その身に宿すはキングストーン   作:桐生 乱桐(アジフライ)

21 / 43
今回も短め
出来はまぁいつもどおりです

誤字脱字を見かけたら報告ください

では閲覧してどうぞ



20

本日は授業参観の日だ

本来ならこの日、浩太郎の両親も来る予定だったのであるが、休みが取れず、とても残念な表情をしていた

それに合わせてアーシアも少しばかりションボリとしていた

ちなみに授業参観とは言うが、正式名称は〝公開授業〟である

生徒の家族はもちろん、中等部の学生も授業を見学しても良い、という割とフリーダムなスタイルだ

当然、その中等部の両親も見学に高等部の授業を見学しに来るので、結構緊張するのだ

流石に後輩の前で恥をかきたくはない

 

そんなこんなで教室に席に付き、兵藤に元浜、松田を交えて駄弁っていた

話をしている集団に、一人の女子が歩いてくる

 

「イッセー、浩太郎」

「? ゼノヴィア」

 

歩いてきたのはゼノヴィアだ

彼女もまた、人気の高い女性である

また胸のあるイケメンでもあるので女子人気も高い

 

「先日は突然あんなことを言って済まなかった」

「あぁ、あのことね。別に気にしてないよ、なぁ、イッセー」

「あぁ。ちょっと驚いたけどな」

 

それにゼノヴィアもうんうんと頷いている

 

「やっぱりいきなり難しいと思ってな。だからこそ」

 

そう言って彼女はゴソゴソと何かを取り出し、こちらに見せてきた

彼女が持っているのはコンド―――

反応速度は一瞬だった

 

「まずはこれ―――」

 

完全にセリフを言い切る前に神速の速さでその持っているゴム的なものをひったくる

ちくしょう、全然わかってなかった

浮世離れしすぎやろ、と浩太郎は内心毒づく

 

「…あれ?」

 

手の中にあるゴム的なものをポケットに突っ込み、隠蔽する

あとで処分しなければならない

こんなものを大衆面前で見せられればえらいことになる

てかなんで持ってるんだ彼女は

買ったのか、もらったのか、いいや、買ったに違いない

しかし浩太郎の考えは浅はかだった

怪訝な顔をしながら彼女はもう一個をそのゴム的なものを取り出したのだ

今度は間に合わなかった

 

「改めて。最初はこれを用いて練習しよう」

 

結果は案の定である

クラス中の視線がそのゴム的なものに注がれる

絶句している浩太郎に変わって兵藤が叫んだ

 

「ば、馬鹿かお前は!? な、何取り出してんの!? しかも、こんな大衆の面前で!?」

 

取り乱してる

当たり前だ、目の前の知り合いがいきなりゴム持って合体(意味深)しようぜなんて言ってきたのだ

取り乱す前に言葉を失う

 

「私のいたところではコイツの使用にいろいろあったが、やはり使用したほうがいいと思うんだ」

 

もうどうでもいいや、と諦めた浩太郎は兵藤の肩に手をかけ、ちらりと時間を見やる

授業開始まで少しある

申し訳ないが、逃げようと判断した

 

「こ、浩太郎?」

「あとは任せた」

「は!? あ、ちょ!」

 

そう言い残して浩太郎は脱兎のごとくその場から逃走した

なんか後で飲み物でも奢ろう

ちなみに窓から飛び降りるという逃亡方法も考えたが、さすがにやめておいた

 

 

しかし思うと最近女性とのふれあいが増えてきたなぁ、と思う

リアス、朱乃という二大お嬢様と関わりを持ち、マスコットとして人気を誇る小猫とも親しいし、アーシアとは言わずもがなだ

ゼノヴィアもいろいろ特殊だが、気兼ねなく接せる、という点では彼女も親しいと言えるだろう

そう考えると結構この学園から恨まれる位置にいないだろうか、自分は

適当にぶらつきそんな思考をしていると聞き慣れた声が浩太郎の耳に聞こえてきた

声の方へ視線を向けるとそこには小猫がいた

 

「浩太郎さん? 何してるんですこんなところで」

「うん? あ、いや、あれだよ、ちょっと散歩…というか」

「もうすぐ授業始まりますよ? なんで散歩なんか…」

 

ゼノヴィアがコン○ムを持っていたので、その言い訳を兵藤に任せて逃げてきました

なんて流石に言えなかった

っていうか状況が意味わからない

 

「い、いやー、なんかさ? 女性の知り合いが増えてきてるなー、なんて思ってさ…」

「…そう言えば、そうですね」

 

浩太郎の言葉を聞くと、少しだけショボンとしたような感じになる

思えば、最近彼女と和菓子のことで話をしていないような気がする

少し前まではちょくちょくしていた気がするのだが

 

「前までは、私が浩太郎さんと一番親しかったんだけどな…」

 

ふと呟いた彼女の言葉は、タイミング悪くなったチャイムにかき消された

 

「っと、やばいな、戻らないと」

「―――そう、ですね。戻りましょう」

「あ、そうだ小猫」

 

教室に戻ろうとした小猫を呼び止めた浩太郎は軽く笑顔を浮かべながら

 

「今度、ようかんでも買いに行かないか?」

「え? 二人で、ですか?」

「あぁ。アーシアも連れて行こうか?」

「い、いえ! その、…アーシア先輩には、買って、行きましょう」

「サプライズな的な感じで? オーケー了解。じゃあまた後で!」

 

最後に小猫の頭を撫でながら、浩太郎は自分の教室へと小走りで戻っていった

唐突ではあるものの、久しく二人でいられる時間を得たことに、少しばかり嬉しく思う小猫だった

 

 

昼休み

 

「…よくできているわね」

 

リアスが先の授業で作った紙粘土でできたリアス像を手で触りながら賞賛していた

授業が終わり、押し付けたお詫びとして兵藤、アーシアと一緒に自販機に歩いていったらそこでたまたまリアスと朱乃に遭遇し、先の授業でできたものを兵藤がリアスに見せていた

先の授業、英語の授業なのになぜか紙粘土で自由になんか作ってくださいとか言われたので、浩太郎はとりあえず星的なのを作ってみた

あんまり想像力などない浩太郎にはとりあえずポケ○ンのスター○ーを参考にして作ってみたが、結果は赤い配管工のスターになってしまった

そして兵藤が作ったのはとても造形のいいリアス・グレモリーの像だった

あまりの出来にクラス内でオークションまで起きたほどだ(英語の授業なのに)

 

そんなフィギュアを愛でている横を、木場が通りかかった

飲み物を買いに来たのだろうか

 

「木場、飲み物か?」

 

浩太郎が聞くと木場は廊下の先を指さした

 

「いや、何やら魔女っ子が撮影会してるって聞いてね」

 

なんだそれは

 

 

何やら木場が指さした方向へ行ってみると、そこは一種の撮影会となっていた

なんでカメラを持っているのかあんたたちは、とも思ったが今は授業参観、両親がもってきているのを借りたのだろう

いや、問題はなんでこんな自体になっているかということで

 

人垣をかき分けて魔女っ子を視界に入れる

結構な美少女だ、なんのキャラかは知らないがコスプレをしており、小道具であろうスティックをくるくると振り回している

同じように人垣をかき分けてきた兵藤とリアスがやってきた

視界に入れたとたん、リアスが驚いたような表情を浮かべた

 

「えっ!?」

 

彼女からしたら珍しい驚きぶり

そんな中、もうひとり別の男性の声が聞こえてきた

 

「ほら解散解散! こんなところで騒ぎを立てないでくれ」

 

言いながら駆けつけた匙が集まっていた群衆を散らしていく

やがてカメラ小僧達も散っていき、ここに残ったのは匙とコスプレ少女、そして我々だけになった

 

「貴女もそんな格好しないでください。この場に合う服装ってのがあるでしょう。困りますよ」

「えー、でもでも、これが私の正装だもん♪」

 

ウゼェ

これは面倒くさそうなタイプである

奥歯を鳴らす匙だが、リアスを確認すると頭を下げる

 

「あ、リアス先輩。今、魔王さまと先輩のお父さんをご案内していたところなんです」

 

匙が廊下の後方を確認する

そこにはソーナを先頭に、赤い髪の男性二人が歩いてきていた

 

「サジ。問題は穏便に―――」

 

開いた口が止まる

魔法少女はソーナを見つけると笑顔を作って

 

「ソーナちゃん! みぃつけた!」

 

そう言って嬉しそうに抱きついた

どうやらこの魔法少女はソーナの知り合いのようだ

そしてもう一つ、嫌な考えが頭をよぎる

もしかしてこのお方

 

「セラフォルーか。来ていたんだな」

 

セラフォルー・レヴィアタン

一瞬思考がフリーズした

まさかこんなイタイ格好をする女性が四大魔王の一人だと思うものか

同じように思考が停止していたのか、兵藤がポカンとしていた

確認をするように、リアスが言葉を付け足す

 

「レヴィアタンさまよ」

「―――え、えぇぇぇぇぇぇ!?」

 

兵藤の絶叫

まぁ彼も四大の一人であるレヴィアタンがこんなのだとは思いもしなかったのだろう

 

「セラフォルー様、お久しぶりです」

「あらリアスちゃん、おひさっ! 元気にしてましたかぁ?」

 

大変可愛らしい口調だ

もっとも、そう感じるのは一部の人物かも知れない

 

「え、えぇ。おかげさまで。本日はソーナの授業参観に?」

「うん。ソーナちゃんたら酷いのよ? 参観のこと言ってなかったんだから。もう、ショックで天界に攻め込もうとしちゃった♪」

 

そんなことで戦争を起こさないでいただきたい

天界の方々が哀れに見えてくる

 

「イッセー、コウタロウ。ご挨拶なさい」

 

そう言われハッとした

思えば挨拶をしていなかった

隣の兵藤は頭を下げて挨拶をする

 

「は、初めまして。リアス・グレモリー様の下僕、兵士やってます、兵藤一誠です! よろしくお願いします!」

 

ハキハキと兵藤が挨拶する

とりあえず、浩太郎も少し頭を下げながら言葉を発した

 

「ドーモ、セラフォルーさん。梓馬浩太郎です。リアスさんとはあれです、いい友達をやらせてもらっています」

 

その挨拶はどうなの? と視線で訴えるリアスをスルーし、浩太郎は頭をあげた

彼らふたりの挨拶を聞くとセラフォルーは笑顔を浮かべ

 

「初めまして★! 魔王セラフォルー・レヴィアタンですっ! 〝レヴィアたん〟って呼んでね?」

 

そう言ってキラッみたいな感じでピースサインを横向きにするセラフォルー

…絡みづらい

そう思わずにはいられない

 

「ねぇねぇ、この子達が、噂の〝ドライグ〟くんと、〝ブラックサン〟? サーゼクスちゃん」

「そう。彼らが〝赤い竜(ウェルシュドラゴン)〟を宿すもの、兵藤一誠くんと、〝ブラックサン〟を継ぎしもの、梓馬浩太郎くんだ」

 

きゃぴ、なんて擬音が似合いそうなポーズをするセラフォルー

そんな彼女の視線はリアスの父親に向けられ、話し始めている中で、リアスがはぁ、とため息を吐いた

 

「ごめんなさい。その、現四大魔王さま方は、みんなフリーダムなのよ。酷いぐらいに」

 

フリーダムってレベルじゃねぇぞ、と思わずにはいられない

というか四大の人たちみんなこんなか、会いたくない欲求が強まっている

なんだろう、なんか疲れてしまった浩太郎は兵藤に先にもどる、と言って教室に戻っていった

 

◇◇◇

 

授業参観もつつがなく終わり、翌日となった

浩太郎たちは旧校舎一階のあかずの扉の前に集まっていた

その理由は、アーシアが転生する前にもうひとりいた、〝僧侶〟のことを説明するためである

 

話には聞いていたもうひとりの僧侶

そう言えばそれが誰なのか、兵藤やアーシア、浩太郎は知らされてなかった

ゼノヴィア以外の悪魔は皆知っているメンバーだ

なんか話によると自分の能力が扱いきれていないから封印されていたとかなんとか

先日のコカビエルの一戦と、フェニックスの一戦を評価され、この度解禁されたらしい

 

「ここにいるのよ。普段はここに一日中住んでいるけど、夜中に術が解けて、旧校舎内なら自由に歩いてもいいんだけど、本人がそれを拒否しててね」

 

言いながらリアスはその扉に向けて手を向ける

そこには事件現場に貼られていそうな黄色いテープが貼られており、封印の厳重さが伺える

 

「引きこもりなんですか?」

「けど、リアスの眷属の中では一番の稼ぎどころなんですよ」

「マジですか!?」

 

兵藤が驚く

 

「けど、そいつはいちにちずーっとここにいるんですよね。どうやって仕事してるんです?」

「パソコンを介して、特殊な契約を執り行ってるの。私たちと直接会いたくないっていう人もいるのです。それをパソコンを介して解決しているのです」

「引きこもりの客は引きこもり、ですか」

 

朱乃の説明を聞いた浩太郎は呟いた

というかパソコンで契約なんかできるのか悪魔

ハイカラですね、とひとり思う

 

「―――扉を開けるわ」

 

刻まれていた刻印を消し、封印されていた扉はただの扉となっていた

そして―――

 

「イィィィィィィィヤァァァァァァァア!」

 

耳に聞こえてきたのはつんざくような絶叫

しかしそれに驚いたのはゼノヴィア含む新参悪魔と浩太郎だけで、リアスはそれにため息を付いて、朱乃と一種の部屋の中へ入っていった

 

「な、ななななんかようなんですかぁぁぁぁ!?」

「封印が解けたのですよ? 私たちと一緒に―――」

「やですぅ、ここがいいんですぅ! 出たくない、会いたくないぃぃ!」

 

これはまた個性的な眷属だ

事情を知る木場や小猫はそれぞれ苦笑いを浮かべたり、ため息を吐いたりしている

浩太郎は兵藤と頷き合い、意を決してその部屋の中へ入っていく

ぱっと見、その部屋は女の子みたいな装飾だ

リアスらがいる場所に歩いてみると、そこにプルプル震えている女の子みたいな奴がいた

 

「お、おぉ! 女の子だ、浩太郎! 女の子!」

「お前は女子と見るやすぐそれか」

 

金髪のショートカット、女子制服に身を包んだ彼女…? を見て兵藤はひとりテンション上がっている

そんな風に喜んでいる兵藤に対し、リアスが現実を突きつける

 

「…この子は男の子なのよ」

「…マジっすか」

 

男の子とはたまげたなぁ

まさかまさかの男の娘だったとは

 

「…え? い、いや、だってこんなに可愛いんですよ!? え、マジで?」

「女装趣味があるのよ」

 

横でリアスが付け足した

 

「―――えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

絶望している兵藤を無視し、浩太郎はその男の娘へと歩み寄る

しかしぱっと見ではわからないだろう、背丈も小さいし、声色も女の子だし、言われなければ気づかないだろう

けどなんで女の服装をしているのだろうか

動きやすいからか?

 

「キミ、なんで女の格好してるの?」

「だ、だって、女の子の服の方が可愛いもん」

「もんとか言うなぁ!ちくしょお野郎のくせにぃ! 返せ、一時とはいえ夢を見たダブル金髪美少女〝僧侶〟という夢を返せよぉ!」

 

後ろで兵藤が叫んでいる

愚かなことだぁ

 

「と、ところで、あなたたちは、誰ですか…?」

「貴方がここにいる間に増えた眷属と、私の協力者よ。兵士のイッセー、騎士のゼノヴィア、僧侶のアーシア。そして、コウタロウよ」

 

紹介された一行はよろしく、と挨拶を交わすが、当の本人は増えてりゅぅぅぅ、とビビるばかりで大変だ

対人恐怖症かなにかだろうか

もしくは自分も持つ神器(セイクリッドギア)がこちらに被害を出してしまうことを恐れてしまっているのだろうか

 

「お願いだから、出ましょう? 貴方はもう封印されなくてもいいのよ」

「やですぅぅ! 外の世界なんて無理なんだぁぁ! お外怖い、僕が出ても迷惑をかけるばかりなんだァァァァ!」

 

怯える彼の前に立ち、浩太郎はなるべく優しく彼の手を取って

 

「大丈夫だよ、俺たちは―――」

「ヒィィィ!!」

 

しかし彼は絶叫し怯えるばかりだ

その時、一瞬体に妙な違和感を感じた

 

「…え? あれ?」

 

というかなんか周りが白い気がする

なんだこの空間、今ここに色があるのは浩太郎と目の前の彼だけだ

 

「な、なんで僕の力が効かないんですか…!?」

「え? これ君の力なの?」

 

頭に疑問符を浮かべていると自分たち以外白黒だった世界に色が戻っていく

いつものカラーが戻ってきたとき、兵藤とゼノヴィア、アーシアの三人がそれぞれ顔を見合わせて同じように疑問符を浮かべていた

 

「…あれ?」

「なにか、今一瞬…」

「ナニカされたのは確かなようだけど…」

 

しかし驚いているのは彼のことを知らないメンバーだけで他のメンツはみんなため息と苦笑いを浮かべている

 

「…もしかして、彼の力って…」

「その子は興奮すると視界に入った全ての時間を一定時間止めることができる神器(セイクリッドギア)を持っているのです」

「時間停止…」

 

そうか、だからさっき変な白黒の世界になったのか

…しかしそれならなんで浩太郎自身の時間は止まらなかったのだろうか

これもキングストーンの力なのか

 

「けど、なんとなくわかりましたよ。その時間停止の力を制御できないから、封印を受けていた、と。そんなところですか?」

 

浩太郎の言葉にリアスは頷く

なるほど、それなら封印されてしまうわけだ

時を止める、ということがどれだけ恐ろしいことか、それが制御できないのなら、味方に被害を出しかねない

リアスは彼の後ろに歩み寄り、そっと彼の背を抱きしめて

 

「この子はギャスパー・ヴラディ。私の〝僧侶〟。駒王に通う一年生で、転生する前は人間と吸血鬼のハーフなの」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。