その身に宿すはキングストーン   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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相も変わらず微妙な出来マン

いよいよ明日、仮面ライダー四号が配信されます
映画見てないけど、見ようかな(遠い目

あと今回は少しだけオリジナルを入れてます
本当に少しだけですが

あとちょっと変な所で終わってますがこれ以上書くと長くなってしまいそうなのであそこで終わらせました

ゼノヴィアとイリナのキャラが分からん(切実

ではどうぞ


12

夢の中に、誰かが居た

それは自分が見た夢なのか、それとも誰かを介した夢なのかわからなかった

うつつか、現実か、わからないままうっすらと浩太郎はまぶたを開ける

目の前にいたのは黒く美しい髪を持った、麗しい女性だった

 

「…あら。私と無意識のうちにコンタクトを取るなんて。なんか悩みでもあるのかしら?」

 

その声色はかつてライザーとの戦いで頭の中に聞こえてきたその声と一致していた

そうだ、この人は、確か―――

 

「一応初対面だし、名前だけ名乗っておくわ。私はメリーディエース・ルークス。先代のブラックサンよ」

 

 

メリーディエース・ルークスと名乗った女性は改めて浩太郎と向き直る

落ち着いた雰囲気を持つ、美しい女性だ

澄んだ目に、凛々しい顔立ち、もしこの世にこのような女性がいるなら誰もが目をやることだろう

 

「さっきも聞いたけど、なにか悩みでもあるの? 私で答えられるなら、答えてあげるわ」

「…メリーディエースさんは、グレモリーと交流があったと聞きました」

 

気になっていた疑問を一つ口にする

グレイフィアが口にしていた、グレモリーと先代は交流を持っていたと

それを聞いてメリーディエースはうーん、と可愛らしく顎に手を当てながら

 

「懐かしいなぁ。…っと、うん、持ってたよ? それがどうかしたのかな」

「木場祐斗についてご存知ですか」

 

彼の名前を出すと、不意に彼女の表情が険しいものになる

 

「うん。彼について聞きたいんだね?」

「そうなんですけど…いいんですか?」

「キングストーンを通じて、話は聞こえちゃったから。それに、いずれは知らないといけないことだから」

 

ふと浩太郎は己の腰のあたりを見る

もしかしてこの人はずっと、己の中にある力…キングストーンと一緒にいたのだろうか

 

彼女はポツリと語り始めた

木場祐斗の過去の話を

 

彼はもともと、教会で聖剣エクスカリバーの適応候補者として養成されていた

しかし完全な適応には彼も、その同志たちも適性因子が満たなかったため、当時の研究主任であった男によって因子を抽出され、不用品として『処分』された

彼を含む被験者の多くは殺され、あるいは人体実験の材料に使われた

どっちにしろ、待っているのは破滅しかなった

 

「私は長すぎる年月を生きてきて、その話を聞いたとき、やっぱりかって落胆したんだよね。今までいろんな悪意を見てきたけど…やっぱり一番醜いのは人間なんだって」

 

五万年の寿命を全うしたと、グレイフィアは言っていた

それは五万年の間、戦い続けたということでもある

メリーディエースはその後「あっ」と言葉をつぶやき

 

「けど、それと同じくらい美しいのは、人間の心っていうのも知ってる。結局、善と悪ってさ、表裏一体なんだよね」

 

そう言って笑うメリーディエース

彼女の顔にはどこか悟ったような笑みがあった

 

「話を戻すわ。そんなわけで、リアスが彼を悪魔へと転生させて、木場祐斗という名前を与えたの。だけど、あの子は瀕死の中でも強い復讐心があったらしいの。生まれた時から聖剣に狂わされた人生だから、彼の剣の才能は、聖剣だけに執着するにはもったいないって。だけど、あの子は忘れなかった」

 

内に芽生えた復讐心というものはそう簡単に消せるものではない

ましてやそれが幼少の頃から己の人生を狂わせたのなら尚更だ

その話を聞いた浩太郎はとりあえず彼女に向かって一つ礼をする

 

「ありがとうございます、わざわざ…」

「気にしないでよ。後輩が困ってるなら力になるのが先輩の役目。今回は無意識にコンタクトしてきたみたいだけど、次からは貴方の意思でここに来れると思うわ」

 

メリーディエースは微笑んだ

そしてそのあと

 

「それと、メリディでいいわよ。長いでしょ? 私の名前」

 

彼女の笑顔を最後に、浩太郎の意識はすうっと、闇に落ちていった

 

 

「…、」

 

目覚めて視線に入ったのは、自分がよく見る天井だった

夢の中ですごい話をした気がする

浩太郎はゆっくりとベッドから上半身を起こす

 

「…メリーディエース・ルークス」

 

先代のブラックサン

思っているより親しみやすい人だったと思う

色々彼女に聞きたい話はあるが、今はとにかく木場だ

どうにかして、彼を説得できないだろうか…そう考えて自分では無理だと結論づける

彼の復讐心は彼にしかわからない

何も知らない自分が出しゃばっても、油を注ぐだけだ

 

 

あれから浩太郎、兵藤、アーシアの三人は一度集められ木場についての説明を受けた

しかし浩太郎は一足先にメリディに説明を受けていたので、浩太郎にとっては確認の意味合いが強かった

やはりメリディもリアスも言っていた通り、彼はまだ聖剣に対して憎しみを現在進行形で募らせているのだろう

そんなあくる日の放課後だった

 

オカルト研究部の面々はいつものように部室に集められていた

ソファにはリアスと朱乃、そして対面に誰だかわからない女性が座っていた

聞くところに寄るとなんでも彼女らは教会の関係者だという

どうりで部活内のメンバーが真剣な面持ちのわけだ、悪魔の天敵である教会関係者がここにいるのだ、警戒して無理はない

しかしその中でもひときわヤバイ気を放っているのが木場祐斗だ

彼の過去を考えれば、わからないでもないのだが

オレンジ色の髪をした女性が最初に口を開く

 

「先日、カトリック教会本部、及びプロテスタント側、正教会側に保管、管理されていた聖剣〝エクスカリバー〟が奪われました」

 

…そっちの過失じゃないか

 

「エクスカリバーそのものは現存していないわ」

 

彼女の言葉にリアスが答える

彼女は後ろにいる浩太郎や兵藤を見ながら

 

「ごめんなさいね、私の下僕に悪魔になりたての子と、その友達がいるから、説明込みで話を進めてもいいかしら」

 

リアスの申し出に、オレンジの女性が頷く

 

「イッセーくん、エクスカリバーはね、大昔の戦争で折れているの」

「折れてる?」

 

イッセーの返答にオレンジが頷いた

それに合わせて緑色のメッシュが入った青い髪の女の子が包帯的なものが巻かれた何かを取り出した

 

「今はこのような姿さ」

 

そんなことを言いながら彼女は布を解いていく

そして姿を見せたのはひと振りの長剣

 

「これがエクスカリバーだ」

「…これが聖剣?」

 

なんだろう、イメージと違うような気がする

最も名前しか知らないので、個人のイメージを植え付けるのは筋違いだとは思うが

 

「大昔の戦争で折れたエクスカリバー。折れた刃片を拾い集め、錬金術で新たな姿となったのさ。その時、八つ作られたうちの一つがこれだ」

 

となるとこれは本物ではないのか

 

「私が持っているのは〝破壊(エクスカリバー)の聖剣(デストラクション)〟だ。カトリックが管理している」

 

一度自分の武器を紹介し終えた彼女は再度布を巻いていく

よくよく見てみるとその布にはなんかよくわからない文字が書かれており、もしかしてこれは普段は封印しているのだろうか

まぁそんな危なっかしいものを常時開放しているわけにもいかないし、妥当だろう

 

「私の方は〝擬態の(エクスカリバー)聖剣(ミミック)〟。形を自由自在にできるから持ち運びにすごく便利なんだから。こんなふうに、エクスカリバーはそれぞれ一つ一つにそれぞれ特殊な力を有しているの。こっちはプロテスタントが管理しているわ」

 

なぜか自慢げに彼女は言った

確かに悪魔にとっては危ない代物かもしれないが、正直浩太郎はその危険さがわからない

 

「イリナ。わざわざ能力を喋る必要はないだろう?」

「あらゼノヴィア。いくら悪魔だとしても信頼関係を築かなければこの場では仕方がないでしょう。それに、能力を知られたからといってこの悪魔の方々に遅れを取るなんてことはないわ」

 

教会関係者という時点で信用も信頼もしていないので安心していただきたい

そしてこのイリナとかいう女性、よほど自分に自信があると見える

…まぁ確かに状況的にはこちらが不利だ

二本の聖剣に、こちらは悪魔連合

仲間を守りながら戦う自信は流石にない

 

「それで。奪われた聖剣がなぜ、こんな極東の国にある地方都市に関係あるのかしら」

「カトリックの本部に残っているのは私のを含めて二本。プロテスタント側にも二本。正教会側には三本。残る一本は三つ巴の戦争の末に行方不明。そのうちのカトリック、プロテスタント両陣営からエクスカリバーが一本ずつ、正教会陣営から二本、奪われた。奪った連中は日本に逃れ、この地に持ち込んだって話さ」

 

迷惑な話である

それを察したのかリアスも頭に手をおいて息を吐いた

 

「私の縄張りは出来事が豊富ね。…エクスカリバーを奪ったのは?」

「〝神の子を見張る者(グリゴリ)〟だよ」

「―――堕天使の組織に奪われたの? 失態どころではないわね、けど、確かに奪うとしたら堕天使くらいなものかしら。上の悪魔にとって聖剣は興味の薄いものだしね」

「奪った主な連中は把握している。グリゴリ幹部、コカビエルだ」

「…古の戦いから生き残る堕天使の幹部。聖書にも記された者の名前が出るとはね」

 

リアスもその名前に苦笑いしていた

エクスカリバーに堕天使の幹部…結構大きな話になってきた

となると彼女らがここに来た理由はなんなのだろうか

 

「私たちの依頼…もとい、注文とは、私たちと堕天使のエクスカリバー争奪の戦いにこの町の悪魔が一切加入しないこと。つまり、関わるなと言いに来た」

 

その言葉を聞いて、ふむ、と浩太郎は嘆息し、声を発する

 

「なるほど。アンタらは奪った連中とこっちが手を組むつもりじゃないかと思ってんだな」

「本部は可能性がないわけじゃない、と思っているからね」

 

その言葉にリアスの目が鋭くなる

わざわざ敵陣地にやってきてこれからやることに口を出すな、おまけにほかの組織と手を組んだらいけませんよー、などとほざいてきやがれば苛立ちもする

 

「上は悪魔と堕天使を信用してない。ゆえに、先に牽制球を放つ。コカビエルと組めば、我々はあなたたちを殲滅する。たとえそちらが魔王の妹でも、だ。以上、上司より」

「―――私が魔王の妹と知っているということは、あなたたちも相当上に通じているモノたちのようね。なら言わせてもらうわ。私は堕天使などとは手を組まない。絶対よ。グレモリーの名にかけて、魔王の顔に泥を塗るような真似はしない」

 

睨み合うリアスとゼノヴィア

不意にゼノヴィアが笑った

 

「それが聞けただけでも構わない。この街にコカビエルがエクスカリバーを四本持って潜んでいることをそちらに伝えておかねば、何か起こった時に私が教会本部が色々と恨まれる。協力は仰がない、そちらも一時的とはいえ神側と手を組んだら三すくみに影響を与えるだろう。魔王の妹なら、尚更ね」

 

ゼノヴィアの言葉を聞き、多少リアスは表情を緩和させる

 

「正教会側の派遣は」

「奴らは今回この話を保留した。仮に私とイリナが奪還に失敗したときを想定して、残った聖剣を死守するつもりなのだろう」

「じゃあ二人で? 無謀ね、死ぬつもり?」

「そうよ」

 

リアスの問いに、イリナが真っ直ぐな目つきで即答した

早すぎる即答に思わず浩太郎は目を見開いた

…こいつらは何を言ってるんだ

 

「私もイリナと同意見だが、なるたけ死にたくはないな」

「―――相変わらず、あなたたちの信仰は常軌を逸してるわね」

 

理解できないがな

 

「私たちの信仰をバカにしないでちょうだい」

「あぁ。それに教会は堕天使に利用されるくらいなら聖剣がすべて消滅しても構わないと決定した。我々の役目は堕天使から聖剣を手放させること。そのためなら、私たちが死んでもいいのさ」

 

信仰とでも言うのだろうか

そんなにいるかどうかもわからない(浩太郎はいないと思っている)モノのために死にたいのだろうか

この女らの信念は理解できない、いや、したくない

 

「それは可能かしら」

「もちろん。ただ死ぬつもりはないよ」

「すごい自信ね、何か策でもあるのかしら」

「ご想像にお任せするよ」

 

一触即発

そのやりとりから言葉は途絶え、両者は睨み合う

と、イリナがゼノヴィアに目配せする

 

「それでは、そろそろお暇させてもらおうかな。帰ろう、イリナ」

「あら。お茶は飲んでいかないの? それくらいは振舞わさせてもらうわよ?」

「厚意痛み入る、が遠慮させてもらうよ」

 

リアスの誘いをゼノヴィアは手を振って断った

 

「ごめんなさいね。それでは」

 

同じようにイリナも手を合わせその場をあとにしようとして…ふと視線が集まった

浩太郎の隣にいる、アーシアにだ

 

「…もしや、〝魔女〟アーシア・アルジェントか? まさかこの地で会おうとは」

 

ふとゼノヴィアが口にする

彼女アーシアにとって触れられたくない過去、容易に踏み込んでいい話題ではない

 

「貴方が一時期噂になってた元聖女さん? 悪魔や堕天使をも癒す力を持ってるらしいわね。追放され、どこかに流れていたと思っていたけど、まさか悪魔になってるなんて」

「わ、私は―――」

 

言い寄られ、対応に困った様子のアーシア

彼女の反応にイリナが答える

 

「大丈夫よ。ここで見たことは上には伝えないから安心して。けど、聖女アーシアを知る者に、今の貴方の状態を話したら、ショックを受けるでしょうね」

「…」

「しかし、悪魔、か。堕ちるとこまで墜ちたものだ。まだ神を信じているのか」

「ゼノヴィア。悪魔が我が主を信じるわけないでしょう」

「いいや、その子から信仰の香りがする。そういうのに私は敏感でね」

 

ゼノヴィアが目を細める

それに合わせてイリナが興味深そうにアーシアのことをマジマジと見つめてきた

…見世物ではないのだが

 

「そうなの?」

「…捨てきれないだけです。ずっと信じてきたのですから…」

「なら今すぐ私たちに斬られるといい。罪深くとも、我らの神なら、救いの手を差し伸べて下さるはずだ」

 

布に包まれた聖剣を彼女に対して突き出し―――それを遮るように浩太郎が前に立った

 

「―――さっき、おたく彼女を魔女だと言ったけど」

「少なくとも、今の彼女は魔女と呼ばれるだけの資格はあると思うが」

「救いを求めても誰も助けなかったくせによく言うよ。あれか。聖女に友達なんかいらないとかほざく口か」

「その通りだ。大切なのは分け隔てのない慈悲と慈愛だ。他人に友情と愛情を求めたとき聖女は終わる。彼女は神からの愛があれば生きていけたはずなんだ」

 

何言ってんのこいつ

わけわかんないんだけど

生粋のクリスチャンは言うことが違うな、と内心思う

 

「自分たちで勝手に聖女にして、少しでも求めていたのと違ったから切り捨てるのか! そんなの! そんなのってねぇよ…!!」

 

耐え切れなくなったのか、兵藤が口を開いた

その言葉は、ずっと神に対して言ってやりたかった言葉だろう

 

「アーシアの苦しみを誰もわからなかったくせに! 何が神だ、何が愛だ! その神様はアーシアが手を伸ばしたとき、何もしてくれなかったじゃんか!!」

「神は愛してくれていた。何もなかったとすれば、彼女の信仰が足りないか、偽りだっただからだろう」

 

―――

ダメだ、仲良くなれそうにないな、と浩太郎はため息を吐いた

 

「…オッケー、引き止めて悪かった。とっととお帰りください」

「―――意外だな。私が言うのもなんだか、突っかかってくるものかと思ったが」

 

その言葉に浩太郎は自嘲気味に笑みを浮かべる

 

「とりあえずアーシアの信仰心は本物だと弁明したい。毎日見てるオレが言うんだ、間違いない。それとは別に、うちの知り合いが今にも喧嘩を売りそうだからな。面倒はお互い避けたいだろう」

「…」

 

そう言うとゼノヴィアは自身に対して殺気を放っている一人の男に視線を向ける

木場裕斗である

今は空気を呼んでかなんとか自分を抑えてはいるが、もしこのままこちらがケンカを吹っ掛けてしまえば確実に木場は便乗するだろう

改めて冷静に考えたのか、ゼノヴィアが頷いた

 

「…わかった。そして、今更だが、こちらも言い過ぎたきらいがある。先の発言については謝罪しよう。ほら、イリナも」

 

ゼノヴィアに促されイリナも頭を下げてくる

 

「ごめんなさい、…確かにさっきはちょっと言い過ぎたわ」

「お、おう。…どうした、いきなり」

 

唐突な掌返しに少しだけ面食らう

思わず兵藤やアーシアと目を合わせたほどだ

 

「以前にもこんな言い方をして、咎められた記憶がある。名前は…なんだったかな、イリナ」

「えっと…確か…メリーディエース・ルークス、って言う方じゃなかったかしら」

 

まさかの名前が、そこにあった

 

 

教会からの来場者が部室を去って、後の事

 

「待ちなさい裕斗!」

 

不意にリアスが声を荒げた

視線を向けるとどこかに行こうとしている木場と、それを見て怒っているリアスがそこにいた

 

「私の元を離れるなんて許さないわ! 貴方はグレモリー眷族の騎士なのよ! 留まりなさい!」

「僕は皆のおかげであそこか逃げることが出来た。…だから、その恨みを魔剣に込めないといけないんだ」

 

たったそれだけ言い残すと、木場裕斗はその場から立ち去った

その背中をリアスは悲しそうな表情をして見つめていた

リアスの表情を見ていた兵藤は、何かを決意したかのように、ギュッと拳を握りしめていた

 

 

休日の事

梓馬浩太朗は駅前に向かって歩いてきていた

さっき電話で兵藤に呼び出されたからだ

因みに、アーシアには内緒にしていてほしい、というおまけつきで

なんて言って誤魔化そうか、とも思ったが、とりあえずアーシアには「ちょっとDVDを借りてくる」というあからさまな嘘で家を出ることにした

普通なら疑うであろうこの嘘を、アーシアは

 

―――はい、行ってらっしゃい浩太郎さんっ

 

という言葉と共に満面の笑みで送り出された

分かっていたが天使である

正直彼女に嘘をついたことに罪悪感すら感じている

…帰りがけに美味しいようかんでも買ってあげよう、そして二人で食べよう

 

そんなときだ

 

「お恵みをー」

「どうか! 天に代わって哀れな私たちにお慈悲をぉぉぉ!」

 

「…」

 

ナンダアレハ

あれ、おかしいな

つい先日一触即発の空気を醸し出した連中があそこにいるな

思わず凝視してしまった

 

(やべ、目が合った)

 

お前は! みたいな面してこっちに二人とも歩いてくる

すかさず浩太郎は思いっきり目を逸らし若干早歩きでさっさとこの場を離れることにした―――がっ、ダメ

ぐわしぃ、と思いっきり肩を掴まれた

 

「なぜ逃げる。ちょっと話を聞いてもらいたいんだ」

「イイエ。ヒトチガイデス」

「そんなこと言うな。君と私たちの仲じゃないか」

 

切羽詰った状況なのか、思いっきり肩を掴む手に力を込める

離す気ないよこの聖職者

一回掴んだら決して離さない勢いだ

観念したのか、浩太朗は思いっきり息を吐いた

 

「…なんだい」

「うむ。ざっくり言ってしまうとだ。路銀が尽きてしまってな」

 

そんな事だろうと思ってました

 

「いや、路銀が尽きた理由は分かってる。パートナーが詐欺まがいの絵画を購入してしまったからだ」

 

ちらりとゼノヴィアが視線を移す

そこにはなんかヘッタクソな絵画があった

 

「詐欺まがいじゃないわ! この絵画には、聖なるお方が書かれているの! 展示会の関係者もそんな事を言ってたわ!」

「じゃあ誰書かれてるのさ」

「それは私も気になってた。正直私は想像できない」

 

二人にそう言われてイリナはその絵画を見る

しばらくして

 

「…ペテロ、さま?」

「なんで疑問形なんだよ。言い切れよ聖職者」

「っていうか、ペテロがこんなんなわけないだろう」

「いいえこんなのよ! 私にはわかるもんっ!」

 

と、ヒートアップしそうになった所でぐぅー、と女性陣二人からそんな音が聞こえてきた

ゼノヴィアがお腹を押さえながら

 

「…ともかくだ。その、もしよかったら…食事を提供してくれないだろうか」

「わたしからも! お願いしますぅぅぅ!」

 

別に食事を奢るのは問題ない

しかしこのまま彼女たちにはい、と食事を奢るのもなんか嫌だ

そう思った浩太郎は兵藤も巻き込むことにした

 

「ちょっと俺、知り合いと待ち合わせしてるから先にそっち行ってからでいい?」

「構わない。提供してもらう側だ、いただけるなら文句はないさ」

 

…なんだ、この人意外に話せるじゃないか

先日はあれか、神が絡んだからあんな感じになったのだろうか

ともかくとして、後ろにローブを着込んだ見るからに怪しい二人を連れて、兵藤を巻き込むべく浩太郎は待ち合わせ場所へと歩いて行った

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