ヒトガミ転生〜本気出しても詰んでいる   作:杉田雅俊

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グレイラットだけにドブネズミのお話。アラジンしらないとわからないけど。


アラジンのように

 

 

 

 

 

「ヒトガミからは『エリスにとってのお前は、お前にとってのロキシーだ』と伝言を頼まれました。それと卒業試験の天候操作は自分で考えたのではなく、テレビで得た知識だとも」

 

クソっ!!ヒトガミめ!!俺のことを幻滅させてロキシーを懐柔するつもりだ。

 

「ルディ・・・」

 

ロキシーは心配そうな目で見上げてくる。不味い、表情に出たら悟られる。

 

俺はロキシーの肩を掴むのをやめて、背を向けた。

 

「伝言の意味に心当たりはありますか?家庭教師くらいしか共通点はないように思えるのですが」

 

「さあな、あんな奴の言う事は考えるだけ無駄だ」

 

そう言って足早にその場を去った。

 

俺は逃げた。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「教えてもらえませんでしたか。まあ、無理もない」

 

(あの子は気遣いのできる子だったけど、気を使いすぎる繊細さもあったわね)

 

「人からどう見られるか気にしすぎるタイプではあるでしょうね」

 

生前の反動だな。そのわりにエリスに引っ叩かれてすぐ反撃したり、特権階級との接し方に問題ある気がするが。

 

(ルディ・・・何故・・・)

 

ちょっとしくじったな。ロキシーがここまで落ち込むとは。話してくれないということは信頼されてないって感じてるか。

 

(ロキシーちゃん、男ってそういう時もあるのよ。見栄を張り、虚勢を張らないと女が離れていくと思ってしまう。特に若い頃はそうなの)

 

(そういうものですか?)

 

そうかもしれない。ナンパでも婚活でも色々盛った話するやつの方がモテたりするもんな。

 

「アラジンみたいですね。アリ王子状態だ」

 

((アラジン??))

 

「私がいたところでは有名な御伽噺ですよ。アラジンという卑しい身分の男がジャスミンというお姫様に恋をして、不思議な力を持った魔人に協力して貰います。しかし、魔人が叶えられる願いには制限がある。叶えられるのは3つまで、殺生はできない、死者蘇生もできない、人の心を操ることはできない、叶える願いの数を増やす願いはできない、願いの取り消しや変更はできない」

 

(あら、ずいぶんモラルのある魔人ね。悪用するのが難しそう)

 

「実際にこの魔人、ジーニーは善良な心を持ってる思いますね。魔人を封印するランプを持たれたら言うこと聞くしかないのですけど、そしてアラジンはジーニーに願います。『僕のことをジャスミンの婿にふさわしい身分に、王子様にしてほしい』とね」

 

(あら素敵。町娘がお姫様に変身するみたい)

 

「そんな感じです。そしてアリ王子と名乗ったアラジンはジャスミンに会いに行きます。すっかり意気投合した2人ですが、ジャスミンはアリ王子の正体が、以前にお忍びに行った街で出会ったアラジンと気づきます。しかし、アラジンは『僕もお忍びで街にでていたんだよ』と誤魔化してしまいます」

 

(見栄を張るのね)

 

「それを聞いたジーニーは何故アリ王子のフリを続けるのか?愛しい人に嘘をつくのか?と問いかけます。アラジンの返事は『お前にはわからないんだ!!僕のような人間は、嘘をつかないと何も手に入れることなんてできない!!』です」

 

(あなたは・・・そのアラジンとやらはルディで、ジャスミンは私たちで、仮初めの力で誑かされているとでもいうのですか!!)

 

不味い。ロキシーが泣きながら怒ってる。オブラートに包みながら分かりやすく説明したつもりだったが失敗した。

 

「少なくともルーデウスの力はルーデウスのものです。それに私がジーニーだと言うつもりはありません。要点はですね、貴女に隠し事をするのは愛しているからこそ、嫌われるのが怖いからという点です」

 

(誰に似たのかしら?)

 

生まれる前からだと思うけど、口に出すのはやめとこう。

 

(私はそんな薄情な女ではありません。ルディにずっと添い遂げます。それは伝えているつもりなのに)

 

「ルーデウスに対しては、別に情報の出所を明らかにする必要なんてなくて、自分の不完全さを認めて、情報共有を緊密にするだけで、避けられる不幸はだいぶ減ると伝えたいだけなんですけどね」

 

(それは・・・)

 

「報連相は社会人の基本ですからね」

 

(ホウレン草?)

 

「こっちの話です。ルーデウスが知ってるかどうかわかりませんけど」

 

いや、いくらなんでも舐めすぎか?社会人経験なくても報連相くらいわかるよな?

 

(・・・わかりました。それと私からも質問なのですが、そのアラジンとジャスミンは最終的にどうなるのですか?)

 

「悪者がランプを手に入れ、ジーニーに願いを叶えてもらい、最強の魔法使いになります。しかしアラジンから『いや最強の魔法使いはジーニーだ』と言われ、悪者は『ジーニーになりたい』と願います。しかしジーニーになってしまったためにジーニーを封印するランプの効果対象になってしまい封印されます。アラジンは自分が卑しい出自であることを告白しジャスミンとその父である国王に謝罪し、ジャスミンはアラジンを受け入れ、国王は国を乗っ取ろうとした悪者を倒してくれたアラジンに感謝し結婚を許しました。めでたしめでたし」

 

(良いお話ね)

 

叶えてもらった力で最強にはなれない。他人になったらその他人の背負っていたデメリットも引き受けなければならない。自ら立てた手柄で身分差を乗り越える。

 

確かに良いおはなしだな。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「シルフィ、エリス、大事な話があります」

 

「わかったわ」

 

「女子会だね」

 

 

 

 

 

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