緑の巨人とモンスターハンター   作:サンデン

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緑の巨人とハンター

鬱蒼と茂る古代樹の森――その最深部に位置する開けた巨大な広場で、ハンターは得物である大剣を構え、息をひそめていた。

 

視線の先には、「空の王者」リオレウス。

 

紅蓮の鱗を夕日に輝かせ、咆哮一発で森の鳥たちを一斉に飛び立たせる巨躯の飛竜だ。鋭い爪には猛毒を宿し、その喉奥には全てを焼き尽くす高熱の火球が滾っている。幾多のハンターを返り討ちにしてきた古代樹の森の頂点――勝てる保障などどこにもない。汗で滑る柄を握り直し、死闘を覚悟したその瞬間だった。

 

――ドォン。

 

地響きと共に、巨大な足音が森の木々を叩き割って響き渡った。

 

(なんだ……!? アンジャナフか……? いや、違う!)

 

樹木が薙ぎ払われ、なぎ倒された大木が粉砕する音と共に“それ”は現れた。

 

高さは18メートルを優に超えるだろうか。緑色の分厚い装甲に身を包んだ、今まで見たどのモンスターとも異なる「鉄の巨人」。人型を模しながらも生命感を一切削ぎ落とした武骨なシルエット、頭部で不気味に赤く光る単眼(モノアイ)。その巨躯が足を踏み出すたびに、大地が重低音を響かせて揺れる。

 

MS-06――ザクII。

 

「なんだ……あれは……モンスターなのか……!?」

 

ハンターの思考が完全にフリーズした。

 

新大陸の古龍調査団に所属し、無数の未知なる生物を目撃してきた彼にとっても、その存在は理解の範疇を超えていた。竜の鱗でも獣の毛皮でもない、冷たさを孕んだ緑の金属外殻。関節部分から覗く太いパイプや油圧シリンダーの隙間。生命の鼓動ではなく、重厚な油圧音とエンジンの駆動音が森に轟いている。

 

リオレウスもまた、突如として自身の縄張りに侵入してきた異常な存在に気付き、低く威嚇の声を上げた。翼を広げ、威圧するように身体を大きく見せつける。

 

しかし、ザクは動じない。

 

不気味な赤のモノアイが「ジジジ……」と電子音を立てて水平に走り、リオレウスの巨躯をロックオンした。

 

「逃げなきゃ……いや、動けねぇ……!」

 

ハンターは岩陰に身を隠しながら、眼前で繰り広げられようとしている「異次元の対峙」に目を奪われていた。

 

リオレウスが空へと飛び立つ。翼撃の風圧で周りの大木が激しく揺れ、ハンターの頬を強い風が叩く。王者の威厳を誇示するように上空を旋回したリオレウスは、喉を真っ赤に発光させると、一直線にザクへと急降下した。

 

「グオオオオオオン!!」

 

放たれたのは、岩石をもドロドロに溶かす巨大な火球。直撃すればどんなハンターも一瞬で焼き尽くされる致命の一撃だ。

 

「危ねぇ――!!」

 

ハンターが叫びかけたその時。

 

ザクは左腕に装備した円形の盾(スパイク・シールド)をスッと掲げた。

 

爆風と火柱が緑の巨躯を包み込む。激しい炎と煙が視界を遮り、ハンターは絶望に目を背けそうになった。

 

だが――煙の向こうから現れたのは、灼熱の火球を盾一枚で受け切り、微動だにせず立っている鉄の魔神だった。装甲の表面が僅かに黒ずんだ程度で、ダメージを受けた様子すらない。超高熱のブレスを完全に殺しきったのだ。

 

「火球を……手持ちの盾で完封しただと……!? どんな硬度してんだあの甲殻は……!」

 

大剣のガード性能など比べものにならない異常な防護力。

 

火球が効かないと悟ったリオレウスは、空中で反転すると、毒を宿した鋭い脚爪を突き出してザクの頭部へと襲いかかった。肉弾戦での圧殺を試みる王者の動き。

 

ザクのパイロットは冷静だった。

 

右手に握られた無骨な巨大火器――120mmザク・マシンガンの砲口が、ゆっくりと上空のリオレウスへと向けられる。

 

ズババババババババッ!!!

 

森全体を震わせる凄まじい掃射音。

 

ハンターの耳孔を突き破らんばかりの銃声と共に、大口径の弾丸が連続して吐き出された。弾莢が重い音を立てて泥の上に撒き散らされる。

 

「ギャオオオッ!?」

 

リオレウスの悲鳴が響いた。

 

人間の胴体ほどもある鉄の塊が連射され、飛竜の頑強な翼膜を易々と穿ち、硬質な鱗を砕き割る。激しい着弾の衝撃に耐えかね、空の王者は無様にバランスを崩して地面へと墜落した。土煙が盛大に舞い上がる。

 

「一瞬で……あのレウスの翼を破壊して撃ち落とした……!?」

 

ハンターの全身に鳥肌が立った。

 

自分たちがガンランスやスラッシュアックス、ライトボウガンを駆使し、パーティーを組んで綿密な作戦を立てて挑む相手だ。それを、あの巨人は単機で、それもわずか数秒の掃射で怯ませ、地に叩き落としたのだ。

 

のたうち回るリオレウスに対し、ザクは静かに歩み寄る。

 

右肩のウェポンラックから取り出されたのは、斧の形状をした近接兵器――ヒート・ホーク。起動と共に刃がオレンジ色に発光し、超高熱を帯びる。

 

「ヒート……熱を帯びた斬撃か……!?」

 

ハンターにはそれが、超高熱で対象を溶断するための兵器であることが直感的に理解できた。大剣使いである彼だからこそわかる。あの斧が振り下ろされた瞬間、勝負が決する。

 

リオレウスも生命の危機を察したのか、必死で立ち上がり、最後の力を振り絞って噛みつこうとする。

 

しかし、ザクの動きに一切の無駄はなかった。

 

左腕で飛竜の頭部を力任せに押さえつける。圧倒的な自重と油圧のパワー。リオレウスがどれほど暴れようと、巨人はビクともしない。

 

そして、高熱を放つ斧が静かに掲げられ――

 

「……負けた」

 

ハンターはぽつりと呟いた。

 

リオレウスに対してではない。己がこれまで積み重ねてきたハンターとしての知識、経験、そして「自然の脅威」に対する認識そのものが、目の前の鉄の塊によって完膚なきまでに打ち砕かれたのだ。

 

あれはモンスターではない。

 

竜を狩るための存在でもない。

 

ただひたすらに「破壊」と「殺戮」のために洗練された、異世界の兵器。

 

ザクのモノアイが、チラリと岩陰に潜むハンターの方を向いた気がした。

 

赤く光る一ツ目と視線が交差した瞬間、ハンターは金縛りに遭ったかのように一歩も動けなくなった。

 

(触れちゃいけねぇ……あいつは、この森のどんな古龍よりも……ヤバい……!)

 

ヒート・ホークが振り下ろされる直前の重圧の中、ハンターは冷や汗を流しながら、ただただ息を殺してその惨劇を見つめることしかできなかった。

 

 




どうも作者とも言えない者です

巨大ロボットと怪獣の対決物が大好きで
ザクIIやモンスターハンターも大好きなのでAI にお願いしたら
意外と素晴らしい物を書いてくれたので投稿してみます
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