振り上げし刃に 天は降り
帰らぬ人に 夜は閉じる
先生の刀へ、俺の刃がぶつかる。
抜くところまで見ていた。受けられることも分かっている。それでも押し込むと、先生の足元から石が割れ、庭へ長い溝が伸びていく。門の向こうで誰かが叫ぶ声を、俺は聞かないふりでやり過ごす。
「ここで刀を振るえば、お主の隊士が死ぬぞ」
それを言われると、次を出せない。先生の肩越しへ、佐伯が見える。負傷した奴を庇って膝をつき、こっちへ顔を上げようとしている。
「……なら、場所を変えようよ」
刀を引き、左手を開く。前に一人で通った荒野なら、家も畑もない。流魂街の外れから更に離れ、夜になっても灯の一つも見えなかったところだ。
【
開いた道の向こうから、乾いた風が入ってくる。庭の土へ砂が混じり、先生の羽織の裾が揺れる。これなら、もう言われずに済む。
「ここなら、止めなくていい?」
先生は答えてくれない。廊下の方へ人の動く気配があり、烈が部屋から出てくるのも分かった。爺さんのところへ行ってくれたのだろう。俺はそちらを見ず、道へ足を向ける。
「俺を止めたい人だけ、来て」
誰も来なければ、そのまま虚圏へ行けばいい。来るなら、そこでどいてもらう。足の下が砂へ変わる頃には、後ろから先生の足音が続いていた。
*
side:京楽春水
酒でも持ってきたかったな。
荒野へ出て、そんなことを考える。見渡す限り、岩と砂ばかりだ。座る場所なら幾らでもあるけれど、今の烏有隊長へ杯を差し出しても、受け取ってはくれないだろう。
浮竹が僕の隣へ来る。その後ろから銀嶺隊長、刳屋敷さん。向こうへ目をやれば、烏有隊長は道を閉じずに待っている。僕らを待つ時の、いつもの笑い顔はない。
「残りも来るよ。閉じないでおくれ」
曳舟隊長が声を掛けると、刀を持つ手が僅かに動く。聞いてはいるらしい。やがて二番隊の
これで十二人。
相手は、一人。
「烏有隊長。まず、刀を下げてくれませんか」
浮竹の声に、あの人が顔を向ける。少しは聞いてくれるかもしれない、と僕まで息を止めてしまう。
「お前さんも、止めるんだね」
浮竹は頷く。刀を下げてほしいと頼んだ手で、自分の柄を握り直している。ああ、そうだよね。誰も、ここで行ってらっしゃいとは言えない。
「夕月、手を押さえよ。久々津、灰庭は足を止める。ほかの者は、抜ける先へ回れ」
山爺が命じる間に、夕月隊長の姿が消える。烏有隊長の左へ入る速さに、僕も一瞬、目を奪われる。道を開く手を先に押さえようというのだろう。
その手首へ届く寸前、烏有隊長が肘を引く。
空いたところへ刀が入り、夕月隊長は身体を捻って躱す。その肩を掴んだ手が、今度は相手を岩へ叩きつける。砕ける音へ、僕は思わず足を出しかける。
〈踏み留めよ、
岩を蹴って戻る夕月隊長が、黒く染まった刀を地面へ刺す。伸びる帯が烏有隊長の影を踏み、前へ出ようとする足を留める。その間に、久々津隊長の刀も形を変える。
〈鳴り縛れ、
小さな鈴のついた鎖が、右腕へ巻きつく。鉤が袖へ掛かり、鳴るたびに鎖が短くなる。夕月隊長は刀を置いたまま白打へ移り、左腕を背へ回そうとしていた。
「夕月。お前さん、こんな時には速いんだねぇ」
烏有隊長が、そちらを見る。
次には夕月隊長の身体が浮いていた。握られた腕ごと持ち上げられ、地面へ落とされる。影を留める黒い帯が弾け、その先にあった刀まで砂から抜ける。
鈴の音が、急に近くなる。
鎖を握った烏有隊長が、久々津隊長を引き寄せたのだ。受けた刀の脇を刃が抜け、肩から血が飛ぶ。まだ離れない鎖を、あの人は二度目の振りで断ち切ってしまう。
〈閉ざせ、
九番隊の
〈照らし焼け、
格子が、こちらへ倒れてくる。
僕と浮竹は左右へ跳ぶ。空いた真ん中へ踏み込んだ
〈轢き砕け、
刀の背へ生まれた鉄輪が回り、頭上から落ちる刃に重さを乗せる。岩なら地面ごと割れる一撃だろう。それを烏有隊長は刀で受け、横へ滑らせる。足を止められたのは、受けた方だった。
鉄舟隊長の腹へ、膝が入る。
僕はその肩を引き、浮竹が前へ出る。打ち込まれた刃を二本で受けても、あいつの足が砂へ沈む。横から刀を入れれば、烏有隊長はこちらを見ずに手首を返してくる。
袖が裂け、腕が熱い。
浮竹を下げるつもりで入ったのに、二人で退くことになってしまう。背後で曳舟隊長が結界を張る。その壁へ烏有隊長の掌が触れ、割れる音が、僕の耳のすぐ傍まで届く。
「破道の九十⸺
鷺宮隊長の声に、黒が持ち上がる。今度こそ足を止めるつもりだ。けれど、囲い切る前に烏有隊長が踏み込み、刀を振る。黒い壁が裂け、その向こうへ鷺宮隊長の顔が見える。
間へ入った銀嶺隊長が、刃を受ける。
救えた。そう思う暇もなく、二人の刀が外れ、銀嶺隊長の胸へ赤い線が走る。その肩を曳舟隊長が支え、灰庭隊長の格子がまた間へ入る。
止めるために作った檻を、もう僕らを守るために使っている。
「烏有!」
刳屋敷さんが斬り込む。正面からだ。あの人らしい入り方だけれど、今は、もう少し待ってほしかった。刀がぶつかる音の後に、胸を斬られた刳屋敷さんが片足を引く。
「こいつらは、貴様を⸺」
「知ってるよ」
烏有隊長は、刃を下げない。
「だから、邪魔しないでって言ってるんだ」
知っていて、斬るのか。
腕へ手を当てながら、僕はあの人の顔を見る。いつか宗玄さんへ見つかる前に食べてしまおうと、菓子を分けてくれた顔だ。今は、僕らが退くかどうかだけを見ている。
「加減を捨てよ」
山爺の声が、背後から響く。
「斬らずに止められる相手ではない。生きて止めるために、全力で掛かれ!」
烏有隊長の口元が、僅かに動く。
「俺を止めたかったら、殺しなよ。まぁ、そんなことを許すわけがないけど」
砂が、足元から持ち上がる。さっきまでの力でも、まだ足りないというのか。僕は刀を握り直し、浮竹の隣へ戻る。山爺と卯ノ花隊長が前へ出るのを見て、ようやく息を吸える。
*
side:卯ノ花烈
受けた腕へ、重さが残ります。
初めの一撃は右からでした。刃の下へ入ろうとすれば、烏有隊長の膝がこちらへ向きます。身体を外へ逃がし、その内腿へ刀を滑らせますが、これでは浅すぎます。皮膚を割った感触はあっても、踏み込みを奪うには足りません。
総隊長の刀が肩へ下り、烏有隊長がそれを受けます。その間に脇へ入り、肘を狙います。あと少しというところで左手に手首を押され、こちらの刀が外へ流れてしまいます。
ですが、そこまででしたら続けられます。
柄を持ち替え、押された方へ身体も回します。その先で袖が裂け、ようやく深く入ったと分かるだけの血が落ちます。
「烈まで、やるんだね」
「刀を納めてくだされば、やめます」
「そっちが先に、やめてよ」
返ってくる刃を受け、足を下げます。踵の下で岩が崩れ、刀を傾けても肩から腕へ響くものがあります。以前に斬り合った時には、こちらが次を選ぶ間まで楽しんでいらっしゃいました。今は、待ってくださいません。
離れれば詰め、受け直すより早く次を振るわれます。首へ向いた刃を流すところで、右の脇腹が熱くなります。手を当てる前に総隊長が間へ入り、燃え上がる刀で烏有隊長を押し返してくださいます。
こちらも、早く戻らなければなりません。
傷を塞ぐ間に、総隊長の腕へ切れ目が増えています。私が治療を続ける分だけ、あの方に受けていただくことになります。流刃若火の炎が横へ広がり、その先から抜けようとする烏有隊長を、総隊長が追っていらっしゃいます。
私たち二人を相手にしながら、まだ先へ行くことを考えていらっしゃるのでしょう。
誰も戻せないと知った部屋へ、もう戻りたくないのかもしれません。あの部屋へ残る方を診た私にも、それは分かります。ですが、その先へ行かせてしまえば、止めようとする者へ、今度は何をなさるのでしょう。
「烏有隊長」
立ち上がり、刀を構え直します。こちらへ向けられた目を見ながら、告げなければならないことを口へ出します。
「私も、厳十斎を戻せません」
今度は、正面から刃が来ます。
逃がさずに受け、私も踏み込みます。ここで退けば、先ほど部屋で確かめたことから目を逸らしたまま、あの方を送り出すことになります。
*
side:山本重國
左の炎を抜け、烏有がこちらへ来る。
袖は燃えておる。その下の腕も焼けておるはずじゃが、止まらん。肩へ刀を入れようとした儂の刃を弾き、そのまま胸へ振ってくる。
受ければ、足が沈む。
踏み直して押し返す間に、卯ノ花が脇から入る。烏有はそちらを受け、儂へは左手を向けた。指先に集まる霊力を刀で払い、空いた腹へ刃を通す。
その手が、儂の刀を掴む。
腹へ入った刃を抜かせず、右の刀を返してきおる。胸が開き、羽織へ血が散る。こやつ、儂が受けると思うたな。自分へ刃を残したまま、こちらを斬りに来るとは。
「退け、烏有!」
霊圧を乗せて押す。卯ノ花がその手を斬り、ようやく刃が離れる。烏有は砂を滑り、腹へ手を当てる間もなく刀を構え直しておった。
卍解させるどころではない。
儂らの血が、既にこれだけ地面へ落ちておる。解放前の身体と刀だけで、皆が揃うた陣を抜け、儂と卯ノ花へも傷を負わせる。
「総隊長、もう一度、こちらへ!」
久々津が叫ぶ。肩へ布を巻き、切れた鎖を繋ぎ直したらしい。灰庭の格子が烏有の背へ立ち、夕月も刀を砂へ戻しておる。倒されても、それぞれ戻ってきたか。
ならば、もう一度じゃ。
儂と卯ノ花で両腕へ斬り込み、下がる先を鎖で塞ぐ。地面へ影が留まり、左右から格子が重なる。曳舟の結界まで外へ張られたところで、烏有の足が止まる。
「刀を放せ!」
烏有が、儂を見る。
次には、檻の中から霊圧が噴き上がる。
格子が曲がり、鎖が千切れる。儂は刀を前へ立て、吹き飛ばされた夕月の前へ入る。卯ノ花も下がる鉄舟を支え、砂へ顔を打ちつける前に引き起こしておった。
崩れた檻の向こうで、烏有が手を上げる。
まだ、行くつもりか。
止めるために足を出したところで、頭上から別の霊圧が下りてくる。見上げずとも分かる。こちらの騒ぎが、ついにあそこまで届いたのじゃ。
「皆、下がれ! 降りてくるぞ!」
春水が浮竹へ腕を貸す。灰庭も久々津を引き、曳舟が銀嶺を連れて離れる。その先へ、大きな柱が空から落ちてくる。
巻き上がる砂の向こうへ、筆を担いだ男が現れる。後ろにも白い衣が見えたが、まずこちらへ歩いてきたのは、兵主部一兵衛その人じゃった。
「……お越しになられたか」
「霊王の命じゃ。随分と、やったのう」
和尚の目が、烏有へ向く。儂は二人の間から退かず、刀を握り直す。
「和尚も、止めるの」
「そうじゃ。おんしを止めに来た」
*
side:烏有
空からまで来るんだね。
和尚の後ろへいる顔を見ても、名前はすぐに出てこない。前に見たような気もするけれど、今は、どちらでもよかった。先生たちと同じように、俺の前へ立つのだろう。
「虚圏へ行くだけだよ」
「そこで、すべての虚を斬るつもりじゃろう」
「先生から聞いたの」
「おんしの力が荒れれば、上でも分かる」
そういうものか。知らなかったよ。なら、行ってからも来るのかな。砂原のどこかで俺を見つけ、また刀を納めろと言うのだろうか。
「刀を納めよ。これは霊王の命じゃ」
「納めなかったら?」
「わしらが、止める」
刀を持つ手へ、力を込める。
指が滑る。柄へ血がついているからだ。爺さんを抱いた時から、ずっとそうだった気がして、握り直してしまう。けれど、手首からも新しく血が落ちている。
先生が、まだ前にいる。
和尚が来たのだから、もう任せればいいのに。その胸へ赤いものが広がっていた。腕にも傷がある。刀を握る指まで濡れているのが見え、俺はようやく左手を下げる。
「先生、怪我してるよ」
「誰が斬った」
答えようとして、口が止まる。
俺だ。
俺が斬った。どいてくれなかったから、刀を入れた。その後も先生が前へ出るたび、また斬ればいいと思っていた。
『お前様。こちらを、ご覧なんし』
ゆめに呼ばれ、先生の後ろへ目を向ける。
京楽が浮竹の腕を押さえていた。銀嶺は胸へ布を当て、曳舟がその横へ座っている。倒れた格子の傍で、久々津が肩を押さえたまま俺を見ていた。夕月は片膝をつき、砂から抜いた刀を杖のように使っている。
皆、俺が通ったところにいた。
そこから動いてくれたので、ようやく道を開けると思っていた。どうして動いたのかまで、見ようとしていなかった。
「……死んでない?」
「今は、誰も」
烈の声がする。その人の脇腹にも、血がついている。俺が斬ったところだ。爺さんを戻せないと言われて、聞きたくなくて、刀を振った。
「これ以上、儂らを斬るか」
先生に聞かれて、首を振ろうとする。すぐには動かない。刀を下げれば虚圏へ行けなくなる。そのことを、まだ考えてしまう。
でも、このままなら。
次には、ここにいる誰かを連れて帰ることになる。
俺が斬った人を、俺が抱えて。佐伯へ部屋を空けてくれと頼んで、また同じように布団へ寝かせる。
「……俺、帰ってきてほしかったんだよ」
刀の先が下がる。先生が一歩近づいても、今度は振り上げられない。
「皆を帰してくれたのは、分かってる。ちゃんと、やってくれた。俺が頼んだこと、全部」
喉が詰まる。それでも、今度は言わなければならない気がする。皆を逃がせたからよかったと、俺が言えなかったことだ。
「でも、爺さんも帰ってきてほしかった。俺、あの人も一緒がよかったんだよ」
先生の足が止まる。刀へ掛けた手を動かさず、俺の顔を見てくれる。朝にはあった爺さんの声を、先生へ話したくなる。先に食っておけとか、漬物まで減らすなとか。そんなことしか、もう出てこない。
「刀を、納めよ」
鞘の口へ刃を合わせる。手が震えて、うまく入らない。もう一度合わせ直し、柄が戻るところまで押すと、足から力が抜けてしまう。
砂へ膝をつく。
先生が俺の刀へ手を伸ばす。差し出せと言われる前に、帯から外して渡す。持っていれば、また手を掛けるかもしれない。今は自分でも、それを大丈夫だと言えなかった。
「俺も、治すよ」
「動くな」
立とうとした肩を、先生に押さえられる。烈が皆の方へ戻るのを、俺はそのまま見送る。手伝いたかった。でも、俺が近づけば、また誰かが刀へ手を掛けるかもしれない。
「お主を拘束する。処分が決まるまで、牢へ入ってもらうぞ」
先生の声が、頭の上へ落ちる。
俺が皆へ刀を向けたことを、なかったことにはできない。先生の命も聞かなかった。ここで斬った誰かが、明日、目を開けるかどうかも、まだ確かめてもらっている。
「……分かったよ」
両手を出すと、灰庭がこちらへ来る。さっきは折ってしまった格子と同じ色の鉄が、手首を囲む。夕月も隣へ膝をつき、そこへ封を重ねる。二人とも、俺が動くかどうか見ている。
動かないよ。
もう、斬らないから。
「先生」
立たせてもらう前に、呼び止める。先生は刀を預ける手を止め、こちらへ顔を向けてくれる。
「爺さん、まだ部屋にいるから」
窓が開いている。机へ紙がある。あのまま俺だけ出てきてしまった。佐伯が見てくれているとは思うけれど、今、誰がそこにいるのかも分からない。
「……一人に、しないであげて」
「分かっておる」
先生が頷く。
その返事を聞いてから、俺は差し出された腕へ手を添える。支えてくれた夕月が、傷ついた方の肩を僅かに引く。そちらへ触れないようにして立つと、周りの者たちが、ようやく刀を下げ始める。
*
牢の戸は、思ったより静かに閉まる。
大きな音がするものだと思っていた。けれど、鉄が重なり、鍵が回るだけで、俺のいるところと廊下が分かれる。明かりは外にあり、座ると格子の影が膝へ落ちる。
手首へ、まだ鉄がある。
外そうと思えば、外せる。その向こうの戸も、壁も。さっき皆が作ったものを、俺は同じ手で壊してきた。
今は、その手を膝へ置く。
「もう、何もしない」
廊下にいた者が、こちらを見る。返事はなかった。俺も、何を言ってもらいたかったのか分からない。ただ、そこへ立つ奴が俺から目を離さないことだけは、よく分かる。
『お前様』
「……いるんだね」
『ええ。ここに』
腰へ刀はない。それでも、ゆめの声がする。いつもなら会いに行く前に顔くらい洗うのだけど、今日は爪の間まで血が残っている。手を隠す場所もなく、指を丸めて膝へ寄せる。
明日、皆へ何を言おう。
京楽へ、浮竹へ。傷はどうだいと聞くのか。烈が治してくれたならよかったと、俺が言うのか。いつものように声を掛けたところで、皆がいつものように返してくれるとは思えない。
佐伯にも、伏見にも、まだ帰ってきてくれてよかったと言っていない。
言えるうちに、言えばよかった。
「ゆめ」
『はい』
「爺さん、もう帰ってこないんだね」
返事を待つ間に、廊下へ顔を向ける。ここまで来て、何をしておると叱られるところを思い浮かべてしまう。飯は食ったかと聞かれて、まだだよと返せば、まず食えと言われる。
宗玄に、また叱られるよ。
そう言って笑う相手も、もういない。
『……ええ』
ゆめの声を聞いて、ようやく顔を伏せる。廊下で足音が遠ざかり、代わりの者が持ち場へつく。俺を一人にしないためではないと分かっているのに、その音まで待ってしまう。
今夜は、どこにも行かない。
行けないことにしてもらった場所で、俺はようやく、爺さんを呼んで泣いた。