101年前➀
「ぐっ!?」
「まだ、報告されるには少し早いのでね、君にも実験に付き合ってもらうよ、
「……藍っ……染!?」
背後から自らを貫いた刃の持ち主を睨み付ける……が、直後
『藍染惣右介』
元五番隊隊長……いや、まだ副隊長、破面を率いて尸魂界に反逆
『虚化』
平子隊長達にこの後、起こる現象
『
尸魂界から逃亡することになった平子隊長達の集団名
『黒崎一護』
未だ生まれぬ主人公
『BLEACH』
無数の情報が脳裏を駆け巡る、そして、その波に飲まれ、意識が闇に沈む。
●
──時は戻る。
●
「火急である!」
一番隊隊舎に響く総隊長の声を背に隊舎の外で待機しながらふと、想いを馳せる。
何故か未来の現世で生まれ育った自分とも他人とも言えぬ記憶の断片を抱えて四楓院家に生まれ、数十年。
基礎の覚えが早く『四楓院の神童』などと呼ばれることもあったが、早かったのは基礎の基礎のみ。その後の成長はごく普通ゆえに何時しか、その呼ばれ方もなくなり──まぁ、個人的には「覚える」というよりも前世?では無縁だったはずの戦闘技能含め「思い出す」という感覚だったが。
そのまま順当に死神になり、気付けば二番隊の第五席兼第五分隊『裏廷隊』分隊長にまでなっていた。
「昨日まで、流魂街で起きた単なる事件の一つであったこの案件は、護廷十三隊の誇りにかけて解決すべきものとなった!」
続く隊首会の声を背に、隊舎入り口へと駆ける喜助を横目に思考を続ける。
ここ数日、今回の緊急隊首会の議題である魂魄消失事件が発生して以来、心のなかで燻り続ける説明できない焦燥感。「何か大きなことが起きている」「今は解決すべきではない」矛盾する思考。
「総隊長!連絡係として裏廷隊からも追加で一名、部隊につけることを提案するのじゃが。居るのじゃろ!!宵三!!」
中から呼ぶ
既に、窓から中を覗いている矢胴丸副隊長の横から中を覗く。
「うおっ!?いつの間に居ったんや!?」「隠密機動ですので。了解です、四楓院隊長」
驚く矢胴丸副隊長に一声かけつつ、姉に答える。
「……お主ら勝手な真似をしおって……」
責めるような総隊長の言葉を気にしないかのように京楽隊長と夜一姉は言葉を続けていく。
「だってこんな、でっかい案件滅多にお目にかかれるもんじゃないでしょ。部下に経験積ませてやりたい親心わかってやってもらえませんかね」
「それに情報の収集は重要じゃろう」
「大丈夫。ああ見えてうちのリサちゃんは結構強いんだから」
「うちの宵三もの」
「そんな訳なんで、ゆずってもらっちゃってもいいかな?大鬼道長さん」
「構いませんぞ。それでは私はお言葉に甘えて休ませて頂くとしましょうかな」
「……はぁ」
京楽隊長の言葉に答え、隊舎を出ていく大鬼道長を横目に諦めたように嘆息した総隊長は杖先で床を叩き告げる。
「それでは、鳳橋楼十郎、平子真子、愛川羅武、有昭田鉢玄、矢胴丸リサ、四楓院宵三、以上の六名を以て、魂魄消失案件の始末特務部隊とする!!」
総隊長の決定の声を背に、自分は斬魄刀を取りに二番隊隊舎へと駆け出した。
●
「真子!!」
「大丈夫かひよ里!!」
負傷した猿柿副隊長を抱えた平子隊長へ声をかけながら駆け寄る愛川隊長達の後に自分も続く。
そして、彼らの目の前には──
「!……け……拳西……!」
虚のような仮面を被り、異形の腕を持った何者か──否、纏う死覇装の着こなし、何より特徴的な鳩尾の「69」の刺青から、彼らの言う通り、それは六車隊長なのであろう。
「どういう事だありゃあ……」
「ホントに拳西なのかい……仮面も……霊圧も……まるで虚じゃないか……!」
愛川隊長と鳳橋隊長が困惑の声を上げる。
「俺にもわかれへんわ。ホンマに拳西なんか違うんか……とにかく、確かなんは刀抜かんと……」
「……う……」
「死ぬゆうことや」
「おオおオオオオオオ!!!」
冷静に答える平子隊長の言葉を遮るように六車隊長が吠える。
その雄叫びに反応し全員で距離を開けるが、瞬時に六車隊長は愛川隊長の背後に移動し、そのまま殴りかかる。
それに対し、愛川隊長はカウンターを間に合わせ直撃は免れ、六車隊長に距離を取らせるがその死覇装の右腕部分は吹き飛んでいた。
「あかん!!わかってんのか!?相手、拳西やぞ!!こんなん……ぐッ、げほッげほ」
平子隊長に抱えられたまま、猿柿副隊長が吠えるが、すぐに咳き込む。
そんな、猿柿副隊長に平子隊長達は言葉を返しながら戦闘態勢を取る。
そんな彼らを見ながら自分は平子隊長に声をかける。
「平子隊長、明らかに想定を越える異常事態、自分は一度、瀞霊廷に報告へと」
「せやな、任せたで宵三」
「はい」
六車隊長を止めるために戦闘態勢をとる彼らを背に、瀞霊廷へと駆け出す。
●
駆け出し、森へ入り、それほど立たずの内に突如、何か嫌な予感を覚える。
その直感に従い抜刀、頭部目掛けて伸びる刃を逸らすが、逸らしきれずに左のこめかみが裂かれる。
「くっ、
斬魄刀を解放、そのまま追加解号で二刀へと変ずる。
「何者だ!!」
死覇装を纏い、斬魄刀を構えた襲撃者、しかしその顔が認識できない。
考える……自身が今、一番優先すべき事は『「六車隊長らしき人物が虚のような姿になっている」という情報を持ち帰ること』。
ならば──
「
更なる追加解号、二刀を一弓へ纏め引き絞る。
矢種選択は拡散炸裂、複数の霊子の矢を地面へ向けて、着弾と同時に炸裂させ土煙を起こそうとし……
眼前に襲撃者が居るにも関わらず、突如、背後から刺された。