「
予想外の出来事が重なりルリより一ヶ月近く遅れてオラリオに帰還してきたクロノであるが───仲間達の殆どが存在を知らない「その娘」を連れていた。
ともすればこの世界の爆弾になり兼ねないような娘だ。「新たな使徒」の方が全く問題にならないくらい。
「「旧」な。今のアストレア・ファミリアはあのセシルちゃんだけだろうよ」
「私はっ…」
「お前の出自がバレれば眷属は誰もがお前に気遣い立てようとするだろう。そういう忖度はアストレアの好みじゃない。何より他の眷属が集まる頃には、お前は冒険者の規格には収まらなくなっているだろう」
「私も『向こう』に行くのはっ…」
「んー『新時代』を迎えられれば…その頃になったら、俺もお前も『規制対象』から外れているだろうよ、今は焦らず
娘の頭を撫でながら優しく言う。
「あ!【紐ハーレム】が知らないすっげえ可愛い幼女また連れているっ!」
「なんだとぉ!ルリちゃんの妹かっ!?」
街に入りたての2人に注目が集まる。
「チィッバカ男神共が余計なことをっ!」
娘をお姫様抱っこして駆ける。はあ最初にゆっくり街を見せたかったのに。街中を走りながら、建物の上を跳び移り、途中で魔法で透明化してホームの近くに転移する。
「わっ凄いですねこれダンジョンで使ったら有用ってレベルじゃないですよね?」
「まあ異世界への転移に比べれば大したことないしな」
「忍者の技能レベル凄いですねっ建物の上を跳び移っても静かでしたっ速いのに…」
「お前は忍ぶのには絶望的に向いていないしな…その代わり戦士として才能はぶっちぎりだけど…統率者としても」
「私はお父様と同じものが欲しいんですのっというかその適性で『気配を抑える訓練』をやらせまくったのはどうなんです?かなり私に向いていない分野ですよね?」
「しゃーねえだろ必須技能だったろソレ?『
そんな会話をしながら魔人館に入る。
「おっきな屋敷ですね…」
「そうだ、今日からお前の家だ」
「主様っお帰りなさいませっんむっ…」
中に入るや否や、すぐに輝夜に抱き締められて熱い
輝夜はアリーゼがそわそわしている理由にアタリを付けて入り口付近で待機していた。予想が的中した輝夜はすぐ様に行動を起こした。
「輝夜ァ!ずるいずるいっ私を利用したのねっ!?…えぇッ!?その
その光景の間近でアリーゼが叫ぶが近くにいたその幼女を見つけると、凝視する。
「アリーゼ姉様、輝夜姉様っ初めましてっユースティアナといいますっアストレアお母様とクロノお父様の娘ですっ」
「「は?」」
「お帰りなさいパパ、直接では初めましてね、ティア、1番上の姉のルリよ」
「初めましてっルリ姉様っ」
「ただいまルリ、
「んもぉう最初くらいきちんと姉やらせてよ…取り敢えず『家族会議』ね…使徒も交えて…ザルドやリリアは呼べないけど他全員で…その子のヤバさが分かりそうなヘファイストス様とヘスティア様も呼んでおいたから…」
そうして部屋に集められる面々───
「???なんでボクはこの面々の中に集められたんだい?」
「『私達と親しい神様2柱目』ということで。良かったですね、ヘスティア様。この街の神々の多くが欲しがるポジションですよっ。ヘファイストス様よりもヘスティア様にこれからお世話になると思うので」
「うう、なんか全然喜ばしくないポジションな気がしてきたぞぅ」
「大体馬鹿な神々は『未知だー』とか飛びつくとこなんじゃないんですか?勿論ヘスティア様が俗物神とは思っていないですが」
「あ、そうだリリ、パパに自己紹介」
「ハイッこの度ルリ様の使徒になりました、リリルカ・アーデと申しますっお父上…クロノ様っ、ベル様を騙そうとして申し訳ありませんでしたっ」
「あーいいよ、そこはベル君自身が許してるのなら後はもう当人同士の問題だろうし、それよりファミリアの状況を放置しちまってて悪かったな、子供が居るのまでは知らなかったんだ」
「いえっ少し長く耐えたお陰で『最高の出逢い』に巡り会えましたからっ」
「そう言ってくれるのなら嬉しいよ少し手のかかる娘だが、俺には勿体ないくらい器量の良い子だからな、これからもよろしく頼むよ」
(リリルカ・アーデ…俺の薄れた記憶でも強かった憶えは無かったんだがな「前世」絡みなんて予想つかねえよ)
「さて、『本題』だ」
「私達の新しい妹…ユースティアナの誕生は凄い喜ばしいことだわ、それ自体は慶事よ祝福されることだわ」
ルリがアリスィアに眼を向けてからユースティアナに目を向ける。
「そうそうっ私の新しい妹メチャクチャ可愛いしねっ」
アリスィアは抱きつきながらメチャクチャユースティアナを可愛がっている。かつて
「私
ルリが別の世界から集めた「神話」の知識を語る。
「それらの名前も妙に『憶え』があるね、ふと浮かんでくるんだよ、『そういう名前』は。それに『半神半人』は居なかったはずだよ、居たら引き篭もりだった僕の元にも聞こえるくらいゼウスあたりが大騒ぎしていそうだし」
「ふむ…この世界の成り立ちも気になりますが、今は置いておきましょう…それでパパ?『種付Lv.3』とかいう技能でしたっけ?たしか『人型の生物の女ならなんでも孕ませられる』とかでしたよね?」
「まあ、間違いなくそれだな、ヤる度に毎回デキたら大変だから普段は避妊魔法使っているんだが…」
「使うの止めた途端にデキた、と。」
「まあ、そうだ、正確には『半神半魔人』だな。」
「ちなみにスペックどんなもん?」
「身体の成長速度自体は普通だ、アリスのような異常な早さはない。中身や強さの方はかなり早いが、それでもアリスほどじゃない。ただ…潜在能力の底が見えない。
単なる『才能限界∞』ってだけじゃなく、多分『向こうの神』でも干渉出来ないし、サボってレベルが下がることもない。だから際限無く強くなれる『成長する神』だな。
成人すれば見た目の成長は止まりそこから不老になるだろうし、この世界の天界の神が存在を良しとしないなら結局こちらで引き取ることになるだろうな。
現時点での人間としての
「将来的には魔王越えは確実か…『向こう』にも気軽には連れていけないわね…」
「派閥戦争終わったらそのへん緩くなると思うから将来的には大丈夫だぞ?それでヘスティア様、ヘファイストス様、もし他の神々に知られたら…」
「狂喜乱舞されて、皆が君達を欲しがるだろうね、ユースティアナ君は…「『ティアナ』でいいですよヘスティア様」ティアナ君が欲しがられるのは当然のこと、クロノ君への女神からのハニトラが絶えなくなるだろうねえ」
「そのへん知らなくても女神様から偶に誘惑されているしね、メイルストラでもアフロディーテ様とか誘惑してきたしね、『ヘファイストス様と仲が良い』って言ったら尻尾を巻いて逃げたけど」
ヘファイストスの顔が「その名前」を聞いた瞬間に歪む。が直後に嬉しそうになる。
「さっすが、クロ!イシュタルやフレイヤの誘いを蹴っただけのことはあるわねぇっざまぁっ」
「ていうか5年前の時点では仕込んでなかったよね、いつデキたの?」
「時系列でいえば、そんなに前じゃない。ちょこちょこ転移で会いに行ってたし。妊娠が発覚した後は別の世界で育てていた。万一にも妊婦のアストレアなんて目撃されるわけにはいかなかったからな。
それでティアが5歳になって手がかからなくなってきたから、こっちに戻ってきたんだ。
「あーあ、ホーちゃんそれ知ったら多分拗ねちゃうよ?『私は数日会えないだけで耐えられないのに、貴方は私と違う時間を沢山過ごしていても平気なんですね!』みたいな」
「俺の武器が完成したら1回向こうに戻るよ、それがそもそも主目的だったしな、ザルド達との『約束』もあるからまたすぐこっちに戻るだろうけど」
「アイリスの力量ならこっちに来れるから、多分遠からず、お忍びで2人だけで来ると思う。それ待てばいいでしょ。アイリスはアリスと会いたがっていると思うからあの娘主導で」
「それにこっちの皆にもあの2人は紹介しておきたいしね、
「じゃああっち待つかそれで、ヘスティア様、少ししたらベル君達のパーティにティアナを加入させるつもりですけど構いませんか?」
「ぬぅわぁんだってぇ?」
「いや、勿論普段はこっちで面倒見ますが、ヘファイストス・ファミリアは、あんまり合ってないですからね、一時期出入りしていたアリスのように鍛冶の才能まではこの娘無いし…
アルテミス・ファミリアや学区に預けることも考えたけど「
訓練やら知識の教育やらは当然こっちで続けますが、この娘の才能考えると、実戦訓練も積ませたい、俺達の所にそのまま入れたら注目度が上がるし、こっそり深層に行かせるのはまだ早い。
ならどこがいいかって、アリスや今のリリちゃんと組んでも折れる様子を見せないベル君の所はぴったりだと思うんですよね、まあベル君がランクアップしてからの話ですよ」
「アレは折れることなど知らんからな」
それまで黙り込んでいたアルフィアが嬉しそうに言う。
「ベル君のランクアップ、か。それなら未だ余裕あるね」
「それなら猪の筋肉バカが17階層に留まって、ミノタウロスを強化種にして技まで仕込んでいるみたいだから…それベル君にぶつけるつもりだと思う。それ超えればすぐに、かな。
数字の上ではレベル3にも届くだろうから普通ならレベル1相手にはオーバーキルだけど…カーラ、フィア?」
「師匠の1人として言いますが、恐らく乗り越えられるかと…ただ、ナイフだけでは流石に厳しいと思うので…」
「ああ、それなら
「それなら問題ないな。せいぜい利用してやればいいさ、あの女神の思惑なんざ…」
(
リリルカは1つ黙っていたことがあった。
それにほんの少し羨ましい気持ちがないわけでもないが…ベルの容姿は伝え聞いていた
なら彼は今世でも英雄になるのだろう。ならここから行われるのは【再演】、フレイヤが用意した舞台というのは気に食わないが介入は無粋、決着も同じになる可能性が高いある意味での出来レースに近いが…
前世のことを自分から話すのはマナー違反だ。主に求められれば話すが、命に関わることでもないし自分から積極的に話す気は無い。リュー・リオンの前世があの軽薄な吟遊詩人だったことなど、面白すぎて、アリーゼ達に話したい気持ちも当然あるのだが…
全てを呑み込んで「準備」に取り掛かるリリルカはなかなかの役者だった。
やばいですね☆
女版ヘラクレス。容姿は幼女アストレアの超美幼女。