ただレーティングゲームには参加させないのでそこんところはぶった切る予定
ではどうぞ
26
夏休みが始まって、まず最初に違和感を覚えた
別に部屋の間取りなどは変わっている様子はない、そこは問題ない
なんか太陽の光、多くね? と思ったのだ
前までの家でもそこそこ太陽は入ってきていたが、なんだか今日は太陽の光が思いっきりダイレクトに浩太郎の体に突き刺さっていた(すごい心地いい)
そして近隣の家には…なんかものすごくデカい屋敷みたいなのが建っていた、というか近所にはそれしかない
お隣さんとはせいぜい顔を合わせたら挨拶する程度ではあったが、いざ視界に入ってこないと心配になる
寝てる間に何があったのだ
「こ、浩太郎さぁん」
がちゃり、と扉が開かれて、アーシアがやってくる
若干寝起きなのか、少し髪も寝癖がたっていた
とりあえず「落ち着いて」と言いながら彼女の髪を撫で寝癖を少しでも治していく
「なんだか、おっきな家がありますぅ!」
「うん、それは俺も思った。…ひとまず、朝ご飯を食べよう」
色々と突っ込みたいところはあるが、ここは情報を整理するために腹を膨らませよう
話はそれからだ
一度お互いの部屋に戻ってから着替えを済ませ、一階に降りると、珍しく食卓の席には父がいた
母は夜勤明けで眠ってしまっているらしいので、本日の朝ご飯は父手製だ
「そうそう、浩太郎」
「うん? なんだい父さん」
「話は聞いてるぞ、やるじゃないか、お前も」
「え? 何が」
「とぼけるない。近いうちに、もうひとり女の子がこの家に居候するそうじゃないか。お隣に住んでるグレモリーさんから聞いたぞ」
あれリアスさんの家やったんかい
そう言えば少し前に小猫もここに厄介になるって言っていたから、その説明をしてくれたのだろうか
けど本当に来るとは思わなかった
いいや、この際我が家に小猫が来るのは問題ではない、もう一つ、我が家には重大もことがある
「…父さん、家どうしたん?」
「あぁ、家の場所のことだな。俺もびっくりしたよ、朝起きたらこうなってたんだ」
父もびっくりしている
お隣のおっきい屋敷を見ながら
「凄いんだな兵藤さんの知り合いの…なんだっけ、ぐれもりー? さんのお父様がさ、なんでも建築関係の仕事のモデルハウスの一環で、我が家を兵藤さんのお近くに立て直してくれたんだよ。お前とアーシアちゃん、兵藤さんちと仲いいからな、場所が近くて喜ぶと思って、お父さん快諾したんだ」
「あれ兵藤の家だったの!?」
まさか知り合いの家だった
けど、あれ、自分の記憶が正しかったらあいつの家もごくごく普通の家だったと思っていたのだけど
「なんなら、この家もあれくらいにしましょうか? って聞かれたけど、さすがにそこまでワガママは言えないからね、そっくりこのままで、ってお願いしたんだ。なんだかんだで、この家は恋しいからね」
その判断は正しい、と浩太郎は心の中で賞賛を送る
朝起きたらあんなになってしまったらさすがにもうわけわからなくなる
横のアーシアなんか笑顔だけど少しぽかんとしている
わからんでもない
っていうかいつ話し合ったのだろうか
考えようとして―――いいや、よそう
考えたらもっとわけわからなくなりそうだ
朝ご飯を食べ終え、今日は父が食器を洗ってくれると言ってくれたので、今日は申し訳ないが、任せることにした
何よりもまず、兵藤の家に行きたかった
◇
「あ、浩太郎さん」
「小猫」
玄関から出るとそこには荷物を纏めて来ていた塔城小猫がそこにいた
服装はいつもの制服姿ではなく、白いワンピース姿だ
「おはよう、それと、これからよろしく」
「はい。これからご挨拶しに行きます、アーシア先輩もよろしくお願いします」
「はいっ、大歓迎ですぅ!」
結構アーシアと小猫は仲がいい
うちの両親も結構気さくなので打ち解けるのに時間はかからないだろう
ふと小猫は浩太郎の方へと視線を向けてきた
凛、とした真っ直ぐな、琥珀色の瞳が浩太郎を貫く
「…小猫?」
「いえ、浩太郎さん、もし時間が空いたらでいいんですけど、あとで組手をしてくれませんか?」
「え? あ、あぁ。俺でいいなら…」
「ありがとうございます、浩太郎さん。じゃあ少し挨拶をしてきます」
そう言い残して、小猫は荷物を持って浩太郎の家へと入っていった
いきなり組手なんて、どうしたのだろうか
そのときは深く考えていなかった
兵藤宅は意外に歩いて近いところにあった
表札を見てみると兵藤の文字
正直今まで半信半疑だったが、もう信じるしかなさそうだ
恐る恐るインターホンのボタンを押す
ブザーが鳴り、インターホンから声がした
<はーい?>
「あ、梓馬ですけど」
<あ、浩太郎くん? 今開けるわね>
兵藤母からの返答の後、玄関が開けられた
出てきたのは兵藤だ
心なしか、苦笑いである
「…おはよう、兵藤」
「お、おう。おはよう。浩太郎、アーシア。まぁ入れよ」
そんな兵藤に案内され、二人は新兵藤宅へと足を踏み入れた
居間に入るとそこにはかつての兵藤宅とは比べ物にならなくらい広くなったリビングでみんなが朝食を取っていた
リアス、朱乃、ゼノヴィアが座っており、各々朝ごはんを食べていた
っていうかゼノヴィアもいたんだ、まぁアーシアと近い方が本人もいいだろうし、問題ないだろう
なんでも兵藤の親父さんも朝起きてびっくりした、とのこと
まぁ確かに昨日までなんの変哲もない自宅がセレブもびっくりな豪邸にトランスフォームしていたら確実に驚く
改築理由を聞いてみるとサーゼクス曰く「眷属仲良く暮らしなさい」だとか
また、改築にあたってお、隣にいた人たちは急に好条件な土地が見つかったからって引っ越した模様
それをリアスに聞いてみると
「大丈夫、平和な解決だったわ。みんな幸せになれたのよ」
その交渉は合法ですか?
いや、リアスが言うのなら皆笑っているに違いない
半端ねぇ、グレモリー家
ちなみに間取りは一階は客間にリビング、キッチン、和室
二階はリアスと兵藤の部屋(互いが互いの部屋に行き来できる作り)
三階がご両親の部屋、書斎、物置
四階が朱乃とゼノヴィアの部屋に、五階、六階は今のところ空き部屋、ゲストルームらしい
そして屋上には空中庭園、兵藤父が野菜作るぞー、と目を輝かせていた
「地下もあるみたいだね。…と、くの」
「TIKA!?」
箸に苦戦しつつ、ゼノヴィアが呟いた
そしてさっきの声を上げたのは浩太郎だ
びっくりしすぎてなんかへんな声になってしまった
ゼノヴィアに頷いたリアスはまた地図を手に取り
「えぇ。地下一階が広いお部屋。トレーニングルームにもできるし、映画鑑賞会もできるし、大浴場も完備、地下二階は全面室内プール、温水も可能よ。地下三階は書斎と倉庫になってるわ」
こんなの家じゃないわ、ただのリゾート施設よ!
だったら住めばいいだろ!
なんか頭の中はいよいよ意味のわからないやりとりをし始めた
昨日コマ○ドーの映画を見たのがいけなかったのだろうか
ちなみにアーシアには刺激が強いので見せてはいない
「エレベータもあるから、地上六階から地下三階までスムーズに移動もできるわよ?」
「ファーっ!?」
どうなってんだこの家…家? ビル? あぁ、もうどうでもいいや
とりあえずリビングに備え付けてあったソファに「座りますね」と断りを入れどっかりと腰を下ろし、考えるのをやめた
◇◇◇
「冥界に帰る!?」
そう声を上げた兵藤に対し、リアスは「えぇ」と頷いた
あのあと、朝食が食べ終わるのを待ち、アーシアと浩太郎は一足先に兵藤の部屋にお邪魔していた
当然彼の部屋もリフォームされていたが、もう突っ込まない
後から小猫も来て、彼女を交えていつものようにトランプでもして待っていると、やがてみんな入ってきた
トランプをしている最中、時たま小猫が憂鬱げな表情をして外を眺めているのが気になったが、なんか触れてほしくなさそうだったので、黙って見守っていた
そしてつい先ほど木場とギャスパーも到着し、全員集合して、リアスが冥界に帰る、といったときに兵藤が叫んだのだ
それと、なぜかギャスパーは自前の段ボールを持ってきていたが、決して突っ込まない
「夏休みだから、毎年のことなのよ?」
「俺としては何でお前が泣いてるのかがわからないんだけど」
浩太郎の言葉通り、なぜか兵藤は泣いていた
子供か、とも思ったが悪魔としてはまだまだ子供だ
「だ、だって部長が俺を置いて冥界に帰っちゃうのかと思うと…悲しくて哀しくて!」
「ふふ。バカね。私とイッセーはこれから百年千年単位で付き合うんだから。置いて行ったりなんかしないわよ」
百年、千年、という単語を聞いて浩太郎は少し考えた
それは自分の寿命のことだ
先代であるメリディは五万年生きたと聞いた
…もしかしたらこのメンバーの中では自分が一番長寿なのではないだろうか
五万年という遥か永い時を生きることなんかできるのだろうか
「そういうわけでみんなで長期旅行の予定なんだけど…コウタロウはどうする? 私たちと一緒に来る?」
「そうですね、ご迷惑じゃなければ一緒に行きます。夏休みの予定なんかありませんし」
「決まりね。そういえばイッセーとアーシア、ゼノヴィアは初めてだったかしら」
リアスの問いに三人はうなずいた
そう言えば浩太郎はかつてフェニックスに喧嘩を売りに行ったときに冥界に行ったのだっけ、と思い出す
正直あの時はあのスカした面を殴ることしか考えてなかったので、あまり冥界のことなど覚えていない
はっきり言ってしまえば興味もなかったのだが
「ま、漫画とかの知識しかないですけど…」
ふむぅ、と冥界のイメージを照らす兵藤
「め、冥府に行くなんて緊張です! 死んだつもりでいかせていただきます!」
なんかよくわからないアーシア
とはいえ気合が入っているようで何よりである
「冥界、地獄か。うん、前から興味あったんだ。…ふふ、地獄か、悪魔になった元信者にはお似合いかな」
ゼノヴィアメンドくせぇ
「八月の二十日過ぎまで、残りの夏休みを
そう言ってこれからのスケジュールを告げるリアス
そういえば、と浩太郎は気になったことを木場とギャスパーに聞いてみることにした
「二人はどっか出掛けたりしないのか?」
「僕は修行があるからね」
そう爽やかに答える木場
一方ギャスパーは
「ぼ、僕はいいです、インドア派だし、ネットしながらかわいい服を着られればそれでいいですぅ」
相変わらずのアカン子や
行動のいたるところで突っ込みを待っているようにしか見えない
「俺も冥界に行くぜ」
ふと聞き慣れない声が耳に響いた
その声の一角に視線を傾けると、いつの間にやら来ていたアザゼルが席の一角に座っていたのだ
気配はしたが、存在には気付けなかった
自分もまだまだ未熟だな、と思い知らされる
他のメンバーも彼の登場に驚いている様子だった
「い、いつからそこにいらしたの?」
「うん? 普通に玄関から入ってきたぜ?」
朱乃の問いにそう答えるアザゼル
もともと彼は堕天使側の総督であり、場合によってはRPGのラスボスのような存在にもなりうるのだ
例の会談終了後、彼は駈王に残り、教師を始め、今ではオカルト研究部の顧問だ
「はっはっは。お前らもまだまだ修行不足だな。俺は普通に来ただけだ。それよりも、冥界に帰るんだろう? じゃあ俺も行くぜ。俺はお前らの〝先生〟だからな」
先も言ったが、アザゼルは我々の先生を引き受けてくれた
豊富な
浩太郎は別として、リアスの眷属内の何人かはすでにコツをつかんでいるらしく、指導者としての才覚も確かなようだ
彼は懐から手帳を取り出すと、それを開きながら内容を読み上げていく
「冥界での予定は、リアスの里帰りに、現当主に眷属の紹介、あとは新鋭若手悪魔たちの会合に、お前らの修行だ。んで、お前らがグレモリー家に居る間、俺はサーゼクスと会合、か。…面倒くさいったらないな、ったく」
一組織の総督がそれでいいのか、とも言いたくなるが成り立っているのだからそれでいいんだろう
なぜならたまーに誰だかわからん堕天使がアザゼルに会いにやってくるのだ
秘書にしてください、とか、護衛します、とか
まぁそんな堕天使一同を「イラネ(意訳)」の一言で送り返しているのだが
そんな堕天使がオカルト研究部を鍛えてくれるのだ、これは期待が持てる
「じゃあ、アザゼル…先生はあっちまで同行するのね? 行きの予約はこっちでして問題ないかしら」
「あぁ。頼むぜ。悪魔側のルートで冥界に行くのは初めてだ。いつもは堕天使側のルートでしかいってことないからな」
そんなわけで、今年の夏休みの予定が一気に決まった
ちょっとあの世に行って来ます
今回は前みたいに喧嘩を売りに行くわけではなく、純粋に客(?)として行くのだ
ちょっぴり楽しみな浩太郎だった