その身に宿すはキングストーン   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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今回でひとまずこのお話はおしまい

続きは気長に待っててください
お気に入りしてくださった、読んでくださった読者の皆様
お付き合いいただきありがとうございました

ではどうぞ

※誤字脱字ありましたらご報告ください


41 これから先の未来

兵藤一誠が目を覚ますと不意に号泣する朱乃やリアスの顔が目に入ってきた

完全に禁手が解けた兵藤は状況をイマイチ理解できていなかった

木場から説明をもらい、何やら自分は激怒してそのまま暴走、シャルバをそのままぶちのめしたことを聞かされた

そして同時に、まだアーシアや浩太郎が戻っていないことも

思わず俯きかけたその時、空間の一部がねじ曲がった

まさか、また敵か?

そう思う兵藤の判断は間違いだとすぐに気づかされることになる

そこから現れてきたのは、今まさに会いたい人物たちだったからだ

 

「…戻ってこれたな」

「はいぃ…」

 

ナチュラルに歩いてきたのはなんと浩太郎とアーシアだったのだ

まるでコンビニ帰りのようなテンションで現れた二人に、今度は木場も口をポカンとさせる

 

「浩太郎さぁんッ!」

 

彼の生存を心から喜んだのは塔城小猫である

彼女はアーシアと浩太郎のところへと抱きつき、わずかな時間ではあるが二人を困らせた

浩太郎自身、まさかいない間死んだことになっていたのはビックリである

小猫がひとしきり落ち着くと、今度はアーシアに

 

「アーシアァ!」

「わひゃぁ!?」

 

ゼノヴィアのタックルめいた抱きつき

 

「ぜ、ゼノヴィアさん? どうしたんですか? く、苦しいですぅ」

「アーシア! アーシアアーシアアーシア! 私とお前は生涯友達だ! だから、もう私をおいていかないでくれ…!」

「…はい。ずっと、お友達ですよ、ゼノヴィアさん」

「う、ぅう。よかったぁ…!」

 

横でイリナも疼きながらわんわん泣いていた

何はともあれ、一見落着のようだ

…どうでもいいのだが、何やら小猫が片方の手にしがみついて離れてくれない

そこまで心配させてしまったのだろうか

 

「はっは! やはりお前は無事だったみたいだな浩太郎」

 

そこにシャドームーン…影山月彦がこちらに話しかけてきた

傍らにはビシュムとビルゲニアも一緒だ

 

「影月。…その、迷惑をかけた」

「気にするな。俺とお前の仲だろう?」

「そう言ってくれると助かるな」

「さて、そろそろのハズだ。浩太郎、空を見上げてみろ」

「空?」

 

影月の言葉にならい浩太郎は何もない白い空を見上げた

そうすると突然空間に巨大な穴が開き、そこから何かが現れる

 

「あれがもう一つの赤い龍だ、浩太郎」

 

穴から出現したものを見て、浩太郎は驚きを隠せなかった

先の空間でも驚きの連続だったが、あれほどまでに大きいドラゴンを見たのは始めてなのだ

中空を真紅のドラゴンが優雅に飛んでいく

 

「名前をグレートレッド。〝真龍〟とか呼ばれるドラゴンらしい。空間の狭間に住み着いて、そこを気ままに飛んでいる」

「な、なんだってあんなところ飛んでんのさ」

「知らん。そこんところは本人に聞いてみるほかないな」

「そしてあれが、俺の目標でもあるんだ」

 

不意にこちらの会話に入ってくる男の声

それはヴァーリだ

彼は兵藤にも視線をやり、ライバルに語りつつも、こちらにも言葉を投げている

 

「俺はね、真なる白龍神皇になりたいんだ。赤の最上位があるのに、白だけ一歩上がないなんて格好がつかない。だから俺はそれになる。いつか、グレートレッドを倒してね」

 

それがヴァーリ・ルシファーの夢であり、目標

なるほど、彼がテロリスト集団に身を置いているのもそのためか

 

「…久しい。グレートレッド」

 

不意に、すぐ近くに黒い髪のワンピースをした女の子が立っていた

先程まではいなかったのに、どこから現れたのだろうか

 

「ほぅ、オーフィスではないか。禍の団のトップがこんなところで何をしている」

「! この女の子が!?」

 

まさか、こんな少女が親玉だというのか

っていうか、本当にどうしてこんなところにそんな奴がいるんだ

戸惑っていると、彼女が影月に話しかけてくる

 

「シャドームーンも久しい。お前さえよければ、グレートレッドを倒すことに協力して欲しい」

「やなこった。メンドくさいからな。援軍を頼みたいなら横のブラックサンに頼むんだな」

「は?」

 

そういうとオーフィスはこちらに視線を向けてきた

思い切り値踏みするように上から下までめっちゃ見てくる

心なしか、小猫が掴んでる手の方がすごく痛くなった

不意に、ふと彼女の口元が笑んだ気がした

 

「将来に期待」

 

そう呟くと今度はグレートレッドに向けて、指で鉄砲を作り、それを打ち出す仕草をする

 

「我は、いつか必ず静寂を手にする」

 

そして今度はドスンと何かが降ってきた

確認するとアザゼルと望月翔子…そしてタンニーンの三人(?)だった

 

「先生、おっさん!」

「望月さんも!」

「お、イッセー。戻ったみたいで何よりだ。お前ならあの歌で戻ると思ってたぜ? 作詞をした甲斐があったぜ」

「歌? なにそれ」

「やめろ浩太郎。それいじょうアノ話題を広げるな」

 

不意に影月が真顔でそんなことを言ってきた

ちらりと小猫の方にも視線を向けると物凄く強い力で手を握ってきた

自分がいない間に何があったのだろうか

 

「あ、浩太郎くんっ! よかったぁ、無事だったんだ」

 

すたり、とこちらに向けて着地してくる望月翔子

彼女の笑顔を見て浩太郎も笑みを返す

 

「なにやら死んだって聞いたからさ…流石に私もキモが冷えたよ。…けど生きてて良かったぁ」

「えぇ、ご迷惑をかけました。はは…」

「うん、元気そうでなにより。ちなみに、各地で暴れてた旧魔王派の奴らは私たちや私の友達たちのおかげで撤退、及び降伏したよ。まぁもっとも、この程度は痛くも痒くもないんだろうけどね」

 

ちらりと無表情のオーフィスを見やる

少し先で同じような会話をアザゼルと交わしているが、驚いた様子は見られない

 

「ちなみに、テロ組織でヴァーリ以外に強敵がいるとすれば、〝英雄派〟って連中くらいね」

「英雄派?」

「うん。人の英雄や勇者の末裔だかで集められた集団なんだって」

 

まだそんなテロ組織があるのか禍の団

そういえばいろいろな危険分子が集まって出来たのがあの集団なんだっけ

うわぁ、相手にするのが面倒くさいと今からでも思ってしまう

 

「さて、オーフィス。やるか?」

「やらない。我は帰る」

 

踵を返すオーフィス

しかしこちらはそれで納得する訳もなく、タンニーンが翼を広げる

 

「待てオーフィス!」

「タンニーン。龍王が集まりつつある。楽しくなるぞ?」

 

そう言って今度はこちらに視線を向ける

 

「また会おう、ブラックサン」

 

ヒュン、と空気が震えたと思ったらそのまま何処へと消えてしまった

そんな中、また別の声

 

「さて、俺たちも退散しよう」

 

ヴァーリの声だ

彼も背広の男が作り出した次元の裂け目に入る寸前だ

行動が早い

 

「兵藤一誠。俺を倒したいか?」

「倒したいさ。けど、俺が超えたいのはお前だけじゃない。同じ仲間の眷属や、匙、浩太郎だって。俺には超えたいものがたくさんあるんだよ」

「俺もさ。俺も君以外に倒したいものがいる。…ふふ、おかしいな、宿命よりも大切な目的が存在している。まぁそういうのもたまにはいいはずだ。だが、いずれな」

「あぁ、決着つけようぜ。部長や朱乃さんのおっぱいを半分にされたら嫌だからな」

「やはり君は面白い。強くなれ、兵藤一誠」

「じゃあなおっぱいドラゴン! そしてスイッチ姫!」

 

最後に美猴が変なこと言ってた気がする

なんだよスイッチ姫って

 

「木場祐斗くん、そしてゼノヴィアさん」

 

背広の男性が木場とゼノヴィア二人に向けられた

 

「私はアーサー・ペンドラゴンの末裔、アーサーとお呼び下さい。いつか、聖剣をめぐる戦いをしましょう。ではまた」

 

そう言ってヴァーリ御一行が次元の狭間へと消えていった

理由はどうあれ、彼は兵藤を助けてくれたのだ

今この場で、追うべきではないだろう

未だに手を離さない小猫の頭を撫でながら、浩太郎はアーシアへと言葉を投げかける

 

「さて。帰ろうか」

「―――はいっ!」

 

何はともあれ、彼女に笑顔が戻ってくれて…本当に良かった

 

◇◇◇

 

本日は体育祭

正直無事にこの日を迎えられてホッとしている自分が居る

一時はどうなるかとも思ったが

 

「浩太郎さん! 行きましょう!」

 

今日は初めての体育祭、ということもあって彼女にしてはとてもテンションの高いアーシア

小猫と二人、浩太郎は彼女を見て微笑みを漏らす

 

「わかってるって。さぁ、いこうか、小猫、アーシア」

「えぇ、勝ってくださいよ? 浩太郎さん」

「もちろんさ。見せつけてやるよ、俺とアーシアのコンビネーション」

 

靴を履いて、外で待っている兵藤たちと合流する

そのまま何気ない談笑を交わしながら学校へと歩いていると一人の男性がこちらに向かって歩いてきているのが見えた

疑問符を浮かべながら浩太郎はなんとなく聞いてみる

 

「え、っと? なにか?」

「なに、それほど時間は取らせない。どうだ、一枚写真を撮らせてくれないか?」

「は、写真?」

 

よく男性を見てみると、今時には珍しい二眼のトイカメラを持っている

対して時間はかからなさそうだし、浩太郎はその申し出を受けることにした

どうせならみんなで写りたい、ということでリアスや兵藤らも交えて写真を撮ってくれることをお願いしてみる

すると男性は「構わないぜ」と了承してくれた

 

適当に並んで、それぞれが思い思いにカメラに視線を向ける

やがてかちりとシャッターが切られ、浩太郎たちがレンズに映し出された

男性はカメラを再度ぶら下げると、浩太郎に向かって歩いてくる

 

「時間を撮らせて悪かったな」

「いえ、それで写真はいつごろできる予定なんです?」

「正直わからないな。いつになるかは気ままに待っててくれ。俺も〝旅をしている〟身なんでな」

「? まぁいいさ、貴方がそう言うなら、気ままに待たせてもらいますよ」

「浩太郎さん。時間大丈夫ですか?」

「あっと、そうだった! リアスさん、今時間は!?」

「問題ないわ。歩いてでも十分間に合うわよ」

 

そんな会話を繰り広げながら浩太郎たちはまた道を歩いていく

青年はそんなの後ろ姿を見送りながら、もう一度シャッターのボタンを押した

かちり、とそんな音が鳴り響く

 

「…縁があったら、また会おうぜ。〝この世界〟のRX」

 

そう呟くと彼は反対方向に向けて歩き始めた

青年の歩く先に、どこか異様な灰色のオーロラが現れる

そのオーロラが通り過ぎると、その青年はいなくなっていた

 

◇◇◇

 

そしてやってきた二人三脚の出番

浩太郎とアーシアの順番は中頃だったはずだ

アーシアと浩太郎の足首を紐で縛りながら、アーシアの頭を撫でる

 

「練習通りにやれば、大丈夫」

「はいっ! 例え勝てなくっても、私は今を楽しみます!」

「あぁ、それでいい。だから―――行こう!」

 

順番を待ち、やがて自分たちの番となる

審判役の生徒の空砲がなり、浩太郎とアーシアはスタートした

 

◇◇◇

 

空港のとある場所

望月翔子は座りながらある人物を待っていた

手に持っているのは、たまたま見かけた本である

最近のゲーム関係とかの情報が乗っているような、そんな本だ

 

「…昨今のゲームってすごいなぁ、ガンゲイルとかって、コントローラを握って遊ぶゲームはもう古いのかな」

 

そんなことをふと疑問に思って浩太郎に聞いてみたけど、ああいうのはなんだかゲームしてる気にならないとかなんとか

彼やその周辺の人たちはコントローラ派のようだ

まぁちょっと前に事件も起きたらしいし、危ないのだろう

 

「お待たせ。待たせちゃったかしら」

「あ、レディ姉さん」

 

つかつかと白い服をきた、ナイスバディな彼女がこちらに歩いてくる

傍らには自分が持ってるアタッシュケースをコロコロと転がしている彼女は、周囲の男性の注目の的だ

そんな視線を気にもしない彼女はこちらのところまで歩いてきて

 

「ごめんね、いろいろ手間取っちゃって」

「いえいえ、私の方こそごめんなさい、本当は試合の見学だけなのに、変なことに巻き込んで」

「そっちのほうこそ気にしないで。これが〝彼〟だったらいろいろ請求してるけど、ショウコだから特別。お金とかはいらないわ」

「…なんだかあの人が気の毒です」

 

今頃普通にピザでも食べてそうだけど

 

「貴方は、友達に挨拶してきたの?」

「えぇ、軽くメールでちょいちょいっと。永遠に会えなくなるわけじゃないので、そんなにシンミリする必要もないかなって」

「確かにね、まぁすぐに会えるわよ」

「はい、それでレディ姉さん、次はどこに行くんです?」

「そのことなんだけど、ちょっと私たちだけじゃ手こずりそうなのね。だから〝彼〟のとこに顔出そうと思ってるんだけど」

「…たまには普通に報酬だしてあげてくださいね」

「ふふっ、考えとくわ」

 

くすりと笑うレディとともに、望月翔子は歩いていく

会いたいと思えば、いつでも会えるのだから

 

◇◇◇

 

「シャドームーン」

 

どこかにある影山月彦の本拠地

自室でのんびりしている影月に声をかけてきたのはビシュムだ

影山は座っていた椅子ごと体を向け、彼女の話を聞く姿勢になる

 

「どうした、なにかあったのか」

「いや、先ほどサーゼクスから連絡があったことをお前に伝えようと思ってな」

「ほう」

 

ビシュムの話を聞くに、禍の団に属していた旧魔王派の連中は今回の一件で求心力を失ったらしい

ヴァーリの方もその辺には興味がなく、旧魔王派のトップになることを拒んだようだ

まぁ、彼の性格ならそうなるだろう

残党の悪魔どもは降伏したり闇に身を潜めたそうだ

もし見かけることがあったら切り捨ててやろう

そしてディオドラの件でアスタロト家は完全にその信用を失った

まぁ次期当主ともあろうものがテロに加担していたという事実は重く、現当主は解任

アスタロトはしばらくの間魔王輩出の権利を失ったようだ

現ベルゼブブも責任を問われたらしいが、同時期彼も旧魔王派関連の襲撃を受けていたことも発覚し、サーゼクス含む三人の魔王の擁護もあり、次第に非難の声は収まったという

 

「まぁ現ベルゼブブのアジュカが外れるのは悪魔陣営としても痛いからな。ゲームを基礎を考案したのもアイツみたいだし、妥当な判断だろう」

 

影月が頷きながら腕を組む

次に彼女が言ってきたのはレーティングゲームに関する事だ

 

「今後のゲームも見直されることになりそうだ」

「そりゃそうだ。ゲームのたんびにテロが乱入してきては興が削がれる」

「しかし、どうしてもやってほしい、と言われてる一戦があるみたいでな」

「? 誰と誰だ?」

「リアス・グレモリーとサイラオーグ・バアル」

 

その名前を聞いたとき、影月はおお、と短く口を開いた

なるほど、確かにそれは見たい

純粋な力と力のぶつかり合い

きっと燃える一戦になるに違いない

 

「それと。…これはいいかな」

「ん? なんだビシュム」

「いや、その…お、お、おっぱいドラゴンのことなんだが…」

「それはいいや。言わなくて」

 

あとでビルゲニアから聞く限り、冥界中で大人気らしい

なにやら歌の第二弾も構想中だとかなんとか

 

(―――いや、サーゼクスが楽しいならいいんだけどね)

 

話をしていた彼の顔はとても爛々としていたとビルゲニアは言っている

とはいえ兵藤一誠はレーティングゲームとして珍しい子供達のファンだ

大人の悪魔たちが競い合うものを見ても子供たちはなんとも思わないだろう

不意に影月の顔に小さい笑みをできる

 

「やはり、今代は面白いなブラックサン…」

 

今現在、体育祭で走っている彼に向けて言葉を放つ

願わくば、ゲームの時に叶わなかった語らいでもしようじゃないか

そんなことを思いながら、影月は天井を仰ぎ見る

 

そしていつの日か―――拳を交えてみたいものだ

 

◇◇◇

 

出だしは快調、練習通り、いや、練習以上のコンビネーションだ

ふたりは確実に、順位を上げていく

 

「浩太郎! そのまま行けー!」

「そのまま一位を狙いなさいっ!」

「もう少しですわ!」

 

兵藤とリアス、そして朱乃がこちらに激励の言葉をくれる

それに小さく笑んで返し、そのまま走り抜けていく

 

「狙えるよ一番! 頑張って二人共!」

「いっけー! アーシア、浩太郎っ!」

「後ろはいないわ、そのまま行って!」

 

木場、ゼノヴィア、イリナの三人

思えばゼノヴィアらと出会った頃は険悪な雰囲気だったのに、今はアーシアの親友とも言うべき間柄だ

人って変われるのだね、と内心思う

 

「がんばってくださーい!」

「突っ切ってくださいっ! 浩太郎さんっ、アーシアさんっ!」

「負けんじゃねぇぞ?」

 

普段のギャスパーからは想像もできないような大声

小猫も普段とは少し違うテンションで、応援してくれている

アザゼルは腕を組みながら、笑いながらこの競技を見てくれてる

 

「もう少しだ! 頑張れーっ!」

「ほら気張りな浩太郎! アーシアちゃん! ファイトー!」

 

カメラを構えた父と、声援をくれる母

そんな二人に気恥ずかさを覚えながらも走り抜ける

やがてゴールが見えてくる

そして―――

 

「よしっ!」

「やりましたぁ!」

 

ゴールテープを見事一等賞で切ることが出来た

負けないまでも楽しめればいい、とは言ったがやっぱり勝つと嬉しいものだ

と、そのまま勢いのまま足が絡まり、転びそうになる

咄嗟にアーシアを抱き寄せ、彼女に痛みがいかないように体制を整えた

 

「あたた…。大丈夫か? アーシア」

「は、はい。私は大丈夫です…あ、浩太郎さんお怪我を」

 

アーシアに言われ右の肘を見てみる

そこには軽い擦り傷があった

恐らくさっきアーシアをかばった際に出来てしまったのだろう

 

「問題ないよ、このくらい」

「二人共」

 

そこで兵藤と一緒にリアスがやってきた

彼女は浩太郎の傷を見ると少し笑んで体育館裏の方を指差す

 

「浩太郎、体育館裏なら人気もないし、アーシアに回復してもらいなさい」

「え、けどこの程度―――」

「いいから! してもらいなさい!」

「…はい」

 

そのまま言われるがままに浩太郎は頷いた

アーシアと一緒に歩いてリアスの横を通り過ぎる際、不意にリアスがつぶやく

 

「―――頑張って」

「!」

 

リアスの言葉にアーシアは僅かに頬を赤くする

? と思いつつも体育館裏に移動し、怪我した部位を彼女に回復してもらう

大丈夫、とは言ったがやはり怪我はないほうが全力を出せるというものだ

 

「―――浩太郎さん」

「うん? どうし―――」

 

たの? という言葉は続かなかった

彼女に呼ばれて振り返ったとき、自分の口を何かで塞がれたから

その何かは、アーシアの唇だったから

早い話―――自分はキスをされたのだ

目の前の―――アーシア・アルジェントという女の子から

流石に頭の中が真っ白になる

っていうか、なんでキスされてるの?

そんな風に考えていると、彼女が笑顔を見せてくれる

彼女は言葉を紡いだ

 

「―――だいすきです。ずっと御側にいますから」

 

彼女は恥ずかしさからか、その言葉を言ってすぐに踵を返して、てててと戻っていってしまった

未だに浩太郎は思考が追いついていない

っていうか、こうもはっきり好意を前に出されると、その…なんだろうか

 

<ウブねぇ>

「うっさい!」

 

思いっきりメリディに馬鹿にされた

一方でアーシアだけが出てきて未だに浩太郎が出てこないことを不思議に思ったのか、今度は小猫が歩いてきた

彼女は近くに来るとこちらに視線を向ける

 

「どうしたんです浩太郎さん。もうすぐ次の競技始まっちゃいますよ」

「あ、あぁ。大丈夫、行くよ、うん」

「…浩太郎さんなんか言動が変です。緊張してるんですか?」

「そ、そうなのかな! はは」

 

苦笑いを浮かべる浩太郎に対して、小猫は一つ息を吐いて小さく微笑む

 

「じゃあ浩太郎さん。少し目をつむってください」

「え? なんで?」

「いいからつむってください。少しでいいですから」

 

疑問も晴れぬまま、浩太郎は言われるがままに目をつむった

時間にして数秒、不意に唇に何か柔らかいものが当たる

その感触も数秒経ったのち、離れていった

 

「開けていいですよ、浩太郎さん」

 

言われて目を開ける

そこには僅かに頬を赤く染めている小猫の姿があった

もしかして、いや、もしかしなくても

 

「…解けました? 緊張」

「…全然」

「奇遇ですね。…私もです」

 

頬を真っ赤にしたまま俯く彼女と一緒に、浩太郎は表に出る

なんだろう、こういう時どんな顔をすればいいのか正直わからない

とりあえず―――喜びとか、楽しさとか、恥ずかしさを噛み締めて―――笑えば、いいのかな

 

―――――――――――――――

 

これからも、こんな日常を紡いでいく

目の前に障害が現れても、みんながいればきっと乗り越えていけるだろう

太陽の光を背に受けて、今日も歩き続ける

 

―――〝仮面ライダー〟 その名と共に




そのうち活動報告に次回作構想を晒すかもしれません

何はともあれ、ここまでお付き合いいただき、本当に感謝の極み
あんまり返信できませんでしたけど、感想の方もどうもです

あんまり長々と語るのもあれなので
ではではノシ
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