僕ルーデウスです。ふふふ、オルステッドの用意してくれた魔法陣を使って、守護霊獣を召喚したよ、そしたらどうなったかって?胸ぐら掴まれてるよ。
「どういうつもりだ!!」
悪気は無かったんだよ。ペルギウスの下僕を奪おうなんて思っても見なかった。オルステッドも注意点キチンと説明してくれよ。
いや、これは俺も悪いか?
「モドキさんに、ルディの愛は信じてよいけど、能力を信じすぎるな。と釘を差されたのを思い出しました・・・」
ロキシーのジト目がいつもよりジト目だ。危険な獣が召喚された時に備えて構えていた杖を下ろしながら呆れている。
ノルン「これだからお兄ちゃんは」みたいな目で見ないでください。アイシャ「嘘だよねお兄ちゃん」みたいな目で見ないでください。新しい性癖に目覚めます。
庭に家族一同集めて大見得を切った手前、一旦中止して安全確認することを避けた俺のミスだ。ペルギウスあたりに大丈夫か質問すれば良かった。
「す、すいません。すぐ送り返します。それとペルギウス様に伝言を頼みたいのですけど」
送り返して、謝罪を伝えて、そして召喚についても教えてもらった。あとでしっかりペルギウス様にお礼とお詫びをしとこう。
「こ、今度こそしっかりやるぞ。見ててくれ」
大事なのはしっかりしたイメージ。そうだな、強いことは勿論だが家族に不安や不快感を与えないことが重要だ。頼もしい番犬みたいなのがよいな。いや、どうせならもっと強くてもっと偉いのがよい。ありとあらゆる獣の頂点よ来い。
「わおーん」
そしたら銀魂に出てきそうな奴がきた。◯春?定◯なのか?しろくてデカい仔犬にしか見えない。ジローは腹を見せて服従してる、ビートはよくわからんけど喧嘩する気は無さそうだ。
「あら?この仔───」
「え?見覚えがあるの?」
「私も聞きたいですね」
エリスがなにか気づいた。シルフィとロキシーが説明を求める。
「ええ、ルーデウスとドルディア族の村にいったとき───」
エリスの説明が終わってからロキシーの視線がキツイ。
「あー、いや、違うぞ。よく似てるけど聖獣様とは別個体だな」
そういうことにしておかないと不味いんです。わかってください皆の衆。
「そうですか、そういうのが流行ってるのかもしれませんね──きゃあああ、何するんですか!!」
「おい、何をロキシーのスカートに頭を突っ込んでる。それをやっていいのは俺の特権だぞ」
この性の獣め。やはりこいつは聖獣に似た性獣だ。俺は間違ってない。俺は何も間違えない。全ての決定権は俺にあり、俺のやる事は全て正しい。
「見てないで助けてください!!」
ポコポコ杖で殴ってるが、まるでどうじてない。ペロペロとロキシーの脚を舐めると、次は俺にすり寄って顔を舐め始めた。獣くさいが、わずかにロキシーの匂いもする。
「お裾分けかな?友好的なようで何より。では待遇面について話そうか」
「わふ」
「ヨシヨシ、ではまず────」
◆◆◆◆◆
守護聖獣となったレオ君の一件が終わったあと、僕はルディに寝室に呼ばれた。やけに真剣な目だったのでエッチではないことはわかった。
「もうすぐアスラ王国で政変が起きる。アリエルにつくことになった」
「つくことにした」でも「つきたい」でもなく「つくことになった」そこにルディの意思があるようには聞こえなかった。
案の定、オルステッドの指示だそうだ。正直オルステッドは信用できないけど、ルディがついていくなら僕もついていく。
「それと、ヒトガミモドキさんは何か言ってた?」
ヒトガミにせよヒトガミモドキにせよ、顔も見たことないキーパーソンばかりだ。もちろんルディにそんなつもりはないだろうし、だからこうして説明してくれてるのだろうけど、蚊帳の外って感じがして気分は良くない。
「いや、これといって何も言われてないな。モドキになって以降、俺にお告げはなかった。強いて言えば『エリスにとってのお前はお前にとってのロキシーだ』とか言われたくらいかな?」
あー、なるほど。
「わかる気がする」
「シルフィから見てもそうか」
「うん、親鳥についていくひな鳥みたい」
「俺がコケたらエリスもコケるな」
「そういう時の用心は僕がしておくよ」
ルディはありがとう、頼りにしてる、と言ってくれた。そう言ってもらえるように努力してきた甲斐がある。
「それで、ルディはどうしたいの?」
僕にとってはこれが重要なんだ。
「どうしたいって・・・そりゃ、今の暮らしを守りたいんだけど・・・」
「うん、それはそうだよね。けど確認したかった。節目ごとに確認した方が良いと思うよ。本末転倒にならないようにね」
オルステッドと戦ったのも、そのオルステッドの軍門に下ったのも家族との暮らしを守るため。そんなルディが愛おしいし守りたい支えたいと思う。
はたから見て節操なしでも、僕に見えるルディはずっと初志貫徹してる。手段なんていくら変わってもいいじゃないか、目的を見失わなければ。
「家族を守るためなら僕は何でもやるよ」