その身に宿すはキングストーン   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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粗雑な出来ですが、完成です
今回でエクスカリバー編は終わりです

次回はギャーくんが出てくるヴァンパイア編です

お気に入り登録してくれる方がめっちゃ増えてビビりました
ご期待に添えれるかはわかりませんが頑張っていきたいです


17

地面を叩き、RXが飛ぶ

相手を見据え、BLACKが駆ける

 

それに向かってコカビエルは咆哮をあげながらBLACKの拳を殴り合いを始めた

しかし戦闘経験という場数はやはりメリディが変身したBLACKが圧倒的に強く、まったくコカビエルを寄せ付けない

おまけにコカビエルは完全に失念していた

上空から強襲をかけてくるもうひとりの仮面ライダーのことを

 

「トゥア!」

「なに!? ―――ごばっ!?」

 

突き出されたRXの両足はコカビエルの顔面を捉え、大きく後ろへと仰け反る

そこにチャンスと言わんばかりに、BLACKが拳の乱打を叩き込み、追撃を開始し彼を更に上空へ打ち上げた

しかし攻撃の手を緩めることはない

浮かび上がり宙へ飛ばされたコカビエルの足をRXは両手で掴みあげ、更に地面に叩きつける

だがさすがは堕天使の幹部、倒れた状態でも後ろの十枚の羽を器用に使用しこちらに反撃を仕掛けてきた

近距離にいたゆえに多少食らってはしまったが、大した傷ではない

羽がBLACKとRXに攻撃をしたタイミングでコカビエルは地面を素早く這いずり、立ち上がって体勢を整える

そしてそのまま両手に光の槍を作り出し、それをこちらに投擲してきた

体育館を破壊した槍とは違い、小さいがその分殺傷力に特化した光の槍だろう

 

「ふっ!」「よっっ、と!」

 

対するRXとBLACKは徒手空拳でその槍を破壊していく

その光景にまさか、とコカビエルは顔を強ばらせ、更にその槍を連投していく

しかし無駄だった、すべてがことごとく二人の手刀に破壊されていく

 

 

「…なにが、起こっているんだ?」

 

ゼノヴィアが呆然と目の前で起きている出来事にふとつぶやいた

それは木場も同じだ、自分たちが苦戦していたコカビエルが、こうも圧倒されていることに驚きを隠せていなかった

次元に狭間に消えたとき、何が浩太郎に起きたのだろうか

彼が言うには不思議なことだ起こった、と言っていたが、イマイチピンと来ない

 

「木場さん、ゼノヴィアさんっ!」

 

声のした方向へ振り向くとアーシアがこちらに向かって走ってきていた

彼女の後ろには、アーシアの神器(セイクリッドギア)によって治癒されたリアスたちも歩いてくる

兵藤が膝をついている木場に向かって手を伸ばした

 

「大丈夫か、木場」

「うん、正直ひやりとしたけどね」

 

兵藤の手をとり、木場は一度その場に立つ

聖魔剣に覚醒してまだ浅い、このまま戦っていては、きっと命を落としていたかもしれない

それよりも木場は気になっていたことがあった

 

「部長、もしかして、いいえ、もしかしなくても、あのメリディっていう人は…」

 

木場の問にリアスは頷く

その疑問には他のメンバーも気になっていたのか、兵藤もまた、聞いてきた

 

「っていうか、あの女の人って、誰ですか?」

「彼女はメリーディエース・ルークス。…先代のブラックサンよ」

「―――え、えぇぇぇ!? って、ことは、浩太郎の前に、仮面ライダーBLACKをしてた人なんですか!?」

「えぇ。私も何回か会ったことがあったわ。最も、本当に数えるくらいしか会えてないけど」

 

何処か遠くを思い出すように、リアスは戦闘をしているBLACKとRXを見つめた

そんなリアスに、ゼノヴィアが声をかけてくる

 

「し、しかし、あの人は亡くなったと聞いていた、それが何故こうして現界し、コカビエルと戦っているんだ!?」

「そればっかりは私にも。…コウタロウの言葉を借りるなら、〝不思議なことが起こった〟のかしらね」

 

 

「舐めるなぁ!」

 

コカビエルが咆吼し、その手に光の剣を生み出し、こちらに向かって羽を羽ばたかせ、一気に接近してきた

こちらに向けて振るわれたその剣を回避し、RXは剣を持つ手を手刀で叩きつける

痛みに顔を歪ませ、コカビエルは耐え切れず、作ったその剣はあっという間に砕かれてしまった

だがただでやられることはなく、RXに向けて光の力を込めたパンチを顔面に放った

一瞬ではあるが、反応が遅れRXはもらってしまい、わずかに後ろに仰け反ってしまう

その隙を縫うようにBLACKがコカビエルにパンチを打った

後方へと退いたコカビエルは、不意に口元に笑みを浮かべる

 

「…それにしても、仕えるべき主を亡くしてまで、神の信者と悪魔はよく戦う」

 

唐突にコカビエルは何かを語り始めた

その言葉に怪訝な表情をするリアス

コカビエルを見据え、リアスが問うた

 

「…どういうこと」

「ふ、ふはははは! そうか、知らずとも無理はない! ならば教えてやろう、先の三つ巴の戦争で、神も死んだのさ!」

「―――なっ」

 

何といったのだ、この男は

信じられない、といった様子なのは皆同じだった

 

「当然だ、神が死んだなど誰にも言えないからな! 三大勢力でも、この事実を知っているのはトップと一部の者たちだけだ。まぁさっき、パルパーが気づいたようだがな」

 

神がいない

その事実がどれほど大きいことであるかなど考える必要もなかった

かつての木場祐斗らは、何を信じてあの地獄を耐え抜いていたのだろうか

 

「戦後に残されたのは神を失った天使に全魔王と上級悪魔の大半を失った悪魔、幹部以外のほぼを失った堕天使。どの勢力も人間に頼らねければならないほどに落ちぶれた。特に、天使と堕天使は人間と交わねば種を残せない! 堕天使は天使が堕天すれば問題ないが、純粋天使は増えることなどできない。悪魔もまた、純血種が希少だろう?」

「―――嘘だ。そんな…」

 

RXはその声のした方へと視線を向ける

そこにはうなだれるゼノヴィアの姿があった

彼女は生粋のクリスチャン、聖職者だ

よくは知らないが、神を信じて、信じ抜いて生きてきた彼女はこの事実に心を失ったようだった

 

「もう大きな戦争など、故意に起こさねば起きない事態となった。お互い争う大元である神と魔王が死んだ以上、戦争は無意味だと判断しやがった! ふざけるな! あのまま戦争が続けば、こちらが勝っていたかもしれないのだ! それをアゼザルはっ!! 人間の神器(セイクリッドギア)所有者を迎えねば生きていけぬ堕天使に何の価値があるものか!」

 

熱くなるコカビエル

その考えはまったくもって自分勝手としか言いようがないひどいものだ

ちらり、とRXは隣のBLACKを見やった

彼女もRXの視線に気がついたのか、やれやれ、というように両手を上げて、しかもあからさまにため息をついていた

 

「…主は、いないのですか? …私たちに与えられる、愛は…」

 

地面に膝を付き、口元を抑えるアーシア

小猫に付き添われながらも、わずかながらに震えている

 

「神の守護などなくて当然。なのにミカエルはよく神の代わりをしているよ。まぁ神が使っていたシステムさえ機能していれば、神への祈りも、祝福も、悪魔祓いもある程度動作はするからな。とは言っても、神がいた頃に比べれば切られる信徒の数は圧倒的に増えたがな。そこの聖魔剣が生まれたのも、神と魔王が死んだことにより、聖と魔のバランスが崩れたからだ。バランスを司るものが居なくなれば、当然変化は起こるからな」

 

つまり、聖魔剣が作られたのも、また必然ということだ

神がいないから、生まれたのだ

 

「アーシア、しっかりしろアーシア!」

「アーシア先輩…! 大丈夫です!」

 

兵藤と小猫がアーシアに言葉をかけるが、彼女がショックから解放されるのはかなり時間がかかるはずだ

なにせ人生の大半をいないはずの神に捧げてきたのだから、その心中を察するにあまりある

そんな様子を気にもとめず、コカビエルは天に拳を突き出した

 

「俺は戦争を始める、これを機会に! 俺だけでもあの時の続きをしてやる、我ら堕天使こそ、さいきょ―――」

『ダブルキック!』

 

コカビエルのセリフは最後まで続くことはなかった

同時に跳躍した、RXとBLACKのライダーダブルキックがコカビエルに直撃したからだ

着地したBLACKは手を叩きながらコカビエルを見据え、隣のRXは静かに地面を転がり、血反吐を吐くコカビエルを見つめていた

 

「き、貴様―――!」

「はっきり言ってしまうとな、俺はあんまり興味がない。俺はみんなと面白おかしく毎日を過ごせていればそれでいんだ。それを―――」

 

RXが拳を握る

その声色には、わずかながらに、怒気が含まれていた

 

「貴様の勝手な都合で、この街はやらせない!」

 

RXは腰に左手をやり、右手を前にだし、叫んだ

太陽の力を宿したその力の名は―――

 

「―――リボルケイン!」

 

そしてRXはベルトであるサンライザーの左側の穴から生成されたその得物の柄を握り締め、一気に引き抜いた

刀身が発光しているソレを、大きく振り回し、右手に持ち替えた

彼の隣で、BLACKは拳を握り、全身の力を凝縮させる

 

「お灸を据えてあげるわ。最も、坊やはやりすぎだけど」

「ほざけぇぇぇぇ!!」

 

激昂とともにコカビエルは大きな魔力球を作り出し、BLACKたちに向かってそれを放った

迂闊に避けてしまえば、それは自分たちの後ろにいるリアスやその眷属たちに当たってしまう、故に彼らに避ける、という選択肢はなかった

だから前に出る

 

「ハァ!」

 

RXはリボルケインでその球体を受け止めた

この時ばかりはさすがにRXも少し身体を後方へ後退させられたが、それでも退く事はない

リボルケインから眩い太陽の輝きが発せられ、その球体をコカビエルの足元へと跳ね返した

 

「なに!? そんな馬鹿な、俺の全力の―――ぐぉ!?」

 

自分が放った魔力球は地面で爆散し大きな煙がコカビエルの視界を奪う

羽を羽ばたかせ、煙を吹き飛ばし、視界を回復させたコカビエルの眼前に迫ってきたのは、BLACKの飛び蹴り―――ライダーキックだ

コカビエルは拳に力を込め、その足を殴りつけることで、なんとかそれを弾き返した

しかし優雅にBLACKは着地し、彼女の背後からリボルケインを携えたRXが跳躍して現れる

コカビエルは光の剣を作り上げ、RXに向かいその剣を振りかざした

RXは自分に向かって振り下ろされるその剣をで破壊する

わずかに生まれたその隙を、RXは見逃さず、リボルケインをコカビエルの腹部に突き刺した

 

「うぐ!?」

「加減はしてやる! この世に俺がいる限り、貴様の野望は叶わない!」

 

しばらくした後、リボルケインを引き抜き、Rを描くように振り回し、Xを描くように両手をクロスさせ、左手をサンライザー付近へ、リボルケインを持った手を右真横に構え、倒れゆくコカビエルを背にする

爆発こそはしなかったが、再起不能には違いない

 

 

「ははは。すっかり出番はなくなったようだね」

 

空からの声

そのあとで舞い降りてきたのは白い鎧を身に纏った、八枚の光の翼を身に宿すモノだった

その姿を見てふと気づいたのだが、似ている

兵藤の赤龍帝の鎧(ブーステッドギアスケイルメイル)に酷似しているのだ

 

「…〝白い龍(バニシングドラゴン)〟」

 

口にしたのはBLACKだった

そうなると、あれは兵藤の神器(セイクリッドギア)と対を成す白き龍だ

その姿を見てRXは単純にカッコイイ姿だな、と感じてしまった

しかしその奥底に見える強さを、肌でRXは感じていた

 

「おまけに禁手状態まで発現してるのね。なるほど」

「こんなところで先代のブラックサンに会えるとは光栄です。そして、今代のブラックサンに会えるのもまた、嬉しい誤算かな」

 

呟きながら白いヤツは歩き出し、倒れているコカビエルとフリードを担ぎ上げた

彼の能力は伝承通りだと触れたモノの力を十秒ごとに半減させていく、というものらしい

兵藤とは真逆だ

 

<―――無視か? 白いの>

 

不意に誰かの声がした

発生源は兵藤からだ、篭手の宝玉が輝いている

 

<起きてたか、赤いの>

 

同様に鎧の宝玉が輝くだした

神器(セイクリッドギア)に宿る魂が会話をしているのだろう

 

<せっかく会ったが、こんな状況ではな>

<いずれ戦う運命(さだめ)だ。こういうこともあるさ>

<だが白いの。前より敵意が伝わらないが>

<それはそちらも同じだろう赤いの>

<互いに戦以外の興味があるということか>

<そういうことだ。また会おう、ドライグ。こちらはしばらく独自に楽しませてもらおう>

<そうか。ではまたな、アルビオン>

 

白と赤の会話はそこで終わった

別れを告げた両者だが、兵藤は納得していない様子だ

 

「おい、どういうことだよ! っていうか、一体なにがどうなって…!」

「全てを理解するには、力が必要だ。強くなれ、俺の宿敵くん」

 

そう言い残し、白い鎧は閃光となってその場から消えていった

色々と事件は起きたが、ひとまず言えるのは、この戦いが終わった、ということだ

 

「…ふぅ」

 

そのため息は誰のものだったのか

RXとBLACKはその変身を解除し、改めてリアスのところへと歩み寄る

 

「えっと。終わりました」

 

いつもの調子で呟く彼に、リアスははぁ、と苦笑いを浮かべる

そこで、「うぅん」と気を失っていた望月翔子が目を覚ました

 

「…あれ、コカビエルは?」

「終わりましたよ、翔子さん」

 

その言葉を聞くと「そっかぁ…」と短く返事をして、そのまますぅすぅと寝息をたてて寝てしまった

彼女のそんな姿を見て、木場はどこか安心した様子で、一度その場にそっと寝かせてあげた

 

「木場!」

 

不意に声がかけられる

その方向へ木場が視線を向けるとそこには兵藤と浩太郎が木場のことを見つめていた

 

「話は兵藤から聞いたぜ。いろいろ吹っ切ったみたいらしいじゃんか、木場」

「それが聖魔剣か! 白と黒が入り混じって、キレイだな」

 

口々に呟く二人の後ろから、メリディが歩いてきた

彼女はゆっくりと木場の肩を叩くと、微笑んだ

 

「いろいろ辛いことがあったでしょうけど、大丈夫よ。君はひとりじゃないわ」

「…はい」

「神はいなくても道は拓ける。未来は自分の手で切り開くものなのだから」

 

そう呟く彼女はすぅ、と目を閉じるとその体が少し大きめ球体になった

その球体は木場や兵藤、リアスなどの眷属付近を飛び回った後、浩太郎の中へと戻っていった

彼自身に内包されているキングストーンへと戻ったのだろう

 

「祐斗」

 

声に木場は振り向いた

そこには笑顔を浮かべているリアスの姿があった

 

「…いろいろ言いたいことはあるけれど、これだけは言っておくわ、祐斗」

「…部長」

「―――お帰りなさい、私の〝騎士〟よ」

「…はい、僕、木場祐斗は改めてここに誓います。リアス・グレモリーの眷属として、あなたたちを永劫お守りすることを」

「ありがとう。けど、それをイッセーの前で言ってはいけないわ」

 

ふと浩太郎の隣の兵藤を見れば、嫉妬の眼差しで木場を睨んでいる

 

「俺だって騎士として部長を守りたかったんだぞ!」

「お前は騎士ってガラじゃないだろう」

「うっさい! とにかく、だ! お前以外に騎士が務まる奴がいないんだよ! 責任持てよな!」

「ふふ。ツンデレだな、兵藤」

 

浩太郎の言葉にまた「うっさい!」と顔を赤らめて返答した

久しく祐斗の笑顔が見られたと思ったとき、不意に制服の裾が引っ張られた

後ろを向くと、小猫とアーシアがこちらを見上げている

 

「…二人とも?」

「もう、これ以上不安にさせないでください」

 

そう呟く小猫の体はわずかに震えている

不安な眼差しをしていたのはアーシアもまた同じだった

 

「…無事で本当に良かったです…浩太郎さん」

 

目を潤ませてこちらを見上げてくる

浩太郎は小猫とアーシアの頭を撫でて、笑みを作った

うふふ、と笑う朱乃や、楽しく談笑をする木場と兵藤、それを見守るリアス

木場が望んだ、優しい世界がそこにあった

 

 

コカビエル襲撃から数日

浩太郎が部室へ顔を出すとまさかの人物がソファに座っていた

 

「やぁ、浩太郎」

「あれ、ゼノヴィアさん。なんでこんなところに」

 

その時、彼の問いに答えるように彼女の背中から黒い翼が生えた

それは紛れもない悪魔の翼だ

 

「…お前」

「お察しのとおり、破れかぶれで悪魔に転生した。リアスからは〝騎士〟の駒をいただいたよ。デュランダルがすごいだけで私はそこまですごくないみたいだから、ひとつの消費で済んだようだよ。この学園にも編入させていただいた。今日から高校二年のオカルト研究部所属。よろしくね、梓馬くんっ」

「気持ち悪い」

「バッサリだな。赤龍帝の彼はもう少しオブラートに包んでくれたのに…」

 

普段勇ましい喋り方をしている彼女に浩太郎は慣れている

いきなりカワイコぶっても気味が悪い

 

「っていうか、いいんですか、リアスさん」

「でも、デュランダル使いが眷属にいるのは頼もしいわ。これで祐斗とともに、騎士の双翼が誕生したわね」

 

楽しげなリアス

まぁ楽しそうならなによりだ、特にこちらとしては言うことはない

ちなみイリナはゼノヴィアのエクスカリバーと合わせた六本とガリレイの遺体をもって本部に帰還したらしい

彼女は神の不在を怪我のために知らず、実質彼女とゼノヴィアは喧嘩別れみたいな感じになってしまったらしい

次に会うときは敵だろうか

…話が通じればいいのだが

やがて部員が揃い始め、全員が揃ったとき、リアスが口を開き始めた

 

まず連れて行かれたコカビエルは永久凍結されたらしい

しかし別にそれに関しては罪悪感などない、本音を言えばあの時殺そうとも浩太郎は思っていた

そしてなんでも近いうちに天使と悪魔の代表が会談を開くらしい

なんでも悪魔代表、アゼザルから話したいことがあるらしい、その時にコカビエルのこと謝罪したい、とも言っていたようだ

一通り話が終わった後、ゼノヴィアの視線が浩太郎の横に居るアーシアへと移った

 

「…アーシア・アルジェント。改めて謝りたい。神がいないなら、救いも愛もなかったんだ。本当に申し訳なかった。気が済むなら叩いてくれても構わない」

「そんな、ゼノヴィアさん…。私はそんなことをするつもりはありません。悪魔ですけど、大切な人…大事な方々に会えた今の毎日が、本当に幸せなんです」

 

微笑んで彼女はゼノヴィアのことを許してくれた

神を否定され、一時は本当にヤバかったが、小猫と浩太郎が接してどうにか元に戻ってくれた

 

「…ありがとう。アーシア、君は優しいな」

「い、いえ、そんな。あ、その、ゼノヴィアさん!」

「うん?」

「今度の休日に、みんなで遊びに行くんです、もしよかったら、ゼノヴィアさんもご一緒にいかがですか?」

 

その言葉に、ゼノヴィアは少し驚くように目を見開いた

しかしそのあとで苦笑を浮かべ

 

「ありがとう。ただ今回は遠慮しておく。けど―――」

「? けど…?」

「キミがよければ、今度学校を案内してくれないか?」

「―――はい!」

 

ゼノヴィアの言葉にアーシアも笑顔で答える

この二人はいい友人になりそうだ

 

「君とも、いつか手合わせしたいな」

「いいよ。でも負けないよ」

 

木場からその言葉を聞いて、ゼノヴィアは笑みを浮かべ部室を後にした

あの一件以降、木場からはどこか力強い何かを感じている

頼もしい限りだ

 

「さ、みんな揃ったから、部活動再開よ」

 

リアスが手を叩いて室内のメンバーに言葉を告げた

その日、久方ぶりにオカルト研究部は平和な時間を過ごした

 

 

「本当にここを離れるんですか?」

「うん。一応デビルハンターまがいの仕事してるしね」

 

ある日の休日

自宅を出る際に待っていた望月に、浩太郎は出会った

彼女は一度、この街を離れるらしく、それで、別れの挨拶にしに来たとか

 

「…けど、それなら俺よりも木場に言ったほうが」

「祐斗にはいつでも会えるもの。彼の笑顔見れて嬉しいしね」

 

呟く望月の顔はどこか憂いを帯びていた

そんな彼女にかける言葉が見つからず、浩太郎は視線を泳がした

望月が浩太郎に向かって言葉を発する

 

「ねぇ、祐斗のこと、お願いしていい?」

「それはもちろん。大切な仲間ですから」

「それを聞いて安心した。じゃあまたねって、祐斗にも伝えておいて」

 

浩太郎の肩に手を載せて、望月は走り出した

最後まで彼女はこちらに手を振っており、浩太郎もまた、彼女の姿が見えなくなるまで見送っていた

ふと、浩太郎は携帯の時間を確認する

 

「浩太郎さん」

 

不意に声がした

こちらに向けて歩いてきたのは塔城小猫だ

変わらない制服を纏い、僅かな笑みを浮かべている

 

「時間は大丈夫ですか?」

「ああ、あとはアーシア―――」

 

その時、浩太郎自宅の扉が開かれた

 

「浩太郎さぁん、すみません、少し遅れてしまいましたぁ」

「大丈夫だ、問題ない」

 

出てきたのはアーシアだ

彼女は桐生に渡されたゴスロリの衣装を着ており、傍から見ればコスプレ少女だ

どうやらその服を着るのに少し手こずってしまったらしく、少々遅れてしまったようなのだ

しかし可愛いので問題ない

 

「じゃあ行こうか。多分もう兵藤たちも向かってると思うから」

「はい! みんなと遊びに行くって初めてですから楽しみですぅ」

 

小猫とアーシア、そして浩太郎の三人は待ち合わせ場所である駅前へと足を進めた

これから始まるのは、何気ない日常の一ページだ

変わらない日々を守るために、こんな自分に笑いかけてくれる人のために、これからも戦っていこう

 

みんなと、一緒に―――

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