その身に宿すはキングストーン   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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前回投稿したときめっちゃ感想頂いてビビった
ロボすごい

それと前回頂いた感想で面白いから自信もてよ(意訳
と感想もいただきました
本当にありがとうです

今回は前半ロボ無双となっております
ちょっと黒歌ファンや美猴ファンに怒られないかとビクビクしながら書きました

ではどうぞ


33

自分で名乗っておいて何なんだが、一番驚いているのは浩太郎本人だ

いつもと違うカンジはしたのだが、原型がないではないかこの形態

けど体の奥から力も溢れてくる感じもする、負ける気がしない

とりあえず隣の兵藤にも視線を送ってみるが、どういうことか顕現している篭手がなんかへんな感じだ

そう言えばブーステッドギアといういつもの電子音声が聞こえてこなかった

 

「おい、兵藤どうした」

「わ、わかんねぇ! 俺にも、何が何だか…」

<…相棒、神器(セイクリッドギア)が動かん>

「う、動かんって!?」

<曖昧な状態になっているのだ。タンニーンとの修行で分岐点に立ったのだあとひと押しなのだが、その変化がパワーアップか禁手なのかはわからない>

「…要はあれか。お前の神器(セイクリッドギア)は進化一歩前で止まってるってのか」

 

ロボライダーの言葉にドライグは<そうだ>と頷く

 

<選択肢が増えたおかげでどっちに進んでいいのかシステム自体が混乱しているのだ>

「そいつは普通の進化と禁手、どっちにもなれるのか?」

<普通のパワーアップなら気合でなんとかなるが禁手はお前の中で劇的な変化が必要だ。要は禁手へ到れるチャンスだ。なれるかはお前次第だがな>

 

兵藤の中での劇的な変化、か

なんだろうか、全く思いつかない

 

「あらあら。赤龍帝ちゃんはトラブってる感じかしら?。だけど私は撃っちゃうよん!」

 

黒歌の幻影がひとり手を動かし、動けないリアスと小猫に向かって撃ちだした

篭手のおかげで一瞬判断が遅れた兵藤より先にロボライダーが動いた

動けない二人の盾になるべく、その体を走らせる―――が、体が重い

走れないことはないのだが、RXと比べるとかなり遅いのだ、圧倒的鈍足ではあったが、なんとか間に合った…しかし本当にギリギリで間に合ったので、防御姿勢をとることができなかった

ドォォン! とロボライダーに衝撃が襲う

 

「―――ぐ!」

「浩太郎!」

「気にすんな兵藤、今お前はテメェの神器(セイクリッドギア)のことだけ考えてろ!」

 

しかし動きが遅い、ということを好機と見たのか黒猫がにやりと笑う

一歩踏み出したロボライダーの周囲に幾人の黒猫の幻影が取り囲む

 

「お前は生意気なこと言ってくれたからねぇ。―――今この場で殺っちゃうにゃん♪」

「姉さま!」

 

小猫の言葉を待たず、幾重の魔力弾がロボライダーに直撃する

時間にして何秒、いや、数分の出来事だろうか

その音が気になったのか、ちらりとメリディが視線を向ける

 

「はっはぁ! あんなに喰らっちまったら今代のブラックサンはおしめぇじゃねぇか!?」

 

美猴の挑発とも取れる言葉にもメリディは動じない

その様子に美猴は怪訝な顔をする

 

「…なんでぇ、心配じゃねぇのか?」

「心配? 馬鹿ね貴方」

 

くく、とメリディは美猴に向かって嘲笑する

やがて魔力弾をひとしきり撃ち終えた黒猫はロボライダーが立っているところを見る

想像しているのは跡形もなくなった姿だろう

しかしその想像は間違っていたと悟る

黒猫の顔が凍りついた

美猴の顔が驚きに染まる

煙が晴れた時、そこにいたのはロボライダーだった

 

 

 

無傷のロボライダーがそこにいた

 

 

 

調子を確かめるように腕を軽く回しながら拳を握ったり開いたりを繰り返す

そんなロボライダーの近くにメリディは歩み寄り、彼の中へと戻っていく

 

<あとは任せていいかしら>

「大丈夫だ、問題ない」

 

ロボライダーは歩き出す

走るのがしんどいなら歩けばいいのだ

ただその歩くという行為自体が、ここまで恐怖を駆り立てるものなのか

 

「アンタと小猫の間になにがあったのか、聞く気もないし興味もない。けどな、あの子を泣かせたツケはしっかり払ってもらうぜ」

 

ゆっくりと地面を歩き、踏みしめる

ロボライダーは悔しそうにしている兵藤に向けて言葉を発した

 

「兵藤、俺が時間を稼ぐ。その間に禁手ってやつに至ってくれ。忘れるな、お前の強さは誰かを思いやれる〝優しさ〟なんだ」

「こ、浩太郎…!」

「別に、その間にアイツらを倒してしまっても構わんのだろう?」

「それはフラグだ! ―――けど、すまねぇ!」

 

そんなやりとりのあと、目の前の猿と猫を睨みつける

ああ豪語したのだ、倒せる倒せないに関わらず、後ろの彼らには近づけさせない

先に来るのはどっちだ

 

「―――いいぜ、先にオレッチが仕掛けてやらァ!」

 

猿がこちらに向かい跳躍する

その手には如意棒、めがけて振るうのは脳天の部分だ

それがただの人間や悪魔なら致命傷はおろか、死んでいたかもしれない

だが今回は相手が絶望的に悪かった

ガン! と鈍い音が響いた

そこから美猴は如意棒のラッシュをロボライダーに叩き込んでいく

しかし返ってくるのはガンガンという金属音みたいな音

まるで鉄板を鉄パイプか何かで叩いてるような音しか返ってこない

やがてロボライダーがその如意棒をガシリ、と掴んだ

美猴の顔が青ざめる

 

「―――ふん!」

 

気合と共に放たれたロボライダーの鉄拳が美猴を捉える

その拳が直撃する寸前で飛びのき威力は軽減したもののかなりのダメージを与えたはずだ

しかし後ろに飛び退いた行動がロボライダーには逃走したと思われたのか、ロボライダーはつぶやいた

 

「逃がさん!」

「ちょ!?」

 

流石に美猴が驚きの声をあげる

彼からしたら自分でぶん殴っておきながらそりゃねーよという話だろう

しかし相手は敵、そんなのいちいち言っていられないのだ

 

「舐めないで! 硬いだけで!」

 

次にこちらに向けてきたのは再度分身していく黒歌

今度は取り囲むのではなく、魔力の塊を一つの特大の弾丸に収束させてロボライダーに向けて放ったのだ

連射で葬れないのなら、強力な一撃を一つ撃つことで、迎撃しようと考えた

動作は遅い、しかし仮に避けれてもそのことは後ろにいる赤龍帝や毒にやられているリアスや小猫に当たってしまう

この一撃で倒すことはできないだろうがせめて足を止めることはできるはずだ

そう思っていた

だがロボライダーを見るとふと、彼の手に一丁の銃が握られていた

それを徐に放たれた魔力球に向けて構え。何度か引き金を引いた

その銃から熱線のような光線が放たれ、おおよそ五発目くらいでこちらが放った魔力球が消し飛んだ

黒猫は歯ぎしりする

甘く見ていた、目の前の男を!

 

そして一瞬の隙に、幻影の黒歌が撃ち飛ばされた

誰が消したのかなど容易に想像できる

 

「両方幻影か。まぁいい、全部消せばそのうち本人に当たるだろう」

 

完全に思考を放棄した脳筋みたいな考え方をする

しかし今の目の前の男ならそれが可能だと思える程の力を秘めている

おそらく、できるのだろう

一触即発、その空気の中、ロボライダーの背後から膨大な力の流れを感じた

その次に聞こえてきたのはドライグの声(ちょっと涙声の)

 

<はっはぁ! 至った! 至りやがったぞぉ!>

<ウェルシュドラゴン バランスブレイカー!>

 

鈍色だった宝玉が輝きを取り戻し見たことのない赤色のオーラをその身に宿し、彼の体を包み込んでいく

なんだかリアスは顔を赤くしているし、小猫に至っては真っ青にしている

どうしたんだろう

 

「禁手〝赤龍帝の鎧(ブーステッドギアスケイルメイル)〟主のおっぱいつついて、ここに降臨っ!」

 

今変な言葉が聞こえてきたけど聞き流すことにしよう

何はともあれ、壁は超えたようだ

ロボライダーは手に持っている銃―――〝ボルティックシューター〟を突きつけたまま兵藤の近くに歩み寄る

 

「やったな。兵藤」

「あぁ。ありがとよ浩太郎。お前が時間を稼いでくれたおかげだぜ」

<俺からも祝福しよう相棒。しかしだ、俺は泣くぞそろそろ>

「ドライグもサンキューな。そしてエロくてごめん。で、どうよ」

<おおよそ三十分維持できる。お前にしては上場だ。鍛錬の成果が出たな>

「なるほど。マックス倍増ましで何回だ?」

<マックスで放てば五分使う。最大五回、六回目はないだろう。譲渡も同様と考えていい>

「なるほど。うまく使えば十五分は戦えるかな」

<そんなにいらんさ。お前の隣にはブラックサンがいるし―――ほら、いつものように弾丸を撃ってみろ>

 

ドライグの言葉に従い、兵藤は目の前の黒歌に向かって魔力の弾丸を撃ち放った

刹那、彼女の横を通り過ぎた彼の閃光は遥か先にまで行ってしまう

そして少しして―――激しい爆音と共に爆風がこっちにまでやってくる

その風で毒霧が霧散し、この場を覆っていた嫌な感覚が消えた

 

<すごいじゃない。久しぶりの一撃ね。遠くの山を吹っ飛ばすついでに結界も破壊するなんてすごいわ。成長したわね>

 

ロボライダーの中にいるメリディが素直に賞賛する

 

「ま、マジか! 別に倍増したわけでもないのに!」

<全身のオーラを手元に集めて放つタイプの一撃だ。まぁ貯蔵できるのも少ないから、連射は出来んがな>

「結界も消えたらしいからな。よぅし兵藤、ボコボコにしてやろうぜ」

 

形成は圧倒的に不利

二人の化物を目の前のして、黒歌の表情が苦いものになる

そんな中でも美猴のやつはかか、と笑っていた

 

「ドライグにキングストーン! はっはぁ! 最高の舞台ってやつじゃん!?」

<…ホントバトルしか考えてない猿ねアイツは>

 

拳のダメージから回復したのか、如意棒をくるくる回して継戦の意思を見せる

まだやるというなら遠慮する必要はないだろう

ここで戦力を削いでおけば後が楽になるし

そんな時だ

不意に空間が切り開かれる

 

「―――そこまでにしてください。悪魔が気づきましたよ」

 

裂け目から現れるひとりの男

背広を着込み、手になんか聖剣っぽいのを携えた男

恐らくは黒歌と美猴の仲間なのだろう

美猴がちらりと男を見やる

 

「お前、ヴァーリの付き添いじゃないのかよ」

「黒歌が遅いのでね。見に来たら美猴までいるし、何をしてるのやら」

<離れてみんな。その男の剣はめんどくさいわ>

 

メリディが叫んだ

その言葉に一度みんな距離を取る

 

<コールブランド。別名カリバーン。…最強の聖剣が、まさかそっちに行ってたなんてね>

 

地上最強、とは大きく出た

それに腰に差してある剣も聖剣のようだ

 

「ん? 気になりますか? こちらはつい最近発見された最後のエクスカリバー、〝支配(エクスカリバー)の聖剣(ルーラー)〟ですよ」

 

マジか

まさかラスト一本が敵側にあったとは

 

「…そんなに話して平気なの?」

「えぇ。私としてもそちらには興味もありましたので。そちらにいる聖魔剣の使い手と、デュランダルの使い手に宜しくいっておいてもらえますか? いつか剣を交えたい、と」

 

大胆不敵、といったところか、騎士道精神なのか

 

「さて。では逃げ帰りましょう。ごきげんよう、赤龍帝、そしてブラックサン」

 

男はそれだけ言い残し、彼らは空間を裂きどこぞへと消えていった

そのあとで騒ぎを聞きつけた悪魔の方々に浩太郎を含めた一行を保護され、魔王主催は〝渦の団〟襲撃により、中止となってしまった

 

 

シトリー眷属とグレモリー眷属のレーティングゲーム前夜

浩太郎はひとりベランダで黄昏ていた

一行は現在アザゼルの部屋に集まり、最後のミーティングを行っている

黒歌や猿の襲撃があったものの、あれから連中は今のところ来ておらず、一応の決着は付いたと言えるだろう

あの戦いで禁手へと至った兵藤ではあるが、やはりまだいろいろと制限があるらしい

変身に時間がかかったり、その間は神器(セイクリッドギア)の力も使えなくようだ

そこをどう埋めるかが今回のゲームのポイントだろう

そしてもう一つは、兵藤が先に倒された場合のゲームの運びだ

グレモリー眷属の面々は何人か兵藤に依存している人もいる

依存はしていないにせよ、彼は盛り上げ役…みたいな奴だ

先に倒されては士気低下は免れない

 

―――もっとも、浩太郎は会場にいって応援する気はない

 

知り合いしかいない会場に行ってしまうとどっちを応援していいのかわからないのだ

おまけに浩太郎はグレモリー眷属側でもあるのでどうしてもリアスたちを贔屓してしまう

だから今回応援にはいかないと決めているのだ

フェニックスの時と同じように、もう一度待つという選択をしたのだ

もっとも、今回はどちらにも勝利する隙はあるのだ、どっちに勝利が転がるかわからない

と、そこまで考えてその思考を放棄した

浩太郎がゲームのことを考えても意味がない、勝利を持ってくるのはソーナかリアス、どっちかなのだ

 

「浩太郎さん」

 

不意にこちらに向かって聞こえてくる言葉

振り向くとそこには小猫が立っていた

彼女はとてて、とこちらに向かって歩いてきて、浩太郎の隣に立つ

 

「終わったの?」

「休憩時間です。ちょっとしたら、また集まって今度は作戦会議です」

「そっか」

 

そこで会話は一度途切れた

沈黙が場を支配しているが、別段居心地が悪いものではない

少しして、浩太郎が口を開く

 

「明日だな。小猫」

「はい。…浩太郎さんは…応援に来ないん…ですよね?」

「あぁ。俺が行くとリアスさんたちを応援しちゃいそうだからね。ソーナさんたちとも友達だから、贔屓したくないんだ」

 

そう言って苦笑いをする浩太郎

それを聞くとどことなく寂しそうな顔をする小猫

不意にす、と小猫が浩太郎の手を握ってきた

突然の彼女の行動に驚きながら、小猫が頬を赤く染めながら呟く

 

「…私に、勇気をもらえませんか?」

 

その手は僅かに震えている

彼女もまた、己の中に宿る力と向き合うとしているんだ

そしてやはり、怖いんだ、彼女は

 

「…いいさ。俺程度でいいならね」

 

浩太郎は小さく笑みを作ると彼女の手を優しく握り返してあげた

こんなんが彼女の助けになれば安いものだ

 

「…浩太郎さんは、猫叉が怖くないんですか?」

「? いや、別に」

 

平然と答える

その言葉に彼女は驚いた様子だった

なんでだろうか

 

「…私、まえ浩太郎さんにひどいことを言いました」

「あれは俺が悪いからね。君が気にする必要ないよ」

 

そう言って小猫の頭をわしゃわしゃと撫でる

それに反応するかのように小猫は握っていたその手を一層強く握ると

 

「…もう逃げません。私は、自分の力を使ってみようと思います」

「あぁ。君ならできる。いつかあの黒猫を超えることもできるはずさ」

「…はい。いつかは、浩太郎さんの…仮面ライダーBLACKの隣に、胸を張って立てるような―――そんな自分を目指します」

<ブラックサンの隣に立つ猫。…ふふ、さしずめブラックキャットね>

 

不意に口を挟んでくるメリディ

そしてそれはなんだか違う気がする

不吉を運んできそうだ

 

「…でも、いいかもしれません。ブラックキャット」

「マジか」

 

くすくすと笑う小猫

まぁこの子が笑っているならそれでいいか

 

「じゃあ浩太郎さん、そろそろ私は戻ります」

「あぁ。その、なんだ。頑張ってな」

「―――はい」

 

無骨で短い言葉だったが、彼女には伝わったようだ

浩太郎の言葉を聞くと彼女はもう一度笑みを浮かべてこの部屋を後にした

もう一度静寂が浩太郎を包む

 

<…もう彼女の心配はなさそうね>

「だな」

<もう一度あの猫とかが来たら、どうするの?>

「知ってるくせに」

 

不意にメリディから投げかけられた問いかけ

否、メリディは浩太郎がどう答えるか知っているから投げかけた言葉

浩太郎は答える

 

「何度でも追っ払うだけだ」

 

◇◇◇

 

「ほぅ」

 

シャドームーンこと影山月彦は感心した様子で目の前のモニターに映るレーティングゲームを見入っていた

そして同時に、そこで起こる彼らの戦いにも引き込まれていた

匙、といったか

つい最近の会合ではまだまだ青い青年だったが、このゲームに至るまで彼もまた血反吐を吐くようなトレーニングをしたのだろう

それぞれの信念、それぞれの想い、このレーティングゲームには若い悪魔たちの全てが詰まっているような気がするのだ

…しかし、あれだ、リアス・グレモリーの眷属の赤龍帝はわかりやすいな、とも改めて思う

けど戦場で胸のことばかり連呼するのはいかがなものか

内容が大変面白いだけにもったいない気がする

その発言に後ろのビルゲニアなどはクスクス笑っている

 

「ところでビルゲニア。浩太郎はいないのか」

「えぇ。本邸で待ってるみたいで」

「なんだつまらん。せっかくこの映像を肴に語り合おうとでも思っていたのだが」

「戦ってるのは両陣営とも知り合いですからね。わからんでもありませんよ」

 

そう言ってビルゲニアは改めてモニターに視線を移す

そこには自分の中の何かを受け入れ、猫叉の力を振るう塔城小猫の姿があった

 

◇◇◇

 

本邸にてメリディと特訓していると、ヴェネラナからゲームの結果が届いた

結果はリアス・グレモリー眷属の勝利となったらしい

詳しい内容は聞いてはいないが、激闘だったと聞く

本邸へと戻ってきたグレモリー眷属みんなの顔は、どれも笑顔だった

 

そして八月の後半

グレモリー眷属と浩太郎本邸前の駅で冥界と別れの時を迎えようとしている

 

「それでは一誠くん。また会える日を楽しみにしているよ。気兼ねなく帰ってきてくれて構わない。ここを君の家と思っていてくれたまえ」

 

使用人を後ろに待機させてグレモリー父がそう言う

兵藤はそれに苦笑いを浮かべつつ

 

「ありがとうございます! けど、ちょっと恐れ多くて…」

「そんなことないですよ一誠さん。そちらではリアスをお願いしますね。娘はちょっとわがままなところがありますから」

「ちょ、お母様!」

 

リアスは顔を真っ赤にしてそれを否定する

兵藤はそれに自分の胸を叩いてそれに頷いた

 

「もちろんです!!」

 

その言葉にグレモリー両親は微笑んだ

彼の隣にいるサーゼクスがミリキャスを抱えながら言葉を発した

 

「リアス。残りの夏休み、手紙くらいはよこしなさい」

「はいお兄さま。ミリキャスも元気でね」

「はい! リアスお姉さま!」

 

列車に乗り込み、サーゼクスたちに窓越しに別れを告げる

ミリキャスを抱えたサーゼクスと彼の隣にいたグレイフィア

そのスリーショットはもう家族にしか見えなかった

 

◇◇◇

 

そんで帰りの列車

兵藤は今現在手つかずだった学校の宿題と戦っていた

トレーニングとかで完全に忘れていたが自分たちは高校生、夏休みの()ですよ

ちなみに浩太郎は七月中に速攻で終わらせるタイプである

アーシアもそれに付き合ってくれたので彼女も宿題は終わっている

他は知らない、けどみんなトランプとかで暇を潰しているので終わっているのだろう

そんなわけで浩太郎は対面に座っているゼノヴィアへと視線を向ける

彼女もまた宿題の存在を忘れ、浩太郎に泣きついてきたのだ

とりあえず彼女がわからないところがあったら教える、というスタンスで基本放置である

 

そして変化がもう一つ

それは小猫のことだ

今までも割と普通に仲良くしていたと思っていたのだが、ゲーム以降彼女が甘えレベルがあがった気がする

現在もそうだ

浩太郎の左腕に抱きつき、ぴょこぴょこと猫耳を動かしている

可愛い

そんな小猫に対抗してか、アーシアも右手に抱きついている

彼女はむむむ、と若干涙目だ

可愛い

けど動けない、いいや、動けないというか動きにくい

下手に動けばなんか変なところに当たってしまいそうになるのだ

 

(<ウブねぇ>)

 

メリディがなんか言ってるけど気にしない

そんなこんなで浩太郎たちの冥界での夏休みは終わりを告げた

いろいろあったけど、〝楽しかった〟

これに尽きる

 

 

人間界のホームにたどり着いた時、それは起こった

電車から降りた時、アーシアが誰かに詰め寄られているのだ

―――いや、誰かではない、どこかで見たことがある

 

「アーシア・アルジェント。ようやく会えた…」

「あ、あの…」

「僕を忘れてしまったのかな? あの時僕たちは出会ったんだよ。運命的な、ね」

 

そう言って男は胸元を開き、傷跡を見せてきた

深い傷跡だ、アーシアはそれを見て息を飲んだ

 

「そ、その傷はもしかして…」

「あぁ。僕はあの時の悪魔だ。会合の時は顔を見せられなかったけど、ね」

 

彼の言葉にアーシアは言葉を失っていた

もしかしなくても、この男性はアーシアが過去に治したことのある、彼女が追放とされるきっかけを作った悪魔だ

 

「僕はディオドラ・アスタロト。僕は、君に命を救われた」

「…ディオドラ? ディオドラね?」

 

リアスは名前を確認するように呟く

そうだ、この男は会合の時にいた紅茶眷属だ

彼はアーシアの足元に跪くと彼女の手にくちづけをする

そして続けた

 

「僕は君を迎えに来た。会合の時に挨拶できなかったのは申し訳ないと思っている。―――どうか、僕の妻になって欲しい。僕は君を愛している」

 

その男は目の前でそう安っぽい愛の言葉を発した

一つが終わって、またもう一つ始まろうとしている

 

そしてまだ、この時は思いもしなかった

あるひとつの感情が、浩太郎にもう一つの変化をもたらすことを




次回からみんなだいすきディオドラくんが出張ってくるよ
そして最後の文から想像できると思いますが青いアイツが出てきます
自分程度の文力で表現できるかわかりませんが頑張ります

ちなみにこの章で一応の完結を予定しています
もし要望があったら、とか他に書くの思い浮かばないときに続きを書きたいと思います
書く場合は多分ナンバリングをリセットするためにこれとは別にするかと

ではでは
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