東方竜狩郷 ~幻想郷の狩人少女達~   作:幻想入りしたガンサー

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第二十一話:名乗らない師匠(悪霊)

~博麗神社 縁側~

 

――夜の縁側に、湯呑みが二つ並んでいる。

 片方は霊夢の、もう片方は誰のものでもない。客用の湯呑みだ。その湯呑みの縁に、半透明の指が一本、所在なげに掛かっていた。

 

「……あんたねぇ。飲めないのに毎晩お茶を淹れさせるの、やめてくれない?」

 

 霊夢が言うと、湯呑みの向こうで緑の長い髪が揺れた。

 縁側の板の上を、霊体の尾が煙のように漂っている。神社に居着いて久しい悪霊『魅魔』だ。

 

「なんだい。湯気くらいは楽しませておくれよ。香りってのは、霊にも届くもんさ」

「届いたところで、出涸らしになるのは私のお茶なのよ」

「ケチだねぇ」

 

 魅魔は湯呑みから指を離し、夜の境内を眺めた。

 石灯籠の火が、風に揺れている。本殿の裏の方からは、時々、祠の扉の前を掃く箒の音が聞こえてきた。門番は、夜も扉の番を欠かさない。

 

「――そういや魔理沙のやつ、最近見ないね」

 

 ふと魅魔がポツリと、何でもないことのように言った。

 

「来てたわよ、昼間。依頼票をヒラヒラさせて、自慢しに」

「へぇ。何の依頼だい」

「魔法の森の外れのキノコ採りの場所に、変な猿が出るんですって。鼻から水を吹いて、木から木へ飛び移る、耳のでかいやつ。キノコ採りの婆さんが追い回されて、籠を三つ駄目にしたとか」

「猿、ねぇ」

「アリスは人形の修理で手が離せないって断ったらしいわ。だから、クスネと行くって。明日の朝から」

 

 霊夢は湯呑みを傾けた。

 

「――『新しい弾を試すのに丁度いい』って、楽しそうだったわよ」

 

 魅魔は黙って夜空を見上げ――しばらくして、霊体の尾がフワリと縁側から浮き上がった。

 

「――ちょいと、散歩してくるかねぇ」

「こんな夜中に?」

「悪霊が夜中に散歩しないで、いつ散歩するんだい」

 

 魅魔は鳥居の方へ漂っていく。青いローブの背が、石灯籠の明かりの外へ溶けていく。

 霊夢は魅魔が残していった湯呑みを見下ろした。湯気は、もう立っていなかった。

 

「……過保護ねぇ」

 

 霊夢は小さく呟き、自分のお茶を飲み干した。

 


~魔法の森 霧雨魔法店~

 

――朝の魔法の森は、湿った菌の匂いがする。

 

 巨大な茸の傘の下に、一軒の家が埋もれるように建っていた。看板には『霧雨魔法店』とある。店というより、物置と研究室を足して二で割らなかったような家だ。窓という窓の前に、瓶と本と得体の知れない道具が積み上がっている。

 その家の土間で、魔理沙は作業台に覆い被さっていた。

 作業台の上には、魔砲重弩『恋色彗星』が分解されて並んでいる。銃身、機関部、銃床、弾倉。継ぎ足しだらけの部品が、色も素材もばらばらに散らばっていた。その真ん中に、掌に乗るほどの八角形の炉――ミニ八卦炉が置いてある。

 

「……よし。これで、どうだ」

 

 魔理沙は八卦炉を機関部の脇の金具に嵌め込み、ネジを締めた。それから、作業台の端の小箱から、弾を一発摘み上げる。赤い紙で巻いた、ずんぐりとした弾。

――見た目は[火炎弾]のそれだ。

 ただし、普通の火炎弾ではない。魔理沙が一晩かけて火薬の配合を変え、着弾した時の火の回りを倍にした、自作の弾だった。

 

「八卦炉の熱で薬室を温めておけば、撃った瞬間に火薬が一気に燃える。燃え方が速けりゃ、炎も遠くまで届く。――理屈の上ではな」

「理屈の上では、ニャ」

 

 作業台の下から、かすれた声が聞こえる。

 作業台の脚に背中を預けて、クスネが魔理沙を見上げていた。両手にネコピックを大事そうに抱えている。

 

「この前も『理屈の上では』って言って、屋根に穴を開けたニャ」

「あれは八卦炉の火加減を間違えただけだ。今度は大丈夫だぜ」

「その前は、竈を吹き飛ばしたニャ」

「……あれは、火薬の量を間違えただけだ」

「その前は――」

「分かった、分かった。――今回は外で撃つ。猿が相手なら、的には困らないだろ」

 

 魔理沙は恋色彗星(得物)を手早く組み立て直す。銃身を嵌め、機関部を締め、銃床を付ける。最後に弾倉へ、自作の[火炎弾]を五発込める。

 組み上がったヘビィボウガンを、背に負う。重さで少しよろけ、それから足を踏ん張った。

 作業台の隅に、紐で綴じた古い帳面が置いてある。表紙は擦り切れ、角は丸くなっていた。魔理沙は帳面を手に取り、一頁だけ捲った。

 頁の真ん中に、癖のある大きな字で一行だけ文が書いてある。

 

――『溜めて、一気に撃て。半端に撃つな』

 

 魔理沙はその一行をしばらく眺めていた。それから帳面を閉じ、作業台の引き出しの奥に仕舞った。

 

「行くぜ、クスネ」

「……ニャ」

 

 クスネは、魔理沙が閉じた引き出しをちらりと見た。それから、ネコピックを背負い直して、魔理沙の後を追った。

 


~魔法の森 入口~

 

――森の入口の倒木に、老婆が一人腰掛けていた。

 背を丸め、膝の上に、底の抜けた竹籠を抱えている。籠の目には、乾いた粘液が白く固まっていた。人里で茸を売っている、茸採りだ。依頼票を出したのもこの老婆だった。

 

「婆さん、来たぜ。依頼を受けた魔理沙だ」

 

 魔理沙が声を掛けると老婆は顔を上げ、目を細めた。

 

「おや、霧雨さんとこのお嬢ちゃんかい。大きくなったねぇ」

「……お嬢ちゃんはやめてくれ。今日はハンターとして来てるんだ」

「そうかい、そうかい。そっちの猫ちゃんも、ハンターかい」

「魔理沙のオトモニャ」

 

 クスネが胸を張った。老婆は皺だらけの顔をほころばせ、それから膝の上の籠を撫でた。

 

「この籠で三つ目さね。採り場で茸を摘んでたら、上からいきなり、バシャッと水を掛けられてねぇ。見上げたら、木の上に大きな猿がぶら下がってたのさ。耳がこう、傘みたいに広がってて、鼻がずうっと長いんだ」

「鼻から水を吹いたんだな」

「そうさ。その水がまた、ネバネバしててねぇ。体に掛かると重くて重くて、ちっとも走れやしない。息が上がるのも、いつもより早くてねぇ。籠を放り出して、這うようにして逃げてきたよ」

 

 魔理沙は帳面を開き、老婆の話を書き留めた。

 

――『水を浴びると体が重くなり、息が切れやすくなる』

 

「いつ頃から出るようになったんだ?」

「ほんの十日ばかり前さね。あの採り場には、もう五十年通ってるけど、あんな猿は見たことがない。森の奥の、もっと北の方に棲んでるもんだと、亡くなった爺さんは言ってたけどねぇ」

「北の方から、降りてきたってことか……」

 

 魔理沙は筆を止めた。

――北。阿求の地図の上で、朱の矢印が向いていた方角だ。

 

「あぁ、それとねぇ」

 

 老婆が思い出したように続ける。

 

「今朝、夜明け前に厠に起きたらね。森の方へ、青い灯りがスウッと飛んでいくのが見えたのさ。鬼火かと思ったけど、怖い感じは、ちっともしなかったねぇ」

 

 クスネの耳がピクリと動いた。

 魔理沙は帳面から顔を上げずに口を開く。

 

「……人魂でも迷い込んだんだろ。森はそういうのが多いからな」

「そうかい。お嬢ちゃんが言うなら、そうなんだろうねぇ」

 

 老婆は籠を抱え直し、よっこらしょと立ち上がった。

 

「気を付けてお行き。茸は逃げないけど、お嬢ちゃんは一人しか居ないんだからね」

「分かってるよ。茸の採り場は、ちゃんと取り返してやるぜ」

 

 魔理沙は帽子の鍔を軽く持ち上げて見せ、森の中へ踏み込んだ。

 森の小道を歩きながら、魔理沙はさっきの帳面のことを考えていた。

 

――あの帳面を貰ったのは、まだ背が今の半分くらいしかなかった頃だ。

 道具屋の実家を飛び出して、魔法の森に転がり込んで、右も左も分からなかった頃。毎晩のように、青い影がふらりと現れては、魔理沙が撃つ魔法の弾を眺めていた。

 

――『半端に撃つんじゃないよ。そんなへなちょこ弾、妖精だって避けやしない』

――『溜めな。溜めて、溜めて、これ以上は無理だってとこで――一気に撃つんだ』

 

 何度も言われた。何百回と撃って、何百回と叱られた。叱られる度に、帳面に書いた。帳面の最初の一頁にだけは、魔理沙ではなく、青い影が自分で書き込んだ。癖のある、大きな字で。

 

――そしていつからか、あの青い影は来なくなった。

 『もう教えることはない』とも、『免許皆伝だ』とも言わなかった。ある日フッと来なり、気が付けば、博麗神社の縁側で霊夢のお茶の湯気を眺めるようになっていた。

 神社で顔を合わせれば、普通に話す。軽口も叩く。だが、魔法の話になると、決まってはぐらかされた。

 

――『私は、ただの通りすがりの悪霊さ』

 

「……通りすがりが、何年居座ってんだか」

「何か言ったニャ?」

「何でもない」

 


~魔法の森の外れ 茸の採り場~

 

――森の外れの採り場は、ひどい有様だった。

 苔むした倒木が何本も横たわる、薄暗い窪地だ。倒木の上や根元には、色とりどりの茸が生えている。里の茸採り達が、代々大事にしてきた場所だった。

 その茸が、あちこちで踏み潰され、千切られ、食い散らかされていた。

 魔理沙は窪地の縁にしゃがみ込み、潰れた茸の一つを指で摘み上げた。

 

「……ベタベタだな」

 

 茸の傘に、透明な粘液がべっとりと絡みついている。指を離すと、糸を引いた。水のようで、水ではない。乾きかけた所は、薄く膜を張ったように固まっていた。

 クスネが、粘液の付いた茸に鼻を近付け、すぐに顔を顰めた。

 

「生臭いニャ。……これ、鼻水ニャ」

「鼻から水を吹くって話だからな。婆さんの籠を駄目にしたのも、これだろ」

 

 魔理沙は立ち上がり、窪地を見回した。

 粘液は、茸の上だけではなかった。倒木の幹にも、苔にも、木の根元の落ち葉にも、点々と飛び散っている。飛び散り方に、向きがあった。窪地の真ん中から、外へ向かって扇のように広がっている。

 

「ここから吹いたんだな」

 

 魔理沙は窪地の真ん中に立ち、粘液の飛んだ方を目で追った。

 一番遠くの粘液は、窪地の縁の楢の幹に付いていた。地面から人の背丈の倍ほどの高さに。

 

「……上から吹いたのか?」

 

 魔理沙は楢を見上げた。

 楢の太い枝が、一本だけ不自然にしなっていた。枝の樹皮が、何かに巻き付かれたように擦り剥けている。輪のような擦り跡が、枝の付け根から先まで、三つ、四つと続いていた。

 

「尻尾ニャ。尻尾で枝にぶら下がった跡ニャ」

 

 クスネが、木の幹に爪を立てて少しだけ登り、擦り跡を覗き込んだ。

 

「太い尻尾ニャ。猿にしては、でかすぎるニャ」

「だろうな」

 

 魔理沙は帽子の鍔を押し上げた。

 楢の根元の落ち葉の上に、足跡が残っていた。四つ足。前脚の跡は、人の手のように指が長い。後ろ脚の跡は、それより少し大きい。前脚の指の間に、薄い膜の跡のような、ぼやけた縁取りが残っている。

 

「飛膜があるのか。……滑空するんだな、こいつ」

 

 魔理沙は、腰の帳面を取り出して足跡を写した。指の数、長さ、膜の跡。帳面の端に、粘液の飛び方と、楢の擦り跡の高さを書き添える。

 クスネが、魔理沙の手元を覗き込んだ。

 

「魔理沙、いつも書くニャ」

「書かないと忘れるだろ」

「魔理沙は忘れないニャ」

「忘れないために書くんだよ。……昔、そう言われたんだ」

 

 魔理沙は帳面を閉じた。

 窪地の奥、森の深い方へ、足跡は続いていた。所々で途切れ、また少し先の木の根元から始まっている。木から木へ飛び移り、時々地面へ降りて、また木へ登る。そうやって、森の奥へ移っていったらしい。

 足跡の脇に、齧りかけの果実が落ちていた。森の奥でしか実らない、赤い木の実だ。噛み跡の歯形は小さく、細い。

 

「茸と木の実を食ってるのか。肉食じゃないんだな」

「食いしん坊ニャ。籠ごと茸を持ってったって、婆さんが言ってたニャ」

「籠ごとか……」

 

 魔理沙は、森の奥を見た。

 その時、クスネの背中の毛が、ブワリと逆立った。

 尻尾が太く膨らみ、耳が後ろへ倒れる。クスネは魔理沙の足元へ跳び退き、窪地の反対側の茂みを睨みつけた。

 

「――どうした、クスネ」

「……何か、居るニャ」

 

 魔理沙は、背のヘビィボウガンに手を掛けた。

 茂みは、静かだった。風が葉を揺らす音だけがする。何も動かない。

 クスネは、しばらく茂みを睨んでいた。それから、毛を逆立てたまま、小さく首を傾げた。

 

「……居なくなったニャ」

「猿か?」

「猿じゃないニャ。もっと、こう……」

 

 クスネは、言葉を探すように髭を震わせた。

 

「……冷たいニャ。冷たくて、懐かしい匂いニャ」

「何だそりゃ」

 

 魔理沙は茂みをもう一度見たが、やはり何も居なかった。

 クスネの毛が、少しずつ元に戻っていく。だが尻尾の先だけは、まだ膨らんだままだった。

 

「……気のせいだろ。森は色んな匂いがするからな」

 

 魔理沙は肩を竦め、足跡を追って森の奥へ歩き出した。

 クスネは、魔理沙の後ろについて歩きながら、何度も後ろを振り返った。

 


~魔法の森 樹上の回廊~

 

――森の奥へ進むほど、空が遠くなる。

 巨大樹の枝が何層にも重なり合い、陽の光を細い筋にして地面へ落としている。枝と枝の間には太い蔓が何本も垂れ下がり、森の天井に網を張ったようだった。足元は湿った苔で、踏むたびに靴が沈む。

 足跡は、ここで地面から消えていた。

 魔理沙は頭上を見上げた。蔓の何本かに、粘液がこびり付いて光っている。蔓から蔓へ、樹上を移っていったのだ。

 

「上か……」

 

 ヘビィボウガンを背から下ろし、畳んだ銃身を開く。銃床を腰に当て、腰だめに構えた。重い。だが、この重さが一発の重さになる。

 

「クスネ。上を見とけ。私は下を見る」

「ニャ」

 

――その時、頭上の蔓が、ぎしりと鳴った。

 魔理沙とクスネが、同時に見上げた。

 巨大樹の太い枝から、何かがぶら下がっていた。

 

――太い尻尾を枝に巻き付け、逆さまに垂れ下がっている。灰色がかった紫の毛並み。前脚は長く、指の間に薄い膜が張っている。顔の両脇には、体と同じくらい大きな耳が、傘のように広がっていた。そして顔の真ん中から、象のように長い鼻が、ゆらゆらと揺れている。

 逆さまの顔が、魔理沙を見下ろしていた。

 長い鼻の先から、ぽたりと粘液が一滴、落ちてきた。

 

――『奇猿狐:ケチャワチャ』*1

 

 ケチャワチャは、森の樹上で暮らす牙獣だ。尻尾と長い前脚で枝から枝へ渡り、木の実や茸を探して森を巡る。大きな耳は物音をよく拾い、驚くと顔を覆う盾にもなる。

 

「……デカい猿だな、本当に」

 

〈キキ……!〉

 

 魔理沙が呟いた瞬間、ケチャワチャの鼻が、プクリと膨らんだ。

 

「――吹くニャ!」

 

 クスネの叫びと同時に、鼻先から水が噴き出した。

 細い水の筋が、上から真っ直ぐに飛んでくる。魔理沙は横へ跳んだ。水は魔理沙の居た苔を打ち、苔ごと地面を抉る。飛沫がかかった帽子の鍔が、ズシリと重くなる。

 粘つく水だ。帽子に、服に、べっとりと張り付いて、布が体に纏わりつく。腕を上げるだけで、いつもより重い。

 

「……っ、気持ち悪いな、これ!」

 

 ケチャワチャが、枝から尻尾を解いた。

 前脚を大きく広げる。指の間の膜がぴんと張り、ケチャワチャの体が宙を滑った。滑空だ。枝から枝へ、音もなく飛び移り、魔理沙の背後の木の幹に張り付く。

 

「速いな……!」

 

 魔理沙は体ごと振り返り、腰だめのまま狙いを付けた。だが、ケチャワチャはもう幹を蹴って、別の枝へ跳んでいる。照準が追いつかない。

 魔理沙は自分の手を見た。

 粘つく水を浴びた腕が、ひどく重い。ヘビィボウガンを構え直すだけで、息が上がる。胸の奥が、全力で走った後のようにぜいぜいと鳴っていた。

 

「……婆さんの言ってた通りだな。これが、[水やられ]か」

 

 浴びた粘液が、体の動きも、息の続きも奪っていく。長くは保たない。

 ケチャワチャが、再び尻尾で枝にぶら下がった。

 逆さまのまま、体をぐるりと捻る。鼻を膨らませ――ぶら下がったまま、体ごと回転しながら、水を吹き撒いた。

 水の筋が、輪を描いて森の底を薙ぎ払う。苔が抉れ、倒木の茸が弾け飛ぶ。魔理沙は倒木の陰へ転がり込み、クスネを抱えて伏せた。頭の上を、水の筋が唸りを上げて通り過ぎていく。

 

「上から撒かれちゃ、狙いが付けられないぜ……!」

 

 倒木の陰から銃口だけを出し、一発撃った。火炎弾はケチャワチャの脇の枝を掠め、葉を焦がして森の奥へ消える。外れだ。

 

「……ちっ、残り四発」

 

 クスネが、ネコピックを背から外した。

 

「魔理沙、落とすニャ!」

 クスネは、懐からどんぐりの形をした小さな玉を取り出した。[閃光爆弾の技]だ。それを、枝の上のケチャワチャ目がけて放り投げる。

 カッ、と白い光が弾けた。

 

〈キキャアッ!?〉

 

 ケチャワチャが目を押さえ、尻尾が枝から滑った。そのまま、背中から苔の上へ落ちてくる。ドスン、と地面が揺れた。

 

「でかしたぜ、クスネ!」

 

 魔理沙は、もがくケチャワチャに銃口を向けた。

 引き金を絞る。

 ズドン――と腰から背へ反動が抜けた。自作の火炎弾がケチャワチャの肩に食い込み、炎が毛並みを舐める。ケチャワチャが悲鳴を上げ、地面を転がった。

 

「効いてる!火に弱いってのは、本当らしいな!」

 

 魔理沙は二発目を撃った。炎がケチャワチャの脇腹に、背に、次々と燃え移る。

 ケチャワチャが、跳ね起きた。

 毛並みの焦げた所から煙を上げながら、後ろ脚で立ち上がる。そして――大きな耳を、顔の前でぴたりと閉じた。

 

〈ギャアァァァッ!〉

 

 二枚の耳が、顔を覆う仮面になる。目も、鼻の付け根も、耳の向こうに隠れた。耳の縁が赤く充血し、毛並みが逆立っていく。――怒り状態だ。

 

「……閃光は効かないってことか」

「目を隠したニャ。光っても遮られて見えないニャ」

 

 ケチャワチャが、耳の仮面のまま前脚を振り回した。

 長い前脚が、魔理沙の目の前の苔を薙ぐ。魔理沙はヘビィボウガンを抱えたまま後ろへ転がった。重い得物を抱えての転がりは、いつもより一拍遅い。粘つく水を吸った服が、動きをさらに鈍らせていた。

 ケチャワチャが、鼻を膨らませた。

 耳の仮面の隙間から突き出た鼻先が、魔理沙を狙う。

 

「――っ!」

 

 水の筋が、ヘビィボウガンの銃口をまともに打った。

 ジュウッ、と銃身の中で音がした。八卦炉で温めていた薬室に、粘つく水が流れ込んだのだ。白い湯気が、機関部の隙間から噴き出す。

 

「くそっ、薬室が……!」

 

 魔理沙は引き金を絞った。しかしカチリ、と乾いた音がしただけだった。火炎弾は撃ち出されない。湿った火薬が、燃えないのだ。

 ケチャワチャが、樹上へ跳んだ。

 尻尾で枝に巻き付き、逆さまに垂れ下がる。真上から、魔理沙を見下ろした。耳の仮面の向こうで、何かが光った気がした。

 

――真上から、来る。

 

「っくそ……!」

 

 魔理沙は立ち上がろうとして、粘液まみれの苔に足を取られた。膝をつく。ヘビィボウガンは重く、湿った薬室からはまだ湯気が上がっている。

 

「クスネ、離れてろ!」

「嫌ニャ!」

 

 クスネが、魔理沙の前へ飛び出した。

 背中に、自分の体より大きなタル爆弾を抱えている。[特大タル爆弾の技]だ。クスネはそれを抱えたまま、ケチャワチャのぶら下がる枝の真下へ駆け込んでいく。

 

「馬鹿、やめろクスネ!」

 

 ケチャワチャの長い前脚が、真上から振り下ろされた。

 クスネはタル爆弾ごと弾き飛ばされ、苔の上を転がった。導火線の火が、ぷすりと消える。タル爆弾は、クスネの腕から転げ落ちて、木の根の窪みで止まった。

 

「クスネ!」

 

 クスネは、苔の上で目を回していた。

 ケチャワチャが、尻尾を枝から解きかけた。

 前脚の膜を広げ、真上から魔理沙の上へ、滑り落ちてくる――

 

――その瞬間、ケチャワチャのぶら下がっていた枝の付け根で、何かが光った。

 三日月のような、細い光だった。

 次の瞬間――太い枝が付け根から音もなく断ち斬られた。

 

〈ギャァッ!?〉

 

 枝ごとケチャワチャが落ちて来る。

 尻尾を巻き付けていた枝が、そのまま宙に放り出されたのだ。滑り落ちる体勢を崩されたケチャワチャは、膜を広げる間もなく、魔理沙の目の前の苔へ叩き付けられた。ドスン、と森の底が揺れ、粘液混じりの苔が飛び散る。

 魔理沙は、膝をついたまま、それを見ていた。

 

「……何だ、今の」

 

 答える者は居なかった。断ち切られた枝の付け根からは、白い木屑がぱらぱらと落ちている。それだけだった。

 

〈キィ……!ギュルル……!〉

 

 ケチャワチャが、耳の仮面の向こうで呻いた。前脚で苔を掻き、起き上がろうとしている。

 考えるのは、後だ。

 魔理沙はヘビィボウガンの機関部を開いた。薬室から、粘つく水がどろりと流れ出る。湿った火炎弾を指で掻き出し、苔の上へ捨てた。袖で薬室の中を拭う。粘液が糸を引いて、なかなか取れない。

 

「……くそ、取れろって……!」

 

 拭いて、拭いて、それでも薬室の奥は濡れていた。このまま次の弾を込めても、また火薬が湿気るだけだ。

 ケチャワチャが、片膝を立てた。

 魔理沙の目が、機関部の脇に嵌めた八角形の炉に落ちた。

 

――『溜めて、一気に撃て。半端に撃つな』

 

 帳面の一行が、頭の中で鳴った。

 

「……そうかよ」

 

 魔理沙は八卦炉の火口を、薬室の方へ捻った。

 八卦炉に魔力を流し込む。炉の中で、小さな火が唸りを上げた。熱が金具を伝って機関部へ流れ込み、薬室の中の粘液が、ジュウジュウと音を立てて泡立ち始める。白い湯気が、機関部の隙間から噴き出した。

 さっきとは逆だ。湯気が出るほど薬室が乾いていく。

 魔理沙は、弾倉に残った最後の火炎弾を薬室に送り込んだ。

 

――八卦炉の火を、止めない。

 

 熱が薬室を満たしていく。銃身が熱を帯び、握った手袋の上からでも熱い。機関部の金具が、きぃん、と細く鳴り始めた。

 

――まだだ。

 

 指が引き金に掛かったまま震える。今撃てば、弾は出る。出るが、それは半端な一発だ。耳の仮面に弾かれて、怒りを煽るだけで終わる。

 昔、何百回と叱られた。撃ち急いで、彼女が言うへなちょこ弾をばら撒いて、その度に青い影が溜息をついた。

 

――『怖いから撃つんだろ。怖いから、早く撃って楽になりたいんだ。それじゃ、いつまで経っても半端だよ』

 

――怖い。今だって怖い。目の前には自分の三倍もある猿が居て、クスネは倒れていて、体は粘液で鉛のように重い。

 それでも、魔理沙は待った。

 ケチャワチャが、立ち上がった。

 耳の仮面を閉じたまま、鼻を膨らませる。仮面の縁が、怒りで真っ赤に染まっていた。

 

――まだだ。

 

 鼻先が、魔理沙を向いた。

 魔理沙は銃床を腰に押し当て、両足で苔を踏みしめた。粘液まみれの靴が滑る。それでも、踏ん張った。

 八卦炉が、白く光った。

 

「――溜めて、一気に!」

 

 ケチャワチャの鼻から、水が噴き出すのと同時だった。

 

「――ぶちかますッ!」

 

 魔理沙は、引き金を絞った。

 

――ドォン!

 

 反動が、腰から背骨を突き抜けた。

 魔理沙の体が、後ろへ吹き飛ばされる。視界がぐるりと回り、背中から苔の上へ落ちた。

 銃口から飛び出した火炎弾は、向かってくる水の筋をまともに突き破った。水が一瞬で白い湯気に変わり、その湯気を引き裂いて、炎の塊がケチャワチャの耳の仮面に叩き込まれる。

 火が、弾けた。

 耳の仮面が炎に包まれ、ケチャワチャの全身へ燃え広がる。焦げた毛の匂いが、辺りいっぱいに広がった。

 

〈キキャアアアアッ?!〉

 

 ケチャワチャが、耳を大きく開いた。仮面が解け、焼け焦げた耳の下から、怯えた目が覗く。

 ケチャワチャは魔理沙に背を向けた。尻尾で手近な蔓を掴み、体を引き上げる。煙を引きながら枝から枝へ渡り、膜を広げて滑空し、森の奥へ消えていく。

 蔓の揺れる音が、遠ざかっていく。

 やがて、それも聞こえなくなった。

 

――魔理沙は、苔の上に大の字に寝転がったまま、木の天井を見上げていた。

 

「……は、ははっ」

 

 笑いが、喉の奥から勝手に出てきた。

 

「撃てた……撃てたぜ……!」

 

 腕が痺れて、上がらない。背中は粘液でぐっしょりだ。帽子はどこかへ飛んでいった。それでも、笑いが止まらなかった。

 ヘビィボウガンは、魔理沙の横に転がっていた。銃口からまだ薄く煙が上がり、八卦炉は静かに冷えていく。

 

「……ニャ……?」

 

 木の根元で、クスネが身じろぎした。

 

「クスネ!」

 

 魔理沙は跳ね起き――ようとして背中の痛みに呻き、四つん這いでクスネの所へ這っていった。

 クスネは、目をパチパチ瞬かせながら起き上がった。頭の上に、苔が一房乗っている。

 

「……猿は、どこ行ったニャ?」

「追い払った。私が撃ったんだぜ」

「魔理沙が、ニャ?」

「そうだよ。湿気た薬室を八卦炉で乾かして、溜めて、一発。ドカン、だ」

 

 クスネは、魔理沙の顔をじっと見た。それから、焦げて煙を上げる苔を見た。

 

「……屋根に穴、開けなかったニャ」

「開けるか、森の中で」

 

 魔理沙はクスネの頭の苔を払ってやった。クスネが、喉の奥で小さくゴロゴロと鳴らした。

 


 

――狩猟の跡を、魔理沙は一つずつ確かめた。

 帽子は低い枝に引っ掛かっていて、クスネが木に登って取ってきた。タル爆弾は木の根の窪みで湿気ていたが、壊れてはいなかった。

 苔の上に、何かが落ちていた。

 魔理沙はそれを拾い上げた。焼け焦げた、薄い皮の切れ端だ。手のひらより大きく、縁が細かく波打っている。裏には、細い血管が網目のように走っていた。

 

「……耳の欠片だ」

 

 最後の一発で、耳の仮面の縁が千切れ飛んだのだ。

 

「耳が欠けたら、もう顔を完全に隠せないニャ。あの猿、しばらくは森の奥で大人しくしてるニャ」

「だといいけどな。……北の方から降りてきたってのが、気になるぜ」

 

 魔理沙は耳の欠片を素材袋に仕舞い、帳面に一行書き足した。火に弱い。耳は焼くと千切れる。それから、少し迷って、もう一行。

 

――『北から、降りてきた』

 

 最後に、魔理沙は断ち切られた枝の所へ行った。

 大人の胴ほどもある、太い枝だった。その切り口を、魔理沙は指でなぞった。

 滑らかだった。鋸で挽いた跡も、斧で叩いた跡もない。ただ一度で、すっぱりと断たれている。切り口は真っ直ぐではなく、わずかに弧を描いていた。

 

――三日月の形だ。

 

 クスネが、切り口に鼻を近付けた。

 その瞬間、クスネの背中の毛が、また逆立った。尻尾が膨らみ、耳が後ろへ倒れる。

 

「……さっきの匂いニャ。冷たくて、懐かしい……」

 

 クスネは鼻をひくつかせ、それから、ゆっくりと毛を寝かせた。

 

「でも、もう怖くないニャ。……優しい匂いニャ」

 

 魔理沙は、黙って切り口を見ていた。

 三日月。冷たくて、懐かしい匂い。

 

――『溜めて、一気に撃て』

 

 魔理沙は立ち上がり、森の奥へ向かって、大きく息を吸った。

 

「――魅魔様っ!」

 

 声が、巨大樹の幹に跳ね返って、森の奥へ吸い込まれていった。

 返事は何もなかった。

 葉擦れの音と、遠くで鳴く鳥の声。それだけが、森に残った。

 魔理沙は、しばらく森の奥を見ていた。それから帽子を被り直し、鍔をぐいと引き下げた。

 

「……へっ。名乗りもしないで、いいとこだけ持っていきやがって」

「魔理沙、嬉しそうニャ」

「……嬉しくない」

「尻尾が揺れてるニャ」

「尻尾なんか無いだろ、私には」

 

 魔理沙はヘビィボウガンを背負い直し、重さに少しよろける。それから足を踏ん張って、森の出口へ歩き出した。

 クスネは、もう後ろを振り返らなかった。

 


~博麗神社 境内~

 

――夕方の境内に、泥だらけの魔法使いが転がり込んできた。

 

「――霊夢!聞いてくれ!」

 

 縁側で洗濯物を畳んでいた霊夢は、顔を上げて、それから露骨に眉を顰めた。

 

「……何よ、その格好」

 

 魔理沙の白黒の服は、乾いた粘液でゴワゴワに固まっていた。帽子の鍔は焦げ、頬には煤が付いている。後ろからついてきたクスネも、毛並みがあちこち束になって逆立っていた。

 

「猿を追い払ってきたんだよ。『ケチャワチャ』っていうんだ。あいつ、鼻水を吹くし、ぶら下がって回るし、怒ったら耳で顔を隠すしでさ」

「その恰好で縁側に上がらないでよ。拭くの私なんだから」

「最後の一発でな、こう、溜めて、ドカンだ!」

 

 魔理沙は、両手で何かを抱える格好をして、そのまま後ろへ大きく仰け反って見せた。霊夢は、洗濯物を畳む手を止めなかった。

 

「ふうん。良かったじゃない」

「……それでな、霊夢」

 

 魔理沙は、急に声を落とした。

 

「……危ない所で、誰かが枝を斬ったんだ。猿のぶら下がってた枝を、付け根から、スパッと。切り口が、三日月みたいな形でさ」

 

 霊夢の手が一瞬だけ止まった。

 

「……三日月、ね」

「森の奥に向かって呼んでみたけど、返事はなかった」

 

 魔理沙は、鳥居の向こうの空を見た。夕焼けが、山の端を赤く染めている。

 

「……魅魔様は、今どこに居る?」

「散歩よ。昨日の夜から」

「昨日の夜から?」

「悪霊の散歩は長いんですって」

 

 霊夢は畳んだ手拭いを重ね、魔理沙の顔を見ずに言った。

 

「何か、伝えとく?」

 

 魔理沙は、しばらく黙っていた。それから、焦げた帽子の鍔を引き下げた。

 

「……いいよ。どうせ、知らないって言うに決まってる」

「でしょうね」

「それに、礼なんか言ったら調子に乗るだろ」

「あんたがね」

「私がかよ」

 

 魔理沙は笑い、ヘビィボウガンを背負い直した。

 

「帰って、こいつの薬室を一から組み直す。八卦炉の熱の通り道を、最初から作っとけば、湿気ても撃てるはずなんだ。――理屈の上ではな」

「理屈の上では、ニャ」

 

 クスネが、魔理沙の足元で繰り返した。

 二人の背中が、石段の向こうへ消えていった。霊夢は、畳み終えた洗濯物の山を見下ろし、小さく溜息をついた。

 

「……まったく。師匠も弟子も、揃って素直じゃないんだから」

 


~博麗神社 縁側~

 

――その夜も、縁側には湯呑みが二つ並んでいた。

 霊夢が自分の湯呑みに口を付けた時、鳥居の方から、青い影が漂ってきた。

 

「――遅かったわね。散歩にしては」

「悪霊の散歩は長いのさ」

 

 魅魔は縁側へ漂い寄り、客用の湯呑みの前に収まった。湯気の立つ湯呑みに、半透明の指を掛ける。

 霊夢は、魅魔の青いローブの裾に目を留めた。

 裾の端に、透明な何かが、べっとりとこびり付いていた。乾きかけて、糸を引いている。

 

「……それ、何?」

「ん?」

 

 魅魔は、自分の裾を見下ろした。それから、何でもないように手で払った。粘液は霊体の指をすり抜けて、ローブにこびり付いたままだった。

 

「……森で、ちょいと引っ掛けたかねぇ」

「魔法の森の、茸の採り場辺りで?」

「さて、ね。悪霊は散歩の道なんか、いちいち覚えちゃいないよ」

 

 霊夢は、湯呑みを置いた。

 

「夕方、魔理沙が来たわよ。泥と鼻水だらけで、帽子を焦がして」

「へぇ」

「猿は追い払ったって。最後の一発でドカン、だって。――それから」

 

 霊夢は、魅魔の横顔を見た。

 

「誰かが枝を斬って、助けてくれたんだって。三日月みたいな切り口で。――礼を言ったら調子に乗るから言わない、ですって」

 

 魅魔の肩が、小さく揺れた。笑ったのかもしれなかった。

 魅魔は、湯呑みの湯気を眺めていた。

 石灯籠の火が、風に揺れる。

 

「――『溜めて、一気に撃て』。魔理沙は、撃つ前にその言葉を思い出したって。あれ、あんたの口癖でしょ」

 

 魅魔は、湯呑みから指を離した。

 夜空を見上げる。細い三日月が、鳥居の上に掛かっていた。

 

「……さて、ね」

 

 魅魔は、薄く笑った。

 

「――昔のことは、大分と忘れちまったよ」

 

 霊夢は、それ以上は聞かなかった。

 代わりに急須を取り、魅魔の湯呑みに、熱いお茶を注ぎ足した。湯気が、また白く立ち昇る。

 

「熱いうちに、香りだけでも嗅いどきなさい」

「なんだい、今夜はケチじゃないんだね」

「今夜だけよ」

 

 魅魔は、湯気の香りを吸い込むように、目を細めた。

 しばらくして、霊夢は空になった自分の湯呑みを持って、奥へ引っ込んだ。

 縁側には、魅魔一人が残った。

 客用の湯呑みから、白い湯気が細く立ち昇っている。魅魔は、その向こうの三日月を眺めていた。

 

「……溜めて、一気に、か」

 

 誰に聞かせるでもなく、呟く。

 

「半端じゃなかったねぇ、今日の一発は」

 

 霊体の尾が、縁側の板の上で、ゆらりと揺れた。

 本殿の裏の方から、祠の扉の前を掃く箒の音が、いつものように聞こえてきた。

 

*1:
牙獣種の大型モンスター。尻尾で木にぶら下がって森を移動し、長い鼻から粘つく水を吹きかける。前脚の膜で滑空もする。

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