私が超お姉ちゃんだ! 作:超かぐや姫!に脳を焼かれし者の左足
──今は昔……。
「もう仕事や〜だ〜!もっと楽しいことした〜い〜!」
妹がそう文句を言いながらチラチラ姉の方を見るものだから、
「今やってる分が終わったらまた遊んであげるから。ほら、もうちょっとだけ頑張ろ?」
妹の作業机の端には未だに手がつけられていない仕事が山積みになっている。
しかし、今まさに妹の前に広げられた、途中まで進んだ仕事まで放り出されては姉が上司に怒られてしまうので、なんとかそれだけでも終わらせてくれと祈りながら励ました。
もちろん、姉に割り振られた仕事の手は止めずに。
──では、なくて。
「えぇ?でもぉ〜、お姉ちゃんと遊べるのなんて蹴鞠と双六しかないじゃん!もう飽きたぁ…。あっちにはもっと楽しそうなこといっぱいあるよ?一緒行こ?」
妹は窓から見える地球を指さし、目を潤ませて姉を誘惑している。
──超未来だったり。
「行k…いやいや、行きません!いくら可愛い妹の頼みだとしても!それに、逃げてばっかりだと終わるものも終わらないよ?」
「ぷっぷくぷ〜!お姉ちゃんのケチ。…………助けて〜?」
「うぐっ…。わ、わかったわかった。机の残りの仕事は全部私がやるから。それをされると私が断れないの知ってるよね?」
「やりぃ!それじゃあよろしくね!準備してくる〜」
と言い、妹は去っていった。
──いやいや、大昔でも超未来でもなくて。
──今とあんまり変わらない、少しだけ未来の世界。
「もう!まったく…。あ゛!ちょっと待って!あの子ホントに地球に行く気!?」
──妹に振り回される姉、一人ありけり。
気づいた時にはもう遅く、すでに妹の姿は見えず。
このままでは本当に地球に行ってしまうと焦った姉は急いで仕事を終わらせにかかるのでした。
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-Side■■-
どうも。
超かぐや姫!のかぐやの姉に転生しました、■■です。
前世の記憶はほとんど無いんだけど、超かぐや姫!という作品が好きだったのはよく覚えてる。
そんな私が、主人公の一人であるかぐやの姉になったときたらねぇ。甘やかすに決まってるじゃん?
どう?私、ちゃんとお姉ちゃんできてる?
こうしてこの世界線のかぐやはおねだり上手になったんだなぁと思うと、ちょっと誇らしい気持ちになるよ。彩葉にはちょっと申し訳ない気持ちもあるけどね…。
そうそう、彩葉といえばかぐやの名付け親だよね。で、まだ彩葉と出会ってないさっき出ていったかぐやは、まだかぐやって名前がついてないことになる。
そんなわけでかぐやのことをかぐやって呼べない状態で今まで過ごしてきたんだけど、名前で呼べないのは中々大変だったよ。
やっぱり、大好きな人からもらえるものってすごく大切にしたい。それが名前っていうなら尚更。かぐやという名前を私が付ける訳にはいかない。
私も今世では名前なんてものはついてないから彩葉に付けてもらえたりして……うへへ。
え?さっきかぐやに押し付けられた分の仕事はどうしたって?
そんなのもう終わってるよ!お姉ちゃんは妹のためならなんだってできるものなのよ。
それじゃあ、今割り振られてる分の仕事も終わったし、急にかぐやがいなくなったのがバレて皆が慌てだしたことだし、宇宙船の発着場にいるであろう可愛い妹のところにれっちごー!
・・・
「さてさて、可愛い妹はどこかなぁ〜?」
「こっちだよ〜」
白々しく妹を探すふりをしながら宇宙船付近をウロウロしていると、急に腕を引っ張られた。
「ひゃあ!」
「お姉ちゃん、結構早かったね?あの量をこれだけ早く終わらせられるなら、普段から私の分もやってくれたらいいのに…」
「ちょっと…びっくりさせないでよ…。はぁ、代わってあげるのは今回だけ。次からはちゃんとやってよね」
まさか腕を引かれるとは思わず、意図しない声が出てしまった。そんな私をよそに、かぐやは準備万端といった様子で今にも飛び出しそうだ。
「そんなこと言って〜。結構な頻度で代わってくれてるじゃ〜ん。ほら!行くよ、お姉ちゃん!準備はいい?」
「わっ私も行くの?」
「楽しいことはお姉ちゃんと一緒じゃないと〜!」
「私、行くって言ってないんですけど〜〜〜っ!」
かぐやに手を引かれ、私達姉妹はそのまま宇宙船へ。私達を乗せた宇宙船は地球へ向かって月を飛び出した。
「(大丈夫。口ではこんなこと言ってるけど、私はどんなときもかぐやと一緒だよ。かぐやと彩葉のハッピーエンドを見届けるまで、何があっても守るからね。)」
かぐやとはぐれないよう手をしっかり握り返し、宇宙船は地球へ降下していく。
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時は少々遡り…
-Sideかぐや-
私にはお姉ちゃんがいる。温度も味も娯楽もない、ただ決められた役割を繰り返すだけの空間で唯一私を気にかけてくれる人。
年上ぶってるけど、結構ポンコツなところがあったり、詰めが甘いところがあったりする。
私が退屈すぎて投げ出した仕事を、お姉ちゃんは文句を言いながら代わりにやってくれる。たまに申し訳なくなって自分でも頑張ろうとするけど、結局半分以上はお姉ちゃんが手伝ってくれる。そんなお姉ちゃんが大好き。
そうして、退屈だけどちょっとだけ充実した日々を過ごしていると、窓の外にある地球が目に入った。
「ねえねえ、お姉ちゃん。私、あっちに行きたいな〜。皆楽しそうだよ?お姉ちゃんも興味あるでしょ?行かない?」
「………駄目。行きません。………私たちが抜けたら代わりはどうすんのよ」
お姉ちゃんは興味ないふりをしてるけど、目線がチラチラ地球の方を向いているのを隠せてない。作業する手もだいぶゆっくりになってる。
「お姉ちゃん…。嘘つくの下手っぴだね。」
「な、何が?」
「お姉ちゃんも行きたいんでしょ?」
「…い、いや…そんな事ないし…楽しそうだなんてちっとも思ってないし…」
「じゃあなんでさっきから地球の方をチラチラ見てるの?」
「…………」
図星だ。お姉ちゃんは本当に私より長く生きてるのか不思議なくらい威厳がない時がある。
「…だって、地球の人たち皆楽しそうに過ごしてるじゃん…私だって好きでこんな事してるわけじゃないもん…」
「ほらぁ!お姉ちゃんも退屈だって思ってるんじゃん!」
──コンコンコン
部屋の入口がノックされる。嫌な予感。そう思ったのもつかの間、お姉ちゃんが返事をする。
「どうぞー」
「シツレイシマス。ツイカノシゴトヲモッテマイリマシタ。ヨロシクオネガイシマス」
人の体に行灯の頭がついたヘンテコな見た目の部下が、いつも通り長〜い巻物を持ってきた。こっちがなにか言う間もなく、それを私とお姉ちゃんの机に振り分けてすぐに部屋から出ていった。
「はぁ…。ほら、追加が来たから続きやるよ。この話の続きはまた今度ね」
「は〜い…」
いつか、お姉ちゃんと一緒にこんな繰り返しだけの場所から逃げ出す!それで、複雑で、一回きりで、自由な地球に行くんだ!
続きなんてありません。