私が超お姉ちゃんだ! 作:超かぐや姫!に脳を焼かれし者の左足
お姉ちゃんは原作を壊さないようにできるだけ自己主張を控えめにしているようです。あなたかいる時点で十分おかしいので我慢するだけ無駄なのに。
-Sideみこと-
「ここがチュートリアルかぁ。同時に初ログインしても同じ空間でってわけじゃないんだ。お、ヤチヨだ〜!生で見たの初めて〜」
「太陽が沈んで、夜がやってきます。……っ!」
空が早回しのように動き、星と月が輝く夜の空へと変わる。
実際に見ると感動するね。
おや?彩葉はチュートリアルのヤチヨはAIだから本物じゃないって言ってなかったっけ。なにやら泣きそうな顔になってない?
…もしかして私、かぐやと一緒に月に帰った後に何かやらかすの?
でも、ヤチヨがかぐやだって知ってるってことを悟られてはいけない。何が原因で因果が壊れるか分からないし、私が余計なことをしたせいで彩葉がヤチヨに救われなくなるなんてこともあり得る。
今彩葉が生きているってことは、前のループにいた私がうまく原作に影響を与えない状態で退場できたってことだよね。
なら、今の私も影響を与えない程度に楽しむだけ。
……でも
無意識のうちにヤチヨへ手を伸ばそうとしていることに気づいて、慌てて自制する。私がこの時点でヤチヨがかぐやだってことを知っているのは話の流れ的におかしくなっちゃう。
そう悶々していると、ヤチヨは何事もなかったかのようにチュートリアルを進め始めた。大丈夫だったのかな?
「ツクヨミへようこそ!管理人の、月見ヤチヨで〜す!このもふもふは、FUSHI!」
「ヤチヨがツクヨミと僕を作ったんだ」
「さあ、出かける前に〜、その格好じゃあつまらない!」
ヤチヨが指パッチンをすると、私の前にアバターの見た目を決めるパネルが現れた。かぐやはロップイヤーの耳がついてたはずだから、私も何か兎関連で探してみよっと。
「ほうほう。どうしよっかな、やっぱり兎耳は必要でしょ」
パネルを操作していくと、白くてピンと伸びたユキウサギのような耳パーツが見つかった。それを選択して詳しい設定をみると、片耳が折れているバージョンもあった。
これいいじゃん!髪は白い耳にあうように白髪にして、服はどうしようかな〜?かぐやは快活な服装だったから、お姉ちゃんとしては落ち着いた服装にしてバランス取りたいよね。
服は青と黒を基調とした派手すぎないやつがいいかな?あ、でもそれだと彩葉と被っちゃうか。そんじゃあ白と黒でいくことにしよう。
「よし、完成!ヤチヨ、できたよー。」
「これで準備は整ったね。さあ、いってらっしゃ~い!」
ヤチヨに手を引かれ、鳥居の方へ飛び込む。緑色の光の壁をすり抜けて、景色が変わる。
最後に見たヤチヨは微笑んでいたが、その目には涙が光っていた。
飛び込んだ先に何も無かったので、顔面から床に落ちた。痛い。
「「ぶぇ」」
誰かの声が重なった。横を見ると金髪ギャルいかぐや姫になったかぐやも同じように伏せていた。同じタイミングで出てきたようだ。
「金髪…ギャルいかぐや姫?…と銀髪のバニー?尻尾まで付けちゃって」
「もしや彩葉?」
「尻尾なんてつけたっけ?それより、彩葉のアバターもかわいい〜」
「はいはい。てか、それ何?」
「あっ犬DOGE、連れてこれるんだ!」
「いいな〜。私も犬DOGEみたいなの欲しい〜」
かぐやが犬DOGEを抱き上げているのを見て、私も欲しくなった。作ろうと思えば作れるけど、私の分の携帯ゲームキットを買うころには忘れてそうだなぁ。
かぐやと一緒にツクヨミの夜景を見て感動していると、彩葉が歩き出した。
「行こ」
「行こ、行こ」
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Sideヤチヨ
今日は彩葉が
彩葉が初めてツクヨミにログインしてくれた時、それはもう嬉しくてたまらなかったけど、お姉ちゃんと会えるのも同じくらい嬉しい。
ヤチヨは、お姉ちゃんよりも年を取ってしまいました。年下のお姉ちゃんってなんだか不思議な感じがするね。
物想いにふけていると、そろそろ皆がログインしてくる時間になった。いつもはAIヤチヨが対応してるけど、今日くらいはヤッチョ自身が会いに行っても良いよね。本物だってバレないようにしないといけないのです。
「ここがチュートリアルかぁ。同時に初ログインしても同じ空間ってわけじゃないんだ。お、ヤチヨだ〜!生で見たの初めて〜」
ついにお姉ちゃんが来た。いつもAIヤチヨがやっているとおりにあのセリフを言わなくちゃ。
「太陽が沈んで、夜がやってきます。……っ!」
ああ、駄目駄目。ここにいるのはチュートリ用のAIヤッチョなんだから。お姉ちゃんが心配そうにこっちを見てる。少し涙が溢れてしまったのを振り払って、続きを……。無理そうだし、一旦AIに切り替えよう。
「ツクヨミへようこそ!管理人の、月見ヤチヨで〜す!このもふもふは、FUSHI!」
お決まりの自己紹介をして、アバターの設定画面をお姉ちゃんの前に表示させた。お姉ちゃんは少し悩んだ後、白い兎耳と白黒の動きやすく裾が短くなった着物を選んだ。おまけで尻尾もつけとくね〜。
「これで準備は整ったね。さあ、いってらっしゃ~い!」
チュートリアルの操作を本物のヤッチョに切り替えて、お姉ちゃんの手を引くと、そのまま鳥居の方へ放った。お姉ちゃんはこっちを見た後、目を見開いてた。泣いてたことがバレてなければいいけど。
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-Side彩葉-
同時に鳥居から出てきて、同時に地面に叩きつけられた宇宙人二人を連れてツクヨミを案内する。
かぐやは色んな出店に興味を示して動き回っているのに対して、みことは微笑ましそうにかぐやを眺め、時々悩んでいるような表情を浮かべる。
「みこと、なにか悩み事?私のお金を勝手に使っておいて、やっぱり楽しくないなんて言わないでよ」
「勝手に使っちゃったのはごめんって。いや、悩み事なんてないよ〜。みことはかぐやを見てるだけで楽しいの。」
「じゃあなんでたまに何か考えてるような顔してんの?日中の能天気なみことはどこへ行ったの」
「いや普通に失礼!ホントに何も無いって。私だって考え事ぐらいしますよ。どうやってふじゅ〜を稼ごうかなとか、彩葉とかぐやがハッピーエンドに行くお手伝いできないかなとか」
「ふぅん?」
はぐらかされてしまった。宇宙人が何を悩んでようが私には関係ないから良いけど。
一通り巡った後、私たちはヤチヨのミニライブ前最後のスポットにパフェを持ってたどり着いた。縁側に並んで座り、足先を水に浸してくつろぐ。
「私みたいな貧乏人でも、ここでならいくらでも遊べるんだよね」
「わぁ〜。はむっ…味しな〜い」
「味とか匂いはまだ全然ムリみたいよ」
「早く味を感じられるようにならないかなぁ」
「家に届けてくれるのもあるけど、リアル並みの値段なのでとてもとても。私は特技とかないからゲームで小遣い稼ぎするくらいが関の山だし」
「ゲームでお金稼げるの?彩葉〜今度みことに教えて!」
ここで、20:20を告げるアラームが鳴る。21時から始まるヤチヨのミニライブに間に合うように早めに設定したものだ。
「時間だ。行くよ」
会場に移動して、ライブの開始を待つ。今回のミニライブは私にとって普通のライブではない。なんと私の手元には月見ヤチヨの握手券付きチケットがあるのだ。
チケットを眺めてニヤニヤしているとかぐやとみことが話しかけてきた。
「ねえねえ、さっきヤチヨと話した」
「シーッ!あれはチュートリだから。これから出るのが本物」
「さっきから何見てニヤニヤしてるの〜?お姉ちゃんにも見せて!」
「みことは私の姉じゃないでしょ。これ、ヤチヨの握手券付きチケット。私のだからあげないよ」
連れよりもヤチヨのライブのほうが大事なので適当にあしらう。21時になり、ついにライブが始まる。上空に大きな画面が表示され、オタ公の声が響く。
「来た来た来た来た〜!これがないとツクヨミの夜は始まらない!本日のヤチヨミニライブ、今夜も完全生中継をツクヨミ各地でもお届け中で〜す!」
「10…9…8…7…6…5…4…3…2…1!」
観客のカウントダウンの声が重なり、カウントが進むにつれて光が集まって大きな鳥居が形成される。
鳥居の上にヤチヨが見えた。
「おまたせっ!エッヘヘヘ。」
「ヤオヨロー!神々のみんな今日も最高だった〜?」
ヤチヨの登場とコール&レスポンスに歓声が上がる。
「うんうん。よ〜し!今宵もみんなをいざなっちゃうよ〜!Let's go on a trip!」
かぐやが横で何かを言っているがもう私には聞こえない。
─幾千の時を巡って今 僕ら出会えたの
─ほら 見失わないように
─手を離さないで
・・・・
歌が終わり、私は感動で涙と鼻水がずるずるになっていた。
「うっ、うう…ヤチヨ…」
「イェーイ!感謝、感激、雨アラモード!うう、ヤチヨは果報者なのです…。あっ、ここでお知らせ!“ヤチヨカップ”っていうイベントを開催しまーす」
「参加資格があるのはツクヨミの全ライバー!一か月の期間の中だけで最も多く新規ファンを獲得した人が優勝だよ。優勝者には何と、ヤチヨとのコラボライブの権利を進呈!世界一盛り上がるコラボライブステージを一緒に作れるよ!」
「うっそ、コラボォッ!?」
「それ、すごいの?」
「ヤチヨはライブはいつも一人で歌ってたんだよ?何?誰と!?」
「彩葉!一緒にやろ!」
「私らみたいなモブとやるわけないじゃん。こういうのは最初から誰最初から誰になるかだいたい決まってんの」
「でもでも、彩葉?一月の間に新規ファンを獲得するってもう人気がある人たちだと難しくない?すでにみんなファンってこともあり得るじゃん?無名の私たちだからこそ優勝できる可能性もあるよ!かぐやはすっごく可愛いんだから、ファンの獲得なんて楽勝だよ」
ファンを獲得することの難しさをかけらも理解していないようなことをみことは平然と言う。今有名になってる人達はきっと血の滲むような努力を長い時間かけてしてきたに決まってる。
「無名の奴らが動画出したところで誰も観ないでしょ。ポッと出の人が話題になることなんて炎上しかないんだから」
かぐやは不満そうな顔をしているが、無視してヤチヨの名を大声で叫ぶ。
その時、虎が引く車が橋の向こうからやってきた。観客ギリギリのところで止まり、外装をきり刻んで三人組が登場する。その中に見知った顔がある。嫌な顔だ。
「よう、子ウサギども!お前らの帝様が来たぜ!」
「げっ」
素早くかぐやとみことの後ろに隠れる。帝の指パッチンと共に画面が切り替わってスポンサーが映し出され、曲が流れる
。
「かぐやも!かぐやもあんな戦うやつやりたい!」
「みこともやりたい!」
お馬鹿二人は、もしライバーになった時に一番の壁になるであろうグループのことは気にせずPVのゲームに夢中だ。
「また、祭りが始まるな」
「俺って今日も作画良すぎ…でしょ?」
「俺たちに優勝して欲しいよな?底なしの夢を見せてやるぜ!」
パァンと音が鳴り、スパンコールやリボンが飛び散る。
「わぁ〜、キラキラだぁ」
「このキラキラもらっていいの?」
「というわけで俺たち優勝するから。ヤチヨちゃんコラボ、よろしくね」
「そういう運命なら、もちろんヤチヨは従うよ〜。最高なライブを約束するから、みんなドシドシ参加してね!一緒にハッピーになって、めでたししちゃお〜!」
「しちゃう〜♡」
やっぱり、ヤチヨは最高だ。二人は放っておいて、ヤチヨだけずっと見ていたい。でも、そうはいかなかった。かぐやが前に歩き始め、大きく息を吸うと、
「ンヤチヨォォォー!」
「おぅ声デカ」
「かぐやがヤチヨカップ優勝する!そんで、絶対コラボライブする!彩葉…んぐっぐぐっ」
とんでもない事をかぐやが言い始めたので、慌てて口を塞ぎに行く。みことも見てないで止めてよ!
─いとかわゆし
「あんたはいつも勝手に!」
「ほいでは!ライブは一旦ここでクローズ。みんなとちょこっとお話させてね。さらば〜い!」
ヤチヨがライブの締めの挨拶をしたことにも気づかず、かぐやを叱る。前に出たのを知ってたはずなのに止めなかったみことも同罪だからね!
「さっきの約束もう忘れたの?」
「ねえ彩葉、一緒にやろ?お姉ちゃんも!」
「配信中に偶にお姉ちゃんが出るのって人気出るじゃん。それやっていい?」
「駄目。そんなの…」
「ムリムリムリ。小娘が!」
「こらぁ。」
「ヤ…ヤチヨ!」
分身してちょっと幼くなったヤチヨがこっちに歩いてきた。なんで?ライブの主催者として迷惑かけた私たちをBANしに来た?
「お忘れかなぁ?ヤチヨカップの参加はライバー限定なのです」
「ん〜そっか!じゃあ、かぐやライバーになる。準備準備〜」
かぐやは先にログアウトしていった。ひとまず、考えてた最悪の事態ではなかったようで安心した。けど、ちょっと気まずいし、推しがずっと近くにいるのも耐えられない。私も早くログアウトしよう。
「あっ…今日はじゃあ…、これで…」
「待って!忘れ物」
そうだ。握手券付きだったんだ、さっきのが強烈過ぎて頭から飛んでた。わざわざ来てくれるなんてやっぱりヤチヨは最高の推しだ。
「あの…ありがとうございました!」
礼を告げてログアウトする。私と話していたヤチヨを横で見つめていたみこともいつの間にかログアウトしていたようで、いなくなっていた。
──いつも来てくれてありがとね。彩葉。
オリ主がいることで原作から変わった展開になった部分にここすきがついてると嬉しくなりますね。なので続きません。
もし続きがあるとしたら、次回はライブ中のお姉ちゃん視点から始まると思います。