私が超お姉ちゃんだ! 作:超かぐや姫!に脳を焼かれし者の左足
-Sideみこと-
『皆のためにわんわんお!忠犬オタ公でぇす。今日も元気に、職務果たしちゃいます!今週もヤチヨカップ特集、暫定4位までは公式を要チェキ・・・・』
かぐやと一緒に湯船につかりながらツクヨミニュースを見る。かぐやを後ろから抱きしめるかたちでバスタブのなかに収まっている。紹介もそこそこに、第三位以上の発表が始まる。もちろん、私たちのチャンネルはランキングトップテンには入ってない。
『そして第一位は?下馬評通り独走状態だ!ブラックオニキス!』
『まだまだ応援よろしくゥ』
ツクヨミには温度を感じる機能が無いはずだけど、かぐやの温かさと鼓動を感じられるのは現実でもかぐやに抱きついているから。一緒に住む者の特権なのです。
オタ公がかぐやのチャンネルに注目してくれていることを嬉しく思いながら、かぐやをさらにギュッと抱きしめる。
そうしてかぐやの存在を全身で感じていると、同じくニュースを見ていた真実が釣りをしながらひと言。
「残りの期間でこの差を埋めるのはだいぶ厳しいかもね〜」
「むぅ。どうしたらいいのだ〜!」
あぅ、ちょっとかぐや暴れないで。痛い痛い腕が当たってるよ。いや、抱きついてる私のほうが悪いか。
「いやぁ、黒鬼圧倒的だね〜。ま、それも当然か。だって帝様だもーん」
「真実の裏切り者ー!」
「二推しでかぐやも推してまーす」
「やだー!かぐやだけにして!」
そろそろかぐやに嫌がられそうなので、名残惜しいけど抱きしめるのをやめる。解放されたかぐやは立ち上がって帝にイライラをぶつける。
「くそぉ!帝出てこい!勝負しろ!」
「いーじゃんそれ。かぐやと帝でゲーム対決ってのは?」
芦花の提案にかぐやがそれだと賛同するが、彩葉に止められた。
「絶対なし。相手はプロゲーマーだよ?格が違うって」
「そんなのやってみなきゃわかんないじゃん!」
「なんとしても駄目!だめだめだめだめだめ!」
ここの彩葉可愛いね。ってそんなことより、彩葉は最終的にはかぐやのお願いを聞いてくれるだろうけど、私が負担を増やしてるせいで彩葉がかぐやのお願いを断るなんてことがあってはならない。何とかフォローしないと。
「ねぇ彩葉、やる前から無理だって決めつけてたら後からあの時やっていれば〜ってなるかもしれないよ?それに、彩葉とかぐやが一緒なら何でもできるって、私、信じてるから」
「信頼が重いよ。そんなこと言っても駄目なものは駄目」
「このままお迎え来ちゃってもいいの?途中で諦めて後悔しない?」
「あんたら、一向にお迎え来ないじゃん。かぐやがみことを連れ出してきたんなら二人抜けてることになるはずだし、連絡くらいあってもいいでしょ。もう来ないんじゃないの?」
確かに…?月にいた頃の記憶がないかぐやはともかく、立場的にはかぐやの上司にあたる私にすら連絡が無いのはおかしい…のかな。
「そんなのわかんないじゃん!来るかもしれないじゃん!」
「来るなら早く来てくれー。連れて帰ってくれー」
「あー!意地悪言ってる」
はっぴえーんど!あそ〜れはっぴえーんど!ぃよいしょ!とかぐやが歌って踊っていると、巻物通知が来た。
内容はもちろんKASSENの提案とかぐやへの求婚。横から読んでいた彩葉は力か抜けたようにヘロヘロになって萎んでいった。
芦花と真実が二人で彩葉を助け起こしたあと、少し離れてコソコソと話しだした。
「ねぇ彩葉、みことの雰囲気変わった?」
「たしかに〜。口数も少ないし、いつもの元気がない気がする〜」
「体調崩してからあんな感じになったんだよね。それに、私が動くたびに心配そうな目でこっちを見るようになっちゃった」
何を話してるのかなぁ。どうすれば彩葉とかぐやをハッピーエンドに導けるのかな。原作では負けちゃったKASSENを勝ちにできればなんとかなるかな?
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『注目のイベントが始まります!王者ブラックオニキスが異例の速度でのし上がった超新星、かぐや・みこと&いろPに宣戦!そしてまさかの求婚!』
『帝のファンダムは一時騒然としましたが、ノリで言ってるだけだと思いまーす』
『ヤチヨカップも残り一時間となりました。試合結果次第では順位の逆転もあり得ます!ステージにはすでにかぐや、みこと、いろPの三人の姿があります』
『黒鬼はまだですかね?おっ、中継が届きました』
映像パネルに虎のバイクに乗った帝、雷、乃依の姿が。洞窟の中を爆走しながら敵を蹴散らしている。
『ここ何?鬼ヶ島?………えー、ステージ内でした』
黒鬼がカッコよく着地し、歓声が湧き上がった。
『黒鬼、ご来臨〜』
「どーも。対戦受けてくれてありがと」
「お姉ちゃんとして、あなたにかぐやは渡さないよ」
かぐやを隠すように一歩前に出て帝にメンチを切る。このメンバーの中で一番ゲームが下手な世は私だ。でも、かぐやに一緒に優勝しよ?って言われたからには全力で応えないと。
「みことちゃん、足震えてんじゃん。か〜わいい。俺たちが勝ったらかぐやちゃんだけじゃなくて、みことちゃんも貰っていいかな?」
「いい、わけ、ねぇだろ!」
着ぐるみの彩葉が武器を振り被って駆けてきた。大きく跳躍して帝に斬りかかる。帝はそれを軽々と避け、こちらに視線を向ける。
「い、彩葉が駄目って言ってる!」
「あんたねぇ!」
まあ、配信中に大勢の前で本名呼ばれたらそうなるよね。私にもあんな動きができたらなぁ…。
そういえば、ヤチヨからもらった傘に通話機能が付いてたような。始まる前にアドバイスとか聞けるかな?ポチッとな。
「じゃっじゃーん!通話機能をご利用いただき、誠にありがとーございまーす!」
どこからともなく玉手箱が落ちてきて、中からヤチヨが飛び出してきた。
「この通話機能って本人が来るの!?」
「えー?ヤチヨちゃんはそっちにつくの?」
「前回は帝様の側についてましてよ〜。さすがに四対三で戦うのは不公平だから、ヤッチョはみことについて行ってアドバイスするだけにしておくね〜」
何だかよく分からないけど本来ヤチヨが参加する枠だった所に私が入った不利要素がちょっとはましになってそう?
・・・・
試合開始前、自陣営のスタート地点に集まって作戦会議が始まった。
「で、作戦はどうすんの?」
「ガーッといってーしゅたたたたー!そんでバーン!」
「
「お姉ちゃんとヤチヨの声が重なって聞こえるの変な感じするぅ」
ヤチヨが肉体を持って私についてくるのはさすがに良くないってことで、私のアバターに私自身とヤチヨが同時に入っている状態になってます。操作の主導権はほとんど私側にあるはずなんだけど、ヤチヨもある程度動かせるらしい。
話を戻して、作戦は彩葉とかぐやがトップ、私(+ヤチヨ)がボトムに別れることになってる。気合は十分。あとはスタートを待つだけ。
『試合開始です!』
乙事照琴さんの声と同時に彩葉は黒いオオタカ、かぐやはハンマーに乗って飛び立つ。私は二人とは反対側にヤチヨ傘でふわふわ移動。
「みこと。あっちの方から乃依ちゃんが狙ってきてる。注意して」
「うん」
ヤチヨの示した方向から矢がとんできたので、傘を使ってはじく。ヤチヨが乃依の攻撃してくる方向を教えてくれるから、狙撃は対処できると判断。彩葉とかぐやがやぐらを占拠するのに苦労してるっぽいし、勝ち筋を作るために私がやぐらを取りに行こう。
「牛鬼って近くで見ると思ったより大っきいんだね。ちょっと気持ち悪い見た目してる」
「ヤッチョのセンスに文句があると言うのかね?」
「イエ、ナイデス」
「なら良いのです。ほら、早く傘開いて回して」
ヤチヨの姿は見えないはずなのに、怒ったヤチヨの姿を幻視するくらいの圧を感じたので言われるがままに傘を開いて回す。原作でヤチヨがやっていたようにそのまま投げ、手から離れた傘は綺麗な弧を描いて牛鬼の頭を両断した。
「すっご。これをうまく使いこなせれば彩葉とかぐやの力になれるかも…」
「やるね〜。ほいじゃあ、鐘を鳴らしに…ッ!おね──みことっ!後ろッ!」
「へっ?」
防御にも使っていた武器を投げ、無防備になっている
傘をキャッチしようと無事な方の手を伸ばすけど、それも撃ち抜かれる。そのままヘッドショットで私の残機が一つ無くなる。閉じられた視界の中で聞こえたのは、乃依の矢によって鳴らされた鐘の音だった。
自陣にリスポーンしたけど、彩葉たちの方もやぐらを取られてしまったようで、一回戦はコールド負け。
「ごめんヤチヨ。協力してもらってるのに、全然活かせなかった」
「ヤッチョの方こそ…ごみん。乃依ちゃんの攻撃に気づくの遅れちゃった…」
「いやいや、本来二人組の私たちがやぐらを取りに行くべきなのに苦戦してたから、動いてくれたんでしょ?」
「次は絶対負けない。かぐや、次の作戦は決めてある?」
「うーん…。あっ、帝ってさ──」
かぐやが上空を飛ぶ魚に乗って奇襲を仕掛ける作戦を提案して、皆が賛成。
私は一回戦と同様に右手側のやぐらを取りに行く。かぐやの作戦通りにいけば、私が乃依の射撃を耐えてる間にかぐやが奇襲を仕掛けて突破できる。
橋部分まで進むと、乃依が長距離射撃で動きを止めに来た。私はここでかぐやが飛んでくるのを待つのだ。傘を広げて矢をはじくのに集中。一本一本がすごい威力で、一度はじくと両手が持っていかれるからそろそろ限界がきそう。それでもかぐやがくることを信じて耐え続ける。
「うおおおおー!えーいっ!」
かぐやが上空から重い一撃を叩きつける。乃依の射線がかぐやの方を向いた瞬間を狙って傘を投げる。傘は乃依を両断することに成功し、そのままやぐらを確保する。
帝が追いすがってくるけど、なんとか振り切って大将落としをぶっ飛ばした。というわけで二回戦は勝利。
「いえーい!」
かぐやとハイタッチして一本取れた事を喜び、帝との通話にかぐやがからかうように答える。
「かぐやなら、勝ってるときは絶対配置変えないから。どお?配信のかぐやちゃんとは違った〜?えへへ」
『新解釈の登場だ。かぐや道は深い…』
運命の三戦目。お互いに一つずつやぐらを占拠し、乱戦状態。彩葉、かぐや、雷、乃依が戦っているところへ突撃して、雷と乃依の相手を引き受ける。
「彩葉!ここは私に任せて、先に行って!」
「え…でも、あんた一人じゃ」
「
「…わかった。かぐや、ここはみこと達に任せて行くよ!」
彩葉とかぐやを見送って雷、乃依と向かい合う。
「二人を行かせてくれてありがと」
「ふん。ブラックオニキスとして、盛り上がる方を選んだだけだ。ここで全員倒してしまってはつまらないだろう」
「…しょーもな」
会話もそこそこに、戦闘を始める。さすが兄弟でプロゲーマーをやっている人達だ、連携に隙がない。雷が地形を操作して乃依が隙間から狙撃。
「右から来てるよ!二歩先にトラップあるから気をつけて!」
ヤチヨが指示を出してくれてるから何とか防げているけど、段々と余裕がなくなってきた。ついに雷の地雷を踏んでしまい、爆発で上空に打ち上げられてしまう。
「くっ…!」
私は負けるわけにはいかない。私は地球に来てから今まで、全然彩葉の役に立ってなかった。加えて、原作ではKASSENでヤチヨが彩葉を元気づけたりしてたけど、私がいるせいでヤチヨはプレイヤーとして参加できてないからそれもない。
だから、ここで二人に勝って、天守閣に向かう帝を止めに行く。帝に勝てはしないだろうけど、彩葉が大将落としに向かう時間を稼げれば十分。
「私は…私は、彩葉とかぐやがハッピーエンドに行くために、二人が笑って過ごせるように、あなた達に勝たなくちゃいけない!」
ふと思い出したのは、原作でヤチヨが投げて乃依を倒した傘が壁にぶつかった時に生成された大きな水晶塊。
私はこの世界で傘が水晶を生成するところを見てないし、二人は私のことを初心者だと思ってるはずだから丁度いい。そういう戦い方があると知っているって考えてないはず。
今、私は空中にいて、雷と乃依は地面にいる。それなら、二人だけを水晶塊生成に巻き込める。下から乃依が撃ってくる矢がいくつか刺さるけど、痛みを我慢して傘を回転させ始める。
「やあああっ!」
限界まで回転速度を上げた傘を地面に放り投げ、爆発させる。プレイがいくら上手くても、HPがゼロになれば倒れるのは変えられない、皆条件は同じ。
私には実力がないから、勝つにはこういう手段しか無かった。マップから雷と乃依が消えたのを確認して、ミドルレーンへ向かう。
『鬼アチィィィ!何という下克上!ゲーム下手で有名なみことがブラックオニキスの二人を撃破!そして同時に、いろPが帝を一刀両断!』
『みことちゃんは相手は初心者だという意識を突いた、完全な初見殺しっすね〜。次からは通じないと思いますが、うまく決まったぁ!』
『帝に勝利したかぐやいろPは早速天守閣を落としに移動を開始!リスポーンした帝は高速でミドルレーンを走り抜け、かぐやチームの大将落としに向かう!』
『これはさすがにかぐやチームの方が早いか!?』
かぐやが大将落としを目の前にして大きく振り被ったところで、雷の地雷トラップが起動。
『あーっと!雷の地雷トラップーっ!これはかぐやチームピンチか?』
『ここで爆走中の帝に満身創痍のみことが飛びかかります!』
「ここは通さない!お姉ちゃんとして、妹とその愛する人の幸せを応援するために!」
完全に死角から斬りかかったはずなのに、防がれてしまう。
「そんな状態でよく頑張るね、みことちゃん。かっこいいけど、勢いだけじゃ俺には勝てない」
残りの体力が後わずかになり視界の端が赤くなって狭まっている私が勝てるはずもなく、数回の防御の後にやられてしまった。
「彩葉!かぐや!頑張って!」
『みことを斬り捨てた帝が大将落としへ到着!と、同時にいろPも大将落としを飛ばすために振りかぶっている!』
『あーっと!ここで決着ーーっ!わずかに帝の方が早かったーっ!勝者ブラックオニキス!』
はは…は…。ごめん、彩葉。無理だったよ。
残機がなくなった私は、天守閣近くの透明な箱の中で涙を流して結果を何度も見直す。目を擦っても結果ウィンドウを開き直しても勝敗は変わらない。
『まだです…。まだ、ヤチヨカップの結果は出ていません』
「いと大義〜!と〜っても楽しいKASSENでした。そしてたった今!ヤチヨカップの優勝者が決まったよ〜。ヤチヨとコラボる人はっぴょ〜♪」
「ヤチヨカップの〜優勝者は〜…?……かぐや・みこと&いろP!」
「めでたしや〜!」
【何か、良いねあの三人!】
【いろPに惚れた!】
【みことちゃんのギャップ最高!】
【みことみたいなお姉ちゃん欲しいな】
【かぐやのアホ面好き】
「えっ?負けたのに?やった〜〜〜〜〜〜っ!」
かぐやが喜んでいる横で、私は私宛のコメントを読んでいた。私もファン獲得の助けになれたみたいで良かった。これでちょっとは恩が返せたかな?
「これじゃあ、勝ったとは言えないな。ま、無理やり結婚するつもりなんてはじめからねーし」
「ねーよな!」
「で、彩葉のお願いって何?」
「え、良いの?……引っ越ししたくて、その保証人になってもらえないかと…」
「お安い御用。じゃ、俺らはファンのところ行くから」
帝と雷が去っていった後(乃依は最初からいなかった)、上からヤチヨが降ってきた。
「皆〜!よ〜くがんばった!」
「やるじゃねーか。マグレに頼る天才だな」
「みこと!ちゃんとお姉ちゃんって感じでかっこよかったよ!元気出して?……さて、ここからはクライマックスに向けてハードな展開が待っているかも。このお話を最後まで見届けてね。YO!運命の荒波に揉まれる準備はいいか?」
「おー!」
「ふわぁ…おねむ。さらば〜い!」
ヤチヨがツクヨミの空に消えていき、ここには私たち三人だけが残った。ヤチヨに、ちゃんとお姉ちゃん出来てるって言ってもらえて、少し心が晴れた気がした。
戦闘描写が拙いので続きません。