その身に宿すはキングストーン   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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出来ました(不安
楽しんでいただけると幸いでござい


ではどうぞ
おそらく道中のレーティングゲームもどきは大幅カットになるかな…


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テレビ出演が決まったみたいで、お話を聞いたときはびっくりしました

浩太郎さんやイッセーさんたちと過ごす毎日は驚きの連続です

刺激的、って表現すればいいのでしょうか

浩太郎さんのお自宅に住まわせていただけるようになって早数ヶ月、学校にも通えるようになり、桐生さんをはじめとするクラスの皆さんと仲良くすることができました

オカルト研究部のみなさんも、とても私に良くしてくれます

ゼノヴィアさんは同い年のお友達で、イリナさんとも仲良くなりました

浩太郎さんの両親も、とてもお優しく、毎日がとても新鮮で、本当に楽しいです

ディオドラさんからの求婚…とても驚きました

男の方にあんなことをされたのは初めてだったので、どうしたらいいかわかりませんでした

でも…

でももしご迷惑でなければ、ずっとあの人のそばにいたいです

あの人と笑って一緒に過ごせるなら、私はそれで満足です

主よ、どうか、ずっとあの人のそばにいさせてください

そして、もう一つ、わがままを聞いてくれるなら、もし、次に求婚をもらえるのなら、あの人から…

そんな幻想(ゆめ)を抱けるだけで本当に幸せです

主よ、どうか、見守っていてください―――

 

◇◇◇

 

テレビ出演へのオファー

ある夜リアスから唐突に告げられたその言葉に内心びっくりした

日本のテレビ番組になんて出たこともないのに、冥界のテレビ番組への出演オファーなんてそりゃびっくりする

ちなみに浩太郎はリアスに「どうする?」と聞かれ、同行はするけど出演はしない、という方向で行くことにした

正直取材されるような人間ではないので、オカルト研究部のみなさんの収録を見学することにしたのだ

というわけで時間は進み収録当日

部室に集まり専用の魔法陣で冥界へとジャンプした

つい最近向かったばかりではあるが、まさか再来訪がこんなにも早いとは思わなかった

到着するやいなやなにやらプロデューサーさんみたいな人に連れられてエレベーターを使って上の階に

冥界のビルの廊下の壁にはリアスのポスターが貼ってあった

アイドルか、と思わずにはいられなかった(実際学園のアイドルではあるのだが)

 

すると廊下の先から見知った人たちがこちらに向かって歩いてくるのが見えた

サイラオーグだ

 

「あなたも来ていたのね」

 

サイラオーグ・バアル

貴族服を羽織り、ワイルディーである

佇まいからも見えるが、隙もなく、いつでも戦えるようにしているのだろうが

 

「リアスか。そっちもインタビュー収録か?」

「えぇ。サイラオーグはもう終わったの?」

「これからだ。リアスたちとは別スタジオだろうそれと試合、見たぞ」

 

彼の一言にリアスは顔をしかめた

 

「互いに素人臭さが抜けないものだな」

 

サイラオーグが苦笑する

励ましてくれたのだろうか

次に視線が兵藤へと移る

 

「どんなに力が強大でもカタにハマれば負ける。敵は一瞬の隙をつき、全力で来るわけだしな。お前らとソーナ・シトリー家の戦いを見て、俺も改めて学ばせてもらった。―――だが」

 

サイラオーグがポンと兵藤の方を叩く

 

「お前とは、純粋な力比べをしたいものだ」

 

小さく笑みを残し、兵藤に向かってそう言った

そして最後にこちらを見てくる

 

「お前とも、今度是非戦いたいものだ」

 

お断りします

流石に口には出さなかったが、苦笑いでそんな意味を込めてサイラオーグに返した

意味合いが伝わったかどうかはわからないが、それだけ言い残し彼は眷属とともに去っていった

兵藤は叩かれた肩を抑えながら力強く拳を握っている

期待されているのだろう、きっと

サイラオーグと挨拶した後、楽屋を通されそこに荷を置く

アザゼルはほかの番組に出るようで、今回はいない

あくまでグレモリー眷属のみだ

そのあとでスタジオに案内され、中へ

まだ準備中らしく、スタッフさんがバタバタしていた

浩太郎は少し遠い位置でリアスさんらオカルト研究部のメンバー、もといグレモリー眷属を眺めていた

 

ちなみに

この番組のディレクターだかわかんないけどおエライさんが浩太郎の元にやってきてなんとか出演してもらえないだろうか言ってきてくれた

きっとブラックサンと呼ばれるものが出演すれば物凄く数字が取れるのだろう、業界を悪く言うつもりはないが、そこのところは人間界も冥界も変わらないと思う

浩太郎は「申し訳ないですが…」と断っているがなかなか折れてくれない

そこまで粘るとは思わなかったので、浩太郎は日本古来からある伝統秘技、土下座(DOGEZA)を用いて「ホッント無理ですごめんなさい!」と懇願したら折れてくれた

申し訳ないことをした、とも思うが出たくないのだから、仕方がない

インタビューを受けるほど自分は出来た人間ではないし

 

ちなみに何故か兵藤には別スタジオでの収録もあるとか

冥界中では〝乳龍帝〟で有名になっているらしい

いや乳龍帝ってなんだよ、と思わずにはいられない

赤龍帝じゃないの? むしろそっちがメジャーなのではないのか? と思うが、この後スタッフさんに見せてもらった一部抜粋されたシトリーとの試合映像を見て納得した

…おっぱいおっぱい言いすぎだろアイツ

なんかそれが冥界中の子供たちで大人気になったらしい

 

<―――ここまでとは思わなかったわ。……ぷぷ、二天龍の片割れが、赤龍帝と呼ばれ人々に畏怖されていたあの〝赤き龍(ウェルシュドラゴン)〟が。…うぷぷ>

 

その話を聞いたメリディことメリーディエース・ルークスは笑いをこらえるのに必死だった

っていうかこいつ絶対に笑ってるよ内心では

大爆笑してるよ、そんなどっかの白と黒のクマみたいな笑い声出してるくらいだし

 

そんな収録後の時間

みんな顔には出していないが疲れているご様子だった

楽屋に到着するなり壁にもたれかかったりテーブルに突っ伏していたりしていた

番組収録の際は基本的リアスへの質問が多かった

シトリー戦はどうだった、これからはどうするだ、注目してる若手はいますかー、とかそういうのが多かった

リアスは笑みを浮かべて淡々と答えていた

きっと家族の方も見てるだろうし、格好悪いところは見せられないのだろう

木場や朱乃の時は黄色い歓声が聞こえてきた

朱乃ときなんか「朱乃さまぁ!」なんてヒートアップしてた連中もいたし

そんで兵藤の時は子供から「ちちりゅーてー!」とか「おっぱいドラゴンだー!」という歓声が聞こえてきた

そこでメリディの腹筋が崩壊したらしく、声にならない笑い声を上げていた

 

「ところでイッセー、別スタジオで何撮ったの?」

 

リアスが楽屋に用意されているお菓子をつまみながら聞いた

彼女が言っていた通り、兵藤だけは別スタジオでまた別の何かを撮影していたというのだ

 

「申し訳ないですけど内緒です、スタッフの人にも放送まではなるべく身内にも教えないでくれって言われたので」

 

そう言って兵藤はにひひと笑む

それを見てリアスはくすりと笑いを返しながら「なら放送されるまでのお楽しみにしましょう」と返していた

一通り皆休憩し終え、今回は帰ろうか、と思ったとき扉のドアがノックされ、楽屋に入ってくる人物がいた

金髪縦ロールの女の子―――いつぞやの焼き鳥の妹の―――レイヴェルといったか

 

「その、浩太郎様はいらっしゃるでしょうか」

「レイヴェル、なんでここに」

 

後ろの方からひょっこり現れた浩太郎と目があった

一瞬ぱぁ、と顔が輝いたような気がするが、直ぐに表情を作り直し、持っていたバスケットをこちら向けて差し出してきた

 

「そ、その、ケーキですわ! この局に次兄の番組があるものですから、ついでです!」

 

? と頭に疑問符を浮かべつつそのバスケットを受け取る

 

「よくわかんないけどありがとう、ここで開けていいか?」

「え、えぇ!」

 

許可をもらったのでその場で開けて中身を確認する

その中にはとても美味しそうなチョコレートケーキが入っていた

 

「これ、レイヴェルが作ったの?」

「え、えぇ! その…ケーキだけは自信がありますのよ!」

「ありがとう、後でみんなでいただくよ。味の感想は…」

 

そう言って少し固まる

彼女は冥界でこっちは人間界、次に会えるのはいつになるかわからない

なら、味の感想はここでしたほうがいいのではないのだろうか

そう考えた浩太郎は木場に頼み、小さいナイフを作ってもらって、それを用いてケーキを少々口に含んだ

美味しい

 

「うん、美味しい。改めてありがとう、わざわざここに来てくれたんだし、機会があればこっちにも遊びに来てくれな」

 

そう言って浩太郎は軽くレイヴェルの頭をなでる

こういってはなんだが、背丈は小猫みたいで撫でやすい

撫でおわると、彼女は僅かに涙を目に貯めて、頬を赤く染めていた

…怒らせたのか?

 

「次の試合、応援しています!」

 

彼女はこちらに一礼をしたあと、足早にその場を去っていく

何なんだろうか、と思いながら彼女の背中を見送っていると、背中に視線を感じる

振り向くと小猫とアーシアがこっちに向けて睨んできていた

アーシアは涙目で、小猫は無言で

コワイ

 

ほかの女性陣は笑っているし、あまつさえ兵藤にも笑われた

何なんだいったい

 

 

◇◇◇

 

ディオドラとの戦いが迫る中、メリディが珍しく表に出てきていた

彼女いわく、たまには風に当たりたいのよ、とのこと

浩太郎の部屋の窓を開けながら、なんだか珍しく黄昏ているようにも見える

そんな彼女に飲み物でも持っていってあげようと考えた浩太郎は冷蔵庫に置いてあったペットボトルのお茶を二本手に取り、自分の部屋へ歩いて行った

部屋に入ったとき、メリディがふと呟く

 

「浩太郎、部室で見たディオドラの試合。どう思う?」

 

不意に投げかけられたその疑問

ディオドラの試合とは、数日前に見たディオドラのレーティングゲームの記録映像のことだ

結果はディオドラの勝利

しかしその勝利がどうしても解せないのだ

キングである彼だけが途中異常なパワーアップを見せて、アガレスたちを倒したのだ

ディオドラは魔力に秀でたサポートタイプ、リアスすら超える魔力でアガレスを追い詰めたのだ

この映像を見て、見た全員が訝しんだ

その唐突なパワーアップに誰もが疑問符を浮かべていた

 

「はっきり言わせてもらうけど、アイツはそこまで強くない。ってか雑魚よ」

 

もっとも、その意見はメリディから見た意見だ

ディオドラ自身はリアスに少し魔力が劣る程度の、上級悪魔、決して弱くないらしい

だが、あの途中からの力の急上昇は異常だ

 

「浩太郎、警戒はして損はないわ。…杞憂に終わればいいんだけど」

「…そう、だな」

 

そこでこんこんと部屋の扉がノックされた

そのあとで現れたのはパジャマを着込んだ小猫とアーシアだった

 

「浩太郎さん、お風呂上がりましたー」

「入っても大丈夫ですよ」

 

とてとてとこちらに歩いてくる二人の女の子

浩太郎はわかったと答えながら二人の頭を軽くなでる

 

「…この話はこれでおしまい。さっさとお風呂入ってきなさい」

「そうする」

 

メリディにそう返事し、浩太郎は自分の部屋を後にする

彼が出て行ったあと、メリディが浩太郎の机の引き出しからトランプを取り出し

 

「じゃあ、アイツが戻ってくるまでトランプでもしましょうか?」

「賛成ですぅ、何をして遊びんですか?」

「大富豪がいいです、個人的には」

「オッケー、大富豪で遊びましょうか」

 

浩太郎が戻ってくると負け続きで意地でも勝とうとするメリディがそこにいた

彼女も結構負けず嫌いのようだ

 

「革命!」

「それを返します」

「あー!」

 

今日も平和です

 

◇◇◇

 

決戦当日

一行は部室に集まり、それぞれ戦闘態勢を取っていた

アーシアはいつもの服、ゼノヴィアは前に見せた戦闘服などに身を包み、これからの戦いを待つ

魔法陣に乗り、時を待つ

何が待ち受けてるかわからないが―――勝つだけだ

静かに待っていると、隣のアーシアが浩太郎の手を握ってくる

不安そうな表情のするアーシアの手を、彼は優しく握り返してあげた

やがて陣が輝きだし、転送の時を迎える―――

 

 

そこは広い空間だった

一定の間隔で柱があり、後ろの方にはなんか大きい神殿の入口

しばらくキョロキョロとしていると、普段ならそろそろ聞こえて来るであろうアナウンスの声が聞こえてこない

おかしい、こういった試合では最初に審判となる人からのアナウンスが聞こえてくるって聞いていたのだが

 

「…おかしいわね」

 

同じように怪訝そうに呟くリアス、いや、訝しんでいるのはリアスだけではない、眷属全員がそう思っていた

トラブルか? そう思っていた矢先、神殿と逆方向の位置に魔法陣が現れた

魔法陣の数は一つではなく、いくつもあった

その魔法陣は眷属と浩太郎を取り囲むように現れていく

 

「アスタロトじゃない!」

 

木場の叫びに浩太郎が驚いた

アスタロトじゃない? じゃあ―――

 

「魔法陣の形にも統一性はありません、けど、これは」

「全部悪魔。…記憶が正しいのなら…」

 

リアスが赤いオーラを纏いながら朱乃に答える

陣から現れたのは大勢の悪魔たちだ

ぱっと見た感じでは数千くらいか?

 

「おそらくこれは、禍の団(カオスブリゲード)の旧魔王派に傾倒したモノたちよ」

 

その言葉に息を呑む

なんでこんなところにテロリストどもがいるんだ

どうしてこんな時に

 

「忌々しい偽りの血族、グレモリー。お前にはここで消えてもらおう」

 

囲む悪魔の一人が挑戦的な物言いをする

旧魔王を支持するモノたちにとってはやはり現魔王とそれに関係するモノたちが邪魔なのだ

 

「きゃあ!?」

 

悲鳴が聞こえた

アーシアの声だ、振り向くとアーシアの姿が見当たらない

 

「浩太郎さんっ!」

 

声の方へ視線を向けると、上空にアーシアがいた

そしてその傍らに―――ディオドラ・アスタロト

 

「やぁ、グレモリー眷属御一行。彼女はもらっていくよ」

「もらっていくだと!? お前、ゲームはどうした!?」

「するわけないじゃん馬鹿らしい。君たちはここで彼らに殺されるのさ。いくら君たちや、ブラックサンでもこの数の上級、中級悪魔を前にしたら手も足も出ないだろう? ははは、さっさと死んでくれ、速やかにね」

 

リアスが彼を睨みつける

その顔には憤怒の色が見て取れた

 

「―――最低だわ、しかもゲームまで汚すなんて…! そしてなにより、私の大事な眷属(なかま)をも奪おうとするなんて…!」

「彼らと一緒の方が僕の好きなことが出来そうだと判断したからさ。まぁ最後に惨めにあがいてくれ、無駄だと思うけどね。ブラックサンなんて今時流行らないさ。その間に僕はアーシアを抱くよ、追ってこれる余裕があったら神殿まで来てごらん?」

「浩太郎さんっ! ゼノヴィアさんっ! 小猫ちゃ―――」

 

名前を呼ぶ彼女の声も虚しく、ディオドラと共にその場から消えていく

どこかに逃げたのか、あるいは

―――いいや、今はそんなことなんてどうでもいい

妙に頭がクリアだ、こんなにキレそうになったのは、レイナーレの時以来か? いや、あんなの比じゃないくらいだ

いや、あれこれ考えるのは後でいい、今は目の前の雑魚を殲滅して後を追わねばならない

どっちにしろ、だ

 

「―――テメェだけは、許さんぞ…!」

 

呟きながら手に顕現させるはサタンサーベル

この場をどう切り抜けるか考えていると、ふと聞き慣れていない声が聞こえてきた

 

「みんなまだ無事のようじゃのう」

 

そこにはいたのは隻眼のオッサンだった

余談ではあるが、浩太郎以外のメンツは彼と面識がある

彼の名前は―――

 

「お、オーディンさま!? どうしてここに!?」

 

リアスが驚きながら聞いている

オーディン

北の神、と浩太郎は聞いた

そんなオッサン―――オーディンは長いヒゲを弄りつつ、返答する

 

「話すと長くなるがの。簡単に言うと禍の団にゲームを乗っ取られたのじゃ。今、運営と各勢力、そしてゼットオーとその友人の面々が協力体制を築いておる。まぁディオドラが裏で旧魔王派の手を引いていたのは判明しておる。先の試合でのパワーアップも大方〝蛇〟でももらったんじゃろ。で、お主らのピンチに援軍が必要じゃったわけじゃ。しかし、このフィールドごと結界を覆われての。そんじゃそこらのものでは破壊も突破も難しい。内側から停止させんとどうにもならんのよ」

「じゃあ爺さんはどうやって…」

「ワシはミーミルの泉に片目を差し出したときにこの手の魔術、魔力、知識に関して詳しくなっての。結界も同様」

 

そう言って彼は隻眼の方の目の水晶を見せてくる

…浩太郎から見れば単なる綺麗な水晶程度にしか映らないが、悪魔にとっては毒なのだろう

 

「まぁよいわ。とりあえずこれを渡すようにアザゼルから言われての。まったく、年寄りは敬って欲しいもんじゃ」

 

そう言ってオーディンは人数分の小型の通信機を渡してきた

そんな時、浩太郎からすぅ、とメリディが表に現れ、オーディンの隣に立つ

準備運動するように軽く手を回した

 

「メリディ…」

 

浩太郎が名前を呼ぶ

彼女はこちらに一度視線を向けてあと笑みを見せた

しかしオーディンに話しかけられたことにより、彼女は軽く嘆息する

 

「おぉ、メリーディエース。久しいのぉ。相変わらずのスレンダーボディじゃの」

「やかましいわエロジジィ。私の体に触れてみろ、まずお前から血祭りだから。…そんなわけで、浩太郎たちは早く助けに行きなさい、ここいらの雑魚掃除は私らに任せて」

「けど、いいのか、メリディ?」

「問題ないわ。…私もこの怒りを誰かにぶつけたかったところなのよ。こいつらに八つ当たりさせてもらうわ」

「そういうことじゃ。お主らは先に神殿に走れ」

 

オーディンはこちらに向けて杖を向ける

するとグレモリー眷属と浩太郎の体が薄い光に包まれた

 

「それが神殿までお主たちを守ってくれる。ほれ、はよ走れ」

「で、でも! 二人だけで大丈夫なのかよ!?」

 

兵藤の心配の声

それに対しオーディンは余裕そうに笑い、メリディは優しく微笑んだ

 

「大ジョブよ、ジジイとはいえ神様。私も、先代ブラックサン。…あんな雑魚に遅れは取らないわ」

「ほほほ。…ホント手厳しいのう」

 

オーディンの言葉に返しながら、メリディは拳を握る

そのままかつて浩太郎が取っていた構えを取り、叫んだ

 

「―――変身…!」

 

彼女の体が輝き、その身をBLACKへと変える

BLACKは調子を確かめるように拳を開いて握ってを繰り返しつつ―――一気に大多数の敵に向かって拳を打った

放たれたのは余波である

その風圧で、直線上にいた敵悪魔たちが吹き飛んでいた

 

「ほらエロジジィ、あなたも体動かしなさい」

「わかっておるよ。―――グングニル」

 

返答しながらオーディンはその手にひと振りの槍を生み出した

凄まじいオーラを放つその槍を、悪魔どものいるところへ繰り出す

刹那、空気を裂くような音とともに、巨大な一撃が悪魔たちを蹂躙する

その一撃は地面を容易くえぐり、数百人を消し飛ばしていた

 

「…まぁ、こんなもんじゃのう」

「なんだ、まだまだやるじゃない。私いらないんじゃない?」

 

軽口を叩くブラックサンとオーディン

その余裕に敵悪魔たちは更に緊張の色を濃くしている

安易に攻めてくる輩はいなくなりそうだ

 

「頼んだ、メリディ」

「任された。アーシアをしっかり助けてきなさいよ」

 

メリディにそう告げて、リアスに目配せする

彼女は頷き、神殿の方へ視線を向け

 

「―――走るわよ!」

 

彼女の言葉に応じて、グレモリー眷属と浩太郎は神殿の見える方向へと走り出した

途中、やはり敵悪魔の邪魔があったが、木場やゼノヴィアの剣、浩太郎のサタンサーベルなどに切り捨てられ、あるいは殴り飛ばされ特に対して障害にはならなかった

 

 

煮えくり返っている

ブチ切れていると表現してもいい

せっかくだ、せっかく純粋に戦いを楽しめると思ったのに、なんだこの始末は

せっかくわざわざ助っ人役を買って出て〝やった〟のに

 

―――いや、今は考えるのはよそう

今は多少なりとも時を待つ

もっとも、その時も、すぐ来そうではあるのだが

 

どちらにしろだ

この俺を利用しようと代償は払ってもらうぞ―――

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