もしも“O”の聖文字が厨二全開うすほそロリ滅却師のものだったら 作:BanBan Bou
戦争が始まる。
1000年前の因縁を果たし、世界を滅却師のものとするための聖戦が。
「……馬鹿な」
影を伝い、
几帳面に髭を整えた、初老の風貌の死神──たしか、
名前は──、
「──雀部長次郎さん……で、合ってますよね?」
「き、貴様は、まさか」
驚愕に目を見開く雀部を前に、ぼくは周囲の霊子を集めて
「滅却師……!」
雀部が斬魄刀を抜き放ち、解号も無しに始解を解き放つ。
途端にその刀身はレイピア状に変化を遂げ、雷を纏いだした。
「ぼくの名前はグリム・スミェール。
「戯言を──ッ!」
雀部の姿が、一瞬にして目の前へと現れる。なるほど、これが瞬歩か。少し厄介。
ぼくは超至近距離から凄まじい速度で突き出されたレイピアを避けながら、すれ違いざま、神聖弓に
「ぐっ……!」
命中。霊子の短弓から放たれた小さな矢は、的確に雀部の脇腹を射貫き、その顔を歪ませた。しかし、流石は副隊長。
痛みのなかでも、その剣技の冴えは失われることなく振るわれる。横薙ぎの一閃。体勢的に回避は困難。
だから、既に第二射を放っておいた。
「なっ」
霊子の矢が雀部のレイピアへとぶつかり、その軌道を僅かにズラす。老獪な死神の目が見開かれた。
──その瞳に、
「……ッ!」
左目を潰され、動きを止める雀部から距離を取り、ぼくは更に矢をつがえた。そのまま放とうとして、しかし思いとどまる。
そうだ、
「たしか、あなたは卍解を修得されているんですよね。思い出せて良かった。危うく、終わらせてしまうところでした」
「──申し訳、ありませぬ。元柳斎殿……!」
雀部の霊圧が急速に強まっていく。
なるほど、これが卍解か。
「卍解」
ぼくは懐からメダリオンを取り出し、
「“黄煌厳霊離宮”」
「ありがとうございます」
雀部の卍解を、奪い取った。
「なっ、馬鹿な! 卍解が……ッ!」
メダリオンへと、雀部の力が吸収されていく。
「神聖弓」
ぼくは身の丈ほどもある霊子の弓を生み出し、それを動揺する死神へと向けた。
「神聖矢」
そして、槍のように巨大な矢をつがえ。
「あなたの卍解は、ぼくが有効活用させていただきます。では、さようなら」
「……ッ! “厳霊丸”ッ!」
再び始解を行い、レイピアを構える雀部に向けて、放つ。
風を引き裂き、膨大な霊子の塊が彼の始解と正面から衝突した。
「ぬ、ぅぅぅぅぅぅううううううッ!!」
叫びと共に、矢を押し留める雀部。しかし、矢の勢いは一向に衰えず──、
「がはっ」
遂に、斬魄刀が折れた。折ってなお、止まることなく矢は進み続け、雀部の鳩尾を貫き、その身体を遥か遠く──一番隊の隊舎へ向けて吹き飛ばす。
カラン、と。
折れた斬魄刀の剣先だけが、虚しく音を立てて転がった。