親愛の時間
side烏間
訓練開始から4ヶ月が経過し、可能性のある生徒たちが増えて来た。
磯貝悠馬、前原陽斗。運動神経が良く2人がかりなら俺にナイフを当てられるようになって来た。
赤羽業。一見のらりくらりとしているがその目には強い悪戯か心が宿っている。
女子は体操部で軽やかな動きができる岡野ひなた、男子並みのリーチと運動力を持つ片岡メグが有力か。
鯱刃覇。彼の体術は群を抜いている。暗殺一族の末裔、しかも当代1の実力と聞く。
「!!!」
俺は自分の首元に絡みついてくる蛇のような気配を感じ、咄嗟に攻撃を弾いた。攻撃の主は....
「すまん!強く防ぎすぎた。立てるか?」
「あ、はい。大丈夫です」
潮田渚。小柄で温和.特質べきことはない、が…
今の得体の知れない気配は一体......
side off
授業の感想を言い合う生徒たち。
そこに、大量の荷物を持った大男が現れた。
「今日から烏間を補佐して働くことになった鷹岡明だ!よろしくな!E組のみんな」
スイーツを生徒たちに振る舞う鷹岡。そんな彼を見て刃覇はなぜか静かにその場を去った。
「どうした?刃覇?食いにいかないのか?」
「あれは餌だ。アイツ、とんでもねぇ本性を隠してるかもしれない」
「刃覇のこういう時の勘は大抵当たるんだよなぁ」
刃覇と悪棲は、生徒たちと交流を深める鷹岡を睨んでいた。
翌日
鷹岡は時間割を変更したと言い、新たな時間割を配布する。
夜9時までみっちりと訓練を入れていた。
前原が「無理だぜこんなの!」と抗議するが、なんと鷹岡は前原に膝蹴りを叩き込んだ。
「"できない"じゃない、"やる"んだよ。この世の中に父親の言うことを聞かない子供がどこにいる?」
「アイツ!」
刃覇はここで確信した。コイツの本性は真っ黒だと。
「お前は、父ちゃんについて来てくれるよな?」
神崎は震えながらも笑顔でハッキリと拒絶の意志を示した。
「私は嫌です。烏間先生の授業を希望します」
鷹岡はペロリと舌なめずりすると、神崎に平手打ちをかましてきた。刃覇は渚や杉野に神崎さんを頼むと指示を送ると、鷹岡の前に立つ。
「テメェ!今のはなんだ!」
「なにって、愛の鞭さ。文句があるなら拳で語り合おうか?」
刃覇も構えるがそこに烏間が割って入る。
「やめろ鷹岡!刃覇くんも落ち着くんだ」
「あなたの家族じゃない、私の生徒です。目を離した隙に何をやっている」
殺せんせーは怒りの表情を浮かべ鷹岡に迫る。
だが、教育論が違うだけで俺を攻撃できるのか?と煽られ一旦は様子を見ることに。
スクワットをやることになったのだが………
倉橋が体力の限界を迎えてしまった。
「....烏間先生〜....」
とほぼ泣きながら烏間の名を呼んだ。それをめざとく聞きつけた鷹岡が拳を構える。
「ダメじゃないか。烏間は家族じゃないぞぅ?お仕置きだな、父ちゃんだけを頼ろうとしない子は」
と、拳を振り上げた。が、届くことなく刃覇に受け止められ、弾かれた。
「ごめんな、烏間先生じゃなくて。よく言った。あとはオレに任せて」
「.......」
軽く頭をポンポンと撫でると、倉橋はその場にへたり込んでしまった。
近くの生徒に倉橋を任せ、刃覇と鷹岡が対峙する。刃覇は上着を脱ぎ捨て、シャチの気を放出する。初手から本気を出すようだ。
「ぶっ殺す……!!」
「かかって来なさい!……キミのせいで一族が表立って活動できないかもねぇ?」
そして2人が同時に駆け出し、殴り合う。
「ダダダダダダダ!」
最初は刃覇が攻める。
「はははッ!いいパンチだなぁ。でもな?」
痛恨の一撃が刃覇をとらえた。
「ガキと大人じゃ馬力が違うんだよ!」
「刃覇!!」
矢田が悲鳴に近い声をあげる。刃覇は諦めずにラッシュを仕掛けるも耐え抜いた鷹岡からの反撃が来る。
「追い詰められてる!?」
「一族に汚名を着せたくないなら分かってるな?みたいなこと言われてた」
「暗殺一族がただの殺人鬼一族に成り下がるってことか?」
生徒たちの考察通り、刃覇の方が追い詰められていた。
ここで、烏間先生が割って入る。
「刃覇くん、ここまでだ。このままではジリ貧だぞ」
「神崎さん殴られて、倉橋さん殴られそうになって、あと前原もやられたのに、引き下がるわけにはいかない!こいつに一発かますまで止まりませんよ、オレは」
今度は殺せんせーが止めに入った。
「刃覇くん、君がここで鷹岡先生を倒したところで意味はない。烏間先生が、教官として鷹岡先生を否定しなければいけません。気持ちはとても嬉しい。ですが、君が潰れては元も子もないのです」
殺せんせーの説得で、尊は一旦引き下がることにした。
「よし、こうしよう烏間。お前の育てた生徒の中でイチオシを選べ。ナイフを持ったそいつが素手の俺と戦い、勝てば俺は出ていこう。負けたら服従だからな」
鷹岡は本物のナイフを見せつける。それを使っての試合を提案した。
「...渚くん、やる気はあるか」
烏間が選んだのは、渚だった。
「..........渚、嫌なら言えよ。俺が代わりにアイツをぶち殺しに行く」
「ダメだよ。刃覇くん、今ボロボロだよ。それに殺せんせーがそういう殺意は許さないと思うよ」
「う.....わーった。渚、一発かましてこい!」
刃覇の檄をうけ、渚は鷹岡に挑むこととなった。