」
「刃覇くん、どんどん投げて良いよ」
進藤が打席に入る。
「お。スーパースターご来店か。サービスはしないんでそのつもりで」
「素人の球など恐るるに足りない。進藤くん、「手本」を見せてあげなさい」
進藤は理事長に洗脳されているのか、集中力を高めていた。
「ウラァァァァッ!」
刃覇の豪速球は2度渚のミットにおさまった。だが.....
3球目。まさかのヒットをあげてしまった。
パワーとパワーが合わさり打球はグングン伸びていく。と、その時。
球が何かにぶつかり墜落してしまった。
「鳥....?」
なんとか二塁に留めることができた。
ここで交代だ。
進藤が投げる。が、刃覇は目をギラつかせ
「ブルァァァッ!」
刃覇はシャチのような気を放つと、叫んで思い切りスイングする。
「なっ!?ホームラン!?」
『素人のくせにホームラン打ちやがった!ボールはグングン伸びて場外へ!?』
刃覇は何故か荒木の方に向けてホームランの予告をし、ウインクする。
「ヒッ!?」
そして、杉野にバトンタッチ。
カルマと磯貝が超前進守備で進藤の前に立つ。
「気にせず振りなよ、スーパースター」
進藤は違和感を感じていた。これは野球なのか?と。
杉野の殺気を込めた変化球を怯えながら打ち、トリプルプレーのゲームセットだ。
『E組が勝ってしまった!?』
唖然とする本校舎の連中を差し置いて、E組は勝利に沸くのだった。
杉野と進藤が会話しているのを尊と矢田、神崎は目撃していた。刃覇は矢田からタオルを、神崎から飲み物を貰っており、飲みながら杉野と進藤の様子を観察していた。
「自慢したかったんだ。昔の仲間に、今の仲間を」
「そうか」
「杉野くん」
「か、か、神崎さん!?」
「かっこよかったよ、最後の投球。これ、飲み物」
杉野は憧れの神崎さんからものをもらえた嬉しさでひっくり返ってしまった。