アンベカンテ・シェーンハイト 作:Liberty
第一話 再現
人に興味を持てなかった。
淡白な生活は悪く無かったが、良くも無かった。
漫画のキャラの様な夢中を抱く人を暑苦しいと遠ざけた。
感動という言葉に価値は無かった。
そんな人間だ。
でもなんで
あの日僕は 日常を壊したこの現象を。
“魔法“をこんなにも美しいと感じてしまったのだろう。
朝早くから歩くのは悪くはないな。
朝にうっすら見える月には夜にはない魅力がある。
横に並んだまだ開いていない屋台を眺めながらぶらぶら歩く。
無意味の様に見えるがこれも大切なルーティンだ。
この静寂が今日の僕の最後の安らg「っはよー!仕事?早いねー」
パッと振り向いた先にあるのは山積みの荷物。
デカい箱が話しかけてきたのか?
少しの沈黙の後、大きな荷物の後ろから見えたは見知った顔だった。
「おは!」
「あぁ…。おはよう。この前言ってたお店美味しかったよ。また今度皆んなで行こう」
朝から元気だな。
あっ猫ちゃん起きちゃった。声抑えなよ。
そう注意しようと考えたが、長くなる予感がして言葉を飲み込んだ。
話を続けようとする様子を見て、
僕は足速に大通りを歩きギルドへ向かう。
「イオリさん?あぁやっぱりイオリさんだ!この前言ってた依頼。ちゃんと確認まで終わってましたよ。」
「あぁどうも。」
「ほんとすごいですね。記事にも載ってましたし!完全に今世代トップクラス!ここら地元じゃ負け知らずっすね!そうだ!いまからマテライの皆んなで集まるんですけど一緒にどうです?」
「ありがと。今日は仕事があるからまた今度遊びに行かせてもらうよ。」
地元はここらじゃないとツッコミかけたが、
こちらも長くなる予感がしたため辞めておいた。
少しいつもより時間がかかったが無事ギルドに着いた。
さて、ここで質問。
朝のギルドはどんな様子でしょう!
冒険者で賑わってる?
清潔で静かな空間が広がっている?
正解は昨日の夜に酒を飲みまくった冒険者が大勢死にかけている。でした。
ギルドの床を埋め尽くす大量の死に体を踏まない様に避けながら受付に向かうと、奥から人が出てきた。
「イオリさんおはようございます。もう今から依頼出すのでそこで待ってて下さい。」
ここにきてから割と毎朝一番に依頼を受けにきている為、受付の人とは顔見知りだ。
「今ある依頼はこれだけで、一昨日も言った通りおすすめはこのドライクゴールドダンジョンですね。近場ですし、手数料もそこまで高くないので。」
「あぁすみません。今日は依頼じゃなくて、国からのやつでして。」
そう言ってすっと封筒を渡す。
「あっそうでしたか。分かりました。では立ち入りの許可証を発行しますね。」
ギルドは基本的に冒険者にダンジョンを紹介する事と、酒好きの冒険者に少し高めに酒を売る事が仕事だ。
ただそれ以外に国からの依頼を受ける冒険者。臨時調査官の対応もする。
自己紹介が少し遅くなってしまったが、僕の名前は琴 一織。
冒険者であり、国の依頼も受ける臨時調査官もやっている。
一応今は円の世界からの剣客兼研究者としてこの国に招かれている。
そんな僕が仕事としているのは発生したダンジョンの始末とその過程で得た、この世界のエネルギー“環“に着いて調べること。
そして僕はダンジョンを巡り、ロストマジックを発見することを目的としている。
暫くして、一織はアウルムシルバーダンジョンに着いた。
この世界には冒険者にS.A.B.C.D.E、ダンジョンにはアダマント(S)、プラチナ(A)、ゴールド(B)、シルバー(C)、ブロンズ(D)、アイアン(E)のそれぞれ6つのランクがある。
普段一織はプラチナ、ゴールドダンジョンの依頼を受ける事が多いが、ランクが高くても国にとってはなんのメリットもない為シルバーやブロンズダンジョンの依頼が来る事もある。
仕事は意外と単調だ。
魔獣をただただ倒し、倒した魔獣を構成していた環の量をダンジョンに入る前に測ったダンジョンの環の総量から引いていく。そして、最後まで倒せたらその環の量の計算記録を国に渡す。
臨時調査官のするべき仕事はそれだけだ。
魔獣の死骸の処理などは国がやってくれる。
一織は淡々と魔獣に対して基本魔術を放って処理していった。
同時に六発。一本の道に集まっていた魔獣を一気に処理し、残りは剣で切り捨てた。そうやって作業を繰り返していくと残り、未探索の空間が一つだけになった。その時、記録をとっている一織に金属が擦れるような音が響いた。
(誰かいる?)
ここは国が所有しているダンジョンな為、許可証が無ければ入ることのできない場所。一織以外の誰かがいるのはおかしな話だ。
最後の1フロア。
音の出所であるその空間を覗くと、そこには巨大なゴーレムと戦う金髪の女性がいた。おそらく不法侵入。
報酬を勝手に取っていこうとでも考えているのだろう。
咎める為にゴーレムを処理しようとした瞬間、一織はある違和感に気付く。その冒険者は一見条件魔術を使っている様に見えた。しかし、彼女が実際に使っているのは基本魔術。
(基本魔術を組み合わせて条件魔術を再現している?)
炎の輪をゴーレムの腕に縛り付ける。
そこで起きている環の流れは、粘度の高い環同士が強い摩擦を起こしそれを環が覆って気圧を急激に上げる事で炎を出しているのだ。
ただの基本魔術ではない。
基本魔術によって完璧に環の流れを再現されたその魔術は一織の知る技術ではなかった。
それは高度な環の操作と早撃ちを組み合わせた、高等テクニックだ。
しかし、一織は致命的な欠点に気づく。
複雑か手順故にせっかくの早撃ちという長所が死んでいるのだ。
その上、無駄なエネルギーの消費が多すぎて威力もお粗末。
(普通に基本魔術を撃った方が強いな。)
そんな事を考えている間にその冒険者は苦戦を強いられていた。
威力が不足しているが為にゴーレムを倒しきれないのだ。
ヒットアンドアウェイを繰り返すが先に体力が尽きるのはおそらく冒険者の方だろう。
そこで冒険者は勝負に出る。
ゴーレムに急接近し、腕から頭まで駆け上る。
肩にたどり着いた時、冒険者は手を当てて魔術を放つ。
とんでもない風圧でゴーレムの腕を吹き飛ばした。
それと同時冒険者も吹き飛ぶ。
着地と同時に距離を取り、物陰に隠れた。
(あと一押しで倒せる)
そう感じた次の瞬間、ゴーレムは大きくもう方腕を振った。
ここに来て今まで使わなかった範囲攻撃を放ったのだ。
避けきれず、冒険者は壁に吹き飛んだ。
トドメの一撃を喰らうその瞬間、ゴーレムのもう片腕が地に落ちた。
ゴーレムが反応する間もなく、次にゴーレムは袈裟を両断された。
ゴーレムが倒れた土煙から一織が歩いてくる。
冒険者は身構える。
(調査官だ。不法侵入を調査官に見られた。捕まる。)
「ねぇ?さっきの何?基本魔術を組み合わせて再現するって、環の流れを完璧に理解しないと出来ない芸当だけどどんな魔術でも再現出来るの?見ただけで出来る?何を元に流れを読んでるの?」
「えっ?」
「僕さ、ロストマジックの解析と復元にめっちゃ時間かかるんだけどさ、もしかして君ならすぐに再現できるの?」
「あっ…。うん…。」
「本当!?」
一織はロストマジックを探し求めることを目的としている。ただそのロストマジックを見つけても復元には1.2年の時間が掛かる。
(もし、こいつの再現という能力が手に入ったならショートスパンでロストマジックの探索が出来る)
一織はもうそれしか考えていなかった。
「僕のロストマジックの研究を手伝ってくれないか?」
「えっ…。いやー」
「お願い!お願い!お願い!」
一織は目をキラキラさせて必死にお願いした。
「わ、分かったよ!手伝う!その代わり私の不法侵入はお咎め無しって事にして。」
「そんな事なら全然いいよ。報告しなきゃいいだけの話なんだし。僕、臨時調査官だから。」
普通に問題だか、バレなきゃ良いというのはそうだ。
「じゃあ明日にでもギルドで会って今後、どこ町に向かってダンジョンを巡るか、相談しよう!ちょうどこの間研究がひと段落着いてとこなんだ。」
「えー。街出るの?」
「いいよね!?」
「良いけど…」
一織は理解していた。相当わがままな事を言っているが、勢いで何とかなりなりそうなこの状況を。
「オーケー相棒。それじゃ決まりだね!よろしく!そういえば名前は?」
「リベルタ。普通にリベルタって呼んで。よろしく。」
この時ようやくリベルタは勢いで言いくるめられたことに気づいて少し苦笑していた。
「よろしくリベルタ。僕は琴一織。一織って呼んで。」
握手を交わした二人はダンジョンを後にした。
僕はこの話を、小説書こう!ってなってから10分で描き始めました。
つまるところめっちゃ勢いで書いています。
至らなすぎるところもあると思いますが、生暖かい目で見守ってください。
感想等ありましたら是非書いてください。