その身に宿すはキングストーン   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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十六回目にしてサブタイトル
多分要所要所でしかサブタイはつきません

ようやく、あのフレーズが出せました
相も変わらない文章ではありますが、楽しんでいただければ幸いです
次回でエクスカリバー編は終わりです

誤字脱字を見かけましたらご報告ください

後必要ないとは思いますが、BGMのところを
~←で囲みました

よかったら頭の中で流すとそれっぽくなる…?

ではどうぞ


16 ~太陽の輝き~

「こ、浩太郎?」

 

素っ頓狂とも言えるような兵藤の声がした

アーシアや小猫も信じられないといった表情でBLACKがいた場所を見ている

そこにいるのは、笑っているフリードだけだ

 

「素晴らしい…! さすが聖剣だ! あのブラックサンでさえ簡単に屠れるとは!」

「今頃太陽の熱にでも溶かされてるかもなぁ! つーかマジでスゲェよじいさん!! この剣マジで最高だぜ!」

 

木場の瞳に憎悪と怒りの感情がこもる

彼は魔剣を想像し、サイ怪人の足を縫い付ける

 

「二人とも!」

「ゼノヴィアちゃん!」

「あぁ!」

 

ゼットオーの声に反応し、ゼノヴィアが破壊の聖剣を構える

そのまま胴体に深く突き刺し、さらにそこにゼットオーの繰り出すキックが直撃し、サイ怪人はそのまま仰向けに倒れ、聖剣の力によって光となり消えていく

そして木場が切っ先をガリレイにつきつけ、そのまま睨みつけた

 

 

もっと自分に力があれば、浩太郎を救えたかもしれない

また、目の前で大事な仲間を失うことにならずに済んだかも知れない

剣を握る手に力を込めて、木場祐斗は歯を食いしばる

 

睨む木場を見て、ガリレイは思い出したように笑い出す

 

「思い出したぞ。貴様はあの計画の生き残りか。これはこれは数奇な運命。くく」

「パルパー・ガリレイ…!」

 

さらに柄を持つ手に力が入る

神を信じて頑張って、結果みんなは殺されたのに

 

「私は聖剣が好きだ。夢に見るほどに好きだ。子供の頃に胸を躍らせた聖剣の伝説…だからこそ、自分に適性がなかった時の絶望も大きかった」

 

唐突にガリレイが語りだした

 

「だからこそ、使える者に憧れを抱いた。想いは日に日に高くなり、聖剣適応者を人工的に作り出す研究に没頭するようになったのだ。その末に、完成した。…君たちのおかげだよ」

「―――僕たちを失敗作として処分したじゃないか」

 

怪訝な様子の木場

知っている話では彼らは失敗作として、そして用済みだから処分されたと聞いていた

だがガリレイは首を左右に振って否定する

 

「聖剣を扱うのに必要な因子があることに気がついた私は、その因子の数値を調べてみた。しかし被験者は皆因子はあるが皆適正にみたなかった。そこで、私は結論を下した。〝因子だけを摘出して、集めることは可能か〟とな」

「…あんたまさか」

 

ゼットオーが呟く

彼女の隣にいるゼノヴィアもその真実に気がついたように歯噛みしている

疑問を浮かべる木場や兵藤をよそに、ガリレイは続ける

 

「そのとおりだ。私は持っているモノたちから因子を抜き取り、結晶を作ったのだよ」

 

言いながら懐から輝く球体を取り出した

眩い光を放つ、それは

 

「そのおかげで研究は飛躍的に進んだ。…なのに教会の連中は私を異端だと追放した。資料だけを奪ってな。しかし、その少女を見るに、私いない後も、引き継がれていたのだな。全く、断罪しておいた結果がこれか。まぁ、ミカエルのことだ、抜き取るまでも、殺しはしていないだろうがなぁ。くくくくく」

 

愉快そうに―――下品にガリレイは笑う

結局は、こういうことだ

発展には、犠牲がつきものだということなのだ

 

「同胞たちを殺して、因子を抜いたのか」

「そうだ。これはそのときのだぞ? 三つ程フリードに使ったがな。これは最後のひとつだよ」

「俺以外の奴らは因子に体が途中でついていけなくて死んだけどねん。けどそう考えると、俺ってマジヤバくね? チョーパネェよ俺!」

 

フリードの言っていることが真実なら、ほかにエクスカリバーを使っていた人たちはもう死んでいるということになる

…こういう時だけ、しぶといものだ

例えるならゴキブリか

 

「自分の欲望のために、どれだけの命を弄んだんだ…!」

「正しくマッドサイエンティストね。…胸糞悪い」

 

木場の声が怒りに震え、ゼットオーが吐き捨てる

しかしガリレイはそれに対してフンと鼻で笑う

 

「それだけ言うならコイツはくれてやろう。条件が合えば量産できる段階まで研究は進んでいる。まずはこの街を破壊し、そのあとで各地の聖剣を集めよう。かはは、私を断罪した愚かなる天使どもに、私の研究の成果を見せつけるのだ」

 

ガリレイはまるでゴミを投げ捨てるかのようにその球体を投げ捨てた

コロコロと転がったそれを、ゼットオーが拾い上げる

それを彼女は木場の前に持っていき、すっとその手を差し出した

差し出されたその手ごと、木場は球体を握り締めた

悲しそうに、愛おしそうに、その結晶を撫でた

 

「…みんな」

 

彼の瞳から涙が流れていく

悲哀と、憤怒が込められたその表情を浮かべたとき、結晶が輝きだした

輝きは校庭を包み、やがてそれは人のカタチを作り出す

もしかしなくても、彼ら彼女らは

 

「この戦場に漂う様々な力が、魂を解き放ったのですね」

 

朱乃が呟く

正直イマイチ理解できないが、聖剣、堕天使なんでもござれな状況だ

そういう不思議なことが起きてもおかしくない

 

「僕は…僕は!!」

 

周りを見渡し、懐かしむようで、悲しんだ顔を浮かべる

彼もまた、犠牲者だったから

 

「僕よりも夢を持った子がいて、生きたかった子がいて、でも僕だけが生きながらえて…!! 平和な暮らしを過ごしてて…!!」

「大丈夫」

「…!」

 

不意に言葉が投げかけられた

それは目の前にいるゼットオーからのものだった

ゼットオーはその変身を解き、望月翔子の姿となる

彼女の姿を見て、驚いたような表情のあと、また悲しそうな表情になる

 

「もういいんだよ。悩まなくっても、みんなはあなたを責めたりしない」

「…翔子さん、だけど、だけどぉ!」

「耳を傾けてご覧なさい。みんなの言葉が聞こえるでしょう?」

 

霊魂の一人が口を動かし何かを訴える

その口の動きは、君だけでも生きてくれ、という希望を祐斗に託した言葉だった

言葉を聞いたとき、木場の両目から大粒の涙が流れ出す

それに笑みを浮かべ、霊魂となった少年少女たちは口を動かし、何かを刻み始めた

歌をうたっているのだ

 

歌っているのは聖歌だった

 

皆の口に合わせるように、木場も口を動かし始めた

その光景を、望月は笑みを浮かべて見守っていた

しかし、彼女の瞳にも涙があった

思い出したのだろう、あの時のことを

やがて、彼らの魂が美しい輝きを放ち出し、木場を中心に広がっていく

 

―――一人じゃなダメだった

―――だけど、みんななら…

―――きっと大丈夫…

 

その声は、周りの兵藤や、小猫、アーシア、リアスたちにも聴こえてくる

本来、悪魔は聖歌を聞けば苦しむはずだ

だが、今この場の力の関係が入り乱れているからか、苦しみを感じることはなかった

むしろ、暖かいと思えるものだ

 

―――受け入れて―――怖くない―――神がいても、見ていなくても―――僕たちは―――

 

「いつだって」

「―――ひとつだ」

 

望月の言葉に木場が続き、魂が天へと登り、大きな光となって木場へと降り注ぐ

神々しい輝きが木場を包んだ

 

<…あの騎士は至った>

「至った、って」

 

ドライグの言葉に兵藤は聞き返した

 

神器(セイクリッドギア)は所持者の想いを糧にして変化と進化を繰り返し強くなる。しかしそれとはまたっ別の領域がある。思いや願いが、この世の漂う〝流れ〟に逆らうほどになったとき、神器(セイクリッドギア)は至る。それこそが、禁手(バランスブレイカー)だ」

 

闇夜の中で、その光は木場祐斗を祝福するように輝いていた

 

 

どこか宙ぶらりんな気持ちだった

体がどこか、浮いているような感覚に因われていた

自分は、今どこにいるのだろうかとあたりを見回す

キラリ、といろいろな輝きが視界に入ってくる

そうだ、実際には見たことなんてないけれど、ここはもしかして宇宙、というやつではないだろうか

次元を切りさき、こんなところまで繋げたのか、あの神父は

幸いにも、今浩太郎はBLACKの姿を維持していたため、息ができない、なんてことはなかった

だが、それで何ができるというのか

完全に、詰みだ

さすがにこんな状況の中、どうにかする手段を浩太郎は知らない

 

―――まさか、こんなに若いのに二代目になっちゃうなんてね

 

頭の中でメリディの声が聞こえてくる

そうか、死んでしまうのかな、とまるで他人事のように浩太郎は思った

だが、その通りでもある

このままどこぞの究極生命体のように永遠に彷徨うのかな、なんて思っていた

 

(…?)

 

ふと、自分の体がどこか暖かいモノに包まれているのを感じた

それはどこからだ? とキョロキョロと探し始める

そして気づいた

大きな光…それは太陽だ

朝起きるたびに目にして、その光を毎日受けて、目覚めを知らせてくれる、太陽

その太陽の輝きが、浩太郎の―――BLACKの体を包み込んでいる

 

―――なにこれ? こんなケース…私の時は…!?

 

メリディが驚いている

彼女と同様に、浩太郎もまた驚いていた

沸き上がってくる、自分自身の力に

 

(なんだこれ、力が漲ってくる…? なんだ、この、感覚は…!?)

 

 

 

そのとき、不思議なことが起こった

 

 

 

太陽の輝きをその身に受けた仮面ライダーBLACK―――梓馬浩太郎は体の奥底から湧き上がる力をはっきりと感じた

その光は全身を覆い、やがて彼の身に宿す、キングストーンへも降り注ぐ

そしてさらに迸る力が全身を駆け巡る―――!

大いなる太陽の輝きが、BLACKの姿をより強く、より速く、より強靭に進化する…!

 

紅い複眼に、腰のベルト〝サンライザー〟、そして胸のRXとも読めるような紋様

どこかBLACKらしさを残しつつも、全く別の姿へとパワーアップしたのだ

 

―――浩太郎、やっぱり貴方は凄まじいわ…!

 

メリディの声色が、妙にテンション上がっているのが少し気になった

だが、その言葉の意味がイマイチよくわからなかった

戸惑うBLACK(仮)にメリディが説明するように付け足した

しかも、わざわざ目の前に実体化までして

 

―――正直言えば進化するなんて思わなかったのよ。ブラックサンの姿でもう終わり…だと思っていた、けど、浩太郎はさらにその上をいったのよ。その証拠に、今私がここに実体化できるほどにまで

 

「わかりやすく言えば…俺はもっと強くなった、ってことか」

―――そんな感じ。…ほら、行きましょう、貴方の仲間のところへ

 

メリディが指をさす

その方向には、わずかに残った次元の扉があった

そこに帰還の望みをかけ、全身に力を込める

両拳を握り、己の前で打ち付けて叫んだ

 

「キングストーンフラッシュ!」

 

必ず帰る

意思は、硬い

 

 

望月は木場のとなりで、右手を胸の前に持っていき、ゆっくりと斜め右下へと動かしていく

言葉に、ではなく心の中で彼女はその言葉を唱えた

 

―――変、身

 

キュピンと彼女の体が光り輝き、口元のブレイクトゥーサーが展開し、頭部の黄金のラインから気が放出される

そして目の前の元凶に二人は視線を動かした

 

「貴方を滅ぼさない限り、悲劇は続く」

「研究に犠牲はつきものだ。それが世の摂理だろう?」

「あぁ、やっぱりお前はクズ野郎だよ」

 

ゼットオーの言葉に木場は頷く

やはり―――この男はあってはならない

 

「木場ァ! お前は、俺の仲間で、ダチだ! …浩太郎と、あいつらの思いを無駄にすんなァァァ!」

 

兵藤一誠

なんの得もなかったのに、命懸けで自分を助けてくれた

そして、梓馬浩太郎

彼は全く関係ないのに、身を削る思いで力を注いで、そして…消えてしまった

感謝の言葉を述べていないのに

 

「祐斗、やりなさい! 自分で決着をつけるの! 私の騎士は、負けはしないわ!」

「信じていますわ! 祐斗くん!」

 

リアス、朱乃

 

「―――ファイトです! 先輩!」

「木場さんなら、必ず勝てます!」

 

小猫、アーシア

二人とも浩太郎を失って辛いのに、自分なんかに言葉を送ってくれた

 

「は! 何泣いてんだよキメェ! このストレス、てめぇで晴らさせてもらおうかな!」

 

この涙は、決意の涙だ

 

「翔子さん。手伝ってくれますか」

「愚問だねぇ。イザイヤ―――いえ、今は、祐斗だったわね」

「―――はい!」

 

仮面の下で笑顔を浮かべるのが分かる

再会を喜ぶのは後だ

 

「僕は、剣になる!」

 

ともに越えよう、あの時果たせなかった想いを、今ここで

 

「僕の想いに応えてくれ! 魔剣創造(ソードバース)!」

 

木場の神器(セイクリッドギア)と同胞の光が混ざり合う

それが同調し、カタチを成す

これは昇華だとはっきり分かる

神々しさ、禍々しさ、二つを兼ね備えた、一本の剣

 

双覇の(ソードオブ)聖魔剣(ビトレイヤー)。聖、魔、両方の力を宿す剣の力、その身で受けるといい」

 

フリードめがけて木場は走り出した

騎士の特性は速さだ

フリードは目でなんとか木場の動きを追うが

 

「敵は祐斗だけじゃないわ」

 

上空から奇襲を仕掛けてくるゼットオー

ギリギリでフリードはそれを躱し、忌々しそうに舌を打つ

そこに祐斗が聖魔剣で追い打ちを仕掛ける

そんな状況でもフリードは祐斗の剣を受け止めた

しかしエクスカリバーを覆うオーラはかき消されていく

 

「マジか! そのへぼい剣が!」

「それが真の聖剣なら勝てたはずだ。けど、それでは僕たちの想いは斬れない」

「クソがぁぁ!!」

 

木場を押しだし、後方に飛び退く

 

「伸びやがれ!」

 

不意にエクスカリバーが意思を持ったようにうねうねと動き始めた

 

「〝擬態〟の能力!」

 

ゼットオーが叫ぶ

そういえばあの剣は五本の聖剣の力を有しているんだった

おまけにその剣先が別れ、それが神速で降り注いできた

天閃の能力だ

上下左右、あらゆる場所から降り注ぐが、木場には一切当たらない

 

「な、なんで当たらねぇ! 無敵の聖剣がぁ!!」

「ほらほら、祐斗だけに集中してていいの?」

 

その隙を見計らい、拳のラッシュをゼットオーが叩き込んだ

拳打の連撃を受け、大きくフリードがのけぞった

それを見て、ゼノヴィアが援護するべく駆けつける

 

「―――我が耳に、声を傾けてくれ」

 

言霊を詠唱し、右手を掲げた

空間がねじ曲がり、そこから一本の剣を取り出す

 

「セイントの御名において解放する…! デュランダル!」

「デュ、ランダル、だと!?」

 

デュランダル

エクスカリバーに並ぶほど有名な剣だ

切れ味だけなら最強とも聞いているその剣を、なぜ彼女が有しているのか

 

「貴様、エクスカリバーの使い手ではないのか!」

 

その光景にコカビエルさえも動揺している

 

「私は元々デュランダルの使い手だ。エクスカリバーは兼任していただけに過ぎないのさ」

 

ゼノヴィアが構える

エクスカリバーとデュランダルの二刀流だ

 

「馬鹿な。私の研究では、扱える領域までは…!」

「当然だ。ヴァチカンでも人工的なデュランダル使いはいない」

「なら、なぜ!?」

「イリナたち現存する人工聖剣使いと違って、私は天然ものでね」

 

その言葉にガリレイが絶句するように表情を強ばらせた

どうやらゼノヴィアは元々、聖剣に祝福されたモノだったようだ

 

「コイツは想像を超える暴君だ。私でさえも手に余る。さてフリード、簡単に死んでくれるなよ。おかげでエクスカリバーとデュランダルの頂上決戦が出来るのだからな!」

 

デュランダルの刀身がオーラを放つ

聖魔剣以上の輝きだ

 

「うそウソ嘘、マジですかぁぁ!? クソがああああ!!」

 

やけくそ気味にフリードは叫び殺気を向ける

目には見えない枝分かれした刀剣を向けたのだ

しかし、一薙ぎ

たった一回横に振っただけでエクスカリバーが砕かれた

 

「所詮、折れた聖剣か。デュランダルの相手になどならない」

 

つまらなそうに息を吐く

破壊力だけなら、破壊の聖剣以上だ

 

「あははは! エクスカリバー粉みじん! マジでマジかマジなのかよちくしょぉおがあぁぁ!!」

 

叫ぶフリードに木場とゼットオーが詰め寄る

ゼットオーが体制を崩し、そのタイミングで、木場が聖魔剣を振るう

 

「僕らの力は、聖剣を超えたよ」

 

そのまま祐斗はフリードを切り裂く

まがい物の聖剣で聖魔剣を耐えることなど出来ることなく、無様にフリードは切り裂かれた

 

(…敵は打ったよ。…浩太郎くん)

 

 

ばたり、とフリードは倒れこみ、切られた傷口から鮮血をこぼしている

聖剣に、勝った

しかし同時に、目標の一つを失ったような、そんな喪失感が木場の心に生まれた

 

「せ、聖魔剣…!? ありえない、相反し合う二つがあるはずが…!」

 

ガリレイが驚いた表情を浮かべている

聖剣には勝ったが、元凶を絶たねばこれからも犠牲者が生まれてしまう

 

「…覚悟を決めてもらう」

 

祐斗は聖魔剣を突きつけてガリレイを見据える

しかしガリレイは気にもとめず思考に埋没している

 

「そうか! それらを司る存在のバランスが崩れているのなら、もしや―――」

 

ある結論に達した瞬間、ぞぶり、と彼の腹部を光の槍が貫いていた

ごは、と血を吐き出したあと、彼はそのまま倒れ、絶命する

 

「…お前は優秀だったよパルパー。しかし別にお前がいなくても特に問題はないんだ。クハハハハ!!」

 

哄笑を上げ、その足を地面へと下ろす

圧倒的な重圧を、リアスらはしっかりと肌で感じる

 

「限界まで力を上げた赤龍帝の力を、誰かに譲渡しろ」

「! チャンスを与えたつもり!? ふざけないで!」

「ふざけるなはこちらのセリフだ。本当に俺に勝てると思っているのか」

 

眼光がリアスたちを睨む

それは紛れもない、勝つ自信の表れだ

フェニックスの時とは比べ物にならないこのプレッシャー

間違いなく、死んでもおかしくない状況だ

戦いは終わってなどいない、ようやく始まったのだ

 

「…イッセー」

「…はい!」

<ブースト!>

 

リアスの言葉に兵藤が赤龍帝の篭手を解放しその力を倍加させていく

高まるまでの数分間、誰も一切動くことはなかった

下手に動けば返り討ちになるとわかっていたからだ

 

「きた!」

 

彼の篭手が眩い光を放ち出す

倍増が限界まで達したのだ

 

「ほぉ。では、誰に譲渡する?」

 

興味があるようにコカビエルが聞いてきた

彼に手を向けたには、リアスだ

 

「イッセー!」

「はい!」

 

呼びかけに応じ、互いに手を握り合う

宝玉からの輝きがリアスへと移り紅い魔力が膨れ上がる

絶大な力だ、大抵の相手ならば消し飛ぶ程の力だ、しかし相手はコカビエル―――

 

「良いぞ、その力。お前も兄に劣らず才に恵まれているな!」

「消し飛べ!」

 

リアスの手から大きな魔力の球体が放たれた

地の底まで響き渡る振動を撒き散らすその球体に、コカビエルは両手を突き出して迎え撃とうとした

 

「面白い。実に面白いぞリアス・グレモリー!」

 

両手にオーラを纏い、その一撃を受け止める

その表情は鬼気迫るものであった

リアスの放った一撃が徐々に勢いを殺し形が崩れていく

 

「あの魔力でもだめなのか!」

 

不意に木場が叫んだ

限界まで力を上げ、譲渡したリアスの力ですら倒すには至らない

しかし相手も無傷ではなく、受け止めている手から血が噴き出し、身にまとうローブが破れていった

だがあれほどの魔力の塊を連発などは不可能だ

 

「雷よ!」

 

朱乃がリアスの魔力球に気を取られている間に雷を招雷する

だがその雷は彼の翼によって一薙ぎされて書き消えた

 

「邪魔をするか! バラキエルの力をその身に宿すモノよ!」

「私をあいつと一緒にするな!」

 

朱乃が激昂し雷を乱発する

しかし結果は同じ、全て翼にかき消される

リアスの魔力球を手の内で消滅させたコカビエルは笑い出す

 

「悪魔に堕ちるとは、愉快な眷属を持っていつなリアス・グレモリー! 赤龍帝、聖剣計画、そしてゲテモノ! はは、兄に似てるなぁ!」

「我が魔王への冒涜は許さない!! 何よりも、―――私の大切な眷属(なかま)への侮辱は万死に値するわ!!」

「なら滅ぼしてみせよ、貴様達が対峙しているのは悪魔にとっての宿敵だ! これはいわば好機なのだぞ!?」

 

「…祐斗、ゼノヴィアちゃん」

 

ゼットオーの言葉に、二人が頷いた

どこまで通じるかわからないが、やるしかないのだ

中央にゼットオー、その左右に木場、ゼノヴィアと並び駆け出した

先の攻撃したのはゼノヴィアだ

 

「ほぉ、さすがはデュランダル! その輝きは本物か! だが!」

 

コカビエルは空いている手から波動を放ち、ゼノヴィアの体を宙に浮かせた

そこへコカビエルが蹴りを打とうとするが、それを阻止すべくゼットオーが拳を打ち付けた

 

「ぐ!? 今のは少々効いたぞ、だがまだ浅い!」

「え、きゃ!?」

 

そのまま拳を掴まれ、勢いよく放り投げられた

投げられた彼女は攻撃しようとしていた木場にあたり、その体勢を崩す

 

「翔子さん!」

「ごめん、けど!」

 

軽く謝辞を述べると直ぐに体制を立て直す

離れた場所で着地したゼノヴィアも同様に体勢を立て直しそれに木場も合わせてコカビエルに向かって斬りかかった

 

「コカビエル! 僕の聖魔剣であなたを倒す! もう誰も、失いたくないんだ!」

「ほう、聖剣と聖魔剣による連携か! 面白い実にいい! その程度でなければ俺は倒せん!」

 

コカビエルは片方の手に光の剣を作り出し、難なく二人の剣戟をいなしていく

さらに時折混ぜ込んでくるゼットオーの攻撃にも対応し、対応していた

剣の技量でもコカビエルの方が上なのか! と木場は歯噛みする

 

「そこっ!」

「甘いわ小娘が!」

 

コカビエルの背後から奇襲をかけようとしたが、コカビエルの背中の羽が刃と化し小猫の体を切り裂いた

地面に叩きつけられた彼女の近くに、アーシアとイッセーが駆け寄り、彼女の治療を始める

 

「!? こね―――」

「よそ見は死ぬぞ!?」

 

一瞬の隙を作った祐斗にコカビエルの剣が襲いかかる

すぐさま聖魔剣でその光の剣を受け止めるが、ビキリ、と彼の聖魔剣に皸が入った

 

「なっ!」

 

聖魔剣の堅強さは使い手本人に依存する

彼の集中力が途切れればその分強度が下がり、その逆もまた然り、だ

 

「はぁ!!」

 

気合とともに放たれた衝撃波に、木場とゼノヴィアは吹き飛ばされた

唯一ゼットオーはそれに踏ん張って耐えたが、腹に膝蹴りをもらい、さらにその背中に両拳を握ったハンマーを貰い、地面へと突っ伏してしまった

同時に、ゼットオーの変身が解け、望月翔子に戻ってしまう

 

その時、誰もが思ってしまった

―――勝てない、と

この場にいる皆が肩で息をし、絶望的な表情を浮かべている

 

「ははは! こんなものか。しかし、余興にはなったな」

 

言いながらコカビエルは近くに転がる望月をヒョイ、と拾い上げた

そして片方の手にオーラを纏いだした

―――トドメを刺す気だ

 

「翔子さん!」

「目の前で見るがいい。これから一人ずつ殺してやろう! ははははっ!!」

 

木場の叫びも虚しく、コカビエルの凶刃が迫る…その瞬間である

たなびいたのは黒い髪、女性だった

闇夜の中から現れたその女性が、コカビエルの前に唐突に現れたのだ

 

「何!?」

 

現れた何者かはコカビエルに向かってひとつ、拳を突き出した

反応しようとしたが、その人物の正拳は早すぎてコカビエルは反応ができず、どごむと腹にその拳はめり込んだ

その拍子に手にしていた望月を手放してしまう

彼女をお姫様抱っこでキャッチし、その場を離れ木場の元へと退く

そしてそのタイミングで木場の後ろから誰かが跳躍し、身を捻りながらコカビエルに対しドロップキックを繰り出した

 

「ぐ!」

 

今度はその攻撃を両手で防ぐが、ズザザ! と後方へ押しのけられた

蹴りつけた彼は望月を抱えた女性の横に着地する

美しい黒髪をした、容姿端麗の女性

そしてもう片方の男性は、見たことのある後ろ姿だった

 

「こ、浩太郎、くん…!?」

「き、貴様!?」

 

木場とコカビエルの声が重なる

月光に照らされたその姿は、普段と変わらない様子で、何事もなくリアスたちの元に戻ってきた

そして同じように月の光に照らされた女性の姿を見たコカビエルは、見たこともないような表情で戦慄していた

 

「め、メリーディエース・ルークス…!?」

 

メリーディエース・ルークス

その言葉を聞いたとき、同様にリアスも驚いていた

当然だ、彼女は―――先代のブラックサンはもう既に亡くなったと聞いていたのだ

 

「はぁい。久しぶりね坊や」

「馬鹿な! 貴様の存在こそありえない!! なぜ死んだ貴様がここにいる!!」

「キングストーンの加護、とでも言ったところかしら。それだけ今代のブラックサンが、成長したという証でもあるのよ」

 

メリディの視線が隣の浩太郎に行く

コカビエルが狼狽えつつも、再度その場の疑問を言葉にした

 

「貴様もだ! 次元の狭間に消えたのでなかったのか!」

「正直言うとな、俺にもよくわからない。不思議なことが起こったとしか言えないな」

 

そう言って彼はコキリ、と首を鳴らし肩を回す

浩太郎は後ろにいる木場へと視線を移し

 

「木場、大丈夫か。…って、見た感じだと大丈夫じゃなそうだな」

「…ははは、お陰様でね」

 

苦笑い混じりに聞いたその言葉に浩太郎も笑った

そしてその後リアスへと視線を向ける

 

「コウタロウ…貴方…」

「すいませんリアスさん。みんなに心配かけた分、コイツをぶちのめして取り返します」

 

本音を言えば色々と謝りたいことはあった

兵藤は驚いたままだし、朱乃は本当に安堵したように笑顔を浮かべているし、アーシアは涙を流しているし、小猫…はいつもと同じ? 遠目からだとよくわからないが、それでも胸をなでおろしている様子だけはわかった

あたりを見回してみるとフリードが倒れていた

木場の様子から察するに、きっと彼は振り切ることができたのだろう

正直に言えばここに戻ってくるまで少し大変だった

なんとか次元の扉を開けたはいいが、出た先が全く違うところだったのだ

間に合ってよかった、少しでも遅れてたら望月が死んでいたかもしれない

とりあえず、その最悪の事態だけは避けられてよかった

 

「…ふふ、夢だったのよね。最も、生きていた時は本当に夢だった。いつかこの力を受け継いだ誰かと、肩を並べて戦う、って言うの」

 

腕の中で気を失っている望月を木場に託しながら、しみじみとした様子でメリディが呟く

彼女が掲げていたそれは紛れもなく、夢でしかなかっただろう

だが、今は違う

飛ばされた先で、太陽の光を身に受けてその力を向上させた今ならば

 

「―――行きましょう、先代」

「―――えぇ、わかったわ今代!」

 

~Millions of Me~

 

二人はそれぞれ、己の身を変える構えをとった

メリディは、ぎりりと力強く拳を握り

浩太郎は、右手を天にかざして、ゆっくりとその手を下へと下ろしていく

拳は天に突き出され、ゆっくりと円を描き―――

下ろした手を凪ぐように振り払い、左の手で拳を作り

 

互が叫ぶ

その身を変える、決意の言葉

 

『変―――』

 

弱きを助け、強きを挫く

人間の自由を守り、人の笑顔を守る戦士へと至るための言葉

 

『身ッ!』

 

二人の姿は眩く輝く

その光が収まった時、そこには二人の戦士が立っていた

一人はBLACKだった

兵藤やリアス、小猫が見慣れている、黒き戦士

もう一人もまた、BLACKだった

しかし、自分たちが知っているBLACKと全く違う形状をしている

 

「仮面ライダー、BLACK!」

 

浩太郎から聞いたのか、はたまた触発されたのか、基本的に名乗ることのないメリディが変身したBLACKはそう名乗る

BLACKは両腕を交差させ、右手を斜め上でと突き出し、その手で拳を握った

 

「俺は太陽の子! この世の生…生きるもの全てを守る!」

 

右手を突き出し、そのまま右手で拳を握りながら己の顔付近まで持ってきて、その右手を一度左斜めへと動かしつつ叫んだ

 

「仮面ライダー、BLACK!」

 

そしてその右手をRを描くように動かし、右手を交差させ、Xを描くように動かし、さらに叫ぶ

 

「アール、エックスッ!!」

 

RXと名乗った彼はまっすぐにコカビエルを見据える

 

「堕天使幹部コカビエル、己の欲望のままに戦争を起こそうとするその愚行!」

「私が!」「俺が!」

 

『許さん(許さない)ッ!!』

 

今ここに、新旧ブラックサンによる戦いが幕を開ける―――




太陽は、生命の源
太陽は、希望の光
そして、RXは、太陽の子
生まれ変わったその戦士は、その輝きで未来を照らす―――
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