オルステッドに呼び出されたルーデウスに私もついて行った。ルーデウスったらちょっと謙りすぎじゃないかしら。確かに2度負けたら強気には出づらいだろうけど、もっと堂々としててほしい。
「ラプラス因子が〜〜魔力量───」
「努力で得たつもりだったので・・・」
「鍛えなければ常人より少し多い程度───」
なんかわかんないけど、ルーデウスはすごいのよ。
「転生法───」
「───六面世界───滅びた世界から───無の世界」
世界ってサイコロなの?
「すいません。色々情報がありすぎて頭がパンクしそうです」
「・・・そうか」
「少し休憩入れて良いですか?」
「良いぞ」
ルーデウスでもこうなってしまうほどややこしい話なら、私がついていけるはずがない。でも問題ない。私はルーデウスを信じる。ルーデウスを守る。それでいい。
「ごめんな、エリスも疲れたろう」
一旦下がって、2人で向き合って座り持ってきた菓子と茶を楽しませてもらった。でも疲れはない。
「ただ立ってるだけで疲れるようなヤワな女じゃないわ」
「それってぜんぜん頭使っ・・・いや、いい」
ルーデウスがいいって言うならいいわよね。私にとって大事なことは・・・
「ルーデウスはルーデウスよね」
「───ああ、そうだよ。だから、もうひと頑張りしてくる
もう一度オルステッドと話すみたい。ある意味戦うよりもシンドそう。ルーデウスはいつも頑張ってる。
「ひ・・・膝枕してあげるからもう少し休んでいきない」
お尻を触られた。殴っておいた。
『悪い予感がするけど。言うしかない』という声色で、背中を縮こまらせながらルーデウスが話し出した。本当に恐る恐る。
「・・・ロキシーから聞いたヒトガミ、というかヒトガミもどきの話なんですが」
「ヒトガミの言うことなど信用するな!!」
もともと険しいオルステッドの顔が、さらにこう『ビキッ』ってなったわ。
「勿論です。私が警戒しているのは奴がヒトガミと同じ能力を持つ別個体だった場合です。敵対すべきではないと考えます」
「そうか?そもそも本当にヒトガミと同じ能力かすらわからんぞ。夢に出るだけの能力だった場合、大したことはできまい」
「・・・」
???ルーデウスが固まってるわ?どうしたのかしら?
「あのですね、仮にヒトガミがあのヒトガミもどきを使徒にしたとしましょう。ヒトガミもどきを経由してお告げができれば実質的に使徒の数を増やせますよね?」
「む、それはマズイな」
「それに奴は日本語を理解してました。心を読むなり記憶をさぐるなりできると考えたほうがよいでしょう。それだけで脅しのネタなんていくらでも集められる。そうやって強力な手駒を揃えられたら厄介です」
「だが信用はするな」
「勿論です。信用できないけど敵対するわけにもいかない相手が増えたと考えましょう。前向きになれば、使徒の枠を全て我が家で抑えているとも言えます。奴がホンモノのヒトガミならばの話ですが」
「それならば、別個体である可能性が高くなる。三つしかない枠全て使い切った上、全ての使徒を俺に把握されるなどヒトガミは絶対に避けたいはずだ」
「そうなんですか?やはり使徒の切り替えには何か制限があるのですか?」
「ああ、すぐには切り替えられんようだ。たとえ使徒が死亡したとしてもな。ループによっておおよそのタイミングは予測できる」
「・・・そういうことは早めに教えていただきたかったです」
「・・・次からはそうする・・・」
「・・・そうしていただけると助かります」
なんだか会話がゆっくりになってきたわ。やっぱり頭を使うのって疲れるのね。
「あの、ヒトガミが何かに取り憑かれた可能性はありますか?」
「ありえん。そもそも奴のいる無の世界に行く手段がない。仮に行けた・・・あるいは気づかれずに奴にくっついて無の世界に潜伏していたとしても、奴に取り憑き体を乗っ取れる存在がいるとは思えん。冥王ビタでも不可能だ」
「その冥王ビタというのは誰ですか?」
「経口で相手の体を乗っ取る能力を持つ粘族、つまりスライムだ」
「それヒトガミの使徒ですか?」
「そうだったループもある」
「スゥ~ハァ~・・・そういう情報もっとお願いします」
まだまだ話は続くらしいわ。
◆◆◆◆◆
なんかオルステッドの事を過大評価してたかもしれない。いや、だからといって勝ち目があるというわけでもないが、わりと抜けてるところあるな。コミュ障かよコイツ。報連相とか知らないのかよ。
「あとで過去のループで使徒だった奴リストが欲しいんです。使徒になる経緯もあれば理想的なんですけど」
「ああ、いいだろう。だが時間はかかるぞ」
「ごもっともです。それと・・・」
言いたくない、言いたくないけど、言うしかない。やりたくもないけど、やっとかないとな。
許可を取らずに勝手にやって、あとで問題になるよりマシだ。怖いからと後回しにして後悔するよりずっとよい。見ててくれ、これが俺の全力全開!!
「あのヒトガミもどきとコンタクトを取らせてください」
必要なことなんだ、俺の家族を守るために。
次回、ようやくオリ主と原作主人公が対面します。