東方竜狩郷 ~幻想郷の狩人少女達~   作:幻想入りしたガンサー

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第二十二話:宵宮の石段

~博麗原野 東の尾根 見張りの岩陰~

 

――夜明け前の尾根は、風の音しか聞こえない。

 

 岩陰に身を寄せて、麟は膝を抱えていた。畳んだ弓と矢筒は、すぐ手の届く岩の上に置いてある。夜露で、弭の白い綿毛がしっとりと濡れていた。

 ここから岩棚の巣までは、谷を一つ挟んで百歩ほど。空っぽになった巣の縁には、赤い布切れが一本、枯れ枝に結んである。会館の印だ。巣の主が戻れば、布は引き千切られる。

 

――卵を下ろしてから、今日で十三日目になる。布は、まだ揺れていた。

 

「……麟さん、起きてるニャ?」

 

 足元で、白に薄茶の斑の毛玉がモゾリと動いた。オトモのアマネだ。

 

「起きてるよ。夜番なんだから」

「オイラは寝てたニャ」

「知ってる」

 

 麟は小さく笑った。隣では、組になった、ハンター歴十五年の古参のハンターが腕を組み、目を閉じたまま座っている。寝ているのか起きているのか、三晩組んでも麟には分からなかった。

 東の空が、ほんの少しだけ白み始めていた。

 麟は腰の水筒に手を伸ばす――

 

――その時、風が止んだ。

 尾根を吹き抜けていた風が、ピタリと止まった。草の擦れる音も、遠くの沢の音も、一緒に消えた気がした。

 アマネの大きな耳が、ピンと立った。

 

「……麟さん」

 

 アマネが空を見上げていた。麟も耳を澄ます。

 風が止んだ空の、戌亥の方角。遠く、重い羽音が二つ。ゆっくりと大きく空を打つ音と、それより速く、力強く打つ音。見上げると、白み始めた空の、まだ夜の色が残る低い雲の下を、何かが渡ってくる。

 

――二つの影だった。

 一つは高く、大きく翼を広げて、滑るように。もう一つは低く、それより少し重たげに、力強く羽ばたきながら。

 

「――起きてください」

 

 麟は、隣の古参の肩を揺すった。焦りで声が掠れている。それでも古参ハンターは目を開け、空を一目見て、無言で遠眼鏡を取り出した。

 影は、見る間に大きくなっていく。

 朝焼けの最初の光が、影の背を照らす。赤い鱗が炎のように煌めく。

 低い方の影が、岩棚の上で大きく翼を打った。風が谷を渡って、麟の頬を叩く。巨体が、空っぽの巣の縁に降り立った。ドスン、と岩棚が鳴り、小石がバラバラと谷へ落ちていく。

 緑がかった鱗に覆われた、太い脚。地面を踏みしめる爪。背には棘の並んだ甲殻、太い尻尾の先には、棘がびっしりと生えていた。

 

――『雌火竜:リオレイア』

 

 リオレイアは、巣の真ん中に頭を下ろした。

 卵のあった窪みに、鼻先を押し当てる。一つ。また一つ。七つの窪みを、順に嗅いでいく。

 高い方の影は、まだ空にいた。巣の上を、大きな輪を描いて回っている。赤い鱗。広い翼。陽を背負って、地上を見下ろしている。

 

――『火竜:リオレウス』

 

「……戻ってきた」

 

 古参ハンターが遠眼鏡を覗いたまま呟く。

 麟は声が出なかった。十三日間、ずっと待っていた。戻ってくれば、卵を親の腹の下に返せる。慧音が、そう言っていた。だが――

 

――リオレイアは、最後の窪みから顔を上げた。

 首を伸ばし、空っぽの巣をグルリと見回す。それから、喉の奥から低い声を漏らした。

 

〈グルルルル……〉

 

 低く、長い唸りだった。怒っているそれとは違う、何かを探している声だった。

 リオレイアの鼻先が、巣の縁の枯れ枝に向いた。赤い布切れが、朝の風に揺れている。

 顎が開いた。

 布切れは、枝ごと噛み千切られた。

 

「……印が」

 

 麟の手が膝の上で震えた。

 リオレイアは、千切った枝を岩棚の下へ吐き捨てた。そして、鼻を地面に擦り付けるようにして、岩棚の縁を歩き始めた。

 七つの卵を籠に入れ、滑車で下ろした縁だ。そこから、麓の小道へ向かって。

 

「匂いを追ってる……」

 

 古参ハンターが遠眼鏡を下ろす。

 

「卵を下ろした道を、そのまま辿るつもりだ。――麟、狼煙だ」

 

 麟は弾かれたように立ち上がった。

 岩陰の奥に、狼煙を用意している。乾いた枯れ草と、松の枝と、会館から渡された[ケムリ玉]。慧音の決めた色は二つ。黄は『動きあり』。赤は『里へ向かう』。

 麟の手が、黄の煙玉と赤の煙玉の間で、止まった。

 

――『迷ったら、重い方を上げろ。外れたら、私が頭を下げる』

 

 慧音の声を耳の奥で反芻し――麟は赤の[ケムリ玉]を掴んだ。

 火打ち石を打つ。三度目で、枯れ草に火が移った。煙玉を放り込むと、パチパチと弾けて、赤い煙がモクモクと立ち昇り始めた。

 空の上で、リオレウスが首を巡らせた。煙に気付いたのか、気付かなかったのか。大きな輪を描いたまま、リオレイアの後を追うように、麓の方へ滑っていく。

 

「私、麓へ下ります!先に誰かに知らせないと!」

「――待て、麟」

 

 古参ハンターが麟の襟首を掴む。

 

「小道は使うな。あいつらと同じ道を行くことになる。尾根伝いに南へ回って、神社の裏手に出ろ。そこからなら、街道へ先回りできる」

「はい!」

「俺はここで見張りを続ける。――行け」

 

 麟は弓と矢筒を背に負い、走り出した。アマネがその足元を転がるように付いてくる。

 背中では、赤い煙が朝の空へ伸びていった。

 


~博麗神社 境内~

 

――今夜は、『博麗神社』の宵宮だった。

 夏越の祓を明日に控えて、境内には朝から里の人々が出入りしている。拝殿の前には茅の輪が組まれ、石段の両脇には提灯の竿が立ち並んだ。石段を下りた先の参道には、もう屋台の骨組みがいくつも建ち始めている。

 拝殿の脇の縁台に、慧音が腰掛けていた。

 膝の上には紙の束が広げてある。今夜の宵宮の段取りと、境内で演奏をする楽団の届け出だ。

 

「……奉納演奏は日暮れから。演目は四つ。終わりは亥の刻の前、と」

 

 慧音は紙を一枚めくり、顔を上げた。

 

「霊夢は、本当に居ないんだな」

「うん、居ない」

 

 答えたのは、慧音の向かいに立つ小柄な少女だった。

 金色の短い髪に、先に赤い三日月の飾りが付いた黒い帽子。黒いベストに、膝丈の黒い巻きスカート。猟団『幻奏楽団(げんそうがくだん)』の猟団長にして、騒霊の三姉妹の長女――『ルナサ・プリズムリバー』だ。

 

「三日前に、博(・)麗(・)特(・)任(・)で出たらしい。宵宮の段取りは全部、カナに任せて」

「……全く、あの巫女は」

 

 慧音は額に手を当てた。

 

「自分の神社の祭事だぞ。主が居なくてどうする」

「居なくても、祭りはできる。――私達が居るから」

 

 ルナサは、ほとんど表情を変えずにそう言い返す。

 拝殿の前では、ルナサの妹達が支度をしていた。

 薄桃色の服に、波打つ薄水色の髪。傍らに金色のトランペットを浮かべた次女『メルラン・プリズムリバー』が、茅の輪の周りをクルクルと回りながら、音を確かめるように一吹きしている。赤い服に茶色の短い髪、宙に浮かぶ鍵盤を指先で叩いている三女『リリカ・プリズムリバー』は、手元の帳面に何かを書き付けていた。

 茅の輪の向こうでは、青と白の服に、つばの広い帽子を被った金髪の少女が、石段の方を見下ろしていた。博麗神社に住み着いている騒霊『カナ・アナベラル』だ。今夜の奉納演奏を楽団に頼んだのは、カナだった。

 

「慧音さーん!」

 

 メルランが、トランペットを抱えたまま駆け寄ってきた。

 

「一曲目、私の独奏から入っていいでしょ?宵宮なんだから、パーッと明るく!」

「駄目だ」

「えー」

「取り決めを忘れたか。――里の人の前で、躁の音の独奏はしない。三人で合わせるか、カナの歌を主にしろ」

「……ほらね、メルラン姉さん。だから言ったのに」

 

 リリカが帳面から顔を上げずに言った。

 

「慧音さんが通すわけないじゃん。――あ、慧音さん。ついでに演奏料の件なんだけど、宵宮の分と、明日の祓の分、まとめて計算してもらえる?」

「それは小鈴に言え」

「じゃあ、小鈴さんには慧(・)音(・)さ(・)ん(・)が(・)良いって言ったって伝えるね」

「言ってはいない」

 

 リリカはちぇっ、と舌を出した。

 ルナサが、小さく溜息をついた。それから、慧音に頭を下げた。

 

「……すみません。相変わらず妹達が」

「構わん。慣れている」

 

 慧音は紙を揃え、縁台から立ち上がった。

 

「雷鼓と九十九姉妹は」

「雷鼓さんは参道の下で屋台の太鼓台を組んでいるわ。九十九姉妹は、昨日から遺品の回収に出ていて、今夜は間に合わない」

「そうか」

 

 慧音は、石段の上から参道を見下ろした。

 

――長い石段の下に、一の鳥居が見える。鳥居をくぐった先が参道で、参道はそのまま東の街道へ繋がっていた。街道の脇に、屋台の骨組みが並んでいる。茶屋の幟。綿飴の釜。子供達が、骨組みの間を走り回っている。

 参道の真ん中で緑の髪の少女が、箒を手に屋台の主達と話していた。博麗神社の狛犬――あうんだ。霊夢の留守の間、参道の見回りはあうんの役目だった。

 

「――慧音さん」

 

 カナが石段の縁から振り返った。声が少しだけ硬い。

 

「あれ、何かな……?」

 

 カナが指差したのは、参道の向こう、東の空だった。

 朝の青空に、一本の煙が立ち昇っていた。細く、真っ直ぐに。

 

――赤い煙だった。慧音の顔から、表情が消えた。

 

「……東の尾根だ」

「狼煙?」

「赤は、『里へ向かう』だ」

 

 ルナサが、慧音の横に並んだ。拝殿の前のメルランとリリカも、手を止めてこちらを見ている。

 慧音は紙の束を縁台に置いた。

 

「卵を下ろした番が、戻ってきた。そして――匂いを追って、里の方へ動き出した」

「卵って、研究室の?」

 

 リリカが、帳面を閉じた。

 

「十三日前に、東の尾根から里の孵卵小屋へ移した火竜の卵だ。数は七つ」

 

 慧音は石段の下の参道を見た。屋台の骨組み、子供達、茶屋の幟を見回す。

 

「卵を運んだ道は、東の尾根の麓から、東の街道を通って里の東の外れへ入る」

 

 ルナサが息を呑んだ。

 

「……この参道の、すぐ下を通る」

「あぁ、そうだ」

 

 その時、神社の裏手の雑木林がガサガサと鳴った。

 藪を掻き分けて少女が一人、転がり出る。泥だらけの脚で立ち上がり、肩で息を吐く。同時に足元で白に薄茶の斑のアイルーが一匹転がる。

 

「け、慧音先生……!」

 

 新人ハンターの麟だった。

 

「――東の尾根より急報です!火竜の番が、巣に戻りました……!」

 

 麟は境内の石畳に膝を付く。

 

「卵の匂いを嗅いで……布を千切って……麓の小道を、卵を下ろした道の通りに、下りていきました……!」

「――よく知らせた」

 

 慧音は、麟の肩に手を置いた。

 

「狼煙を上げたのは、お前か」

「は、はい。赤を……あの、合ってましたか」

「合っている」

 

 慧音は短く答え、立ち上がる。そして――声を張り上げる。

 

「――あうん!参道の者を、全員石段の上へ上げろ!屋台は捨て置け!」

 

 石段の下で、あうんが弾かれたように顔を上げて走り出した。

 


~博麗神社 参道~

 

――石段を駆け下りると、参道はもう騒ぎになっていた。

 あうんが屋台の間を走り回り、主達に声を掛けている。綿飴の釜を抱えて逃げ出そうとする男、骨組みに布を掛けたまま立ち尽くす女、母親の袖を引いて泣き出す子供。皆が一斉に動き出し、一斉に詰まっていた。

 

「荷物は置いてってくださーい!石段の上へ!上ですー!」

 

 あうんが両手を振って叫ぶ。だが、何人かは石段とは逆の、街道の方へ走り出そうとしていた。里へ帰ろうとしているのだ。

 

「そっちは駄目だ!」

 

 慧音が、街道の口に立ちはだかる。

 

「街道はモンスターの通り道になる。里へ戻るな。石段の上の方が近い」

「で、でも慧音先生、うちの婆ちゃんが里に――」

「里には会館の者が居る。お前は上へ行け」

 

 男は唇を噛み、石段の方へ向き直った。

 参道の一番奥、一の鳥居の脇に組みかけの太鼓台があった。その上に、赤い髪の女が一人、あぐらをかいて座っている。白いシャツに赤いネクタイ。背後には、大小の太鼓が輪のように宙に浮かんでいた。

 太鼓の付喪神にして、幻奏楽団の太鼓叩き(ドラマー)――『堀川雷鼓』だ。

 

「慧音さん。何事?」

 

 雷鼓は、太鼓台の上から身を乗り出した。両手には二本のバチを握ったままだ。

 

「火竜の番が、街道を下りてくる」

「へぇ……」

 

 雷鼓の目が、一瞬だけ細くなった。

 

「ここを通るの?」

「それを、今から確かめる」

 

 慧音は麟を振り返った。

 

「麟。小道の出口まで行く。付いて来い」

「はい!」

「あうん。ここを頼む。人を上へ上げ終わったら、鳥居の前に立て」

「――分かりました!」

 

 あうんが、背の大盾を下ろした。狛犬の顔を彫った、岩の塊のような盾が頼もしく感じられる。

 


~東の街道 麓の小道の出口~

 

――街道を東へ、五町ほど。

 東の尾根から下りてくる小道が、街道に合流する所に、平たい大きな石が一つ置いてある。昔から、荷を担いで尾根を越える者が一息つく場所だった。

 その石の周りの土が、掘り返されていた。

 

「……来てる」

 

 麟が足を止めた。

 石の縁の土が、何かで抉られたように捲れている。草が根ごと剥がされ、土の下の小石が覗いていた。

 慧音は石の前に屈み込んだ。

 

「鼻先で掘った跡だ。――ここで、卵を籠ごと下ろしたんだな」

「はい。滑車で岩棚から下ろした後、里香さんが籠の縄を締め直すのに、一度ここに置きました」

 

 麟は捲れた土に手を当てた。まだ冷たい。朝露が土の粒に光っている。

 

「……新しいです。半刻も経ってない」

 

 小道の方へ更に足跡が続いていた。

 三本の太い指。指の先には、爪で抉った深い溝。麟は足跡の脇に膝をつき、指の幅を掌で測った。自分の掌が、三つ並んでも足りない。

 足跡の中に、指を差し入れる。深さは、指の付け根まで沈んだ。

 

「すごく深い……重たい足です。それに、歩幅が狭い」

「走っていない。歩いている」

 

 慧音が、足跡の並びを目で追った。

 足跡は、平たい石の周りをグルリと一周していた。所々で、足跡が重なって乱れている。立ち止まって、周りを嗅いだ跡だ。それから足跡は、街道には出ずに、街道の脇の藪へ入っていた。藪の奥へ、細い踏み跡が下っている。沢へ下りる道だ。

 

「雌火竜は、空より地面を歩いて縄張りを守る。故に足が太くて重い」

 

 慧音が呟く。

 

「この足跡はリオレイアだ。リオレウスは――」

 

 慧音は空を見上げ、麟もつられて見上げる。

 

――遥か高い空に、黒い点が一つ、ゆっくりと輪を描いていた。陽の光の中で、輪の真下が、ちょうど街道の上に重なっている。

 

「……上から、見てる」

「番の雄は、空から縄張りを見張る。雌が地面を嗅ぎ、雄が空から追う。卵を探すときも、同じだ」

 

 アマネが足跡の一つに鼻を突っ込んだ。

 

「くっさいニャ。焦げた匂いと、それから……」

 

 アマネは、鼻をヒクヒクさせた。

 

「卵の匂いもするニャ。籠の藁の匂いニャ」

「藁?」

「卵を包んでた藁ニャ。落ちてるニャ」

 

 アマネが、街道の脇の草むらから、藁屑を一本咥えて戻ってきた。

 麟は、藁屑を受け取った。籠の緩衝に詰めた藁だ。十三日前、ここで籠を下ろしたとき、零れ落ちたのだろう。

 

「藁が落ちてる所を、全部嗅いで回ってるんだ……」

「麟。移送の時、他にどこで籠を下ろした」

 

 慧音の問いに、麟は目を閉じた。

 十三日前の、移送の日。麟は籠の後ろを歩いていた。滑車で下ろし、平たい石で縄を締め直し、それから――

 

「……そこの踏み跡から、沢沿いの近道へ入りました。街道より揺れないからって。沢の丸木橋の手前で、一度籠を下ろしました。橋が揺れるから、籠を一つずつ渡して」

「それから」

「それから――」

 

 麟は目を開けた。

 

「近道は、榎の休み場の裏に出ます。街道の、参道の分かれ道の。昼になったから、そこで皆でお握りを食べて……籠は、榎の根元に並べて置きました。半刻くらい」

 

 慧音は、黙って街道の先を見た。

 参道の方だ。

 

「――藁屑が一番多く零れた場所に、一番強く匂いが残る」

 

 慧音の声は低い。

 

「半刻も籠を並べて置いた所なら――あいつは、そこで立ち止まる」

 

 その時、南の方から声が届いた。

 

〈ギャオオオォォ……〉>

 

 遠く、低い声だった。木々の向こう、沢の方から聞こえる。

 麟の背中がゾクリと粟立った。声の遠さと、木々に籠もる響き方で、どこから来た声か分かってしまった。

 

「……沢の、丸木橋」

「あと一つだ」

 

 慧音は立ち上がり、街道を参道の方へ走り出した。

 

「戻るぞ、麟!あいつが次に足を止めるのは、榎の休み場だ!」

 


~博麗神社 一の鳥居~

 

――参道に戻ると、屋台の間はほとんど空になっていた。

 だが、石段が詰まっていた。

 慧音は走りながら懐の帳面を引き抜き、鳥居の前で足を止めて矢立の筆を走らせる。

 

中央会館へ 至急

一、東の尾根の火竜の番、巣に戻る。卵の運び道を辿り、街道を西へ

一、東の外れの通りを閉じよ。孵卵小屋の戸を閉め、炉の火を落とすな

一、竜を里へ入れるな。手の空いたハンターは東の外れへ

上白沢慧音

 

「――これを会館へ。誰が一番速い」

「はいはーい!私、私!」

 

 石段の上から、メルランがトランペットを抱えたまま、フワリと宙に浮いて飛び降りてきた。騒霊は、空を飛べる。

 

「カナの鳥の方が速いけど――」

「鳥では駄目だ」

 

 慧音は、カナの名が出る前に首を振った。

 

「光る鳥は、空の竜の目を引く。今、空にはリオレウスがいる」

「そう言うと思った。だから私!」

 

 メルランは慧音の手から紙を引ったくり、懐に押し込んだ。

 

「――メルラン」

 

 石段の上から、ルナサの低い声が降ってきた。

 

「街道の上は飛ばないで。森の上を、低く」

「分かってる、分かってるって!」

「……戻ったら、すぐ石段の上に」

「はーい!」

 

 メルランは、もう西の空へ飛び去っていた。森の梢を掠めるように、低く。ルナサは、その背中が見えなくなるまで目を離さなかった。

 百段を超える長い石段に、里の人々がひしめき合っている。荷物を抱えた者、子供を背負った者、年寄りの手を引く者。上の方は少しずつ動いているが、下の方は押し合いになっていた。

 鳥居の前で、あうんが大盾を地面に立て、最後の何人かを石段へ送り出していた。

 

「慧音さん!あと少しです!」

「榎の休み場から、人を全部離せ!あそこに来る!」

 

 あうんが、ハッとして街道の分かれ道を振り返った。

 分かれ道の角に、大きな榎が一本立っている。枝を広げた木陰に縁台が二つ。旅の者が一息つく休み場だ。その根元にも、今日は茶屋の幟が立っていた。

 

――そこに、空から影が落ちてきた。

 参道に大きな翼の形をした影が、スウッと滑り込む。石段の人々、一斉に空を見上げた。

 

――リオレウスが、真上にいた。

 

 低い。屋根の高さの三倍もない。赤い鱗の腹と、鉤爪の付いた後ろ脚が、ハッキリと見える。翼が一打ちするたびに、提灯の竿がしなり、屋台の布がバタバタと鳴った。

 リオレウスが、大きく顎を開いた。

 

〈グォオオオオオオッ!!〉

 

――空の王が、吼えた。

 腹の底まで揺さぶるような声だった。石段の人々が耳を押さえ、身を竦める。誰かが悲鳴を上げた。それが合図だったように、石段の下の方で押し合いが一気に崩れた。

 上へ逃げようとする者と、思わず下へ戻ろうとする者がぶつかる。子供が泣き叫び、年寄りが段に手をつく。誰も前に進めない。

 

「落ち着いて!押さないでくださーい!」

 

 あうんの声も多くの悲鳴に呑まれて消える。

 慧音が、石段の下へ駆け寄ろうとした――その時、石段の上から音が降ってきた。

 

――ヴァイオリンの音だった。

 低く、静かで、少しだけ悲しい旋律。誰も弾いていないのに、宙に浮かんだヴァイオリンが、ひとりでに弓を滑らせている。

 石段の一番上に、ルナサが立っていた。両手は空のまま、背中の狩猟笛にも触れていない。ただ真っ直ぐに、石段の人々を見下ろしている。

 音は、耳ではなく胸の奥に届いた。

 泣き叫んでいた子供が、しゃくり上げながら顔を上げた。段に手をついていた年寄りが、ゆっくりと膝を伸ばす。押し合っていた男達の肩から、力が抜けていく。

 怖さが消えたのではない。皆の顔は、まだ青い。だが、震えが止まっていた。足が、前へ出るようになっていた。

 

――騒霊の音だ。

 

 慧音は拳を握りしめた。

 ルナサの隣にリリカが並ぶ。リリカの鍵盤が、ルナサの旋律の下に柔らかな和音を敷く。

 だが、明るい音が足りない。一人では沈みすぎる音を、三人で釣り合わせるのが三姉妹の合奏だ。メルランは今は西の空の上である。

 ルナサの旋律が、ほんの少しだけ揺れた。

 

 ――その隙間を埋めたのは、歌だった。

 

 カナだった。石段の中ほどに立ち、つばの広い帽子を押さえて、歌っている。

 言葉の意味は、よく分からなかった。それでも、聞いた者は自分の気持ちのまま、ほんの少しだけ楽になる。ここにいていい。ここで、一段ずつ上がればいい。そう言われている気がした。

 

「――はい、こっちよ!一段ずつね!」

 

 カナが歌の合間に手を振る。人々がカナの声の方へ、一段、また一段と上がり始めた。

 リリカが、鍵盤を叩きながら石段の脇を駆け下りてくる。腰の袋から、小さな布の玉を掴み出しては、人々の手に押し付けていく。

 

「耳栓!耳に詰めて!また吼えるから!――はい、あなたも!そっちのお爺ちゃんも!」

「お、お嬢ちゃん、これ、お代は……」

「後で会館に請求するから、いいの!」

 

 慧音は、思わず口の端を緩めかけた。

――その時、地面が揺れた。

 

――ドスン、ドスン。

 

 重い足音が、榎の裏の藪の奥から近付いてくる。

――藪を押し分けて、リオレイアが現れた。

 首を低く下げ、鼻先を地面すれすれに擦り付けている。太い脚が一歩踏み出すたびに、参道の石畳が震えた。リオレイアは、街道の分かれ道で足を止めた。

 

――榎の休み場だ。

 リオレイアは、榎の根元に鼻を押し当てた。茶屋の幟を、鼻先で薙ぎ倒す。縁台を前脚で押し退け、根元の土を掘り返し始めた。藁屑が舞い上がる。

 

〈グルルルル……〉

 

 長い唸りが、喉の奥から漏れる。十三日前、籠を半刻並べて置いた場所だ。匂いが一番強く残っている場所だ。

 リオレイアは、根元を掘り続けた。掘っても、掘っても卵は出てこない。

 

「……探してるんだ」

 

 慧音の隣で麟が呟く。その声は震えていた。

 

「ずっと、探してるんだ……」

 

 慧音は答えなかった。

 空のリオレウスが、榎の真上で翼を打った。

 喉の奥が赤く光り、火球が一つ、空から落ちてくる。火球は綿飴屋の屋台を直撃し、骨組みごと炎に包んだ。乾いた布が一瞬で燃え上がり、黒い煙がモクモクと参道を這う。

 石段の人々が、また悲鳴を上げかけた。だが、ルナサの音がそれを押し留める。カナの歌が、一段上へと人々を手招く。

 

 石段の下では、最後の何人かが上がり始めていた。あと少し。あと少しで、参道は空になる。

――その時、榎の向こうの茶屋の屋台から、小さな泣き声が聞こえた。

 真っ先に振り返ったのは、麟だった。一拍遅れて、慧音とあうんも振り返る。

 倒れた屋台の陰。縁台の下に、小さな男の子が蹲っていた。逃げ遅れたのだ。両手で耳を塞ぎ、顔を真っ赤にして泣いている。

 リオレイアの頭が、ゆっくりと泣き声の方へ向いた。

 

「――っ!」

 

 あうんが走った。

 大盾を前に構え、狛岩槍を脇に抱えて、倒れた屋台と竜の間に飛び込む。リオレイアが首を擡げ、喉の奥が赤く光る。

 

「通しませんよ……!」

 

 火球があうんの大盾を真正面から打った。

 ゴウッ――!と炎が盾の縁から溢れる。あうんの踵が石畳を削って、半歩、一歩と後ろへ下がった。それでも、盾は下がらなかった。

 

「麟!子供を!」

 

 慧音の声と同時に麟は走っていた。アマネが先に縁台の下へ潜り込み、男の子の袖を咥えて引っ張り出す。麟はその子を抱え上げ、石段へ向かって駆ける。

 リオレイアが体を捻る。

 太い尻尾が、宙で大きく弧を描く。後ろへ跳ね上がるように、全身で宙返りを繰り出す。棘だらけの尻尾が、あうんの盾の上から叩き下ろされる。

 ガギン――と盾の岩殻が鳴る。

 あうんの体が、盾ごと横へ弾き飛ばされる。石畳の上を転がり、屋台の骨組みに背中から突っ込む。

 

「あうん!」

「だ、大丈夫です……毒は、盾で……!」

 

 あうんは、骨組みの残骸の中で盾を構え直した。腕が震えている。

 リオレイアが、あうんに向き直った。空では、リオレウスが低く輪を描きながら、参道の真上に戻ってきていた。

 このままでは、鳥居が抜かれる。石段の上には、まだ大勢が残っている。

 

「――慧音さん」

 

――声は鳥居の脇の太鼓台から聞こえた。

 雷鼓が、太鼓台の上に立っていた。両手のバチを、軽く打ち合わせている。

 

「――鳴(・)ら(・)し(・)て(・)いい?」

 

 慧音は雷鼓を見上げる。

――付喪神の太鼓は、本物の音だ。心に響かせる騒霊の演奏と異なり、モンスターにも聞こえる。狩り場で鳴らせば、獲物を呼ぶ。だから楽団は、狩り場で付喪神の音を鳴らすときは、猟団の長に許しを取る。そう取り決めてあった。

 

「――呼んでどうする」

「連れて行くよ。尾根まで」

 

 雷鼓はニヤリと笑う。

 

「あの竜の足音はさっきからずっと聞いてた。一歩の間が長くて、止まると長い。――乗りやすいリズムだよ」

 

 慧音は一拍だけ黙る。

 

「……街道を東へ。里の方には、絶対に向かせるな」

「了解」

「――許す」

 

 雷鼓が太鼓台から跳んだ。

 宙に浮かんだ太鼓の輪ごと、参道を東へ駆け抜ける。榎の休み場を回り込み、リオレイアの脇を抜けて、街道の東側へ。リオレイアの首が、雷鼓の動きを追った。

 街道の真ん中で、雷鼓が足を止め――バチを振り上げる。

 

――ドンッ!!

 

 雷鳴の様な一打ちで、空気が震えた。

 リオレイアの頭が、跳ねるように雷鼓へ向いた。空のリオレウスも、首を巡らせる。

 

――ドン、ドン、ドドン……!

 

 雷鼓が、太鼓を叩きながら後ろへ下がる。一歩、また一歩。リオレイアが、一歩踏み出した。雷鼓の太鼓が、その一歩に重なるように鳴る。

 

「そう。こっちだよ」

 

 リオレイアが突進した。雷鼓は横へ跳び、太鼓の輪をクルリと回して、また街道の東へ下がる。リオレイアが首を振り、火球を吐いた。雷鼓は、火球が来る半拍前に、もう跳んでいた。

 

「速い拍と、遅い拍。――あんたの癖、もう覚えたよ」

 

――ドン、ドン、ドドン……!

 

 太鼓の音が、街道を東へ遠ざかっていく。リオレイアの重い足音が、その後を追う。空の影も、ゆっくりと東へ流れていく。

 参道に静けさが戻った。

 倒れた屋台。踏み潰された茶屋の幟。掘り返された榎の根元。

 あうんが、骨組みの中から這い出してきた。盾の表面が煤で真っ黒になっている。

 

「……と、通しません、でした……」

「あぁ。よく、通さなかった」

 

 慧音はあうんの肩を叩いた。

 石段の上から、ルナサのヴァイオリンが、まだ静かに鳴り続けていた。

 


~博麗神社 境内 宵~

 

――宵宮の提灯に火が入った。

 

 だが、参道の屋台は一つも開かなかった。

 境内には、昼間に逃げ上がってきた里の人々が、そのまま残っていた。街道はまだ竜の通り道かもしれない。暗くなってから石段を下りるのは危ない――慧音がそう判断して、今夜は皆を神社に泊めることにしたのだ。

 

 拝殿の板の間と普段碌に使われない社務所が開け放たれ、筵が敷かれた。茶屋の主が、逃げる時に抱えてきた米で握り飯を作り、綿飴屋の男が、釜の代わりに大鍋で湯を沸かしている。子供達は、もう昼間のことを忘れたように、茅の輪の周りを走り回っていた。

 日が落ちきる少し前、雷鼓が石段を上ってきた。

 シャツの袖が焦げ、頬には煤の筋が付いている。宙に浮かぶ太鼓の一つに、爪で引っ掻いたような傷が走っていた。

 

「ただいま。――無事、送り届けてきたよ」

 

 雷鼓は、縁台にどっかりと腰を下ろした。

 

「尾根の麓まで連れてったら、雌の方が勝手に小道を上がっていった。巣に戻って、空っぽの窪みの上に伏せたよ。雄は、その隣の岩に降りた」

「怪我は」

「太鼓が一つ、ちょっとね。私は平気」

 

 雷鼓は傷の付いた太鼓を指で叩いた。音が、少しだけ濁っている。

 

「直るのか」

「小傘に頼む。――それより、慧音さん」

 

 雷鼓の声が、少し低くなった。

 

「――あの雄。左の翼に、大きな裂け目があった」

 

 慧音の手が、止まった。

 

「古い傷じゃない。端がまだ赤かった。飛び方が、少し左に傾いてたのは、そのせいだと思う」

「……縄張り争いか」

「さぁね。でも――」

 

 雷鼓は、夜の空を見上げた。

 

「火竜の翼を、あんな風に裂ける相手って――この辺に居る?」

 

 慧音は答えなかった。

――十三日前、卵を残して巣を離れた番。飛び去った方角は、戌亥だった。阿求の地図の上で、朱の矢印が向いている方角だ。

 その戌亥から、番は戻ってきた。――翼に、新しい傷を負って。

 

――何かから逃げてきたのか。

 

 慧音はその考えを口には出さなかった。

 石段の下から、メルランが息を切らせて駆け上がってきた。飛んできたのではなく、最後の石段を自分の足で上ってきたらしい。トランペットを抱えた腕に、森の小枝が何本も引っ掛かっている。

 

「慧音さん、届けてきた!小鈴ちゃんがすぐ東の外れの門を閉めて、妹紅さんと明羅さんが孵卵小屋の前に立ってくれてる!」

「理香子は」

「孵卵小屋に籠もってる!それで、伝言」

 

 メルランは少しだけ声を落とした。

 

「『二つ目の卵にも、罅が入った。三日のうちに、全部孵るかもしれない』――って」

 

 慧音は目を閉じた。

――三日。卵が孵れば、籠に入れて運ぶことも難しくなる。仔は籠の中で鳴き、親はその声を聞きつける。

 

「……分かった。よく飛んだな、メルラン」

「でしょ?」

 

 メルランは胸を張り、それから、拝殿の方をちらりと見た。

 

「ねぇ、ところで。私が居ない間に、ルナサ姉さん、誰と合わせたの?」

「カナの歌だ」

「……ふーん」

 

 メルランは、少しだけ口を尖らせた。

 


 

――夜が更けて、境内が少し静かになった頃。拝殿の縁側に、カナが一人腰掛けていた。

 

 筵の上では、里の人々が身を寄せ合って横になっている。眠っている者も、眠れずに天井を見ている者もいた。昼間に助け出された男の子は、母親の膝に頭を乗せて、目だけを開けていた。

 カナが、小さな声で歌い始めた。

 昼間の歌とは違う、もっと静かな歌だった。子守唄のような、ただの鼻歌のような。誰に聞かせるでもなく、夜の境内へ流れていく。

 男の子の瞼が、少しずつ下りていった。

 縁側の柱に背を預けて、ルナサがヴァイオリンを膝に置いていた。弓は動かしていない。カナの歌の邪魔にならないよう、黙って聞いている。

 ルナサの目は、筵の上を一人ずつなぞっていた。

 

「……何してるの、ルナサ姉さん」

 

 リリカが、帳面を抱えて隣に座った。

 

「数えてる」

「何を」

「顔」

 

 ルナサは、筵の端から端まで目を動かしてから、小さく息を吐いた。

 

「……全員、居る」

「当たり前でしょ。私がちゃんと数えたもん。百十二人。耳栓は百八個配って、四個足りなかった。――請求書は、百十二人分で出すけど」

「……リリカ」

「冗談だってば」

 

 リリカは帳面を閉じ、ルナサの肩にもたれかかった。

 メルランは、拝殿の階段の一番下で、トランペットを抱えたまま眠っていた。昼間、一度も独奏させてもらえなかったのがよほど悔しかったらしい。口が少し尖っている。

 境内の隅の石灯籠の脇で、慧音は麟と並んで立っていた。

 麟の足元で、アマネが丸くなって寝息を立てている。

 

「……慧音先生」

 

 麟がポツリと口を開く。

 

「あのリオレイア、ずっと卵を探してました。榎の根元を、掘っても、掘っても出てこなくて」

「あぁ」

「卵、返してあげられないんですか。親が戻ってきたら、返すって……」

「――返す」

 

 慧音は迷わずに言った。

 

「親が戻ったら、卵を親の腹の下に返す。最初から、そう決めてある」

「じゃあ――」

「だが、あの番は、卵を探して里の方へ下りてきた。今日は雷鼓が尾根へ連れ戻した。明日は、どうなるか分からん」

 

 慧音は東の夜空を見た。尾根の方角に、星が瞬いている。

 

「卵は、もう孵りかけている。籠に入れて尾根へ運び上げるにしても、あの番の目の前でやることになる。――番が、こちらを卵を盗った者として見ているなら、なおさらだ」

 

 麟は唇を噛んだ。

 

「明日の朝、会館で話す。理香子と、阿求と、狩りに出られる者を集める」

 

 慧音は麟の頭に手を置いた。

 

「今夜は休め。お前は今日、一番重い煙を上げた。――よくやった」

「……はい」

 

 麟は小さく頷き、アマネの隣に腰を下ろした。

 縁側ではカナが歌い終えていた。

 筵の上は静かな寝息で満ちていた。カナは帽子を脱ぎ、膝の上に置いて、眠っている人々を見回した。それから、隣のルナサの袖をそっと引く。

 

「ねぇ、ルナサ」

「……何」

「今日も、ちゃんと聞いてくれたかな」

 

 ルナサはカナの顔を見、それから、筵の上の母親の膝で眠る男の子を見る。

 

「……うん、聞いてた」

 

 カナは、ニッコリと笑った。

 石灯籠の火が、夜風に揺れる。

 東の尾根の方から、低い声が、一度だけ届いた。

 

〈ギャオオ……〉>

 

 それきり、夜は静かだった。

 

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