その身に宿すはキングストーン   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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短いです
そして相変わらずな出来

あぁ、3号みたい(切実

焼き鳥編は今度こそ終わり
次回は約束された聖剣編だ
予定ではこの章で R X にさせようかな、と思ってます
最もあくまで予定なのでBLACKのままかもしれません

それと誤字脱字がありました報告をば

ではどうぞ



10

BLACKはゆっくりとライザーへと詰め寄っていく

その顔には若干ながらの戸惑いと、恐怖がにじみ出ているような気がした

しかしライザーは直ぐに笑みを作り直す

 

「―――そんな姿に惑わされるかぁ!」

 

やがてそんな迷いを振り切るかのように、ライザーは炎を繰り出してきた

球体のような、いわば火球だ

BLACKに向けて放たれたその火球をいとも容易く手刀で掻き消す

…思ったより簡単に砕けたな

 

「まだまだァっ!」

 

ライザーが叫び、こちらに炎の翼を背中に生やし、こちらに突っ込んでくる

そんな彼を、BLACKは憮然とした構えで迎え撃つ

見える、相手の動きが

こちらに繰り出されてくる拳の一つ一つをさばき、反撃の機会を伺う

しかしさすがはライザー、といったところか

あからさまな隙というものは、ぱっと見たところ見当たらなかった

だがそれは、一般的な悪魔が相手だった場合だ

 

おそらく、このライザー・フェニックスという男は、己を鍛えることをしてはいないのだろう

フェニックスの能力は、とてつもなく高い再生能力にある

この再生能力に驕り、彼は圧倒的な力で相手をねじ伏せてきた

 

―――自分が勝利して当然だ

 

彼はそう思ってレーティングゲームに趣き、何度も勝利を収めてきた

当然である、自分は不死身、何度やられても復活できるのだから、自分を鍛える必要なんてない

だからこそ、彼の拳擊は〝遅い〟のだ

確かにフェニックス…不死鳥は不死身だ、言い換えれば最強の部類にも入るだろう

しかしいくら最強といえども、自分自身を鍛えることを怠れば、当然実力は劣っていく

再生能力など、はっきり言って無意味に近い

だが問題は別のところにある、それはライザーの炎による攻撃だ

先の火球は牽制の意味合いもあり、おそらくあまり本気で撃ってはなかったはずだ

そんな思考に埋没していたゆえに、うっかりBLACKは隙を晒してしまった

 

がしっ! と徐に首を掴まれてしまった

 

「がっ!?」

「決闘中に考え事とは余裕だな。それとも俺を舐めているのか?」

「は、どう、だかね…!」

「ちっ…どこまで人を小馬鹿にすれば気が済むんだ!? あぁ!?」

 

元々不機嫌だったライザーがさらに不機嫌になる

同時に自分の首を絞める手の強さがさらに強くなった

僅かではあるがライザーの爪が首に食い込む感覚がした

 

「いいだろう! 死ぬ寸前まで追い詰めてやる! 後悔するなよクソガキ!!」

 

首を掴む手からさらに炎が吹き荒れ、BLACKの全身が燃え上がった

流石にゼロ距離でこの業火はかなり熱い上に苦しいものがある

 

関係者の席から誰かの声が聞こえた気がしたが、その時は聞こえなかった

 

だがこちらもそう易々と潰されてなるものか

燃やされながらも、BLACKはライザーの腕を掴んだ

そして頭の中に浮かんだ言葉を叫びながら、全身に力を込める

 

「―――パワーストライプスッ!」

 

そう言葉を発した瞬間、両手首、両足、首に描かれている赤と黄色のラインからエネルギーが放出された

 

「ぐ、げぁ!?」

 

同時にBLACKの首を掴んでいたライザーに変化が生じた

正確にはそのライザーの腕を掴んでいるBLACKに、だ

先程まではただ掴んでいる、という感じだったその両手が、ギリリ! とそのまま握りつぶさん勢いの力に変わったからだ

あまりに激痛にライザーはそんな声を上げ、それを見たBLACKはライザーに向かって蹴りを飛ばし、距離を取る

 

パワーストライプス―――首と両手足首にある赤と黄色のラインから彼の内包されている力を一気に開放し、拘束等から脱出したり、一時的に自分の力を強化する技だ

 

そのままBLACKは炎を振り払い、ライザーを見据え、拳を作りそのまま跳躍した

 

 

ライザーとの戦いをリアスの隣で眺めていたサーゼクスは、確信していた

間違いない、まだ荒削りな部分も多いものの、あの力は正しくブラックサンのものだ

しかし、内包している潜在能力は彼のほうが上かも知れない

先代である彼女は完成されすぎていた感が否めなかったが―――

そんなことを考えていた時、ふと隣のリアスが息を飲むような仕草をした

 

「浩太郎さんっ!!」

 

同時に叫んだのは妹であるリアスの眷属悪魔である塔城小猫だ

彼女だけではない、木場祐斗も驚いたように目を見開き、姫島朱乃も信じられないといったように口を両手で覆っている

彼らが向けている視線を追うと、ライザーにより対戦相手である人間くん―――ブラックサンが炎に包まれている姿が見えた

あのようなほぼゼロ距離で不死鳥の業火を受けてしまっては、大怪我は必須だと誰もが思っただろう

しかしその想像とは違う先を行くのがブラックサンだと、サーゼクスは知っていた

 

「大丈夫だよ」

 

サーゼクスは呟く

え? とリアスが聞き返す前に戦いに変化が訪れた

 

「ぐ、げぁ!?」

 

ライザーが苦悶の声を発する

同時にライザーが蹴り飛ばされ、地面にその火の塊が着地し、その炎を振り払った

そこにいたのは、軽く煙が出たブラックサンの姿だった

否、フェニックスの業火に身を焼かれたというに、軽く焦げた程度の煙しか出ていないことに会場全体が戦慄した

そして同時に理解する

あそこに居るのは、今代のブラックサンであるということに

 

「ライダーパァンチッ!!」

 

跳躍した状態で放たれた拳は確実にライザーの顔面を抉り取る

盛大に転がっていくライザーはどうにか地面を回り、なんとか体勢を整えた、がブラックサンの猛攻は止まることはない

受けた傷を再生しながら構えようとするライザーだが、完全に構える前にブラックサンの拳がそれを許さない

 

「ぐぉはっ!!」

 

きりもみ上に回転しながら、ライザーは吹っ飛ばされる

地面に落下し、ジタバタとしながら立ち上がる彼はふと口を開いた

それは同時に、彼の中の戦意が折れたという表れでもあった

 

「ま、待て! この婚約は悪魔の未来のために必要なことなんだぞ!? 貴様のような下等な人間なんかがどうこうしていい問題なんかじゃないんだ! わかってるのか!!」

 

それに対したブラックサンの一言は、ひどく淡白なものだった

 

「―――知るか」

 

たった一言

そのまま彼は助走をつけて、跳躍し、彼に腹部に飛び蹴りを繰り出す

なんてことはない、ごく普通の飛び蹴り

しかし先ほどのパンチ二つで心身共に疲弊した彼は、避けることなくそれを貰う

地面に倒れた彼は気を失い、起き上がることはなかった

 

 

「お兄様ぁぁぁっ!!」

 

フェニックスの関係者席から一人の女の子が飛び出してきた

それは金髪縦ロールの女の子だ

お兄様、と叫んでいるあたり、やはり彼女は妹で合ってたみたいだ

彼女はBLACKと倒れているライザーの間に立ってこちらを睨みつけてきた

しかし決着はついたのだ、これ以上ここに居る必要はないだろう

そう判断したBLACKは特に何も言葉をかけず、ゆっくりとリアスのところへと歩きだした

関係者席にいるリアスに向かって、変身を解いた浩太郎はいつもどおりに声をかけた

 

「帰りましょう、リアスさん」

「こ、コウタロウ…その」

「俺に礼は言わないでください、俺は好きであいつと戦っただけなんですから」

「で、でも…!」

「礼なら命をかけてまで貴女を守ろうとしてくれた、俺の親友に言うべきです。…俺は、アイツの代わりにここに来たに過ぎませんし、アイツはずっと泣いていましたから」

「…イッセーが…?」

 

浩太郎は頷いた

 

「俺に力がなかったから、神器(セイクリッドギア)を使いこなすことができなかったから。…自分を責めてばっかりです。…だから、早く励ましてあげてください、〝部長〟」

 

そう言って浩太郎はグレイフィアから渡された紙を彼女に差し出した

単語を聞いた時、リアスは驚いたような表情になる

同時に、感謝の念でいっぱいになる

彼女はふっと小さく笑んだ後にその紙を受け取り

 

「必要ないって言われたけど、言わせてちょうだい」

 

そこで少し間をおいて、彼女は言った

色々を含めた、五文字の言葉

 

「ありがとう」

 

彼女は浩太郎がここに来るときに用いた魔法陣の反対側に描かれている魔法陣を用いて、転移を始める

転移する前に、彼女は己の眷属に向かってこう言った

美しい、笑顔で

 

「みんな、またあした、部室で会いましょ」

 

その言葉に眷属一行はみな頷いた

やがてリアスは魔法陣の光に包まれて完全にここからいなくなる

浩太郎は残っている眷属である木場や小猫、朱乃に対して呟いた

いつもの調子で

 

「…帰りましょうか、お三方」

「はは。イッセーくんにも驚かされるけど、君にも驚かされてばっかりだなぁ」

「あらあら。共通してるのは、お互いに無茶するというとこですわね」

「見てるこっちはハラハラです。まったく」

 

 

「あ、あー。こちらビルゲニア。聞こえますか?」

<聞こえている。なんだ>

「ブラックサンさんについての報告です。…主の読み通りでしたよ。わざわざ貴族悪魔の格好して潜入した甲斐がありました」

<ふむ、やはりか。…ビルゲニア、貴様の見解を聞きたい>

「そうですねぇ…、大雑把に言ってしまうなら、期待アリ、とだけ言っておきましょうか」

<ほお?>

「少なくとも、主の相手としては十分かと思いますよ?」

<貴様が言うのだ、間違いはあるまい>

 

ビルゲニアと名乗った男は僅かながらに間をおいて、言葉を返した

 

「お褒めいただき光栄です、シャドームーン様」

 

◇◇◇

 

頬に触れる暖かさで、兵藤一誠は目を覚ました

視界に入ってくるのは、紅の髪を持つ、白いドレス姿の綺麗な女性…リアス・グレモリーの姿だ

思わず彼は飛び起きる

 

「部長!?」

 

がば、と勢いよく起きるがリアスにツンと額を押される

寝ていなさい、ということだろうか

彼女はポツリとつぶやいた

 

「…コウタロウから聞いたわ。自分を責めてばっかりだって」

「そりゃ、責めたくもなります。あんなに見栄を切っておきながら、俺はライザーに負けてしまったんですから」

 

彼女は兵藤の左腕に視線を移す

 

「左腕、もう戻らないかもしれないのよ?」

「はは。コスプレアイテム…なんて、通じませんよね」

 

小さく笑いながら、彼はそんな冗談を口にする

なんとなくだが、それはリアスに心配をかけまいとしているようでもあった

 

「今回は、無効にできたけど、もしこの次が来るかもしれない。そうなったら―――」

「なら、今度は俺が助けに行きます。…今回は浩太郎に美味しいところを取られちゃいましたけど…、このドラゴンが左足を差し出せって言ったら支払います。その次が来るなら、今度は目をくれてやります。…でも、俺は諦めません。俺は貴方の〝兵士〟ですから」

 

そう言った刹那、リアスが兵藤の頭を撫でた

その次に、一誠の唇に、なにか柔らかいものが押し付けられる感触がした

それはリアス・グレモリーの唇の感触だというのを理解するのは、数秒後のことだった

時間にすればほんの数秒、深く愛し合うわけでもない、ただ重ねただけの口づけ

だけど、彼女の想いが伝わる程の口づけであった

 

「ぶ、ちょう…?」

「一緒に強くなりましょうイッセー。…期待してるわよ?」

 

そう言って彼女は小さく微笑んだ

その笑顔を見て、兵藤の心からなにかこみ上げるものを感じた

同時に思う

久しく、心から笑う彼女が見れた、と

 

◇◇◇

 

確実に冥界中に正体がばれてしまったが、今のところ浩太郎の日常に何ら変化は訪れない

まぁ向かってきたら情け容赦なく叩き潰すが、まだ心配はなさそうだ

ついでにどういう経緯があったかは知らないが、何やら兵藤の家にリアスが住むということになっている

駒王に通う女生徒たちが聞けば発狂物であろうぶっ飛んだ自体に、気になった浩太郎はリアス本人に聞いてみたところ

 

「下僕との交流を深めたいのよ」

 

らしい

正直よくわからないがリアスが嬉しそうなのでそれでいいとする

婚約も破綻となり、万々歳だ

ライザーは浩太郎との決闘で敗北したのがショックとなりしばらく寝込んでしまい、黒いものを見るとガタガタ震えるようになってしまったらしい

…そこまでトラウマを植え付けるつもりなかったのだが

だがこれをきっかけに改めて自分を見つめ直してもらいたい

気に食わない、とはいったが根は悪い奴ではないと見た

妹にそれなりに思われているみたいだし、ああ見えて面倒見がいいのだろう

 

朝食に用いた食器を洗い終え、濡れた手をタオルで拭う

そして思い切り背伸びをしたのち、学校に行く準備を終えているアーシアに向かって口を開いた

 

「学校行こうか、アーシア」

「はいっ」

 

そんなタイミングを図ってか図らずか、ちょうどインターホンの鳴る音が聞こえた

鳴らすものの正体はついている

浩太郎はアーシアと一緒に玄関へと行き、扉を開けた

 

「おはようございます、アーシア先輩、浩太郎さん」

「はい、おはようございます、小猫さん」

 

小猫の返事に笑顔で返すアーシア

この子もだいぶオカルト研究部に慣れてきたな、と思う今日この頃

 

「おはよう、小猫」

 

浩太郎も少し遅れて彼女に挨拶を返し、玄関の外へと足を踏み出す

何はともあれ、また変わりない日々がやってくる

特に変わることはないが、そんな日々が来ると思うと、どこか心が躍った…そんな感じがした

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