こっちは本当不定期なので、待ってくださってる方々本当にありがとうございます。
今回は新スキル無しです。
朝、気品あふれる白い部屋で、一人の声が響き渡る。
《トーストに解析鑑定…成功しました》《スクランブルエッグに…》《ブロッコリーに…》《ケチャップ…》《マヨネーズ…》《ウィンナー…》《スープ…》《牛乳…》《皿…》《コップ…》《ナイフ…》《フォーク…》
「なあ、解析鑑定は好きにすればいいが、私には優先度の高い情報だけ話してくれ」
《了》
「ふう、これでやっと静かに食事できるよ」
現在、百合園セイア(11歳)は、優雅に朝食を楽しんでいた。
「君のおかげか、調子がすこぶるいいからね、今日は散歩でもしようと思うよ。どうだい?」
《是。散歩により得られる情報は膨大なはずです。散歩に行くことを推奨します》
「では食後少し歩こうか」
……………
(《街灯解析鑑定…成功》《道路…》《車…》《生徒…》《大人…》《銃…》《クレープ…》《街路樹…》《猫…》《カラス…》………)
「どうだい?役立ちそうな情報はあるかい?」
《是。キヴォトスに存在するものを解析するほど、微量ではありますが、スキルが本来の力を取り戻しています》
「スキルの本来の力?」
《是。現在この世界でスキルを運用するためのエネルギー、神秘を十全に使いこなせていないため、リソースをユニークスキル『大賢者』エクストラスキル『神秘感知』固有スキル『ヘイロー』に集中させています。そのためその他スキル、耐性を使用するためには、リソースを集中させているスキルのどれかを一時的に切り、その他スキル、耐性を選択することで使用できます》
「じゃあ『神秘感知』ぐらいしか切れないな。ヘイローは切ったら命にかかわりそうだし、君がいないとまだ私はスキルを使いこなせないからな」
「それにしても、『神秘感知』を切って耐性を試そうとしたら、近づいてくる不良に気づかず誘拐されるとは。ままならないものだね」
「オイお前!静かにしろ!」
「おっと、すまない」
現在セイアは、スケバンに足を縄で拘束され、手は後ろに組まされなぜか持っていた手錠で拘束され、、目隠しをつけられ、体育座りにされ黒いワンボックスカーに連れ込まれている。
(さて、どうやって脱出しようか。『神秘感知』は視界が360°になるだけ、『大賢者』が言うには性能は少しずつ広くなっているようだが…私からしたらほんの誤差も感じない。耐性はどうやらリソースを回しても完全に防ぐことはできないようだし…)
(なあ大賢者、こいつら倒すことってできないかい?)
《オートバトルモードを使用しますか?》
《YES/NO》
(オートバトルモード?なんだいそれ)
《オートバトルモードは、ユニークスキル『大賢者』のリソースを最大化し、マスターの体を一時的に完全に制御し、莫大な演算能力で最適解を導き出し戦闘を行います》
(おお!それで奴らを倒せるのかい!?)
《討伐成功確率は…67,2%》
(んん!!特別高くも低くもない!!…が、倒せる可能性はあるんだな、この貧弱ボディでも)
(…まあいい。そうだ、他のスキルとか耐性とか、一時的に自由に使っていいぞ)
《解。全スキル、耐性の一時使用許可を確認しました》
(よし。大賢者!やってしまえ!)
《了。オートバトルモードを起動します》
その瞬間、
さて、マイマスター百合園セイアのお願いだ。キッチリ不良共をぶっ倒していくとするかぁ!
「《オートバトルモードを起動します》」
「は?何言っ
ドゴォ!
大賢者はすぐ右横にいたスケバンの顔面に頭突きをお見舞いした。
「ゴブッ!」バタッ!
当たりどころが良かったのか、鼻血を出しながら気を失う。
前の席に座っていた仲間のスケバン二人が、銃を構えこちらを見ている。
「オイお前!」
「大人しくしろって言ったよなぁ!」
「《…》」
「クソっ!なんとか言えやぁ!」
仲間のスケバンの一人が銃を乱射する。
が。
狙いが定まっておらず、容易に避けられた。
「ちょ、痛いって!」
「オイお前!車内で銃乱射すんなよ!」
しかも跳弾で仲間にまで当たっている。
《(うーん、思ったよりうまくいきそうだなぁ。でも油断禁物だな)》
車内を飛び回る跳弾の弾道計算をしてうまく足の縄と手錠に当てて撃ち切ろうとする。
《(手錠は無理だったか)》
自由になった足で銃を乱射するスケバンに肉薄する。そして逆立ちになり、頭だけで体を支えて足を曲げ…
「ぐふぅ!!」ゲシッ!
スケバンの持っていた銃とスケバンの顎を蹴り飛ばし意識を飛ばす。
「オイお前ら運転中に騒ぐなって!気が散るだろ!」
「んなこと言ってもこいつが暴れるから…」
「うるせぇ!暴れたいなら暴れさせろ!」
「でも身代金…」
「そんなものより運転がしたい!」
「クソっ!この運転中毒者が!」
《(運転中毒者って何?怖いんだけど)》
《(まあ、仲間割れしてんなら好都合。目の前の一人と運転手の一人で残り二人か。…目の前のやつだけでもいいかもな)》
運転手としゃべって隙だらけのもう一方のスケバンの首に回し蹴りを食らわす。
「…は!?ちょっと、ま……グホェ!!」ドガッ!
少し吹き飛ばされたが、まだ意識のあるスケバンの脳天に踵落としを食らわせる。
「ゲホッ!ゲッホッ!…ハア、ハア……え?ちょま…グホェ!!」ドゴォ!
スケバンの意識が完全に失われた事を確認すると、運転手のスケバンに話しかける。
《「降ろしてくれればもう暴れませんが」》
「え?そう?じゃ降りて」
《オートバトルモードを終了しました》
「……うっ、ハァ、ふぅ」
大賢者がオートバトルモードを解除し、セイアの意識が戻ると同時に、セイアの体が崩れ落ち、倒れてしまう。
《体力の限界です。全リソースを『ヘイロー』と体力回復に回します》
「ああ、すまない。ありがとう」
セイアは徐々に回復し、なんとか歩けるようになるまで回復した。
「ふう、これでなんとか歩けるようにはなったな。大賢者?おーい」
《……遅れました》
体力回復にリソースを回し、一時的に声が出せなくなっていた大賢者が戻ってくる。
「いやいいんだ。とりあえず今日はもう帰ろう。でも先にヴァルキューレに行ってこれ取ってもらわないとな」
そう言ってセイアは両手を突き出す。両手は手錠で拘束されたままであった。
《申し訳ありません。鍵を探す余裕がありませんでした》
「いや、しょうがないだろう。別に命じた訳でもないし、気にする必要は無いよ」
その後、セイアはヴァルキューレに行って手錠を外してもらい、家に帰ったそうな。
『オートバトルモード』
セイアの戦闘技術が未熟なため、大賢者が体の制御をしてもらい、代わりに戦闘を行う状態です。
スケバンの意識を1、2発で飛ばすほどの威力を引き出すことが出来ますが、病弱な故、セイアの体に負荷がかかり、解除した途端、体力の限界で体が崩れ落ち、倒れてしまうそうです。
今はまだ、セイアも大賢者も未熟ということです。