しかし登場するかは未定(
戦闘とは無関係なところで登場させるかも
出発の日がやってきた
オカルト研究部With浩太郎が向かったのはまず最寄りの駅だった
皆駒王の制服を着込んでいる
なんでも冥界に入るのなら、これが一番の正装なんだとか
頭の中に疑問符を浮かべてリアスらの後を付いていく
そんな彼女らは迷うことなくエレベータへと足を動かしていく
あのエレベータは詰めても五人くらいしか乗れない今時珍しい狭苦しいエレベータだ
「先に私と朱乃、そしてイッセー、ゼノヴィア、アーシアで降りるわ。コウタロウは祐斗やアザゼルと一緒に降りてもらっていいかしら」
「ういす」
そんなわけで先にエレベータに乗ったのはリアスを含めた五人だ
扉がしまった後、がこん、と下に降りるような音がする
っていうかマジですか、たしかここのエレベータって上にしかいけないと思うのだけど
そんな不思議そうにまじまじとエレベータを見ていると横に居る木場が
「悪魔専用のルートなんだよ。これ以外にも、いくつかこの街には悪魔専用の領域があるんだ」
木場の説明にはぁ、と頷く
かれこれこの街に住んで早十数年、まだまだなんだと思い知らされた
待つこと一分、エレベータが戻ってきた
中に入り、木場がポケットからなにやらカードのようなものを取り出し、ソレを電子パネルに押し付けた
ぴ、という反応の後、ガコン、とエレベータが動き出す
揺れること再び一分、エレベータから降りると地下空洞のような、だだっ広い空間が広がっていた
駒王町どうなってんの
そこからリアス案内のもと、歩き続けること数分間
目の前に見えてきたのは列車のフォルムをした、乗り物だった
よくよく見るとグレモリーの文様やサーゼクスの文様もある
先頭車両も少し鋭利で、なんだかヒカ○アンにでも変形しそうだ
「これが―――グレモリー家専用車両よ」
知ってた
というか、なんとなくそうなんだろうな、とは察していた
◇◇◇
そんなわけで列車に乗り込み、オカルト研究部の面々は中央に座ることになった
なんでも座り方には決まりがあるらしいのだが、人間である浩太郎は好きに座って構わないという
これが電車とかならつり革に捕まってのんびりゆらゆら行こうかな、とは思っていたがこれは、列車、そんなもんない
決まりに習い、眷属である兵藤とアーシアは中央から後ろの席に座り、その対面に朱乃とゼノヴィア、その隣の席に木場とギャスパー、そして彼らの対面に小猫と浩太郎が座る
端っこの方ではアザゼルが座っている、が、すっかりウトウトし始めている
ふとそうだ、と思い出し浩太郎は小猫に断りを入れ、一度その席を立ち、アザゼルの方に向かう
浩太郎が近づくと気配に気づいたのか、アザゼルの目が開いた
「ん? なんだ浩太郎、携帯ゲーム機を使って、格ゲーでもしにきたか?」
「それもいいが、今は違う。アンタ、作る専門なんだよな」
「専門ってわけでもねぇが、作ったりはするな。なんだ、なんか作って欲しいのか?」
「そんなところだよ。…ちょっと子供臭いけどな」
そう言って浩太郎は携帯でとある動画を再生し始めた
ちょっとした特撮のワンシーンである
「…その、これと似たようなもの、もしかしたら作れるかなー、って、なんとなく思っただけなんだけど、どうだ?」
「―――ぷっ、お前、意外にガキっぽいな。ブラックサンのくせして、そんなのを望むのか」
「やかましい! それとこれとは別なんだ。子供っぽいって、メリディにも言われたしな」
「けど嫌いじゃないぜ、こういうの。その動画のデータを寄越しな。試しに作ってやるよ。ただ性能とかは期待すんなよ?」
「マジか! 感謝するぜアザゼル先生!」
「ったく、こういう時だけ調子のいいやつだ」
笑顔を浮かべた浩太郎はアザゼルの端末にその動画のデータを送信する
再度彼に感謝をしながら、浩太郎は自分の席に戻っていった
少しだけ機嫌を良さそうにしている浩太郎を気になった小猫はなんとなく聞いてみる
「何を話してたんですか?」
「ん? 悪いけど小猫には秘密だ。教えません」
「…む。…じゃあ、いいです」
小猫は一瞬むっとしたが直ぐにふぅ、と息を吐いて改めて窓の外の景色を眺め始めた
あれ、と思った
もう少し聞いてくると思ったのだけど
悩んでるのだろうか
もしそうなら力になってやりたいのだが
隣の席では朱乃が兵藤に向かって誘惑してるし、アーシアはそれを見て真っ赤になってるし
あの神社での一件以降、朱乃は心から笑うようになってるように感じた
今までも笑っていたが、それは表面上笑顔を作っていただけに感じていたので、彼女が心から笑っているようになっているのは喜ばしい
スキンシップの度が過ぎていると思うのだが
とはいえ頑張れ、兵藤、と心の中でエールを送る
「ふふ。主から奪う、っていうのも、燃えますわね」
昼ドラか
「あ、朱乃。いいかげんに―――」
「下僕とのコミュニケーションもよろしいのですが、手続きをしないでもいいのですかな?」
リアスの怒りを遮り、どこからか白いあご髭を生やしたダンディズム溢れる初老の男性がこちらに向かって歩いてきていた
「ご、ごめんなさい、レイナルド」
「ふふ。あのリアス姫が男女の話をなさるとは。長生きはするものですね」
ほっほっほ、という楽しげな笑いを漏らす
その笑い声に、リアスが顔を赤く染めていた
照れているのだろう
男性は帽子を取って
「初めまして。新たなる眷属悪魔の方々。私は、レイナルド。グレモリー専用列車の車掌を努めております」
ご丁寧な挨拶だ
そんな彼に習うように、一行も立ち上がり自己紹介をする
「こ、こちらこそはじめまして! ぶちょ―――リアス・グレモリー様の兵士、兵藤一誠です! よろしくお願いします!」
「アーシア・アルジェントです! 僧侶です、よろしくお願いします!」
「ゼノヴィアです、騎士。よろしくお願いします」
「協力者梓馬浩太郎。よろしくです、車掌さん」
それぞれ挨拶を済ませると、レイナルドはなにやら特殊な機械でこちらを捉え始めた
何が何やらわからないでいると、レイナルドが説明してくれる
「これは、あなた方を確認、照合するための機械です。この列車は正式に、かつ厳重に冥界へ入国できる移動手段です。もし偽りがあった場合、大変なことになりますからね」
要は本人確認のようなものか
「大丈夫、イッセーたち眷属は転生した時に、浩太郎は以前冥界に来た時に記載されたわ。そのデータを、その機械で照合するの。みんな本物よ」
いつの間にそんなデータが
確かにブラックサンとして知れ渡ったのがあの時ではあるのだが
そんなリアスの説明の後、全員ピコーンという軽快な音が鳴り、照合が終わる
「これで、ニューフェイスの入国手続きも済みました。それでは、到着までごゆるりとお楽しみ下さいませ。寝台車両や、食事もとれる場所もございますから、目的地までご利用ください」
ニコリと微笑むレイナルド
あの機械は切符のような役割も兼ねているようだ
「あとは、アザゼルかしら」
そう言って視線を向けると、彼はぐっすり眠りこけていた
つい最近まで敵だったのに、呑気なものね、とリアスは呆れている
その隣でレイナルドはほほ、と笑みを作り
「堕天使殿の総督は平和ですな」
そう愉快そうにつぶやいた
アザゼルが寝てる間にも照合は終わり、みんな無事に入国審査を済ませていく
◇
それから数十分間、浩太郎たちは列車に揺れていた
道中、外の景色が冥界一色に変わったとき、兵藤やアーシアが驚嘆し驚いていた
そんな光景を見ながら、ふと視線を小猫に移す
相変わらず、彼女は外の景色をぼんやりと眺めたままだ
しかしいくら友人でも浩太郎はそこまで踏み込んだ関係ではない
もどかしさを思いながら、浩太郎は目を閉じた
やがてアナウンスが耳に入ってくる
<まもなく、グレモリー本邸前、グレモリー本邸前。毎度ご乗車ありがとうございます。降りる際は、お忘れ物のないよう―――>
どうやらまもなく到着するらしい
ふと窓の外を見ると何やらそこには兵士っぽい方々が並んでいた
グレモリーに仕えている兵隊かなにかだろうか
「もうすぐつくわ、窓を閉めて」
「は、はい、部長」
子供のようにはしゃいでいた兵藤が窓を閉め、各々が降りる準備をしだす
やがて列車の速度も緩やかなものになり、ガタンと止まった
その中でひとり、アザゼルだけが降りる様子ではなかった
「あれ、アザゼルさんは降りないんですかい?」
「あぁ。俺はこのまま魔王領に向かう予定だ。そこでサーゼクスとの会談があるからな。終わったらグレモリー本邸に向かうから、先に挨拶を済ませてきな」
そう言えば彼は彼でいろいろ予定があるのだった
「わかった、じゃあ先に行く。…あと、例のヤツなんだけど」
「わかってるって。サッサと行ってこい」
「? ともかく、お兄様によろしくね、アザゼル」
浩太郎とアザゼルの交わした会話に疑問符を浮かべながらリアスが先に列車を降りていく
そんな彼女についていき、また一行も列車を降りた
駅のホームに降りたとき、リアスたちを待っていたのは
『お帰りなさいませ、リアスお嬢様!』
大勢の怒号とも言える声、それに続けるように兵隊連中が上空に向かって何やら一斉に花火を放ち、音楽隊が音を奏でる
そしてその空をなんだかよくわからない生き物に乗った人が旗を振ってる
派手だ
それが浩太郎の思った印象だった
兵藤やアーシア、ゼノヴィアはあまりの出来事にポカンとしておりギャスパーは人の大きさに怖がり、浩太郎の背中に隠れてしまっている
かくいう浩太郎も驚きを隠せないでいた
もう一回言うが、派手だ
出迎えてくれている人たちはメイドや執事ばかりである
リアスがその方々に近づくと、挨拶を交わす
『お帰りなさいませ、お嬢様』
「ただいま、みんな。帰ってきたわ」
リアスがそう言って朗らかな笑みを浮かべる
それに返すようにメイドや執事の人たちが笑顔を返した
ふと、こちらに見知った誰かが歩いてくるのが見える
―――グレイフィアだ
「お早いお着きでしたね。道中ご無事で何よりです。さぁ、皆様も馬車にお乗りください。本邸までこれで移動しますので」
馬車? と聞いてグレイフィアの案内のもと、大変豪華そうな馬車のもとに歩いていく
…これは馬なのだろうか、ちょっかい出したらバックキックとかしてこないだろうか
「あ、そう言えば荷物―――」
そう言って列車の方へと視線を向ける
向けた先にはグレモリー家の方々が眷属と浩太郎の荷物を運び出していた
行き届いている
「私は眷属と一緒に行くわ。何人か初めてで、不安そうだからね」
「わかりました。馬車はいくつかごご用意しましたので、ご自由に乗ってください」
リアスの提案をグレイフィアは了承する
最初の馬車に乗ったのは、リアス、朱乃、グレイフィア、そしてイッセー、アーシア、ゼノヴィアの冥界初めて組
次の馬車に乗ったのは浩太郎を含めた、残りの眷属たちだ
それぞれが乗り込むとパカラパカラと蹄の音が聞こえてきた
なんだろう、屋根の上で〝飛ぶが如く〟とか言いたくなってきた
マナーが悪すぎるのでやらないけど
ひとしきりパカラパカラと進む馬車に揺られた浩太郎の視界に、大きい建造物が見えてきた
率直な疑問を聞いてみる
「木場、敢えて聞くがありゃなんだ」
「部長の本邸だよ。もっとも、あれも家の一つなんだけどね」
あの城が〝家の一つ〟とはたまげたなぁ
なんだろう、よく考えればエラい人と友達になってしまったのではないか
そのおかげで小猫やアーシアとかに出会えたのだが
やがて蹄の音が聞こえなくなり、馬車の扉が開かれた
どうやら目的地についたようだ
馬車から降りると、そこには先についていたリアスたちが立っていた
城門? に続く道の両脇にはメイドと執事がずらりと並び、リアスたちを導くように道を作っていた
おまけにご丁寧にレッドカーペットも敷かれてある
歩きづらい
ギギギ、といかにもな音を立て、城の扉が開いていく
「どうぞ、お進みください」
グレイフィアの指示に従い、一行はレッドカーペットを進んでいく
そんな時、メイドの間からひとりの赤い髪の少年がリアスの方へと駆けていった
「お帰りなさいっ! リアス姉さま!」
「ミリキャス!」
少年はリアスに抱きつき、リアスもまた愛おしそうにその子を抱き返す
「部長、その子は?」
「この子はミリキャス・グレモリー。私の甥で、サーゼクス兄様の子供なの」
兵藤の疑問にリアスが答える
っていうかあの人子供いたんだ、というのが浩太郎の率直な感想
魔王サーゼクス・ルシファーの子供、ということは生粋のプリンスで合っているだろうか
「ほらミリキャス、挨拶して」
「はい! ミリキャス・グレモリーです、はじめまして!」
「こ、ここれはどうもご丁寧に! おれ、いや僕は兵藤一誠、です!」
「キョドりすぎだろお前」
完全にテンパっている兵藤に浩太郎が突っ込み、それを見て、リアスが微笑む
「魔王の名前は継承した本人しか名乗れないから、お兄さまの子でも、この子はグレモリー家なの。私の次の次期当主候補でもあるのよ?」
リアスの説明になるほど、と頷く
サーゼクスは家を出たが、子の方は大切な跡取りなのだ
ところであのサーゼクスの嫁とはいったい誰なのだろうか
パッと見はグレイフィアなんかがお似合いだと思うのだが
考えても仕方がないので、その思考はここで放り投げる
そんなわけで一度城内に入り、みんなをそれぞれの部屋に案内しよう、という提案が執事の一人からなされた
なんでももうすでに荷物はそれぞれの部屋に運び込まれており、いつでも使用できるとのことだ
ハイスペックバトラー+メイド
「あら、帰ってきたのねリアス」
ふとこちらに向かって歩いてくるひとりの女性
ぱっと見た感じはリアスにそっくりな容姿だ
しかし髪はリアスのような紅ではなく、亜麻色の髪色だ
姉かなんかだろうか
けどリアスからは姉の話は一切聞いていないのだが
「ただいま戻りました、お母様」
「…え!? お、お母様!?」
やはり姉ではなかったようだ
さすが悪魔、なんでもありらしい
兵藤の絶叫に苦笑いしながら浩太郎は
「…けど、見た感じはリアスさんの姉かとも思いましたが」
「あら。お世辞でも嬉しいですわ」
そう言ってリアスの母は朗らかに微笑む
笑った顔もリアスにそっくりだ
その笑顔に見とれてしまったのか、友人の兵藤はそんな母に熱い視線を送ってしまっている
「兵藤、さすがに人妻はいけないわ」
そんな浩太郎の呟きに追い打つようにリアスも兵藤に向かって視線で抗議している
リアスはふぅ、と一つ息を吐きながら
「悪魔は歳を取れば、魔力で見た目を自由に変えられるの。お母様いつも私くらいの歳格好で過ごされているの」
魔力って便利である
どうりで綺麗なわけだ
「そちらの方が、兵藤一誠さん?」
「え? お、俺のことご存知なんですか?」
「えぇ。サーゼクスが言っていたわ、面白い子がいる、ってね」
そして今度は浩太郎へとその視線を向けた
「貴方が、梓馬浩太郎さん?」
「えぇ。俺のこともご存知で?」
そう聞くと彼女は頷き
「リアスの婚約パーティには顔くらいのぞかせますわ。母親だもの」
そりゃそうだ
あの時は特に気にしてなかったが、そう言えばいた気がする
もっとも、婚約パーティに乗り込んだ時はあの鳥をぶん殴る意志の方が強くて、正直会場全体のことなど頭に入ってなかった
「はじめまして、リアスの母、ヴェネラナ・グレモリーです。よろしくね」
そう言ってリアスの母―――ヴェネラナ・グレモリーはくすり、と笑った