冒険者たちの戦いを見送り、森を歩き出そうとしたとき「おまえさん」と、モグラに呼び止められた。
腕を組んで険しい顔をする彼は、工事現場の親方みたいだった。眉毛が太い。
ヘルメットとサングラスが見える!!!!! 見えるぞ!!!! あの工事現場モグラの姿が!!!!!!
※ヘルメットとサングラスはしていません。
「まさかこの森を歩くつもりか」
「どういうことだ?」
「異界人にはわからねえだろうがここは『絶望を介する大丸呑み森林公園』っていうんだ。弱い奴でいえば、さっきのゴブリンなんかもいるが、平気でそこらへんをドラゴンが歩いてるかもしれねえ危険なところなんだぜ」
「な、なんだって!!!!!!!!!!!」
「おいおい、騒がしいな坊主は。そう慌てなさんな」
「坊主!?!? たしかに!!!!!!!」
モグラはぼくの言葉を無視して話を続けた。
「もう忘れたのか? 俺の能力を」
「モグラ......つまりは穴を掘るってことか!!! 親方!!!」
「そういうことだ。まあ、見てな」
モグラはそう言うとその場で地面を掘りはじめた。10秒も経たずに底が見えないほど深い穴を掘った。
「すごいな!!!!!!」
出てこないので穴に向かって叫んだ。
「おう!」
ズボッ!!!!!!!!!!!!!
とつぜんお尻に強烈な衝撃が来た!!!!!!!!!!!!!
「こ、これは!??!?!??」
下を見ればモグラの爪が、ぼくの尻に突き刺さっていた!!!
「ヤリスギイィィィィィィィィィ!!!!!!」
「すまねぇ。土の中で見えなかったもんでな」
「OH! MY YOU ARE ITS CRAZY!!」
「それより進んでいくぞ。早くしねえと暗くなるからな」
ぼくは穴を覗いた。中は暗すぎて何も見えなかった。
「どのみち穴の中は暗いんじゃ?」
「そこは大丈夫だ」と、モグラは土に手を突っこんだ。
ズボッ!!!!!
「俺ら種族の7つ道具の一つ。ヘルメットライトの出番だ」
某工事現場モグラのようなヘルメットをとりだす。危ない。もしサングラスまでとりだしたら止めなければいけない。
「これを頭に被れば、暗い穴の中でも明るいってわけ」
「なるほど! いかすぜ!!」
ぼくは穴の中へダイブした。
中はところどころから虫が這い出ている。気持ち悪い。
うわっ!! 3メートルのミミズが落ちてきた。
「そいつはドラゴンバイブミミズだ。悪いやつじゃねえ」
「で、でかすぎだろ」
「そいつで驚いてたら、マスターギガントバイブミミズ見たら腰抜かすぞ」
たまに土がドサッと落ちてくる。強度が不安でしかたない。
「ここ崩れないよな?」
「んん。どうだろうな」
ドンンンンッッッ!!!
ドンンンンンンッッッッ!!!!!
「さっきから地面が揺れてるけど?」
「おそらく地上にドラゴンでもいるんだろう」
と、そのとき!!!!!!!!!!!!!!!!!!
恐れてることが起きた!!!! 穴が崩れてきたのだ!!!!!
どどおどっどどおっどおどどどどどどどおおおごごごごごごっごごごごごごおどどおどどごごおごごごごごごおごおおごごごごごごおごおごごごごおごごごおごおおどどおごごおごっどおごおおおごどおどおごおごどおどおおどおおおどおどどどどどおっどおどおどどどおどどどおどほほほおおどどどおおおこここおどどこおどっどご
「ばっちいな!!」
砂煙が辺りを覆って、包んで、パパパッ!!!
ぼくとモグラはパニックでおたがいの頭をぶつけてその場に倒れてしまった。
「ど、ドドドドドラゴンだぁぁぁぁぁぁっぁぁぁっぁっぁっっ!! ししししし、死んだふりをするんだああああぁぁぁぁぁぁ!!!」
モグラの声が響いた。
ぼくは言うとおり、その場に倒れたまま、決して動かないようにした。
2分後......
「まだか?」
「だまれ!」
6分後......
「長くない?」
「ぐふっ、ふぁ、寝てないぞ」
30分後......
「Zzzz......」
「Zzzz......」
50分後......
「よく寝たぁ」
「はじめて枕なしで寝たから首が痛いぜ」
砂煙がまだ舞っていた。
「もうすこし寝るか」
「そうだな」
それから30分後、ようやく砂煙が落ち着いていた。
目の前には崩落の跡がある。
崩れた天井からは月明かりが差し込んでいた。
「空が綺麗だなぁ」
「そうだな。地上も捨てたもんじゃねえな」
ぼくはモグラと黄昏れた。
「そろそろ行くか」
「ああ......んんんっ!!?? こ、これは!!??」
月明かりの下に緑色のプルプルゼリーがいた!!!!!
ぼくは甘いものに目がない。
「おい、この森の掟三ヶ条は、知らないものには近づかない、さわらない、食べないだ!!!」
「親方。これスライムだ」
「スライムか。それなら大丈夫だ!」
指で押すと、ぷよぷよとした。
「これ食べられるのか?」
「やめとけ。スライム食って内側から逆に食べられたやつを知ってる」
「内側からスライムか。ならぼくは外側に着てやるぜ!!!!」
「な、なにを!?」
ぼくは服を脱ぎ捨てて、スライムに飛びこんだ。
ペチッ! ぐちゅぐちゅちょべりばぐちゃペチッ、ズリズリズリズチャズコッ!!!
「スライムTシャツだ!! これで洗濯いらずだ!!!」
「考えたな!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「話変わるけど、これどこ行ってんだ」
「知らね」
モグラは鼻をほじった!!!!!
ドンッ!!!!!!!!!!
それからぼくらは時間を忘れるほど歩いた。
歩いて歩いて歩いた!!!!
鉄があった!!
ぼくはそっとポケットに入れる。
銀があった!!
ぼくはそっとポケットに入れる。
金があった!!
ぼくはそっとポケットに入れる。
ダイヤモンドがあった!!
ぼくはそっとポケットに入れる。
モグラが作ったトンネルを抜けると、そこは中央に大きな樹がそびえる森の洞窟だった。森の中には川が流れている。
はるか高い天井には大穴が開いていた。そこから降り注ぐ月光が、川の底を照らしている。
その樹の根元に小さな明かりがある。近くまで来ると扉が見えた。
「ようやくついた!!」
扉を開けると、えらく生活感のある部屋があった。木の根がところどころ生えているが、それを利用したオシャレな内装になっていた。
モグラのくせに生意気な。しかし、もう足が動かないので、文句をいう気力もない。
「疲れた。もう歩けない。寝る」
まだ玄関だったけど、ぼくは耐え切れずその場に座った。
「そうだな。今日はいろいろあったからな」
モグラは目を泳がせた。
(やべえ、ここどこだ? だれの部屋だ?????)
「シャワーがあるじゃん」
「これはご丁寧に」
ぼくはシャワーを浴びて、一日の疲れを癒した。
着ていたスライムもなんだか艶がよくなったような気がする。
一瞬、レインボーに光った!!!!
そんなことはどうでもいい。このスライムのおかげでタオルで拭かなくても水分をとってくれる。
台所を見るとスープが置いてあった。
一口飲むと、いい香りが鼻から抜けた。
「美味しい!!!!!!!!!!!」
ぼくは台所にあった謎の肉や、サラダも食べまくった。
お腹がパンパンに膨らんだところで、今日一日分の疲れが、どっと来る。
「もう腹がいっぺえだ!!!」と、ぼくはベッドにダイブした。
「今日は酷い目にあったな」
「もう寝たいぜ」
「忘れよう......」
三人はそれぞれのベッドへ入った。
完
あざっした!!!!!!!!