その身に宿すはキングストーン   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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すごく駆け足かもしれません
展開もありきたりで想像しやすいですが、何卒お付き合いください

では、どうぞ

※誤字脱字を見かけたらご連絡ください


40 赤い龍帝/正義の系譜

「うお! あれが今のイッセー君…!? ミカエル様やアザゼル様から聞いてたけど、確かにアレはやばいわね」

 

到着早々、感情の起伏が激しい紫藤イリナ

一緒にいて楽しい人だとは思うが

 

「それで、イリナ。なぜここに?」

 

ゼノヴィアが問うた

彼女はそれに頷きつつ、手に持っているものを突き出す

これは…映写機、だろうか?

 

「イッセー君が危険な状態になったのは、観戦ルームやこのフィールドで戦ってるおエライ方々もご存知なの、で、このままではいけないとルシファーさまとアザゼルさまが私に秘密兵器を持たせてくれたの」

 

ちなみに彼女をここへ送り届けてくれたのはオーディンらしい

なんかよくは分からないが、アザゼルとサーゼクスが用意したものなら、きっと大丈夫なはずだ

ビルゲニアはちらりと横目でビシュムを見る

それで察してくれたビシュムは赤龍帝と戦っているシャドームーンに対して大きく口を開いた

 

「シャドームーン!」

 

彼女がそう叫ぶと赤龍帝を蹴り飛ばしながら、ちらりとこちらを見やってきた

 

「サーゼクスが持ってきた映像があるの! これを見せてあげないかしら!」

 

ビシュムの言葉にシャドームーンは頷いた

シャドーセイバーを地面に突き刺し、赤龍帝のところへとかけていく

繰り出される火炎やらを回避し、いちどその顔面に拳を一発叩き込む

一瞬仰け反った隙を逃さず、シャドームーンは後ろに回って彼を羽交い締めにし、赤龍帝の視界を空中に映し出された映像へと向けた

映写機を受け取ったリアスが恐る恐るといった感じで機器を操作し、再生のボタンを押す

するとそこに映像が映し出された

 

<おっぱいドラゴン! はーじまーるよー!>

 

? と最初は思った

まず一番最初に写ったのは禁手と化した兵藤一誠の姿だ

そして前述のセリフを言うと、周囲から子供たちが集まってくるではないか

 

<おっぱいっ!>

 

…いま自分たちが見ている映像は正常だろうか

映像の子供たちはそんな言葉を発し、軽快な音楽と一緒に踊り始めた

そして挿入される、タイトルと歌詞

そこに書かれてある文字をみて、今度こそ絶句した

 

 

―――――――――――――――

 

 

〝おっぱいドラゴンの歌〟

作詞:アザ✩ゼル

作曲:サーゼクス・ルシファー

ダンス:セラフォルー・レヴィアたん

 

 

―――――――――――――――

 

 

(馬鹿かアイツ等!)

 

羽交い締めにしているシャドームーンでさえこの状況についていけなかった

っていうか仮にも魔王とあろうものが何をしとんのだと

なんか歌詞もよくわかんないし、なんだこれは、どうすればいいのだ

そしてなによりも驚いたのが―――

 

「―――う、ぅ。おっぱい…」

「本気か貴様!」

 

この歌で赤龍帝の意思が反応したのだ

いや、エロはこいつのアイデンティティと浩太郎から聞いていた

聞いてたけど、これはなんか、違うのではないか?(よくわかんないのだが)

なんにしろ、この赤龍帝がようやくまともな人語を話したのだ

これは大きな進歩(?)と言ってもいいだろう

そんな思案の最中、流れている曲はいつの間にか二番へとシフトしていた

それをひとしきり聞くと赤龍帝はまたつぶやく

 

「う、うぅ…もみ、もみ…ちゅーちゅー…」

「…」

 

ついに言葉を失うシャドームーン

いや、ここまで来るともう笑いしか出てこない

リアス・グレモリーよ、お前は大変面白い男を眷属(なかま)にしたな、とむしろ賞賛を送りたい

悪魔は欲望に忠実であれ、とかそんな言葉をたまに聞くが、彼は煩悩に一直線だ

別にそれが悪いことでないのだが、とそこまで考えると言葉に詰まる

 

「ず、ずむずむいやーん…、ぽ、ポチッと…」

 

いつの間にかその指先の変化は解かれ、鋭かった爪もなくなっていた

これならばいけると判断したのか、ヴァーリがこちらに飛んできて、その光の翼を羽ばたかせた

近づく速度はまさしく光速、伊達に白龍皇を名乗ってない

 

<ディバイド!>

 

鳴り響く音声

同時に、兵藤の力がこちら側でもわかるくらいに減少していく

あの妙ちくりんな歌のおかげで意識を取り戻しつつある彼には効果があったようだ

遠い方で声が聞こえた

 

「今よリアス! 貴方の胸が求められているわ!」

「えぇ!?」

 

えぇ?

こっちもえぇ? である

今の声は姫島朱乃だったはずだ

彼女は続ける

 

「彼は貴方の胸の乳首…それを押して禁手に至った、なら、逆のことも可能なはずよ。先程までは危険な雰囲気を漂わせていたけれど、今ならばできるはず! 歌で正気を取り戻しつつある今のイッセー君なら可能なはずよ!」

「で、でも、私の胸で、イッセーの覇龍を解除できるかしら…」

「できるわ! 私には無理…。ふふ、やっぱりこういう役目は貴女の方がお似合いなのね。…それがちょっと悔しいわ」

 

彼女は悲哀に満ちた瞳をする

いや、けど言っていることは訳のわからん言葉ばかりだ

なんだろう、関わりたくない気もする

ビルゲニアは笑いをこらえているし、ビシュムは顔を赤くしているし

 

「―――わかったわ」

 

決断は早かった

いや、それでいいのかグレモリー家の次期当主

なんだろう、彼女は彼に好意を抱いてるのか、行動に迷いがない

シャドームーンは赤龍帝の拘束をとき、彼女の背後へと飛んだ

流石に年端もいかない女子高生の乳房を見るわけにはいかない

 

「お、俺の…おっぱい…!」

 

彼は求めるものへと手を伸ばす

彼の手は、しっかりとリアス・グレモリーの胸へと伸ばしていた

何度目かのサビに歌が入る中、赤龍帝は兵藤一誠へと戻っていく

 

「…彼女の胸は何かのスイッチなのだろうか」

 

ふと、思ったことを小さく口に出すシャドームーン

何やら爆笑している美猴に、悩むヴァーリが見えたきがしたが、もういいや、とシャドームーンは考えるのをやめた

 

◇◇◇

 

一方で空間の狭間に閉じ込められているアーシアと浩太郎

彼らは窮地に立たされていた

無限に湧いてくる怪人連中、慣れない環境、守るべき仲間…

〝誰かを守りながら〟戦うことがこんなにも難しいことなのだと改めて知らされた

それでも、放棄するということは絶対にしない

守りきると決めたのだ、彼女だけでも元の世界に返さないといけない

 

「やはり、愚かだ。キサマらは」

 

遥かに体躯の大きい邪眼がこちらに向けて口を開く

その大きい双眸は、確実にRXを睨んでいた

 

「弱い者など、放っておけばよいものを。守ろうとするから傷を負うのだ。…己より弱い者は足手まといにしかならんなぁ」

「テメェ…!」

 

怒りに己を支配されそうになる

しかし寸でのところでそれを引っ込めた

ここで怒りに身を任せてしまっては相手の思うツボになってしまうと思ったからだ

 

「―――ふん、強がりだけは一人前だな。だがその強気もどこまでもつかな?」

 

振り下ろされる邪眼の拳を受け止めつつ、周囲から襲い来る怪人たちの猛攻を捌いていく

絶え間なく攻めててくる猛攻に辟易しつつも、RXは諦めることを選ぶことはなかった

自分がDVDで見ていた画面の中のヒーローたちも、諦めることだけはしなかったから

曲がりなりにも、自分は仮面ライダーを名乗っているのだ

せめて、大事な友達の前では〝仮面ライダー〟でありたい

 

「ガァァァラァァァ!」

 

不意に自分の死角を着くように何やらそんな風に叫んできた怪人はRXに向かって鞭のような右手を振りかぶってきた

目の前の邪眼にしか注意を向けていなかったRXはその一撃をもらい、軽く仰け反ってしまう

そこを隙と判断したあまたの怪人たちはここぞとばかりに畳み掛けていく

せめてこの世界が現実なら、ロボやバイオに姿をかえ抵抗も出来たのが、この空間ではそれもかなわない

仮面の下で歯を食いしばりながら、襲撃してくる怪人たちに拳を振るう

 

◇◇◇

 

アーシアは目の前で起こっている光景を、ただ見ていることしかできない自分に苛立っていた

邪眼の言っていたとおり、足手まといになっているのはもう分かりきっているのだ

こんな時に彼の力になれないことが、こんなにも苦しいなんて思わなかった

否、苦しいと思ったことは何度もある、しかしあの邪眼にはっきりと言葉にされて実感したのは初めてなのだ

自分の持つ神器(セイクリッドギア)の力を魔力の球として撃ちだし、彼を回復しようと試みた、がこの空間では思うようにうまくいかず、回復球を撃つための魔力すら練ることができないのだ

改めて、己の無力さを思い知らされた

 

本当に自分はなんなのだろうか

ディオドラに攫われ、ほかの仲間にも迷惑をかけて、今も浩太郎の迷惑になっている

こんな時、自分に出来ることはなんなのだろうか

必死にアーシアは思考を巡らせる、しかし思いついたのはとてもじゃないがどうしようもないものだ

それは単純、〝祈る〟ことだった

しかし祈った程度でこの状況が覆るとは思わないし、浩太郎が助かるという確率があるわけでもない

頭に降りかかるマイナスの言葉を振り払い、アーシアはその場に膝まづいて、両手を合わせる

―――この際、神でも悪魔でも、いいや、なんでも、誰でも構わない

 

(…どうか、浩太郎さんを…!)

 

―――助けてください…!―――

 

そう切に、どこでもない、どこかへと、純粋に心を込めて祈りを捧げた

神を信仰する彼女にとって、神ではない存在に祈った

そしてその祈りは―――ここではない、どこか別の世界

 

それぞれが、それぞれの戦いをするもののところへと、届いた―――

 

 

 

その時、不思議なことが起こった

 

 

 

 

「ぬんっ!」

 

繰り出される邪眼の拳

なんとか両手をクロスしてその拳撃を受け止めて、防御するものの、大きく吹っ飛ばされてしまう

ゴロゴロと地面を転がりながらも、なんとか体制を整え、じろりと邪眼を見据える

しかし、行動に移した時はもう遅かった

邪眼が生み出した怪人が、前方から二人同時に襲いかかってきたのだ

どちらかに注意を向ければ、もう一方から攻撃をもらってしまう

現実ならまだしも、この訳のわからない空間では一撃をもらっては流石にマズイ

両方とも迎え撃つ覚悟で、拳を構えた時、自分の背後から二人ほど誰かが飛び出してその二人の怪人に向けて蹴りを叩き込んでいた

 

「…え?」

 

すたり、と自分の周りに着地する二人の人影

黒い―――見覚えのあるシルエット―――の人物と、二つの黄金の角を持つ―――これもまた見覚えのあるシルエット―――人物が傍らに立っていた

 

「…え? い、いや…」

 

否、この二人を自分は見たことがある

そうだ、片方の黒い人物は自分がかつて浩太郎がかつて変身して、いまはメリディが変身しているライダー、BLACKだ

そしてもう一人―――自分が何度もテレビやDVDで見た、アギトの姿がそこにあった

 

「き、キサマらっ!?」

 

邪眼が驚いたように声を張り上げ拳を振りかぶろうとしてくる

しかし再度RXの背後からまた二人の誰かが飛び出して、その邪眼の顔面に向かってダブルパンチを叩き込む

二人の人影からの重い一撃を貰った邪眼は大きく仰け反って、体制を崩す

地面に着地したその二人の人影も、こちらに歩いてきて、合流した

 

一人は銀色の手と足をした、仮面ライダーと、もうひとりは緑と赤のカラーリングのライダーだ

この二人のライダーは、見覚えがない…

邪眼が焦った声色でこちらに叫んでくる

 

「馬鹿な! キサマらはこことは違う世界の存在のはずだ! なのに、なぜキサマらがここにいる!?」

「俺たちは、ただ声が聞こえただけだ」

 

銀色の手と足をしたライダーが一つ足を踏み込み、そう言った

彼の後を追うように、緑と赤のライダーが続ける

 

「不意に聞こえたんだ、〝助けて〟って声をな」

 

さらに続けるように、BLACKとアギトが声を開く

 

「そして気づいたら、この場所にいたんだ」

「よくわかんないけど、見過ごせる状況じゃないですしね」

 

アギトが周りを見ながらそう言った

そして銀色のライダーが言い放つ

 

「それに、俺たちは前にも言ったはずだぞ、〝邪眼〟! 闇が人類を覆うとき!」

「光も、また輝く!」

「この世に、悪がある限り!」

「正義の系譜に、終わりは無いんだ、って!」

 

四人の喝采を聞いて、RXは立ち上がる

そんな彼のもとへ、アーシアが駆け寄った

 

「アーシア、怪我とかは?」

「大丈夫です、それより、あちらの方々は…」

「俺にもわからない…アーシア、心当たりはないか?」

「い、いいえ、私はただ、浩太郎さんを助けてって、心を込めて祈っただけですから…」

 

祈った、という言葉を聞いて再度RXは彼らを見る

もしかして、また何かを起こしたのだろうか…彼女の想う心に、体内のキングストーンが奇跡を起こしたのか?

いいや、考えるのは後だ

 

「アーシア、離れてて」

「浩太郎さん…」

「大丈夫、不思議と負ける気がしないんだ」

 

彼女の頭を撫でながら、四人のもとへと合流する

四人の視線がこちらに集まってきた

なんでだろうか、少し緊張する…

気まずそうにRXが黙っていると銀色の仮面ライダーが口を開いた

 

「自己紹介がまだだったな。こんな状況だが、俺は1号」

「仮面ライダーV3、共に戦おう」

「俺はBLACK。…君は、なんとなく似てるね」

「アギトって言います。状況が状況ですけど、よろしく!」

「俺は―――俺はRXです。…みなさん、力を貸してください!」

 

『おう!』

 

RXの声に反応するように、四人の仮面ライダーは応答する

揃った仮面ライダー五人を前にして、邪眼は憎々しげに言葉を発する

 

「おおのれ仮面ライダー…! このような辺境の世界までも我の邪魔をするかぁぁぁ!」

 

叫びと共に再度自分の周囲に何体かの怪人を顕現させる

それに合わせて、五人の仮面ライダーは身構えた

そして怪人たちがこちらに向けてかけてくるタイミングで―――五人の仮面ライダーが駆け出した

 

 

流れるような技のキレで1号が敵を倒し、力強い技で薙ぐV3

かつての自分とは比べ物にならない技量で相手を翻弄するBLACKに、時に青や、赤へと変化し、武器を扱うアギト

自分なんかとは比べ物にならないほどの戦いを、ここにいる四人はくぐり抜けてきたのだろう

だからといって、自分も負けてはいられない

こちらに向かってくる怪人の一体をサタンサーベルで斬りつけて爆散させる

しかし、いくら無限に湧いてくる怪人たちを倒していってもキリがないだろう

 

「…やはり、本体を倒さない限り、終わらないか」

 

ちらりと邪眼をみやり、1号がつぶやく

他にもいろいろ考えたが、やはりアイツを倒さない限りここから出ることはできなさそうだ

 

「けど、無尽蔵に湧き上がるこいつらの相手をしながら、流石にきついですね、先輩」

 

V3が1号に向かってそう言った

それに答えるようにBLACKが口を開いた

 

「なら、俺とアギトで周りの敵を引き受けます。三人はあの邪眼を」

「いいのか、二人共?」

「大丈夫です、任せてください!」

 

仮面の下に笑顔を彷彿とさせるような声色でアギトが応える

それを見て1号はV3とRXへと視線を向けて

 

「構わないか、二人共」

「異論はないです」

「それで行きましょう」

 

湧き続ける怪人の相手をBLACKとアギトに任せ、残った1号とV3、そしてRXの三人は邪眼と対峙する

 

「決着をつけよう、邪眼!」

「小癪な! あの時の借りを、ここで返すぞ仮面ライダー!」

 

邪眼が大きな拳を振り上げる

それに真っ向からRXは拳をぶち当てる

前は防御するしかできなかったが、今は一人ではない

RXの拳と邪眼の拳

その隙を掻い潜り、1号が邪眼の懐へと飛び込み、渾身のアッパーを叩き込む

繰り出されたその一発は邪眼の顎にあたる部分へとあたり、大きく仰け反り、足をふらつかさせた

同じようなタイミングで跳躍したV3が飛び上がり、さらに飛び蹴りを繰り出す

 

「V3! 反転キィィクッ!」

 

蹴りを叩き込んだ反動でもう一度空中に飛び上がって反転する

その時の反転によって発生したエネルギーを彼のベルト―――ダブルタイフーン―――にそれをチャージし、より強くなったキックを再び邪眼に叩き込んだ

 

「もう一撃だ!」

 

1号はRXの隣に移動し、目配せでRXに合図する

それにRXは頷き、構えの後、ふたりは同時に跳躍した

蹴り方は、隣にいる一号から即興で真似たものを拝借した―――

 

「ダブル!」

『ライダーキィッーク!』

 

繰り出される1号の右足とRXの左足

同時に放ったダブルキックは邪眼を捉え、ずしりと大きく倒れさせた

その一撃で大きく体力を削られたのか、それまで無尽蔵に湧いてきた怪人たちの姿も少なくなっていく

 

「畳み掛けるなら!」

「はい、今ですね!」

 

BLACKの言葉にアギトが呼応する

バッと拳を握り、力を込めるBLACKと、クロスホーンを展開し、構えを取るアギト

それぞれの技が、相対している怪人軍団へと突き刺さる

 

「ライダーキック(ケェッ)!!」

「ハァッ!」

 

付近で聞こえる爆散する音

RXは1号と一緒に倒れている邪眼を睨みつける

ゆらりと立ち上がる邪眼だが、その体からは先程までのオーラは弱くなっていた気がした

 

「行くぞ!」

 

1号の掛け声に、駆けつけていた仮面ライダーたちが応じる

皆が跳躍し、ただ一撃をその足にこめ、皆が突き出す

繰り出される―――受け継がれていく―――その技の名前は

 

『ライダー! キックッ!』

 

五人同時に放たれた一斉キックは邪眼に直撃し、大きく吹き飛んだ

巨大な体躯をゴロゴロと転がらせ、邪眼に憎しみの篭った視線をこちらに送ってきていた

 

「―――ふ、ふふ、これ、で、闇がなくなると思うな…! 時代が過ぎようとも、我は、必ず蘇る…!」

 

どこか笑みを浮かべながら、邪眼はそう言い放つ

 

「何度蘇ろうと、結果は変わらない!」

「お前が蘇るたびに、必ず仮面ライダーがお前の前に立つだろう!」

「悪ある限り、仮面ライダーも蘇る!」

「そして時代が求めている限り―――」

「仮面ライダーは、現れる!」

 

先ほど邪眼が言い放った言葉に、1号、V3、BLACK、アギト、RX…五人の仮面ライダーがそう言った

それに邪眼はふはは、と一つ笑いを口にした後―――叫び声を上げ爆散した

 

◇◇◇

 

「浩太郎さん!」

 

邪眼が消え、その驚異がなくなると離れていたアーシアがこちらに駆け寄って、RXに抱きついてくる

RXは彼女を受け止めその金の髪を優しく撫でた

彼女は一度RXから離れると、彼の周囲にいる四人の仮面ライダーへと頭を下げた

 

「それと、浩太郎さんを助けてくださって、ありがとうございました!」

 

彼女のお礼に1号が返答する

 

「構わないよ。…それと、その声は、俺たちに助けを求めてきた声の人だね?」

「え? あ、いえ、確かに助けてって、祈りを捧げましたけど…」

「その祈りが、俺たちに届いたのさ。彼を助けたのは、実質君だな」

 

ポンポンとV3が彼女の頭を優しくポンポンと叩きながらそんなことを言った

 

「それに、君も〝浩太郎〟って言うんだ? はは、奇遇だね、俺も南光太郎って言うんだ」

「え、そうなんですか?」

 

気さくに名を打ち明けてくれるBLACK

しかしその佇まいから、自分以上に戦いをくぐり抜けてきたかがわかるほどだ

恐らく、自分では歯が立たないだろう

 

「こんな状況じゃなかったら、手料理を振る舞いたいとこですけど、それもできませんよね」

 

はは、と笑うアギト

この人は…自分が見た作品のものと変わらない

自分の世界では、彼が作品となっていて

しかし別の世界では実際に仮面ライダーとして存在している

世界、というのはよくわからないものだ

 

ふと、この辺を纏っていた異様な空間が消えていく

それと同時に、ここにいる四人の仮面ライダーも徐々に薄くなっている気がする

 

「どうやら、別れの時が来たようだ」

「みたいですね」

 

一号の言葉にV3が言葉をつなぐ

少しづつ消えていく彼らの姿を見て、RXは変身を解除し、改めて彼らに自分からも礼を言った

 

「…本当に、ありがとうございました」

 

浩太郎のその言葉を皮切りに、アギト、BLACK、V3と姿が消えていく

最後に消えゆく1号に、浩太郎は名を問うた

 

「あ、あの、貴方は…」

 

その言葉に、1号はその変身を解除して、笑みと共に応えた

朗らかな、それでいて優しさと強さを併せ持つ、その笑顔

彼は言った

 

「俺は本郷猛。縁があったら、また共に戦おう―――」

 

それが彼が答えた言葉だった

浩太郎が言葉を返す時にはもう遅く、彼の姿は虚空へと消えていってしまった

もう届かないであろうその言葉を、浩太郎はつぶやく

 

「―――はい!」

 

力強く、誓う

きっと一緒に戦うことはないのかもしれない

それでも、いつか、縁があったら

胸を張ってあの人の隣に立てることができるような戦士でありたいと改めて思う

 

「浩太郎さん!」

 

不意に彼の服の袖をアーシアがくいくいと引っ張る

「あれを見てください!」という言葉と共に指を指された方向を見てみると、そこには空間の歪みがあった

既に何かで斬られていたのか、そこにはひとしきり人が入れそうな大きさだ

あそこをキングストーンフラッシュでこじ開ければ、この空間からでられるかもしれない

 

「アーシア、帰ろう!」

「はい!」

 

ここでの記憶は、永劫に忘れることはない

いつか、またどこかで共に戦えることを思いながら、浩太郎とアーシアはこの空間から飛び出した

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