重なる世界は光らない 作:匿名希望
……これは夢。私が初めて『あの子』と出会った夢です。
「ねー『Life』やろ?」
「良いよ~男子も誘って良い?」
「うん、皆でやった方が楽しいしね」
放課後、クラスメイトの女子達が自分達のデッキを持ち寄って楽しく話していました。
……私の事は居ないかの様に私の机に座って私を間に挟んでですが。
「ね、ねぇ……その子は誘わないの?」
クラスメイトの一人が私を誘わないのかと言いますが……私はクラスメイト達の答えは何時も通りだろうと諦め気味に聴きます。
「え~……? だってあの子、見たこと無いカードばかり使って勝つんだもの。『あんなの』お金持ちのパパやママに泣きついて作って貰ったんでしょ?」
「だよね~自分に有利なカードを親のお金で作る子となんてやりたくないよね!」
「で、でも……」
私は予想通りの発言をしたクラスメイト達に溜め息を吐きながら、反論をしようとしたクラスメイトを目で制して鞄を持って教室を出ました。
──────────
「……はぁ、今日も『MeeKing』に行きましょう」
私は学校に友達がいないのをお父様やお母様に悟らせて心配させない為に今日も行きつけになっているカードショップへと足を運びます。
彼処は人が少ないから結構静かで自習もしやすいんですよね……時折、Lifeの勘を鈍らせない為に店長さんとファイトをしてますけど。
「未だに店長さんの『本気のデッキ』には勝てた覚えが無いんですよね……」
お父様から託されたデッキのカード達が泣いて……
「あ、あの!」
「?」
私が声に振り向くと、そこには帽子を被った小学五~六年生位の女の子が私のデッキの組み換え用のカードを入れたカードケースを私に差し出していました。
「お、落としましたよ!?」
「あ、あら……?」
私が鞄を漁ると、鞄の底には鋭利な刃物で切り裂かれたと思われる穴が空いていました。
「あ、ありがとうございます。私がお父様から託されたカード達が入ってたんです」
明らかにクラスメイト達の仕業と思われる嫌がらせに内心では怒りながら女の子にお礼を言います。
女の子は私の言葉に「……お父さん、か」と寂しげな様子で呟きました。
……父親が、いないんですね。知らなかったとはいえ、悪いことを言ってしまいましたね。
「あの、私はこれからカードショップへ行くんですけど……一緒に行きませんか?」
「え……?」
私がそう言うと、女の子は目をぱちくりと瞬きをしながら困惑気味な表情になりました。
「こうしてあったのも何かの縁です、一緒にLifeをしませんか?」
「あ、あの……私、カードを持ってなくて……」
「だったら、一緒にカードを買いましょう。お金は持ってますので」
「そ、そんな悪いですよ! お小遣いもありますし……」
私の言葉に女の子は慌ててお財布を取り出してそう言いました。
「カードを拾って貰ったお礼ですよ。このカード達は『闇のカード』では無いんですが……資格を持たない人が触れていると幻覚が見えたり軽い火傷をしたりするんです」
それでも長く持っていると、恐ろしい『災い』が起こります。
その災いの内容も千差万別で軽いもので恐ろしい幻覚を見ての三日三晩の昏倒や錯乱による大怪我、『何故か遠洋の漁船で楽しげに過ごしていた』等ですが……酷いものだと精神崩壊や自殺、『小さな何かに喰いつくされた死体』だったり、『巨大な金槌の様な何かで叩き潰された様な死体』だったり、『何かに脳を吸い付くされた様な死体』だったり、『蝶に包まれて穏やかな顔で眠る様に死んでいた』だったり、『何もない場所で死刑執行の際の首吊りの如く吊るされた死体』だったり、『目に青いハートが浮かんだと思うと空中に引き寄せられる様に消えた』だったりと悲惨な結末が先祖代々の記録に記されています。
なので……
「そのカードケースを触っていて何も無かったという事は……貴女はその子達に認められたと言うことです。何よりも……拾っていただいた恩もありますしね」
後は年上の意地とMeeKingを知って貰いたいという欲もあります。
「そ、それじゃあ、お言葉に甘えて……そう言えば、お姉さんの名前は?」
女の子がそう言うと、私も女の子も互いに名乗っていなかった事に気付き私は名前を告げます。
「私の名前は『
「……ユウキ、『
ユウキちゃんですか……良い名前ですね。
「ではユウキちゃん、行きましょうか」
「は、はい!」
これが私とユウキちゃんの出会いです。
なに、これ……? 知らない、こんなの、私は知らない……!
ユウキちゃんはその後の私とのファイトでLifeを始めることを決め、一年間で様々な出来事を駆け抜けました。
ユウキちゃんの最高のライバルであり、(本人達は絶対に認めないでしょうけど)互いに憎からず想いあう事になるユウキちゃんと同い年の男の子との初戦での惨敗とその後の新たな
知識やプレイングに乏しい所のあったユウキちゃんへの教師役になる私と同い年の男子との出会い。
ユウキちゃんの使うデッキと因縁のあるデッキを使う闇のファイターの女の子との死闘。
その日々の中で起こる闇のファイターの襲撃や闇のファイターに関連する悲劇により起きてしまった事件の数々。
前述した闇のファイターの女の子やライバルの男の子、ユウキちゃんと切磋琢磨した人達や私や店長達と一緒に世界の為とはいえ、無垢に育てられた一人の男の子を人柱にして自分達の崇める存在を降臨させる事で争いをなくそうとするカルト教団との決戦を終えて……私は知りました、知ってしまいました。
何故このデッキが我が家に現れたのか、このデッキのカード達は何なのか、時折戦うことになる『奇怪な効果を持つカードを使う人達』が誰なのか、違和感を持っていたこの世界の歪さの理由を知り……私は『
この世界に『
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『これは、本来なら起こらない物語』
何処かわからない場所。そこには背中に翼を生やし、ペストマスクを被った『誰か』が立っていた。
『この世界は何故か本来なら別の世界にある筈の『
誰かは何処かへ歩きながらその言葉を紡ぐ。
『例えば、『遊戯王』の特定のカテゴリーのカードとそのカードの精霊達』
誰かの歩いた場所に『二振りの刀を持つ二人の少女』、『神に舞いを捧げる三人の巫女』、『悪魔と戦う退魔の少女達』、『龍の力を持つ少年と追放された聖女』、『十二支の力を持つ獣人達』、『異形の力を持つ警察の特殊部隊員』が描かれたカード等が浮かび上がる。
『例えば、『デュエルマスターズ』のカード達やその
誰かの歩いた場所に『熱き決闘の龍』より始まりし『龍の歴史』の英雄達と『創世の神』より始まりし『鬼の歴史』の英雄達が描かれたカードと『砕け散った二つの珠』が浮かび上がる。
『例えば、『
誰かの歩いた場所に様々な小説、アニメのポスター、それらの主人公や登場人物が映された物がそれらの特徴をもつクリーチャー達のカードへと変わる。
『そして、我々『
誰かがたどり着いた場所には『十字架に貫かれた頭蓋骨』、『何処かぎこちない動きをする少女』、『白い楕円形のロボット』、『魔法少女』、『四つの真空管とねじ巻きが付いた機械』等の様々な『異形の存在達』と……『
『さあ、『
誰かはそう言って嗤った。
さあ、Lifeを始めましょうー月ノ宮管理
Lifeビギニングデッキ『Lobotomy Corporation』
たった一つの罪と何百もの善のフレーバーテキスト